ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー   作:通りすがる傭兵

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むしゃくしゃしてやった、後悔はしていない。


番外編 第6回 M61A2&ガトリング砲

 

 

 

 

 

「ガンスミスと」

 

「M1895ナガンの」

 

「「銃器紹介!」

 

ガンスミス

「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介、解説していくラジオ番組です」

 

ナガン

「偏見思い込み勘違い......そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時受け付けているのじゃ」

 

ガンスミス

「性能諸元はWikiを参考にしています」

 

「「それでは、スタート!」」

 

 

 

 

ガンスミス

「......いちおう収録はしてるものの、機密データ扱いだったらコレ放送できないんだよね」

 

ナガン

「危ない橋渡りは勘弁なんじゃが」

 

 

 

 

 

ガンスミス

「今回は特別編、ということで本部の試作人形『M61A2』さんにお越しいただいてます。

本日はどうもよろしく」

 

M61A2

「おう、よろしくゥ!」

 

ナガン

「なんじゃこのM16の色違いは」

 

ガンスミス

「それは言ったらいかんでしょ」

 

 

 

性能諸元 M61A2 ☆ー MG(?)

 

口径 20mm

 

使用弾薬 20×102mm弾各種

 

装弾数 なし(ベルト又はリンクレス給弾方式)

 

採用 アメリカ空軍 他

 

 

開発経緯のその前に

 

 

ガンスミス

「まずこの銃は今まで説明してきたものとは違い航空機や対空砲など、取付を前提とした大型銃、かつ『ガトリング砲』というちと特殊な種別の銃なんだ。

 

メジャーではあるが珍しい方式かもしれないから、まずはここから解説していこうと思う」

 

M61A2

「そいつは有り難い、ガトリング砲の素晴らしさを全員に知らしめてくれよな!」

 

ナガン

「それは無茶はな話ではないかのう......?」

 

ガンスミス

「やるだけやるよ、俺もガトリング砲嫌いじゃないし。

 

ガトリング砲の考え方としては『多数の砲身を用意し、連続して射撃する』というものだ。

ガトリング砲が生み出された1860年代は機関銃はおろか自動式の銃もない。

前から装填する単発式のライフルがメインだったからな。

そして1862年には原型が完成、軍用として運用されたのは4年後の1866年、アメリカ独立戦争当時の北軍だ。

分間200発と当時としては高速の発射速度を誇るこの銃は、戦場で大いに猛威をふるったそうだ。

名前の由来は開発者である発明家、リチャード・ガトリングからとっている」

 

M61A2

「ちなみに日本じゃ1868年の戊辰戦争で長岡藩が使用していたって話だ。

詳しい資料はないが、それなりの損害を与えることはできていたらしい」

 

ナガン

「しかしWW1、WW2の兵器でガトリング砲は見たことはないが?」

 

ガンスミス

M1919みたいな銃身一つで大量発射ができるような銃が出来たからな。重くて壊れやすい方と、頑丈で軽い方、どっちが運用したいかと聞かれれば、な?」

 

ナガン

「確かにのう。こんなバカでかい代物、持ち運ぶには不便じゃな」

 

M61A2

「ま本来の用途は拠点防衛とかだからな。そもそも持ち運ぶ用にできてねえ」

 

 

ガンスミス

「そして時は過ぎて1950年代。航空機の機銃としてひたすらに高い発射速度を求めたアメリカ空軍が目につけたのは、博物館に眠っていたガトリング砲だった」

 

M61A2

「そんでこの銃が作られたってワケさ!

こいつの発射速度は分間6600、痺れるよなぁ!」

 

ナガン

「そ、そうじゃな......」

 

 

戊辰戦争......

 

 

開発経緯 〜破壊の嵐を巻き起こせ!〜

 

ガンスミス

「この銃の開発は1946年から56年。航空機の機銃として発射速度の高い銃を求めて開発されたのがこのM61『バルカン』シリーズだ」

 

ナガン

「バルカンというのはローマ神話の火の神が由来だそうじゃな」

 

M61A2

「バルカン砲というといろんなものが思い浮かぶが、実はこのM61シリーズ()()を指す言葉だ。

これでまた一つ賢くなったな!」

 

ガンスミス

「作動方式にはガス式、電気動作式のふたつが考えられていたが、より安定する電気動作式を採用することとなった。

しかしバリエーションによってはガス圧作動式のものもあるんだ、ちと特殊だがな」

 

 

M61A2ってどんな銃?

 

ガンスミス

「20mmだから原則は砲扱いなんだけどな!」

 

ナガン

「遊んでおらんで真面目に解説せんか」

 

M61A2

「こいつの発射速度はなあんと分間6600発!しかも最大分間7200発まで上げる事もできる上、試験では分間12000発を記録したこともあるんだぜ!

すげえだろ! 痺れるだろ! 撃ってみたいだろ!」

 

ガンスミス

「使用する弾薬も多種多様だ。

榴弾、焼夷榴弾、徹甲焼夷弾、半徹甲焼夷弾などなど。とはいえ20mmでは効果が少ないとされあまり多用されることはない、徹甲弾がめいんだな。

対空砲なんかではAPDSなんかが使われているな」

 

ナガン

「疑問なんじゃが、このような発射速度じゃろう? 銃身の寿命がすごい速度で減っていくと思うのじゃが。それに熱で歪むのではないか?」

 

ガンスミス

「それが欠点ではあるな。実際のところ故障を防ぐために2秒以上の射撃はご法度とされている、俺としてはあまりやって欲しくないんだがな」

 

M61A2

「え、まじで。知らなかったんだが」

 

ガンスミス

「おい」

 

M61A2

「でも今まで故障らしい故障は無かったんだしーー」

 

ガンスミス

「内部機構がズタボロだったの知らないだろ連続射撃時にかかる機関部の負担だって尋常じゃないんだからなしかもお前のA2モデルは銃身削って軽量化してるんだから壊れやすいんだ気い使え!」

 

 

 

派生あれこれ

 

ガンスミス

「こほん。さて、現代において実用性のあるガトリング砲の先駆けともなったこの銃、派生型もまた多い。

 

地上運用を想定され、レーダー射撃完成装置を組み込んだM168

銃身を3本に減らし、AH-1シリーズなどの攻撃ヘリなどに搭載されているM197

日本で開発された、掃海艇や巡視船における自衛火器として発射速度を大幅に落としたJM61-M

 

特に知名度が高いだろうものはこのふたつだろうな。

 

駆逐艦に搭載される近接防御火器システム『ファランクス』。

7.62mm弾用にスケールダウンし、汎用性を増した『M134』。

 

語り出すとキリがないから各自で調べてくれ、以上」

 

M61A2

「解説しないのか!? そういう場所だろうココは!」

 

ナガン

「尺がないんじゃ、尺が」

 

 

 

ところで

 

ガンスミス

「お前さん、ガトリング砲の欠点については把握してるの?」

 

M61A2

「当然だろ。使ってる分には付き合っていかなきゃならない問題だからな」

 

ナガン

「かいせつ、頼めるかのう?」

 

M61A2

「やってやろうじゃないの!

悪いところ言わないでオススメするのは詐欺とかわらないからな。それは私も好きじゃねえ。

 

まず重量だな。こんなバカデカイ砲に作動システムだ、当然重い。だいたい......100キロちょっとか?

私は盾や大型弾倉を積んでるから、全体で200〜300キロはある。

しかも反動は2tつう規格外な数字だ。私の場合分散できるシステムを身体に積んでるから問題ないが、それでもかなりのモノがある。

ボロい建物の上に登ってみろ、真っ逆さまだ。

足場には気を使わなきゃならないんだよな、めんどくせえ。

 

次に、まあ別に気にすることでもないんだが、精度が悪い。銃身が固定されてるわけじゃないからブレにブレる、とんだじゃじゃ馬だ。

しかも撃ち始めるのに銃身の回転プロセスを挟むから、撃ち始めまで1秒くらいかかるし、止めるのにも時間が必要だ。

ま、弾ばらまきゃ問題ないけどな!」

 

ガンスミス

「それにお前さん運用に縛りが多すぎるんだよな。

20mm弾なんて常備する基地は多くない上に一回の戦闘に消費する弾薬は10万発はくだらない、もしくはそれ以上か? こんな馬鹿みたいな運用コスト、本部付きでなきゃ払えねえよ」

 

M61A2

「それが良いんだろう?」

 

ナガン

「お主のせいで補給班が悲鳴あげとったんじゃが。試し撃ちだけであんな死屍累々になるとはどういう事なんじゃ?」

 

M61A2

「いやー、すげー調子良くてついテンションが上がっちまってな、ちと派手にやっちまった」

 

ガンスミス

「ちと派手にだあ? そんだけで屋外射撃場が穴だらけにはならねえよ」

 

M61A2

「大丈夫大丈夫、敵に撃ってるから問題ねえ」

 

ガンスミス

「そうじゃないんだよ!」

 

 

 

 

まとめ

 

ガンスミス

「運用コストについては問題どころじゃ済まないレベルの厄ネタだが、それに見合うくらいの破壊力はあるな。

そんで個人的な意見だが......整備してて楽しかったからまた来て欲しい」

 

M61A2

「こっちも新品より快調なくらいだ、また世話になるぜ」

 

2人

「「ふふふふふふふ......」」

 

ナガン

「この2人は出会っては行けなかったのかもしれんのう......では、また次回」

 

 

 

あとがたり「浪漫のカタチ」

 

 

M61A2

「今回の話を要約するとだな。

 

ガトリング砲はな!1人で100人分の働きをできるような砲を発明できたら、戦争に投入される兵士の数は大幅に減らせてその結果として戦死者も減るだろうと考えた発明家リチャード・ジョーダン・ガトリングの優しさとロマンを併せ持つ最強にして最高の武器なんだよ!銃身一つのロマンの欠片もねぇ!威力もねぇ!射速もねぇようなライフルやアサルト、サブマシンガンの頂点に立つのがガトリングだぁ!なんだ?マシンガン?親戚見たいなモンだからマシンガンは盟友だ!だからな他の銃には無い優しさとロマンで作られたガトリング砲は最強なんだよ!なぁ!そうだろぉ!お前も一緒にガトリング撃ちまくろうな!M134から持って慣れたら大きくして行こう!な?お前も一緒にガトリングで敵を一掃しょうぜ!…ん?弾薬消費?気にするな!弾薬なんて集めればなんとかなるからな!多分!だから一緒に撃ちまくろうぜ!

 

 

ガンスミス

「馬鹿野郎運用できるからこそ兵器になるんだ試作品と正式採用品では雲泥の差があるのを知らんのか正式採用されれば使う人員も費用も大幅に増やせるだからこそそんな後先考えない運用方法ではなくもっとロジカルで理にかなったマニュアルを作るべきなんだそうやって運用されるべきなんだ。だからこそ俺はこの銃に可能性を感じてはいるが、今では俺はこの銃に魅力を感じないなんせどこでもいつでも使えないからだガトリング砲が普及しないのはなぜだと聞かれれば運用に制約が多過ぎるからだそれさえ解決できれば君がいうようにロマンに欠けるアサルトやSMGに虐げられている現状を打破できるってものだろう。とりあえず弾幕を張るというワンパターンなアプローチだけではなくさっき紹介した派生にあるような様々な改造や運用法を君は考慮して行動し移動し射撃し己の武器と向き合っていくべきだと思うんだがどうだろう」

 

M61A2

「違うねガトリング砲が今の姿がベストなんだ一番美しいカタチなんだこの優しさと美しさと残酷さを兼ね備えた存在を壊すなんて私にはできねえだからお前がガトリング砲になるんだよ!」

 

ナガン

「これ以上騒ぐと視聴者が情報過多でオーバーフローするぞ今すぐマイクのスイッチを切れ!」

 

M61A2

「ああなに言ってるんだお前今このチャンスことガトリング砲を布教するチャンスでありまさに神からの贈り物でクリスマスプレゼントみたいなもんだろうみすみすチャンスを逃してたまるかってんだ」

 

ガンスミス

「そうだぞ俺たちは今銃の歴史に刻まれるような新しい技術の進歩に立ち会っているかもしれないんだそれを記録しないでただの世間話で済ませるなんて俺にはできないそんな事をすれば俺はガンスミスではなくなってしまうのと同義だぞ構わん続け」

 

 

 

機械音声

「ただ今放送に不備がありました、しばらく水の流れる音を聞いて心を休ませてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ガンスミス......ロマンとは運用してこそ輝くものである、がポリシー。

次の番外編のネタ(仮)

  • 後輩ちゃんと元指揮官の馴れ初め
  • しぶとく生きてた死神さん家の娘
  • 料理下手を克服したいガンスミス
  • そんなことよりさっさと解説しろ作者ァ!

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