ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
こちらからラブコールした割には大変遅くなりました......
ちなみにコラボのラブコールしたら別の方から『コラボやりませんか!』なんて同タイミングで言われたもんだからビックリしました。それも解説とワンセットなんでそのうち。
では最後に、うまぴょいから逃げるな。
というわけでどうぞ。
「『出張修理依頼再開のお知らせ』交付の申請書っと」
「お主、何やっとるんじゃ?」
作業机にパソコンを乗せ、書類作業に勤しむガンスミス。その様子が珍しかったのかナガンがそう声をかけると、ガンスミスはタイピングの手を止め顔を上げた。
「なに、作戦もひと段落して、俺も手が空いてきたからね。止めてたいつもの仕事の再開をってやつさ。それに報酬しょっぱかったし稼がにゃならん」
「なるほどのう、ちょうどよかった。依頼じゃ」
「......そのお知らせを今から配ろうとしてたんだが?」
「個人的なやつじゃよ。といっても、グリフィン指揮官から直々にというやつじゃ」
指揮官からの命令書もある、といくつかのペーパーをホチキスで留めた資料を手渡したナガン。ガンスミスが目を通すと、ほとんどは指揮官からの正式な依頼としての形式ばった文言だがその中で一際目立つ文字がある。
「S07基地、ねえ」
「なんでも先の作戦で指揮官からお主の噂と仕事ぶりを知った様での。それを見込んで頼みがあるということじゃ。あちらもあちらで忙しい様であるし」
「S地区となれば尚更か」
「ああそうじゃ。ちなみに銃は89式だそうじゃが予備パーツ在庫はあるかのう」
「資料を見る限り豊和製の89だ。設計図は持ってるし、予備パーツも何個かは在庫がある。最悪図面引いて作ればいいんだから問題もない」
「そいつは重畳。ではすぐ来るでな、さっさと準備を進めておくんじゃぞ」
「すぐ?」
「あと5分で着くそうじゃ」
なるほどあと5分か。と、あたりを見渡す。
大量の銃を修理し整備するこの部屋。汚れは溜まるのは当たり前のことなのだが今回ばかりは平常時を遥かに超える量の修理を行なったため普段の数倍は汚らしい。
ガンスミスは腕を組み、修理にはもってのほかだなと内心呟いてから頭を抱える。
「もう全然時間ないじゃないのよ! 伝えるのが遅くないかい!」
「見ての通り出動帰りなんじゃ」
「じゃあ掃除だけでも手伝ってくれよ!」
「出迎えの仕事があるんじゃ。今日の副官の持ち回りわしなんじゃよ」
「んな事言ったってなあ......!」
「と、いうと思って
がし、とガンスミスの肩を誰かが強く掴む。彼が恐る恐る振り返れば軽く微笑を浮かべるジャージ姿のWA2000がいた。長い黒髪をしっかり束ね汚れ跳ね防止の作業用エプロンまでばっちりと装備。その手にはバケツと雑巾、腰のベルトには幾つかのポーチと掃除用具や薬品が見て取れる。
まずはこれの整理から、と資料やら工具やらパーツやらが押し込まれた棚を指さした。
「きゅ、急に前の戦闘で受けた傷が。イテテテテ......」
「あんたこの基地に来て怪我なんてした事ないでしょうが。今までのツケよ。キッチリカッチリ、隅々までやるまで終わらせないから」
「いやああああああ掃除嫌いいいいいいいい!」
「掃除と聞いて」
「なんでM1897まで来ちゃうんだよもおおお!」
◇◇◇
「ここがきゃつの作業場じゃ。別に形式ばる必要もないから安心せい、A4、SMDR」
「そ、そうですけど。専門家の手前ですし、指揮官の銃を直してもらうんですから礼儀正しくしないと」
「......の、割には騒がしいようだけれど」
「いつものことじゃ、入るぞ」
「いつものこと」
ドタバタと騒がしい物音が止まないのも気にせずドアノブに手をかけるナガン。
そのまま扉を引き案内しようと顔を部屋の中ではなく2人の方を向いていたナガンは容赦なく部屋の中から吹き出す煤まみれの埃っぽい空気を浴びることになった。
「のわーっ!」
「な、ナガンさん!?」
「ぺっぺっ! 全然掃除が進んでないではないかたわけ!」
「今は掃き掃除して換気中なんですよ。全部終わるまで2時間くらいは使えないですね」
「M1897か。しかしどこまで汚しておったのか......」
「と、いうわけでガンスミスさん外に出しときますね、邪魔なので」
顔を引っ込めたM1897と入れ替わりで部屋から叩き出されたつなぎ姿の男性。埃と煤が積もった頭を払いつつ同じく埃まみれのナガンに問いかける。
「俺のヒエラルキーがいつのまにか下がってないかな」
「掃除しないお主が悪いんじゃ。
紹介しよう、お探しのガンスミスじゃ」
「どうも、ガンスミスです」
「ど、どうも」
「コレが噂の凄腕整備士? とてもそうは見えないけれど」
礼儀正しい素振りを見せる明るい茶髪の人徳無害そうな青年に、訝しい目を向ける赤いケープ姿の
「名前は?」
「M16A4です」
「AR小隊の新型かね。んじゃ君の名は?」
「だから、M16A4ですって」
「隣の戦術人形の名前じゃなくてだな」
「......お主はとんと世俗と噂に疎いのう。正式配備型で数少ない
「いや全く。彼がそうだっての?」
全く信じる素振りを見せないガンスミスに呆れたのか、オーバーにため息をわざとらしくついてからじゃあこうしようと指を立てた。
「演習場で射撃訓練でもさせれば1発じゃ。この時間帯は空いておるし、修理する銃の不調を見るのも兼ねてやってみるのはアリではないか?」
「そいつはいいアイデアだ。んじゃM16A4と、隣の君、名前は?」
「SDMR」
「M27IARのマークスマンモデルか。だったら2人ともNATOの5.56mmとSTANAGマガジン使えるね。それでいい? それとも7.62mm仕様に改造してたりする?」
「あ、いえ。5.56mmで大丈夫です」
「ありがと。試し撃ちだし実包500で充分だろ。んじゃナガン場所案内よろしく」
「任されたのじゃ......って、何を驚いておるか」
「うちの整備士でもパッと思いつく人は少ないから」
「なに、物好きが高じただけじゃよ」
見たことない銃の整備ができる、と嬉しそうにスキップしながら廊下を歩くガンスミスの背中を見つつSDMRが呟けばナガンがそっけなく応える。
「それに莫大な銃知識がなければあのようなラジオ放送などせんわい。あやつの銃の知識はどこから引っ張り出されてくるやら」
「ラジオ放送、って、ここだったのか!?」
「なんじゃ、リスナーか?」
「どうりで聞き覚えるのある声だと思ってたんですよ! お便りも送ったこともあります!」
「そんなに有名な人なの?」
「S地区の中では名の通った人なんだ。いろんな銃のためになる話なんかをしていて。
そっか、この基地だったんだ」
感動を隠せない様子のM16A4を見ていたナガンがいい案を思い付いたとパチンと指を鳴らした。
「なんじゃったら、ラジオに出演するかの?」
「い、いいんですか?!」
「どうせ整備室はしばらくは使えぬし、依頼が来るほどならば掃除だけで不調が解決する訳もない。M16A1の解説はしておるし、原稿にもそうは困らんじゃろう」
「いよっしゃ!」
「お兄ちゃんがこんなにはしゃいでるの久しぶりに見た」
「熱狂的ファンがいるのは悪くない気分じゃのう。
さて、着いたぞ」
案内された屋内射撃演習場。最近出撃が多いせいか、いつもは何人かが練習しているここも今日は静まりかえっている。
「やっぱり屋内射撃場はどこも変わりないですね」
「こんなもの代わり映えなどせんよ。準備頼むぞ」
「了解」
ブース横の機械を弄りつつ何枚かのマンターゲットを出しつつ、準備をするように促したナガン。2人が背負っていたガンケースから銃を取り出すと、ヒュウとナガンが口笛を吹いた。
「いい銃使ってるのう。手入れもしっかりとされておるようで。うむ、いい兵士になれるぞ」
「ありがとうございます」
「さて、あやつを待つだけじゃが」
「お待たせ。っと、いい銃使ってるじゃなーい!」
扉を足で開けて入ってきたガンスミス。弾薬箱と工具箱を担いできた彼は手早くゴーグルをつけ、マガジンと分厚い防具を手渡した。
「んじゃA4君、コレつけて」
「コレ、って......防具ですか?」
「暴発やらパーツ破損で怪我したら危ないからね。SDMRちゃんは89式貸して。装填まではコッチで済ませるよ」
「試し撃ちは普通
「色々あってね」
手慣れた様子で銃を受け取り、まずボルトを引いて薬室に弾丸がないことを確認。それからマガジンを刺し、ボルトを引き、安全装置はそのままにM16A4へ手渡す。
「安全装置の解除方法はわかる?」
「指揮官のをみていたので大丈夫です」
「なら言うことなし。セミ5発。指切りでバースト10発。フルオート15発。俺が声をかけるかジャムったらマガジン抜いて台に置いて手を離す、OK?」
「......わ、わかりました」
M16A4は慎重な手つきで銃を受け取ると、深呼吸してから銃を構える。
「あの様子だと5、6発で詰まると思うけど」
「......?」
「いきます!」
パン、パンとリズミカルな発射音と薬莢が地面に落ちる音。それを聞いた瞬間、ガンスミスが眉を顰める。
「だいぶよろしくないねぇ。次、2点バースト10発」
「了解!」
「そろそろ詰まるよ」
ガンスミスがそう注意した途端、ガチンという金属音と共に射撃が止まる。M16A4がマガジンを外し、銃を置いたところでガンスミスが目元を揉みつつ口を開いた。
「機関部の故障だっけ、だいぶ酷いね。自分で整備はしてたけど、オーバーホールサボってたクチだな。それに結構酷使してるから整備もっと短スパンでやってと持ち主に伝えて」
「今のでわかるんですか?」
「作動音の響きが軽すぎるし、ボルトの動きが悪い。
掃除はしてるだろうけど、パーツ自体がダメになってんだろうね、こりゃ長くかかるわ。
んじゃ次。君らの銃も見たげるから出しな」
「......わ、わかりました!」
「す、凄腕なんですね」
「じゃろう? ウチの数少ない自慢じゃよ」
「もっと褒めてくれていいのよ?」
「お主は仕事に集中せんか!」
「ヘーイ。君のは大丈夫だしセミオート15フルオート15で行ってみよう」
「ハイ!」
元気に返事を返すM16A4はガンスミスに任せて、SDMRがナガンに軽く頭を下げた。
「指揮官のだけじゃなくて、自分たちの分まで面倒を見てくれるなんて、なんと言ったら良いか」
「大丈夫大丈夫、結局あやつの趣味だからのう」
「変わってますね」
「変態とはよく言われる。お主らの仕事は整備が終わるまで......なんじゃが、しばらくはかかる。
ただで待たせるのも勿体無いし、わしに良い考えがある。
面白い経験を積むのは悪くないじゃろう?。
おいお主、メンテまでの空き時間にラジオ収録はするか?」
「あー? そのつもりだけど?」
「なんだったら、此奴らを使うのはアリではないか?」
「ナイスアイデア。んじゃ原稿よろしく」
「任されたのじゃ。と言うわけでよろしく頼むぞ」