ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
「ガンスミスと」
「M1895ナガンの」
「「銃器紹介!」
ガンスミス
「このコーナーは銃についてあんまり詳しくない指揮官殿に銃器を解説する、というテイで銃を紹介解説していくラジオ番組です」
ナガン
「偏見思い込み勘違い。そこは大目に見てほしいのう。間違いがあれば随時感想などにて受け付けているのじゃ」
ガンスミス
「性能諸元は主にWikiを参考にしています」
「「それでは、スタート!」」
ガンスミス
「今日はスペシャルなゲストが来てます。なんとビックリ、男性型戦術人形の『M16A4』君です!」
M16A4
「よろしくお願いします!」
ガンスミス
「いい返事だ。お兄さん元気な子見ると嬉しくなっちゃう」
ナガン
「おじさんの思考回路じゃのう」
ガンスミス
「やかましいやい。ところでA4君くらいしか男性型戦術人形っていないわけなんだよね」
M16A4
「いえ、俺の基地にはもう1人男性型はいます。他にも、DG小隊のバレットやスミス、他にも何人か知ってます。探せばいるんじゃないですかね?」
ガンスミス
「戦場で鉄血の男性型は見かけた覚えがあるんだが。ウチにも配備されんもんかなあ」
M16A4
「女所帯だと肩身が狭くなるからですか?」
ガンスミス
「部屋が汚いとすぐ怒る奴ばっかりだから」
M16A4
「それは誰だって怒りますよ......?」
ナガン
「ガンスミスのズボラがバレたところで、今日紹介するのはこの銃じゃ!」
DG小隊......NTK様 作『人形達を守るモノ』より。
ほんとマジで男の戦術人形って居ないっすね。知らないだけ?
性能諸元 M16A4 ☆- AR
口径 5.56mm
使用弾薬 5.56×45mmNATO弾
装弾数20/30発
採用 アメリカ陸軍/海兵隊
開発経緯 M16A1、その最終派生
ガンスミス
「この銃の話をしようと思うとなると、M16A2の話をしなければならん。というわけで、まずはこっちの話から」
M16A4
「それはなぜですか?」
ガンスミス
「M16A2の改修版がM16A4、君だからさ。長くなると思うけど付き合ってね。
この銃の大元になったM16及びA1の話は過去ログを参照して貰うとして、だ。
ベトナム戦争を潜り抜けてきたA1、戦争の立役者とも取れるが当然その不評も戦場からは出る。そうしたものを洗い出し、検討し、分析して改修を施したのがA2になるわけだ。
1982年のアメリカ軍の正規採用に始まり、84年にはA1への更新がスタート。91年湾岸戦争においては米軍歩兵の主力武装として活躍したんだな」
ナガン
「M16といえばコレ、と思い浮かべる人も少なくないじゃろう」
ガンスミス
「変更点は色々あってだな。
フルバーストの廃止及び三点バーストの実装。
リアサイトの形状変更。
フラッシュハイダー及びグリップの改良。
排莢口を変更可能なケースディフレクターの実装。
見た目に大きく変化はないが、使いやすいように細かい改造を施しているな」
M16A4
「言われてみればたしかに違ったような。
あ、ハンドガードの形状も違いますよね。姉さ、M16A1は丸い形だったと思いますが、先に向かって細くなってましたよね」
ガンスミス
「そこも改良点の一つだからな。
さてM16A2もまた時代の流れによって改良されることとなる。その大きな要因としてあげられるのは『光学機器の普及』なんだな」
M16A4
「光学機器、つまりはスコープの進化、ですか?」
ガンスミス
「ああ。80年代には銃そのものにスコープが付属するものもあれば、逆に隊員の自己判断でスコープを購入し取り付けることも可能になった、ピカティニー・レールの開発も相まってな。だから拡張性に欠けるあのM16特有のキャリングハンドルを兼ねたリアサイトを廃止。
これがM16A4の概要になる。M16系列独特のキャリングハンドルを兼ねたサイトもオプションパーツ化することによって、好みで選べるようにもなったわけだ」
M16A4
「なるほどなるほど......」
過去ログ......第53話でした。
M16A4ってどんな銃?
ナガン
「とはいうものの、M16A2の近代化改修版。それ以上でも以下でもないじゃろう。解説することあるのか?」
M16A4
「あ、あはは」
ガンスミス
「ないものは捻り出すんだよ。
さて、M16を語る上で欠かせないのはM4カービンの開発、及びRISの開発だ。
RISってのはM4カービン標準装備のハンドガードの4面がレイルになってるアレだ。アルミ合金を使用することによって重量を軽減し、銃身の短さも含め取り回しと拡張性を向上させることに成功したこのオプション。
当然、配備されてたA4にも実装されるわけで。
ハンドガードをRISの改良版であるRASに改めたのが『M16A4 MWS』。海兵隊では隊長クラスにはM4、一般隊員にはこのMWSが配備されることが現代のM16A4 になるんだな。
あ、3点バーストの話していい?」
ナガン
「原稿にないことを......ま、ええじゃろう」
M16A4
「俺のはフルオートモデルですが、3点バーストモデルもあるんでしたっけ。アレ扱いにくいですよね」
ガンスミス
「仕方ないんだなこれが。実はM16系列の3点バーストってのは弾の消費を抑えるための場当たり的な改修なんだ。フルバースト用の機構に幾つかのパーツを噛ませて3点バーストにしてるもんで、コスパは良く単純な構造だが融通が効かない。だからM16系列で3点バースト機構とフルバースト機構を組み合わせることができないんだ。
逆に言っちまうと、民間に流通する3点バーストモデルってのは知識と設備があればフルバーストモデルに改造することができる。これがたまに問題になったりするんだ。
M16クラスのライフルを民間人が所持するにはかなり厳格な取り決めがある。ライフルのフルオート銃なんざ犯罪者が一番街中で振り回しちゃいけない銃だからな。それをすり抜けられてしまうのは、かなり不味い」
M16A4
「そうですよね、ライフル弾は貫通力の高い銃弾ですし、何人に被害が出ることやら」
ガンスミス
「ちなみに俺は5分でパーツから作って改造できるぞ。君のが3点バーストモデルだったら今すぐ実演して見せたんだが」
ナガン
「自慢などはせんでよろしい」
M16A4の現在地点
ガンスミス
「さて、A4君にはちょっとだけショッキングな話をしよう」
M16A4
「な、なんでしょう......?」
ガンスミス
「近い将来、米軍からM16A4は駆逐されM4に置き換わる。というよりもう始まってる」
M16A4
「ええっ! それはどうしてですか!」
ガンスミス
「現場の人間がこう思ったからだ。『長い銃身とか邪魔じゃね?』と。
実際狭い車内や市街地での移動や交戦時、M4の短い銃身が楽なのはわかるだろう?それにM16A4純正は固定ストックだ、尚更長い。どこぞの漫画じゃないが、狭い室内用に『ストックを担いで構える』構え方が用いられたくらいには問題視された」
M16A4
「でも命中精度とか、固定ストックの安定性とか、銃剣をつけたときのリーチの長さとか利点だってあるじゃないですか」
ナガン
「今時銃剣戦闘が起きる市街地戦があるかどうか。統計的にも銃剣戦闘が起こる事態は減っておるし、腰にハンドガンを下げる理由を今一度問いたいところじゃがのう」
ガンスミス
「あと命中精度についてなんだが、光学機器の進化で誤差レベルまで改善されてるし、銃弾の工作精度だって昔のようにばらつきがあるわけじゃないんだ。
あとは戦術の見直し云々で交戦距離が短くなり始めてるのも向かい風になってるんだな」
どこぞの漫画......少女漫画『覇王・黒龍』に登場する世界一腕の立つ殺し屋の一コマ。
あからさまに純正のM16A2のストックを肩に担いで狙撃するというミリタリに詳しい人からすればトンチキなシーンな訳だが、細かいことは気にしないのもまた作品の楽しみ方の一つだ。
「その綺麗な顔をふっ飛ばしてやる!」
まとめ
ガンスミス
「時代の移り変わりで生まれる銃もあれば消えていく銃もある。だとしても、その銃を使用した兵士の経験値はしっかしと次世代へとひきつがれていく筈だ。
あとゲストなのに貶しすぎたかもしれん、申し訳ない」
M16A4
「いえいえ全然気にして無いです。むしろ時代遅れと言われてやる気が出たくらいですよ」
ガンスミス
「おっと。して、その心は?」
M16A4
「仮にも俺はM16A4の戦術人形です。自分の銃に誇りを持っていますよ。例えなんと貶されようと、俺が持つ銃は世界で一番最高だって言って見せます。
そして何より俺にはやることがあります。そのためには立ち止まってなど居られないですから」
ガンスミス
「そっか。ま、詳しくは聞かないでおくよ。んでナガンはなんで黙り込んでるわけ?」
ナガン
「その心意気......感動したっ! お主この後時間はあるか!」
M16A4
「え、あ、はい」
ナガン
「なればよし。この基地には銃剣戦闘に熟練した部隊がある。その戦闘データはいくつか持っていくが良い。何かの助けにはなろうとも」
M16A4
「良いんですか!?」
ナガン
「同じ
M16A4
「是非、お願いします!」
ガンスミス
「なんだか2人も熱くなってきちゃったし、ここはお開きかな。というわけでまた次回お会いしましょう!」
あとがたり
ガンスミス
「......とまあそういう事なんだわ、すまんね」
SDMR
「無為に時間を過ごすよりは有意義ですよ。それで、指揮官の89式は修理できそうですか?」
ガンスミス
「予備パーツの在庫があるから問題なしよ。本音を言えばレシーバー丸ごと全とっかえするのが確実だけど、無い物ねだりは言えないからね。
消耗してた滑り止めとかパッドプレードについては損耗酷いからパーツ発注がベストなんだが、さてどこに発注するかな、そちらの指揮官に問いただしとくべきだったか......?」
SDMR
「あの。そちらの基地のM1895は、随分と熱血みたいですね。標準とは違って」
ガンスミス
「......まー、アレはなんというか、親切心だろ」
SDMR
「?」
ガンスミス
「経験の積み方が他所とは大違いってのもあるが、何より銃がトコトン旧式だからなアイツは。
銃に文句を言える日なんて無かったし、それだけで戦場を生き残らなきゃならんかった。だからこそ、持ち味を活かす戦術を編み出してるんだよ。
今でこそ高性能な銃を持つ戦術人形も増えてはきたが、その鉄則を忘れないでくれって毎回訓練の時は言ってるらしいからな」
SDMR
「持ち味を活かせ、ですか」
ガンスミス
「コンプレックスなんて捨てちまえ、の方が正しいかもな。
それはそれとしてサイダーご馳走様。このご時世こんな美味い奴があるとは思わなかった」
SDMR
「ええ、自信作ですので」
ガンスミス
「指揮官に言って購買に並べてもらうのもアリかもな......」