ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー 作:通りすがる傭兵
というわけでコラボなんじゃよ。次回はしっかり解説するのでこっち側なんだなぁ!
「ええ、では、その通りに。担当者の方はこちらから向かわせることとします。はい、では、約束の日に」
「お、今日は何のお仕事?」
「外部のPMCと」
「へぇ、珍しいね」
「普段だったらG&K社内の相互連絡網で済む依頼なんですがね」
司令室で電話をかける指揮官ってのは珍しくないが、こう丁寧な口調なのは珍しい。そう思ったので声をかけてみるとなんとも面白いことがはじまるらしい。守秘義務も特にない依頼ですしと前置きした上でことのあらましを語ってくれた。
「依頼ってのは書類輸送の護衛依頼ですね。食料やら日用品を運ぶんですけど、鉄血の襲撃で近隣の航空基地に輸送機が飛べなくなってしまって陸路で振り替え輸送する事になったんですが、その分他の護衛に人員を割けないわけで」
「けど郊外はあんまり治安良くないだろ」
「なので護衛依頼が回ってきたというわけですよ」
ですが、とため息をつく指揮官。
「まだ立て直しに時間がかかるわけで......」
「大規模作戦の爪痕デカ過ぎない?」
「仕方ないですよ。史上稀に見る大規模作戦ですもん。むしろ小規模な戦争レベルですよあんなの」
「ウチはわりかし忙しそうに見えるけど人員は出せない感じ?」
「今いるのは最低限の常備戦力と近隣地区をカバーするための人員です。防衛任務と護衛任務のどちらが優先かと言われれば防衛任務と言わざるを得ません」
「だからこそ傭兵に依頼するしかないと」
「ガンスミスさんの所属していたPMCがあればよかったんですけど、解散してしまっていましたからね」
あそこの社長さんも足を洗ってしまったようで真っ当な仕事についていますから頼むこともできません、とぼやく指揮官。意外なところで元上司の行方を聞いたもんだ、っと、本題は別口だったな。しかしPMC、となると......
「依頼公募をかけたってわけ?」
「いや、こちらから信頼できそうなところを探しました。そこでひとつ気になるPMCがを見つけまして」
戦術人形の名簿なんですけれど、と前置きして見せた名簿はそれほど長くはない。G&K社払い下げの準旧式〜現行の戦術人形の幾つかがそこにあるが気になる単語がひとつある。
「『CM901』か」
「僕の記憶が正しければ戦術人形のラインナップにありません。ガンスミスさん心当たりは?」
「銃にはあるが戦術人形にはない。弟に聞いてみようか?」
「頼みます」
弟に電話をかけた。16Lab所属の研究員だ、生産される戦術人形なら名前くらい試作品でも心当たりはあるはずだ。
『はいもしもーし!こちら平和を押し売りする研究所でーす』
「CM901って名前のコルト系ARの戦術人形作った?」
『なんそれ、知らんよ』
「わかった、さんきゅ」
『ところで新作の20mmを連射できるハルコ』
電話を切り知らないらしいと首を横に振ると、指揮官は腕を組んで唸った。
「となると16labを通さない戦術人形が生産されたことになりますね、しかも実戦投入されている様子、きな臭いですね」
「戦術人形はペルシカの特許みたいなもんだ、彼女の統括するラボを通さずには不可能だろ。何かのミスとかじゃないのか?」
「代用コアさえあれば戦術人形は作れます。ただハイクオリティな義体が入手できかつ戦闘に耐えうるプログラミングを一から組める人間がいるなら、ですが」
「......あるのか? そんな組織が」
「その探りも兼ねてってワケですよ。出所不明の戦術人形が戦場に増えたらこちらも商売あがったりです」
「一気に下世話な話になったなオイ」
「それは冗談ですが、得体の知れない仲間を増やしたくはないでしょう? 最近謎の第三勢力の台頭もありますし用心はすればするほどいい」
「ただ、CM901となるとなぁ」
「おや、何か引っ掛かりでも?」
「CM901はM4の代替品としてコルト社が生産してるモジュラーライフルだ。民間流通モデルもあるが、ハイグレードモデルみたいな位置付けなんだ」
「そうホイホイと生産できるものでもないと?」
「機関部ととマガジンハウジングにクセがある。M16系統で選ぶなら性能も似たようなので安いのは山ほどある」
「なるほど。ますますわからなくなってしまいましたね。では実際に拝んでチェックするとしますか」
「仕事を引き受けてもらうって事か」
「戦術人形の戦術データを報酬に乗せれば確実に乗ってきますよ。まだ人形の方の配備は始まったばかりのようですからね」
机の上に何枚か積んであるデータディスクをひらひらと振ってみせた後輩ちゃんの笑顔のなんとあくどい事か。だがCM901なんてあんまり見ない銃だしこっちとしても気にならないわけじゃない、触れるんだったらぜひ触る機会が欲しい。どうにかして
「だったら、ただで整備させる代わりに暫くこの基地に留めちまうのはどうだ? 演習とかもさせればその戦術人形がどれくらいかのレベルもわかるだろ」
「たまにはいいこと言いますねガンスミスさん! じゃあその方針でいきましょう!」
「......へっ?」
◇◇◇
「それで? お目付役もついでに任されたと」
「ナガンもいるから大丈夫でしょ、ってさ」
「全く、一端の老兵に頼りすぎるのは良くないぞ。もう前線は懲り懲りだと言うのに」
「ベテランに頼ることがそんなに悪い事かよ」
発注していたパーツ群の確認をしながらつい先日のあれこれをナガンに話したら呆れた顔をされた。やれやれと肩をすくめつつチェックマークに印を入れていく。
「しかし......見ない会社のパーツじゃの。新人のものか?」
「件の出所不明の戦術人形のさ。余ったパーツは警備部のやつにCM901を使わせればいい。最近銃が古いってぼやいてたやついるし、丁度いいよ」
「ただの趣味に聞こえるんじゃが?」
「パーツ交換のついでにロット番号確認できれば儲けもんさ。そうでなくともどう作ったかで察しがつくかもしれんし。粗製だったり古かったりでも多少あたりはつけられる」
「サラッと言っておるがそれは変態の所業じゃからな?」
「そうか?」
「天才とは得手して自覚がないもんじゃからのう......」
雑談してるとナガンに何やら通信は届いたらしく、耳に手を当てている。そのまま2、3言葉を交わして、扉の方を指で示した。
「お客さんが来たようじゃな」
「了解、んなら、しっかりとお出迎えしてあげんとね」
コラボ先は『SUPER 64』様
「死んだ筈の戦友が戦術人形になって帰って来たんだが?」です。
題名とは違った硬派な文体と時折挟まれる素晴らしい挿絵がとてもイイ!
コラボストーリーはこちらからですが1話から読んでほしいな。
https://syosetu.org/novel/242770/7.html