試験明けの飲みの話です。
千紗が八幡と付き合っているので中身が少し変わっています。
それでは、24話目お楽しみください。
side伊織
教授「それでは、追試を終わります。」
チャイムが鳴ると同時に、教授がテストを回収して回る。
伊織「どうにか赤点は免れそうだな。」
耕平「結構楽な追試だったよな。いよいよこれで……」
伊織「ああ、そうだな。これで……」
伊織・耕平「沖縄へまっしぐらだ。」
山本「お前らその格好で本当に追試通ったのか?」
気付けば俺も耕平も服を脱ぎ海パンにグラサン、俺は腰に浮き輪と首もとにダイビングのマスク、耕平はビーチボールを手にしていた。いやはや、無自覚とは、げに恐ろしきものか。
野島「沖縄がどうかしたっていうんだ?」
伊織「フッ、日頃の成果が出てな。」
耕平「人魚が俺を待っている。」
山本「全く話が見えんが……それより、これから乾杯とかどうよ?」
耕平「飲みに行くのか?」
伊織「お、いいな。追試突破記念ってか。」
この同意がこの後自身を苦しめるものとはこの時、知る由もなかった。
耕平「今日はサークル休みだし構わんぞ。」
山本「よっしゃ。んじゃ、北原の家な。」
野島「そうだな。北原の家に行くか。」
藤原「わかった。北原の家だな。」
耕平「OK。案内しよう。」
伊織「いやその流れはおかしい。」
コイツらは追試明けで頭が沸いたか?いや、いつものことか。
藤原「なんだ北原?」
伊織「何で俺の家なんだよ!」
野島「そりゃ決まってるだろ。」
山本「確認しておくべき事があるからだ。」
耕平「……確認?」
俺も耕平も全く話が見えないが、何かあっただろうか?
野島「ほら、前に今村が言ってただろ?
『伊織「別に付き合っているわけでもないんだ。」
耕平「たまに同じ部屋で、同じ布団で寝ているがな。」
』」
アッ。
山本「なあ、北原クン。」
野島「まさかとは思うケド、」
山本・野島「ホントに一緒に寝てたりしないよねえ……?」バレたら確実に殺られる……ッ!!!
いや、梓さんのものは片付ければまだなんとかなる!問題はもし俺の部屋に千紗や奈々華さんが来た場合だ!あんな美人でスタイルの良いお姉さんまでもが一緒に暮らしているとバレたら何をされるか……!!!
頼む耕平、助けてくれ!
口に出したいが出せず、回りにはバレないようにアイコンタクトを必死でとる。
が
返ってきたのはにたぁとした笑みのみ。このゲス野郎っ!!!あいついつか地獄に落とす。
何としても隠し通さねば!
戦略的撤退と言わんばかりにこの場を後にする。
走って追いかけてくる気配はない。それもそのはず。耕平が俺の部屋を知っているのだから。ここからは時間との戦いだ。ここ数日梓さんは俺の部屋で寝ていない!つまり、千紗と奈々華さんさえ隠し通せば、この戦、勝てる!
side八幡
奈々華「おかえりなさい、伊織君。」
千紗「そんなに急いで何やってんの?」
「今村からお前の部屋で飲み会しないか?と来ていたがそれ関連か?」
伊織「八幡!知っていたのか!」
奈々華「へえ~、お友達が来るのね。」
伊織「なので大至急隠れてください!」
千紗「なんでそうなるのよ……」
伊織「うまく説明できないんですが、有り体に言うと……俺の命に関わるんです。」
奈々華「来るのはお友達じゃないの……?」
伊織「とにかくお願いします!八幡はあのバカたちが変な行動起こさないように、飲み会に参加してくれ!」
千紗「分かったけど……」
「お前らは存在自体が可笑しな奴らだから、今更気にしても手遅れじゃないのか?」
北原「いいから早く!」
奈々華「そうね、今日はお客さんの予定もないし、千紗ちゃん、お買い物に行きましょうか!」
奈々華さんが妙に張り切って、鼻息もいつもより幾分か荒くして千紗を誘う。
千紗「うん、いいよ。お父さんに言ってくるから、ちょっと待ってて。」
二人が買い物に出て数分後
野島「うーす。」
藤原「飲みものと食い物買ってきたぞー。」
伊織「お、おう。お疲れ。」
いや、固すぎるだろう。千紗も奈々華さんもおらず、梓さんもまだ大学にいる時間だ。何の心配もなかろうに。
野島「ダイビングショップ?」
山本「ここが北原の下宿先か?」
伊織「いや、俺は離れの部屋なんだ。」
耕平「比企谷はこっちだったな。」
「ああ、よく店も手伝ったりもしている」
野島「綺麗な店だな。」
耕平「いつもは汚い裸だらけだがな。」
登志夫「おっ、友達か?」
奥から登志夫さんが出てきた。
伊織「はい、俺の部屋で飲み会することになりまして。」
登志夫「そうだったのか、ならあとでつまみでもこしらえて持っていってやるよ!」
それはありがたい!登志夫さんの料理はいつも絶品だからな。
野島「ありがとうございます。」
山本「ラッキーだな。」
藤原「だな。」
伊織「そろそろ俺の部屋に行こうぜ。」
野島「そうか?」
藤原「もうちょい見せろよ。」
伊織「いいからいいから。」
「あっ、俺は店の手伝いしてから行くわ。つまみ持って。」
side伊織
なんとかして俺の部屋まで来ることが出来た。あれ以上店にいて登志夫さんがポロっと奈々華さんたちの親だと言ってしまうと、それこそアウトだったからな。ギリギリセーフだ。
伊織「んで、ここが俺の部屋な。」
扉を開けまず目に飛び込んできたもの、それは
野島・藤原「北原クゥーン!!?」
梓さぁーん!!?何故だ!?最近梓さんは俺の部屋に来ていなかったはず!!それに朝あんなものは無かった!!ならば何故!?
野島「貴様!なんて羨ましい生活を!」
藤原「絶対に許さんぞ!!」
伊織「こ、これは違うんだ!!」
言い訳を考えているその時、予想だにしない味方が現れた!
山本「おいおい、落ち着けよお前ら。」
それはまさかの山本だった。一番切れそうなのはこいつだと思っていたが、どういう風の吹き回しだ?
野島「や、山本……?」
藤原「お前この裏切りを許すのか?」
山本「裏切りも何も……帽子くらいで騒ぐ事もあるまい。」
馬鹿かこいつ!?ありがたい、ありがたいが!!こいつの目と頭どうなってんだ!?
伊織「帽子ぃ!?」
耕平「被る気か!?猛者か!!」
野島「コイツ羨まし過ぎて現実が見えなく……!?」
藤原「ん?これは?」
今度はなんだ!?
藤原「……」つ口紅
野島「伊織クゥーン!!?」
ケバ子ぉーーーっ!!!
あのアホなんてもん忘れてていきやがった!?
山本「座薬か。」
耕平「何故そう見える!?」
野島「お前もう頭が……!!」
藤原「北原のせいだぞ!!」
伊織「俺が悪いのか!?これは、その……サークルの遊びで使った物なんだ!」
野島「ん?」
山本「そうなのか?」
信じてもらえるのか!持つべきものは単純でアホな友達だな!
野島「考えてみりゃそもそも本物なわけねーや。」
山本「もし本物だとしたら脱いだ人は帰り困るもんな。」
藤原「ノーブラで帰るなんて普通しないだろ。」
伊織・耕平(あの人普通じゃないからな……)
野島「とりあえず、もう飲もうぜ!」
山本「そ、そうだな!」
藤原「これ以上何か出てきても怖いしな!!」
伊織「?」
耕平「何の話だ?」
それからしばらく
side八幡
「つまみ持ってきたぞ。」
伊織「サンキュー、八幡。」
野島「それじゃあ、改めて、カンパーイ!」
「そういえば、山本は?」
藤原「さっきトイレに行ったが、妙に長いな。」
耕平「何かあったか?」
グダグダ話しているところに山本が帰ってきた。妙にフラフラしているが、酔いがまわったか?
伊織「?どうした山本?」
耕平「やけに長いトイレだったな。」
山本「なあ北原……」
伊織「な、なんだ。」
耕平「本当に何かあったのか?」
山本「俺、天使に出会っちまったよ……」
そう言って山本は自身の携帯を俺たちに差し出した。そこに写っていたのは
伊織「っ!!?」
奈々華さんだった。
藤原「凄ぇ美人だな、おい!!」
野島「どこで見たんだ!?」
山本「さっき酔い醒ましに外に出たら偶然、海で。」
藤原「マジか!」
北原はドキドキハラハラしているようで、不自然に黙っている。
山本「俺、さっき彼女を見かけて思ったんだよ。」
伊織「お、おう。」
耕平「何を思ったんだ?」
山本「この人と付き合いたいって。」
野島「はぁ?」
「ムリだろ。」
野島「文不相応過ぎるだろ。」
山本「わかってる!でも、でも……それが無理ならせめて俺の子を産んでもらいたいんだ!」
……はい?
伊織「おっとコイツ結構なアホだぞ。」
野島「知り合いである事を恥じるレベルだ。」
耕平「類友か。」
藤原「お前もな。」
「お前ら全員な。」
五人総掛かりで罵倒して、嫌気がさしたのか扉を乱暴に開け、再び外に出ようとする。
伊織「どこへ行く?」
耕平「終電か?」
もうそんな時間か。終電の可能性もあるのか。
山本「さっきの天使を捜しに行く!!」
伊織「何ィ!!?」
捜してどうするつもりだろうか?
事と場合によっては知り合いだろうが警察待った無しなんだが。
伊織「な……何をしに?」
山本「決まっているだろう。」
振り返り、山本なりのキメ顔で
山本「彼女になってくれるように土下座しに!!」
アホな発言をした。
伊織「告白の基本姿勢が土下座なのか。」
耕平「今までの遍歴が気になるところだ。」
山本「戻ってきた時、俺は一人前の男だ。」
そのまま外に出ていった。
野島「一人前の男ねえ。」
耕平「で、どうなると思う?」
藤原「相手があんな美人だとなぁ。」
野島「即座に振られて男泣きってところじゃないか?」
藤原「なんだ同じ意見か。」
耕平「賭けが成立しないな。」
ただ振られるだけなら良いと思うが、時間帯的に先輩方が店で飲んでいるはず。捕まらなければいいんだが……
扉が開き、皆の視線がそちらに注目する。
伊織・耕平・野島「いや待て、何があった。」
そこにいたのは追い剥ぎをされパンイチになっている山本だった。何故か葉っぱも何枚か付いている。
山本「おい北原!あれはなんなんだよ!」
伊織「まずお前がなんなんだ。」
山本「見てわからないのかよ!!」
耕平「わかるか?」
野島「わかってたまるか。」
山本「俺、さっき海に行こうとしたんだよ……そしたら途中で大勢の裸の男たちに出会って……」
伊織・耕平「OK、理解した。」
藤原「なぜそれだけでわかる!?」
山本「畜生っ!美人に会いに行って、なんであんな汚いものを見なきゃいけないんだ!!」
藤原「よくわからんがそりゃ災難だったな。」
野島「男の裸なんて目が腐るだけだもんな。」
俺たちは毎日見てるがな。
伊織「まあ、飲め飲め。」
藤原「飲んで忘れろ。」
耕平「どうせ振られる運命だったんだよ。」
野島「お前に彼女なんてあり得ねぇよ。」
慰めると見せかけて傷口に塩を塗り込んでいくスタイルか。さすがに同情する?口にはしないが。
山本「お前ら少しは慰めるとかできないわけ?」
野島「しかし、まあこうして確認してみると、北原の同棲説はデマっぽいな。」
藤原「んだな。」
山本「全く今村も冗談キツいぜ。」
耕平「いや、俺は冗談なんか」ゲボッ
伊織「耕平は冗談が好きだからな。」
野島「そもそも付き合ってない二人が一緒に寝ること自体ナンセンスだろ。」
藤原「それ俺も思ってた。」
山本「コイツに彼女なんて不自然すぎる。」
伊織「お前らに俺の何がわかる。」
山本「だいたい俺を差し置いて北原に彼女ができるわけ━━━━」
梓「伊織~耕平~!早くおいでよ!まだまだ飲むよ~!」
出来上がりかけている梓さんが薄着━━━というか下はショーパン、上はブラジャーだけで入ってきた。
山本・野島・藤原「……は?」
梓「あれ?伊織友達来てんだっけ?皆も飲まない?」
やめといた方が良いと思うが……
山本・野島・藤原「是非お願いします!!!」
時既に遅し。光の早さで承認してしまった。
梓「オッケー。先に出てるから、早くおいでよ~。」
山本・野島・藤原「北原クゥーン!!?」
伊織「ち、違うんだ!俺の話を……」
山本・野島・藤原「よくやった!」
伊織「……へ?」
山本「よくあんな美人と知り合いであってくれた!」
野島「男しかいないムサイ飲みからあんな美人との最高な飲みに早変わりだ!」
藤原「ほんとそれな!」
伊織「は、はぁ。」
山本「行くぞ、お前ら!」
野島・藤原「おう!」
我先にと外へ駆け出していった。そこが天国ではなく、地獄だと知らずに。
伊織「助かった……のか?」
「なんとかな。」
耕平「悪運の強い奴め。」
このあと三人は先輩方に捕まり、翌朝大学の前で裸で寝ているところを目撃されたとかされていないとか。