伊織「ふぅー、遊んだ遊んだ。」
耕平「疲れた……」
梓「まだ初日だよ。」
海から帰ってくるなり倒れこむ北原と今村。
「二人ともっ、明日はライセンス講習だからね?」
そんな二人の顔に教本を叩きつける千紗。叩かれた二人は汚い声を上げる。
「寝る前に教本の復習もしておいてね。」
伊織・耕平「うーす」
千紗「愛菜と八幡君もね」
愛菜「はーい。」
「おう。」
時田「そういえばお前らのベッドなんだが、」
昼間のバナナボートでベットの使用者をかけての勝負。俺の目には同時に着水したように見えたが、先輩たちにはそれが見えたのだろうか?
伊織「ああそうでした。」
耕平「どっちが勝ってました?」
寿「波の差で耕平だったな。」
伊織「そんなバカな!!」
無言でガッツポーズをし喜ぶ今村と打ちひしがれる北原。しかし、次の瞬間には言い合いを始める始末。
理由を知らない梓さんは時田先輩に事の次第を尋ね、事情を説明する。
梓「なんだ、そういう事か。」
奈々華「それは困ったわねえ。」
梓「そんなベッドじゃちゃんと眠れないんじゃない?」
千紗「寝不足でライセンス講習は危ないし……」
奈々華「あら?部屋はすべて3人部屋じゃなかったかしら?」
時田「ああ、それなら。」
寿「八が自分からロビーのソファーで寝るって言ったからな。」
千紗「それじゃあ八幡くんも寝られないんじゃ……」
千紗は心配してくれているが、俺自身は何も問題ないと思う。先輩たちの腕に敷かれるよりソファーの方が安全に寝られるはずだ。
奈々華「じゃあこうしましょうか。」
嫌な予感が……
奈々華「八幡君は千紗ちゃんと愛菜ちゃんの部屋で、伊織君は私と梓の部屋で寝ましょう。」
八幡・伊織「は?」
夜
side伊織
どうしてこうなった?
右には奈々華さん、左には梓さん。上には水着。
梓「こっちの部屋なら手足も伸ばせるでしょ?」
むしろ伸ばせませんが!?
奈々華「ライセンス講習の為にもきちんと寝ないとね。」
むしろ寝られませんが!?
梓「じゃあおやすみー」
奈々華「おやすみなさい。」
IORI[全く眠れない]
IORI[床でもいいからそっちの部屋に入れてくれ]
IORI[なぁ、寝てるのか?]
IORI[お願いします。助けてください]
頼む耕平起きてくれ!
ナンデコウナッタ?
千紗「そんなにベッドの端っこじゃなくても大丈夫だよ?ね、愛菜?」
愛菜「えっ!?まぁ、比企谷君のことは信用してるし、千紗が真ん中だから大丈夫だとは思うけど。」
違う、そうじゃないんだ。むしろ千紗が俺の隣になること自体が危険なんだ。
『もし千紗ちゃんの身に何かあったら、明日の朝、分かってるわね、八幡くん?』怒
『ウィっす。』汗
各々の就寝部屋に戻るタイミング、奈々華さんの横を通り過ぎようとしたとき、千紗や吉原には聞こえず俺にだけ聞こえるようにささやかれた一言。奈々華さん的にも苦肉の策だったのだろう。いつも千紗関連で怒りを見せるときは決して千紗に見えないところで、尚且つ顔にはその怒りを一切出さずオーラとして具現化しているように見えたが、顔も引きつき、そのオーラはさながら阿修羅のごとくであった。なんなら阿修羅をその身に宿しているような幻覚さえ見えた。
余計なことを考えずに寝たほうが楽か。
「悪いが先に休むな、おやすみ。」
愛菜「おやすみ。」
千紗「私たちも寝よっか。愛菜も明日は講習だし。」
そうして全員眠りについたわけだが、
「寝られん。」
こんな状況で寝られる奴もそうそういないだろう。そんな中で眠れるはずもなく、用意されているタオルケットも、夏だからと蹴りはじかれ、パンチラならぬ腹チラ状態。ご馳走様です。
不意に訪れた尿意に伴い、トイレを済ませば少しは眠気に襲われようやく眠ることができるだろう。
なぜか先ほどまでなかった抱き枕があるが考える間もなく瞼を閉じた。
翌朝
「暑ぃ……」
流石は常夏沖縄。寝ても覚めても暑すぎる。妙に腹部が暑いと思い視線を下げれば、
「なんでこうなってんの?」
寝て起きたら千紗in my arms.
は?
奈々華さんに見られる前に脱出し「八幡くん?」ないと……
「奈々華さん……」
奈々華「質問に答えてくれるかな、千紗ちゃんに、ナニヲシテルノカナ?」
愛菜「あれ、なんで奈々華さんがこっちに?」ふわぁー
奈々華「千紗ちゃんのことが心配で来てみれば、《shake:1》ナニヲシテルノカナ、ハチマンクン?」
「お、俺は何もしてません!吉原、昨日何もなかったよな!?」
愛菜「昨日は疲れてて早く寝たから、まさかあんた達、人が寝てる間にナニしてんのよ!?」
「ナニもしてないぞ!?」
千紗早く起きてくれⅠ?
千紗「んん、みんな、ウルサイ。もう朝なの?」
奈々華「千紗ちゃん、昨日の夜何かあったの?
千紗「へっ!?えっち。」//
千紗ぁ!?可愛いけども!今じゃない!
奈々華「ハチマンクン、あとで、分かってるわね。」
その言葉に俺はうなずくことしかできなかった。