あまり文才はありませんが、大目にみてください。
Ep.1-1
『侵入者は、スーパーコンピューターを狙っている模様。直ちに捕縛せよ!』
「ちぃっ」
しくじった。セキュリティに感知されてしまった。館内にサイレンが鳴り響く。
この作戦のキモは、スーパーコンピューターをハッキングすることにある。しかし、バレてしまってはもう一刻の猶予もない。急がなければ。
事前に上司から渡されていた指示書に従い、スパコンルームの入り口を突破する。そしてスパコンのコンソールにアクセスし、ハッキングを開始した。この作戦で最も重要なステージだ。失敗は許されない。
「間に合え……よし」
そして手元で行う作業を全て終えると、コンソールのLANポートに持ち込んだマイコンのLANケーブルを接続する。マイコンには自壊装置が仕込まれているため、もう放置しても問題はない。しかし、最後の工程が残っていた。休息を取っている暇はない。
「後は、ミッション・オブジェクティブの顕現を待つのみ」
原理は不明だが、後のハッキングを機械に任せることで、スパコンが何らかの事象に干渉し、そのミッション・オブジェクティブを顕現させるらしい。
顕現、という表現はよくわからないが、何か理解を超えるものがあるのだろうとその思考を放棄した。
そんなスパコンルームに複数の足音が響き渡る。
『こっちだ!』
『ここのどこかに居るはずだ、探し出せ!』
「くそ、想定より到着が早い!」
警備隊が到着したのだ。急いでここを脱出しなければならない。
ミッション・オブジェクティブが顕現するとされるのはこの建物の屋上だ。入り口を塞がれては、そこに向かうことも許されない。ここまでくれば、警備隊を無力化するしかなかった。
「ミッションプランでは戦闘は最低限と言われていたが、仕方ない」
仕方なく、戦闘の準備をする。敵の総数は足音から察するに三人。音の重さから、それぞれが防護服を身にまとっている可能性が高い。
物陰から、姿を確認する。するとその手には、日本国内では有り得ないショットガンが握られていた。
「なっ……⁉︎」
まさか、たかだかネズミ一匹のためにショットガンまで持ち出すような企業だったとは。このミッションを受託したことを大変後悔した。
「相手は散り散り、各個撃破が望ましいか」
そう呟き、ポケットから出したチップを、別のポケットから出したスマートフォンに差し込む。そして右手首に巻かれたガントレット状のデバイスにそのスマートフォンを画面を伏せて差し込み、めくった。
「──着装」
──────────────────
『ぐわぁっ』
最後の警備員が床に倒れる。これでこのフロアは制圧した。顕現まで時間がない。急いで屋上に向かわなければ。
しかし、少し痛手を負ってしまった。怪我をした左脚に鎮痛剤を打ち込み、しばらく待つ。こうしている間にも、顕現までの時間が迫ってきている。
脚が動くようになってから、屋上に急いだ。
屋上に至るドアを開けると、そこには大きめのヘリポートが一つと、エアコンの室外機が大量に設置されているだけの空間が広がっていた。
「時間だ」
すると、ヘリポートの中心あたりの空間がねじ曲がり始めた。
「あれが……ミッション・オブジェクティブ」
そして、青白い光を放つ結晶がそこに存在した。これを回収すればミッションは完了だ。
しかし、その瞬間。一機のヘリコプターがビルの陰から姿を現した。当然、警戒をするが。
『K、聞こえるか。このヘリはミッション・オブジェクティブの回収用ヘリだ。それに向かってミッション・オブジェクティブを投げろ。それでミッション完了だ』
聞いてない。そんなもの、指示書には載っていなかった。
そう思い、ヘリを警戒する。しかし、奴は己がコードネームを知っていた。Kと、はっきりそう告げた。
わからない。ここは指示書に従って、自分で回収すべきだと判断した。しかし、ヘリからまた声が飛んでくる。
『K、ミッションプランに従え。さもないと、反逆者として貴様を討つことになる』
「そんなミッションプランは聞いていない。これは俺が持ち帰る手筈になっていたはずだ。その指示には従えない」
ヘリにそう告げ、結晶の奪取に向かう。すると、ヘリが搭載していた機銃の砲身を回転させ始めた。
『ミッションプランに従わないような無能は始末しなければならない。死ね』
直後、弾丸の雨が屋上全体に降り注いだ。
「わっ」
その弾丸を避けながら、結晶までひた走る。そしてヘリポートからジャンプし、結晶をその手に握りしめた。その直後、弾丸がそばを掠めた。そして飛んだそのままの勢いで、ビルの屋上の外に投げ出されてしまった。このままでは落下死は免れない。
まずい、と心の中で思ったその刹那。ミッション・オブジェクティブと呼ばれていたその結晶が、その輝きを増した。その光は、まるでKと呼ばれた青年を包み込むかのごとく光を拡大させていった。
暖かい。まるで誰かに抱擁されているような錯覚さえ覚えるその光は、青年の体を包み込み、その空間から姿を消した。