いいか? お前が殺した洗脳されていた対魔忍は、任務を失敗した時点でもう死んでいるんだよ。
だから、お前は『敵を殺しただけ』に過ぎない。
それに……戦いを続ける以上、遅かれ早かれ味わうことだ。
それとも? 本気で味方は傷つかないとでも思ってたのか?
だとしたら、能天気にも程がある」
「……」
「アサギお前が戦わないのは勝手だ。けどそうなった場合、誰が代わりに出ると思う?」
「……」
「さくら、紫、ゆきかぜと凛子だ。
今回の件であいつらはお前に負い目を感じているはずだ。
だからお前がやらなきゃ、自分から手を挙げるだろう。
けど、今のあいつらじゃ媚薬には勝てない。
そうなれば、政府の連中はよってたかって対魔忍を責める。
お前が戦うしかないんだよ!
お前にもわかってるはずだ。だから何かを期待してここに来たんだろう!」
「……それだけ候補がいて全員捕まって調教される前提なの?」
「お前が行っても捕まるだろうが調教や拷問を受けても自力でどうにかできるし」
「(頭を抱える)」
「俺たちの組織って醜くないか?」
過酷な対魔忍稼業を瞬瞬必生する物語はーじまーるよー!
あっ、今回の主人公は秋もとき君じゃないです。
淫獄都市ブルース外伝 悪鬼去来<その1>(対魔忍アサギ×???)
近未来の日本。
人間達の世界と魔族と呼ばれる魔物が住む魔界が隣あった世界、古に結ばれた人と魔の間での相互不可侵の約定が人の堕落により破られ、魔界の住民達が人間界で活動を始めた魔都東京。
両者が結託した企業や犯罪組織の登場によって、時代は混沌と化していった。
しかし闇の勢力に対抗できる者が現れ、いつしか人々は其の者たちを対魔忍と呼んだ。
『彼』の脇を通り過ぎる連中の大半は、明らかに尋常な人間でなかった。
通り過ぎる人々は何かに憑かれた異常に鋭い目の光を放ち。
一目で殺し屋か用心棒と知れる、脇の下に銃器による膨らみがあるトレンチコート姿。
その辺の魔界由来の技術を持つ魔界医による強化手術を受けたらしいパンツ姿の筋肉男。
―――みんなおかしい明らかに異常だ。
だがそんな場所に住む連中の前に『男』が通り過ぎた。
鍛え上げた体格に短く切りそろえられた髪型の下にある彫りの深い顔。
なによりも墓石のように冷たい目つきは荒くれ者や殺し屋や傭兵、社会になじめない異常者達のギラギラした危ない光を宿すこの街の住人中でも異質であった。
「彼」の耳に街の雑踏の中でもよく通る甲高い声が届いた。
「おい、この先で公開調教やってるってよ!」
「ああ、聞いた聞いた対魔忍を躾けてるんだってな」
ゲハハと下品な会話で盛り上がるオークの会話に足を一旦止めて手荷物の取手を固く握りしめ再び歩き出した、目当ての相手はこの先にいるようだ。
道の真ん中で犯され嬌声をあげる、破れたレオタードのような服装......対魔忍スーツをきた女子。
それをみて続々と集まる豚顔人間、下級魔族のオークである。
最初は嫌悪と恐怖しかなかった少女の顔には今は悦楽によるだらしない表情しかなかった。
「おいおい、最初の威勢はどこにいったんだよこの淫売が!」
「絶対に屈しない(キリッ)とか行ってあっさり堕ちるとか笑わせんなよw」
「頭に行く栄養が乳やケツに行ってんじゃねぇのかオイ!」
「ぁあ…、きもひいいですぅ! もっとぉもっとぉ♥」
「ぶっひゃっひゃ! 聞こえてねぇよこの雌豚にはよォ!」
その姿を見て周囲のオーク達の下劣な顔に嘲笑が浮かび侮蔑の言葉が投げられる。
しかし本人はそんなことなど聞こえてないかのように喘いぎ続けていた。
打ち込まれた魔界製の媚薬により脳内麻薬が過剰分泌され続けているのだ。
このまま続ければ近々廃人になるだろうがそんなことはオーク達の知ったことではなかった。
ズキューーーーーーーーーンン…!
オークの二人の額に子供の小指が入る程度の穴が空きぐらりと倒れ始め遅れて一発の銃声が響き渡りどさっと崩れ落ちる音が響いてその表情が凍りついた。
命中した後に音が遅れてくるのは銃弾が音速を超えた証左である。
「そ、狙撃だ!」
ズキューーーーーーーーーンン…!
叫んだオークとその隣のオークの額に銃痕が刻まれ倒れる。
銃声が二回しか鳴らないのに四体のオークが倒された不思議に狙撃の脅威に晒されている彼らは気付かない。
狙撃場所を見つけようと左右を見渡す者も、頭を抱えてしゃがみ込む者も次々と撃ち抜かれていく、火薬と鉛弾がこの空間を死で満たし始めていた。
「このままやべぇ早くここから離れなけりゃ……」
「どうしたのぉ、お願いもっとお❤︎」
狙撃から逃れるべく通りから離れようとするオークにプレイを中断されたことにより縋り付いてくる少女を突き飛ばそうとしたがその姿を見て閃く。
『この狙撃はこいつを取り戻そうしている奴の仕業では?』
そう思い舌打ちして、もし違っても楯ぐらいになると思い少女を背に担いでオークは仲間の悲鳴を背に走り出した。
思ったとおり脇道に入っても自分の体に弾丸が撃ち込まれることはなかった。
狙撃者が使用しているのはNATO 7.62×51mm M198 DUPLEX(デュプレックス)弾だ。
一つの薬莢に複数の弾丸を一列に装填したもので7.62mmNATO弾のM198 DUPLEXは一回の発砲で複数の弾が連続して飛び出し、前側の弾の発射後に傾斜をつけて入れられた後側の弾が初弾とズレた射線で発射される仕組みになっている。
中に二つ弾丸が入っているため倍の重さとなった弾を多少とはいえ少なくなった装薬で飛ばさねばならないなどの問題からアサルトライフルや機関銃等での元々数で当てるタイプの銃として使うなら普通の弾丸で事が足りると判断された為に軍用としては廃れている。
この様な遠距離での狙撃で一度に複数の相手を仕留めるような特殊な用途ぐらいでしか使い道のない弾丸で繊細な狙撃をミスすることなく目標に対して『一発も外さず』完璧に使いこなす。
まさに人の形をした機械のような精密さと冷静さの持ち主と言えた。
しかしさすがにこの弾丸で目的の人物を背負って逃げる相手だけを正確に狙い撃つのは困難だと判断して狙いから外して冷静に他の人物を射殺し終える。
狙撃を終えると何もなかったかの様に住人達は娼館の客寄せ麻薬の売買などを再開した。
市内での銃撃戦程度のことは悪徳の東京キングダムでは日常的によくある光景なのだ。
男は焦りを感じさせない素早く自然な動作で手早くパーツをバラして銃を鞄に収め始めた。
その動きの淀みのなさは身に染みついた日常的な行動であることを伺わせた。
僅か数秒で撤退準備を終わらせた死神は次の行動に移るべく狙撃ポイントから離れた。
その2に続く
短いですが悪鬼去来その1はここまで。
導入が<転生の章>と同じなのは状況が同じでもキャラが違うとこうなるという演出なので誤コピペとかじゃありませんよ念のため。
いつもは完成してから投稿するのですがすでに一月以上待たせてしまっているので分割してできている分ずつ投稿しますのでご了承ください。
ではまた近いうちにお会いしましょうノシ