淫獄都市ブルース   作:ハイカラさんかれあ

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久しぶりの淫獄都市ブルースです
リハビリなので今回の話は鬱成分控えめです
今回も短めを何回かの連載形式ですがおつきあいください


淫獄都市ブルース<愁鏡の章> その1

「秋くんってロリコンなの?」

「は?」

 

あまりにも人聞きの悪いセリフに「お前何いってんの?」という視線をもときは向けた。

少し怒ったぞと唇を尖らせるが春風駘蕩な雰囲気のせいでまったく怖くない。

 

「だってしょっちゅう女の人に言い寄られて袖にしてるのに、子供には優しいじゃん。

こないだも角の生えてる女の子とあやとりして遊んでたし」

 

ぷくーと頬を膨らませて自分とは遊んでくれないのにと文句をいうさくら。

ひどい誤解をされている気がする。

 

「言い寄ってくる女性を断ってるのは大体仕事中だからだし、さくらとは今遊んでる」

 

そういって机の上の札をめくり、ゲームマット代わりの座布団の上にある札に叩きつけた。

 

「赤短ね」

 

花札である、なかなかに渋いというか年寄り染みているが昔から残ってるだけあってなかなかおもしろい。

 

「また連続で役じゃん、イカサマしてない?」

「ソンナコトナイヨー」

 

 

もときが負けそうになると不思議といい札がくることが多いが偶然である。……偶然である。

 

「そうじゃなくて外で遊んでよ~、買い物に付き合うとかさ」

「外で一緒だと多分さくらが刺されたりすることになるからやめたほうがいい」

 

忘れられがちだがもときは転生者である、前世から縁がない女の子とのデートには非常に興味があるがこの顔である。

下手に外で一緒に女の子といるともときの側にいることに嫉妬した女性の憎悪が、一緒にいる女性に向くのでしたくてもできないのであった。

 

気にせず手を出して捨てるくらいに図太ければ色々楽なのだろうが、そういう事をするのはどちらかというと自分ではなく、この体の大元の人物の幼馴染の方だろう、メフィストがいるのだからもしかしたら転生者としているかもしれない。

 

「じゃあちっちゃい子と外で遊ぶのはなんでよー」

「遊び相手になってくれる同じくらいの子がいないんだってさ」

「それでなんで秋くんと遊ぶのよ」

「まあ…、暇だったから」

 

もときはそう言ってはぐらかした。

たまたま一人で歩いている時に寂しさで泣く子供に手作りの濡れ煎餅をあげたら喜んで泣き止んだのがきっかけで情が移ったとはわざわざいわなかった。

 

後で聞いた話によるとその子は母親と二人暮らしで、母親は娼婦で父親はわからないらしい。

食事などは作ってくれるが夜の仕事の為、食事の用意をしたら昼まで眠り夜は仕事で殆ど構ってくれないと言っていた。

食事を欠かさず毎日ちゃんと作るだけでも、この街の住人にしては愛が深い方だがあの年頃の子供にそう説くのは酷であろう。

 

この数日後に市内で銃撃戦が行われた。

ギャング組織の下っ端が揉めたことを発端としたこの事件は十数分。

正確には十四分三十八秒で当事者全員が死亡したことで終結した。

 

事件に巻き込まれて出た被害者は重軽症者四名、死者一名。

もときがこの事件で出た死者があの少女と知ったのはさらに数日後である。

 

2、

五車学園は夕刻の日が沈みはじめ学生達が一日の授業を終えて帰宅し校内に残る人間が僅かになった頃に来客を迎えた。

迎えた妙齢の美女は過去に婚約者を殺され妹と妹分を凄惨な調教と陵辱され自身も体を感度3000倍に改造されても窮地から自力で脱出しその手引きをしたのが自身の祖父だと気づいたことで一族を粛正した烈女、井河アサギである。

 

混沌の時代に対応するために対魔忍を政府傘下の組織として再編したが「対魔忍はどこの勢力にも媚びず独立独歩の中立であるべし」として反発した対魔忍御三家の『ふうま』による反乱がおきた上に残りの御三家の『甲河』は魔族への大攻勢の情報を漏らされてノマドを率いるエドウィン・ブラックにより『甲河アスカ』を残して全滅。

 

『ふうま』の反乱はなんとか鎮圧したが残ったのは内部抗争でガタガタになった上、腐敗した上層部による権力維持のため血統と実力至上主義の愚民教育を施された脳筋の若手ばかりでベテランは死亡か逃亡、過去の正式な人材育成ノウハウも失われ『甲河』頭領である甲河アスカは一族の復讐のため単騎でエドウィン・ブラックに挑み敗北し四肢を切断され生死不明のまま消息を絶ち*1

『ふうま』の次期頭領はまだ学生のため残った御三家『井河』として最強の対魔忍の威光で若手を束ね不向きだと自覚しながらも組織を率いることを強いられている苦労人である。

 

 

自身も愚民教育の被害者であるが歴代でも最強の呼び声高い実力者のために自力でなんとかできてしまうので彼女に憧れた人間が自身を真似て力業一辺倒で捕まることが多いのが悩みの種である。

その捕まった人材を回収すべく呼ばれたのが秋もときであった。

 

自分とアサギの二人だけの部屋で依頼対象のプロフィールやどのような任務かを聞きながら、もときは視線を部屋にあった姿見に向けるとソファーに座っているアサギと自分と顔の部分が黒塗りつぶされたように影で見えない小さな子供の姿が写っている。

 

「どうしたの?」

 

鏡を見ているもときをみて鏡の方を見たアサギが視線をもときの方へと戻す。

アサギには鏡には今部屋にいる自分と世にも美しい少年の二人が映っているだけだ。

 

「いえ、なんでも」

 

もときには鏡に相変わらず自分とアサギ以外に子供が映っているが視線をアサギの方へと戻す。

鏡に映っている自分にしか見えない子供は数日前に死んだあの子がよく着てた服と一緒だった。

 

 

 

 

淫獄都市ブルース<愁鏡の章> その2へ続く

*1
米連に所属して手足をサイボーグ化して元気にミサイルやビームをぶっ放している模様




没ネタの<恩讐の章>だと弱って子狐状態で瀕死の所を助けられた狐の魔族が恩返しをしようとしてもとき君に恩人捜索の依頼を受けて見つけるんだけど、助けてもらった狐と嘘をついた悪役狐が恩返しに見せかけた吸精行為で恩人を瀕死になるまで利用しているのを発見。

激昂して悪役狐を殺すんだけど「よくも自分の恋人を殺したな!」と恩人に刺されて、弱っていた狐は死亡、生気を使い果たした恩人の男も死亡という話でした。

思い人に気持ちが届かず思い人によって傷つくというのは<精選の章>と展開が被るのが没理由です。
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