『提督の奮闘記』   作:零戦

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まぁネタですね。


提督が泊地に着任しました。

 

「貴方もタウイタウイ泊地へ着任ですか?」

「あ、はい。そうです」

 

 俺は隣にいた提督に話し掛けられた。今、俺は九七式飛行艇に乗って南方のボルネオ島のタウイタウイ泊地へ飛行していた。

 俺の周りには六人程度の提督が同じく座っていた。かれこれ半日はこの態勢でそろそろしんどいがな。

 

「もう間もなくタウイタウイ泊地です」

 

 操縦士がそう教えてくれた。

 

「敵はいないんだろうな?」

「大丈夫です。タウイタウイ泊地近海には敵深海凄棲艦は専ら居ませんよ」

 

 他の提督の言葉に操縦士はそう答えた。しかし……。

 

「こ、後方五時から敵機ッ!!」

「何ッ!?」

 

 後部の機銃手が叫んだ。俺は直ぐに後部に駆け寄る。確かに後方から敵深海棲艦の空母から発進したと思われる敵戦闘機三機が接近していた。

 

「泊地近海に敵深海棲艦はいないんじゃなかったのかッ!?」

「俺達を此処で殺す気かッ!!」

「回避飛行に移るッ!! しっかりと掴まれェッ!!」

 

 操縦士は提督達の言葉を聞かずに回避飛行に移る。

 だが向こうは戦闘機、此方は下駄を履いた水上機だ。速度は向こうが遥かに速い。

 

「敵機銃撃ッ!!」

 

 機銃手はそう言いつつ七.七ミリ旋回機銃を撃ち続ける。俺は銃撃に備えて身を低くした。

 途端に敵戦闘機の機銃弾が九七式飛行艇を襲い掛かった。

 

「ぎゃッ!?」

「ぐぺッ!?」

 

 機銃弾が他の提督達に命中した。さっき俺に話し掛けてきた提督は頭を吹っ飛ばされて既に戦死していた。

 

「また来るぞォッ!!」

 

 二機目の戦闘機が機銃弾を叩き込む。

 

「ぐあッ!?」

 

 後部機銃手がやられた。俺は直ぐに旋回機銃を構えて接近してくる三機目に照準をして引き金を引いた。

 

「くッ!!」

 

 反動で中々当たらないが、一発がエンジンに当たったのか火を噴いて離脱していった。

 

「泊地に緊急電を打てッ!! 平文で構わないッ!!」

 

 操縦士の言葉に電信員が緊急電を発信した。その間にも敵戦闘機が機銃弾を九七式飛行艇に叩き込む。

 

「右二番被弾ッ!!」

「火は、火は出たかッ!?」

「いえ、火はまだ……」

 

 副操縦士がそう言って答えたが直後に右二番エンジンが火を噴き始めた。

 

「駄目ですッ!! 高度が保てませんッ!!」

「何としても維持しろッ!!」

 

 だが、それでも飛行艇は徐々に高度が落ちていく。

 

「ち、後方よりまた敵機ッ!!」

 

 俺はそう叫びつつ機銃を撃つ。飛行艇も回避飛行をするが敵戦闘機はその機動を読んで機銃弾を叩き込んだ。

 

 

 

――タウイタウイ泊地――

 

「新任の提督達を乗せた九七式飛行艇が敵戦闘機に襲われています。貴女は至急救援に向かいなさい」

「はいッ!!」

 

 タウイタウイ泊地に停泊していた一隻の艦娘が最大速度で現場海域に急行した。

 

「……間に合うかしら……」

 

 見送りの眼鏡をかけた女性はそう呟いた。

 

 

 

「着水するぞッ!! 何かに掴まれェッ!!」

 

 機長の言葉に生き残っていた俺達は衝撃に備えた。そして飛行艇は着水した。

 しかし、着水途中で右翼がバキバキと折れた。

 

『うわァッ!!』

 

 飛行艇が衝撃で右回転をして横転した。

 

「ぐ……」

「生きている者は脱出しろッ!!」

 

 俺は右手を機銃に叩きつけて負傷していた。他の生き残りは脱出する。

 

「て、敵戦闘機だッ!!」

 

 敵戦闘機が生き残りを機銃掃射を始めた。生き残りは逃げようとしたが、機銃弾を撃ち込まれてそのまま波間へと消えていく。

 

「破片に紛れて……」

 

 俺は大きめの破片を頭にして口まで海水に浸かり鼻呼吸だけで敵戦闘機から身を隠していた。

 

「気付くなよ……」

 

 俺はそう呟き、敵戦闘機の動向を見ていた。だが、俺に気付いたのか敵戦闘機が此方に向かって急降下してきた。

 

「ちぃ、南無三ッ!!」

 

 俺は思わず目を閉じた。その時、砲撃音が聞こえた。

 

「……え?」

 

 敵戦闘機は爆発四散していた。恐らくは今の砲弾が命中したのだろう。

 

「生き残りの方はいませんか?」

「こ、此処だッ!!」

 

 やって来たのは艦娘であり、俺は艦娘に向かって叫んだ。艦娘も俺に気付いてスケートをするようにやってきた。

 

「将官服……もしかして提督ですか?」

「あぁ、タウイタウイ泊地に着任する予定のな」

「しっかりして下さい。肩持ちますね」

 

 俺は艦娘に左肩を回された。ぅ、今頃になって傷が痛みだしてきた……。

 

「あ、負傷してますね。ちょっと待って下さい」

「済まない……」

 

 俺は艦娘から包帯をしてもらう。

 

「生存者がいるか捜索しましょう」

「あぁ……」

 

 果たして生存者がいるかどうかだな……。

 

 

 

 

 残念ながら、生存者は俺だけらしく仕方なく泊地へ帰還して診察をうけた。

 

「打撲で済んだのが奇跡だな」

「そのようですね」

 

 俺の言葉に眼鏡をかけた女性――任務娘(にんむむす略してにんむす)が頷いた。

 

「それでなんですが、本来このタウイタウイ泊地には貴方を含めた提督は多数いなければならないのですが今回の想定を越えた深海棲艦の攻撃で貴方以外の提督を失いました。ですので新任の提督が着任するまでこのタウイタウイ泊地で奮闘していただきたいのです」

「はぁ、それは構いませんよ。本職のやる事は艦娘の被害を出来るだけ押さえて深海棲艦を倒すだけです」

「……ありがとうございます。つきまして、秘書艦は暫定的に吹雪にやってもらいましょう」

「はい、宜しくお願いします提督ッ!!」

「あぁ、宜しくな吹雪」

 

 そしてタウイタウイ泊地で俺は提督としての奮闘が始まるのであった。

 

 

 

 

 




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