『提督の奮闘記』   作:零戦

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第四話

 

 

 

 バシー海峡までに数度の敵潜水艦との接触があった船団だったがその全てを撃破若しくは撃沈していた。

 

「隼鷹と龍驤」

『何だ提督?』

『何や?』

「隼鷹は九九式艦爆を対艦装備して待機、龍驤は零戦二七機を何時でも発艦出来る態勢にしてくれ」

『あいよ提督。やっぱ来ると思うんか?』

「来るはずだ。でかい獲物を此方が抱えているんだ。出てくるに決まってる」

 

 無線電話で三宅は隼鷹と龍驤にそう指示を出した。そしてバシー海峡まで二百海里のところで護衛艦たかなみのレーダーが接近してくる編隊を捉えた。

 

『此方たかなみだ。敵攻撃隊を捉えた、方位0-2-5、距離百八十海里、凡そ百機だ』

「報告感謝します。祥鳳は全機発艦、龍驤は零戦二七機、隼鷹は九九式艦爆十八機を第一次攻撃隊として発艦させろ。龍驤の残りの零戦と九九式艦爆は船団護衛だ」

 

『おぉ、難しい事言ってくれるねぇ』

「予め言っておいただろう」

『まぁそうなんだけどね』

 

 そう言いつつ隼鷹の飛行甲板から九九式艦爆が腹に九九式二五番通常爆弾を抱えて発艦していく。

 三宅や高雄、艦橋にいた妖精さん達は己の帽を振りながら発艦を見送っていた。

 

「零戦と艦爆の戦爆連合……まずは敵の空母能力を叩く所存ですね」

「まぁその選択しかない。仮に九七式を出そうにも時間を食うからな。それなら戦爆で飛行甲板を叩いた方が良い」

 

 高雄の指摘に三宅はそう答えた。攻撃隊は集合すると編隊を整えて索敵攻撃へと向かうのであった。攻撃隊が索敵攻撃に向かって十分後、敵攻撃隊が船団に飛来した。

 

「敵機の数は?」

「祥鳳達の戦闘機隊が蹴散らしている事もあり接近しているのは約五十あまりです」

「……半分でも御の字か。全艦対空戦闘用意」

「全艦対空戦闘用意ですわ!!」

 

 高雄から対空戦闘用意が全艦に伝えられ主砲、高角砲、対空機銃が仰角を取り対空戦闘の準備を始める。

 

「距離二万!!」

「主砲砲撃始めェ!!」

「撃ェ!!」

 

 高雄の二十.三サンチ連装砲が火を噴いた。敵機数機を撃ち落としたが三式弾ではなく零式通常弾だったがまぁまぁの威力である。

 しかし敵機はそれを恐れずに艦隊に近づく。

 

「主砲再度撃て」

「了解です。零式通常弾装填急いで下さい」

 

 主砲は再度敵機を照準して砲撃する。またも数機を撃ち落としたがそれでも四十機以上が存在していた。

 

「距離一万二千!!」

「全艦対空戦闘始めェ!!」

「撃ちぃ方始めェ!!」

 

 高角砲が砲撃を開始する。高雄の高角砲は旧海軍で有名な四十口径八九式十二.七サンチ高角砲であり高雄には連装砲四基が搭載されていた。他の那智や木曾、五十鈴達も対空戦闘を開始している。

 そして一番に活躍していたのは護衛艦たかなみが搭載しているオート・メラーラ五四口径127ミリ単装速射砲であろう。船団に迫り来る敵機を難なく撃墜させていた。

 艦娘の兵器妖精も兵器を護衛艦並の威力にしてくれるが兵器進歩はやはり護衛艦が上である。なお、護衛艦でも深海棲艦の航空機は落とせれた。深海棲艦と砲撃戦をすると負けるのだ。

 何せミサイルで攻撃しても直ぐに損傷箇所が修復され何事もなく平然としたように航行するのだ。

 米海軍も流石にこれには敵うことが出来ずに多数の艦艇を喪失して今や沿岸警備くらいしか維持出来ないほどである。

 それは兎も角、船団への攻撃はたかなみが防いでくれた。敵機もそれを認識したのか攻撃を三宅艦隊に向けたのだ。

 

「左舷に敵機雷撃機三機接近!!」

「おもぉーかぁーじ!!」

 

 接近する雷撃機だったが速度が遅く高雄でも難なく回避出来た。

 

「敵機直上ォ!! 急降下ァ!!」

『!?』

「高雄!!」

「え……?」

 

 見張り妖精の叫びに妖精達が固まる中、三宅が高雄を押し倒した。その直後に風切り音と共に爆弾が高雄付近に着弾、命中弾とはならなかったが至近弾となった。

 

「ふぅ、外れたか。大丈夫か高雄?」

「……あ、はい!! 高雄は大丈夫です!!」

(それは榛名の台詞だった気が……)

 

 そう思った三宅だったが突如爆発音が響いた。

 

「空母祥鳳被弾!!」

 

 妖精さんの叫びに三宅が艦隊に視線を向けると祥鳳が被弾して炎上していた。更にもう一発が飛行甲板に命中して爆発した。

 爆発の瞬間、甲板の木材が吹き飛ぶのを三宅は視認した。

 

「直ぐに消火だ!! 祥鳳に連絡して被害状況を報せろ!!」

 

 その間も敵機の攻撃は続き、那智に爆弾と魚雷が一発ずつ命中したがそれで敵機の攻撃は打ち止めとなった。

 

「船団の被害は?」

「被害はありません」

 

 船団を監視した見張り妖精さんの言葉に三宅は深く溜め息を吐いた。

 

(……祥鳳だけの被害で守る事は出来たか……いやまだ第二波が来るかもしれんな)

 

 そう思案しているうちに通信妖精さんが艦橋に入った。

 

「攻撃隊より電文!! 『我、敵空母ヲ爆撃セリ。被害甚大也』です」

「……そうか(信じないわけじゃないが五分と見ておくか)」

「攻撃隊より再度電文!! 『佐世保鎮守府艦隊ノ攻撃隊ト遭遇セリ。只今敵艦隊ヲ攻撃中ナリ』です!!」

「佐世鎮……そうか、船団の護衛に来たのか(それなら後は心配しなくても良いな)」

 

 その後、攻撃隊から電文で敵艦隊は佐世保鎮守府の攻撃隊が撃滅させた。

 

「祥鳳、傷の具合はどうだ?」

『はい、飛行甲板をやられただけなので航行に支障はありません』

「よし、消火活動をしつつもう暫く耐えてくれ」

『分かりました』

 

 そして艦隊は石垣島沖合い約二百海里の海域で佐世保鎮守府艦隊と合流した。佐世保鎮守府艦隊は翔鶴、瑞鶴、大鳳を主力とした機動部隊だった。

 

「タウイタウイ泊地の三宅です。船団の引き継ぎをお願いいたします」

『佐世保鎮守府の笠原です。船団は御守りします』

『あんたが牟田口の後釜ねぇ。あんたもあんな奴の後釜で大変でしょうね』

 

 笠原提督と話をしていると瑞鶴が会話に入ってきた。

 

『おい瑞鶴。すいません三宅提督』

「いえ。気にしてませんので」

『祥鳳も被弾してるし艦娘の喪失はやめてほしいのよね』

『おい瑞鶴!! すいませんすいません』

「ハハハ」

 

 嫌みをぶつけてくる瑞鶴に三宅はのほほんとしつつ艦隊は回頭しタウイタウイ泊地に帰還するのであった。

 

「祥鳳は風呂行きか……まぁこの時間なら修復材を使わなくていいか」

「提督……」

「ん? どうした高雄?」

 

 提督室に戻った三宅に高雄が訪ねてきた。

 

「爆撃の時はありがとうございました」

「いや、俺は何もしてないよ」

「それでもです。守ってくれて嬉しかったです」

「……そうか」

 

 顔を赤らめる高雄に三宅は照れくさそうにするのであった。

 

 

 

 




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