「俺達を出撃させろよ提督ッ!!」
「……駄目だ。まだ君達の練度が足りない」
天龍の何回目かの出撃要請に、俺は首を横に振る。天龍は更に言ってきたが俺は黙って横に振るだけにした。
そして天龍は諦めたのか部屋を出ていく。
「……良かったのですか?」
傍らにいた任務娘が俺に聞いてきた。
「あいつらの実力は俺も知っている。だが敵と戦うにはまだ足りんよ」
時は近未来。突如現れた謎の深海棲艦はいくつもの国を滅ぼしていた。日本国は海上自衛隊を投入してアメリカと共同戦線をしていたが、マリーナ諸島のマリーナ沖海戦で自衛艦隊の三個護衛隊群が壊滅して残存艦艇は僅か数隻にしか含まれていない。
そして此方も突如甦った旧帝国海軍の艦艇――艦娘を主力にした艦隊を編成して反撃に転じていた。
「上の奴等は連戦連勝しているから調子づいている。これじゃあミッドウェーと同じだ」
「確かにそれは……」
「皆の言う分も判る。だけど、あの海戦の生き残りの俺からにしてみればまだ遠洋への出撃は許す事はない」
任務娘はそれでも何か言いそうだった。そして数日後、上層部から出撃要請の紙が来た。
「各地の艦娘を集結させてマリーナ諸島を攻略して深海棲艦に大打撃を与える……無茶を言うな、上はあの時の惨状を判っていないのか?」
護衛艦が主砲や魚雷を撃っても貫通しないし打撃を与えていなかった。いくら艦娘でも危険過ぎる。
「上には時期尚早だと言うしかない。ここで各地の艦娘を失うわけにはいかない」
俺は上層部にそう意見具申をした。しかし、連戦連勝に湧いている上層部は俺の意見具申を無視した。
「これは命令だ」
「無茶ですッ!! マリーナ沖に行くにしても艦娘達の練度はまだ未熟ですッ!! 貴方達はマリーナ沖で沈んだ艦艇の数を忘れたのですかッ!!」
俺は上層部にそう何回も意見具申をしたが、上層部はそれを聞き入れず逆に俺を提督から解任して予備役にする事にしたらしい。
任務娘が顔を青ざめながらそう解任通告の紙を渡してきたからな。
「やっとあの弱虫提督がいなくなるぜ」
「清々するな」
口の悪い天龍や摩耶がそう皆に言いふらしていた。そして引き継ぎに新しい提督が来たがこの提督は思いっきり俺に対して弱虫だと言っていた。
もう俺は知らんからな。俺はあいつらにそう言って鎮守府を後にして帰郷した。
それから数週間後、予備役だった俺に現役復帰命令と鎮守府への召還命令が下った。
予想通り、マリーナ沖で各地の艦娘を投入したが惨敗したとの事だ。
しかもマリーナ沖には飛行場姫等を筆頭に鬼要塞等もいたらしく第二防衛線を突破するだけで力尽きたらしい。
「それで……轟沈したのは?」
「……これに書いてあります」
任務娘が渡してくれたが……生き残りを言うのが早いな。生き残りは戦艦だと長門、金剛、榛名、伊勢、日向だけ。重巡は高雄に青葉、妙高、軽巡木曾、名取。駆逐艦は雪風と時雨くらいしか生き残ってない。なお空母は隼鷹と大鳳しかいない。
「それと前提督も戦死です」
「……そうか」
何とも言えんが……。
「秘書艦はどうしますか?」
「今はあまり付けたくないんだが……」
「そう言っても規則ですし……」
「無理だろ?」
「う~ん……それでしたらあの人にやってもらいましょう」
「あの人?」
「提督がいない時に新たに見つかった艦娘ぽいのです」
「ぽいって……」
「まぁ来てもらいましょう。入って下さい」
「失礼するわ」
そう言って入ってきたのは……え?
「あ、貴女は……」
「装甲巡洋艦八雲ですわ」
口元を扇子で隠して独特の帽子を被り、室内でも傘をしている女性――東方projectの人物八雲紫がそこにいた。
「……八雲紫ですよね?」
「装甲巡洋艦八雲ですわ」
俺の言葉に八雲はウインクした。多分八雲紫だな。
「……この仕事が終わったら幻想郷に行きたいんですが……」
「……幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ」
「成る程……ありがとうございます」
ともあれ、俺は八雲を秘書艦にした。
「戦闘お願いします」
「ちなみに私は加古より寝ますわ」
「おい」
後書き
友人から謎の電波受信したとか言ってきて書いてしまった……。
大鳳は一発で出た。
御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m