『提督の奮闘記』   作:零戦

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不沈戦艦紀伊×艦これのコラボです。
あんころもっちーさんの『もっと良い憑依先がなかったものか……』とはまた別の不沈戦艦紀伊です。


『不沈戦艦紀伊』

 

 

 

「大型建造、やっても良いかな?」

「駄目ですよ提督」

「なして!?」

「それで資源を溶かした記憶をお忘れですか?」

「そ、それは……」

 

 秘書艦である高雄の言葉に俺は口をつぐんだ。以前に大型建造をした時、大和とあきつ丸狙いでチャレンジしたが結果はまるゆにヒャッハー(隼鷹)、蒼龍であり資源は二桁だった。

 

「ヒャッハー怖いヒャッハー怖いヒャッハー怖いヒャッハー怖いヒャッハー怖い……」

「提督、トラウマを思い出すのは良いですが大型建造は駄目ですからね」

「くぅ~良いじゃないか高雄の馬鹿、バカメ(笑)、俺とケッコンカッコカリして下さい」

「撃ちますよ提督?」

「サーセン」

 

 俺に二十.三サンチ砲を向けた高雄に土下座をした。

 

「じゃ、じゃあ高雄。大型建造は二週間に一回で……」

「……仕方ありませんね」

「ヤッホイ。愛してるよ高雄」

「酸素魚雷で良いですか?」

「サーセン」

 

 酸素魚雷を突きつけられた俺は二回目の土下座をした。取りあえず工員妖精を呼んだ。

 

「大和を何としても建造したい。資源は全部使っても構わない」

「わかりました!! ようせいのちからをみせてやります!!」

 

 妖精達が意気揚々と資材を工廠へ運んでいく。

 

「高雄、どれだけ使ったか報告してくれ」

「判りました。提督はどちらへ?」

「皆の訓練でも見てくるよ」

 

 俺は訓練場で皆の訓練を見る事にして外に出た。今日も良い天気だ。

 

「あ、司令官」

「吹雪、訓練か?」

「はい。頑張ります」

 

 途中で吹雪と合流して訓練場に向かったが……訓練場では混乱が生じていた。

 

「響!? 曙と潮も確りして!!」

「どうした天龍!!」

「て、提督。それがよ、訓練中に急に倒れ出したんだよ」

「誰が倒れたんだ?」

「今確認したけど此処にいる響、曙、潮それに雪風と時雨も倒れているんだ」

「何……?」

「提督!! 高雄や長門も倒れたわ!!」

「な……」

 

 次々と舞い込んでくる悲報に俺は唖然としてしまう。

 

「……何が起こっているんだ……?」

 

 俺の呟きに誰も答える事はなかった。そして数時間後、漸く混乱も終息して俺は執務室で高雄の代理で秘書艦になっている加賀といた。

 

「……これで以上よ提督」

「………」

「何か気になる点でもあるかしら?」

「多くの艦娘が倒れた。けどな、空母は隼鷹はしか倒れていない」

「……空母にはあまり異常は無いということかしら?」

「それなら隼鷹も倒れていないだろ? それに報告で気になるのは倒れた艦娘達に共通する点がある」

「……何かしら?」

「……戦没がレイテ沖海戦から終戦まで生き延びた艦娘が倒れている」

「……ただの偶然……ではなさそうね」

「あぁ……ただ今は艦娘達の回復が先だな」

 

 俺はそう締め括った。

 

「そうそう。加賀、最近ムチムチらしいな。膝枕して下さいな」

「……流星改発艦よ。目標は提督」

「勘弁して下さい」

 

 更に数時間後、倒れていた長門が目を覚ましたので事情を聞いたのだが……。

 

「これと言った不審な点は無いな」

「済まないな提督」

「良いよ良いよ長門。異常が無かったらそれで良しだ」

 

 ベッドで寝ていた長門に俺はそう言った。

 

「ところで提督。大型艦建造をしたので資源が不足しているわ」

「青葉達に頑張ってもらって通商破壊作戦でもするかな」

 

 俺はそう呟いた。

 

「それなら『紀伊』を囮にした艦隊も入れないとな」

「……何?」

「どうしたのだ提督?」

「今……何て言ったんだ長門?」

「囮艦隊か?」

「その前だ!!」

「提督……?」

 

 俺は思わず怒鳴る。加賀が不思議そうにしているが今は無視だ。

 

「『紀伊』」

「……何でお前がそれを知っているんだ長門?」

「何を言っているんだ提督? 『紀伊』の事を全員が知っているはずだ」

「嘘を言うな長門!! 紀伊は……紀伊は……!!」

 

 旧日本海軍に紀伊という艦名を付けた艦艇は存在しない……いや、架空を含めるなら俺が知る限りでは一隻だけ存在する。

 

「『紀伊』という艦名を付けた旧日本海軍の艦艇は存在しない」

「何を言っているんだ提督!! 紀伊はレイテ沖で扶桑達の仇を取り、硫黄島を犠牲にしてまで内地に重油を運び、あのB-29を撃退したじゃないか!!」

「長門、お前……」

 

 長門の叫びに俺は驚いた。長門が言っているのはあの小説の中の話だ。何で長門はそれを言っている?

 

「……加賀、他の皆の事情を聞きに行くぞ」

「……判ったわ」

「取りあえず長門。休憩していてくれ」

「……納得いかないが判った」

 

 俺はその場を後にして加賀と共に他の艦娘達のところへ向かった。

 

「あの時、旅順で修理を終えた私は大和、隼鷹と共に沖縄に向かいました」(高雄談)

「スリガオ海峡で西村艦隊と志摩艦隊が窮地に陥った時に僕達を救ってくれた彼女を忘れるわけがないよ」(時雨談)

「私と日向、榛名は沖縄の渡嘉敷島で擱座して艦を固定砲台としていたよ」(伊勢談)

 

 他の艦娘達もあの小説と同様の話をしていた。そうなるとだ……。

 

「……一部の艦娘の記憶が現実と小説で混同している」

 

 けど……何でだ?

 

「失礼します提督」

「どうした妖精さん?」

 

 工員妖精が執務室に入室してきた。

 

「おおがたけんぞうのけんぞうしゅうりょうじかんをおしらせにきました!!」

「そうか、何時間だ?」

「じゅうにじかんよんじゅっぷんです!!」

「な……」

 

 今……何て言った?

 

「済まない、もう一回頼む」

「じゅうにじかんよんじゅっぷんです!!」

「……妖精さん、今すぐ高速建造材を使って構わないから急いでほしい」

「わかりました!!」

「提督?」

 

 俺の行動に不審に思った加賀が俺に視線を向けている。

 

「……全ては大型建造が終わってからだ」

 

 それから数分後、妖精さんに連れられて一人の艦娘が執務室に入室した。

 その艦娘は他の提督が所有している大和と同じ三連装砲を三基装備して大和や武蔵と同じような格好をしている。が、頭に装備している電探は大和型は二つだがこの艦娘は四つも装備している。

 全体的に大和型と格好はほぼ一緒だが腰に日本刀を装備している。

 

「紀伊型戦艦一番艦の紀伊ですわ。今度こそ日本を、そして皆を守りますわ」

 

 大和と同じポニーテールの髪形の紀伊は俺を見てそう言った。

 

「……やはり紀伊か。したらその主砲は五一サンチか?」

「そうですわ。この主砲でレイテ沖で米旧式戦艦部隊を全滅させ、B-29を妹の尾張と撃退し八十サンチ列車砲ドーラをも撃破しましたわ」

 

 紀伊がニコリと笑い、五一サンチ砲の砲身を触る。

 

「そうか……長門達もいるから話は弾むだろう。下がって良いよ」

「失礼しますわ」

 

 紀伊は俺に敬礼をして退出した。

 

「提督、戦艦は大和と武蔵まででは……」

「違う世界の日本の戦艦だ。紀伊と二番艦の尾張は言葉通りにアメリカを恐怖のどん底に陥れた。それほどまでに大和型を上回る世界最強の戦艦だ」

 

 加賀の言葉に俺はそう言った。

 

「それで戦局は……?」

「登場時期がレイテ沖海戦だった。ソロモン諸島を巡る戦いで登場していたら或いは……いや大和ホテルならぬ紀伊ホテルになっていたかもしれんな」

 

 俺は加賀にそう説明しながら紙に紀伊の性能を書いた。

 

「これが紀伊の性能だ」

「……何ですかこの戦艦は?」

「常備排水量九万八千六百トン、満載時は十二万四百トン、速度三十.五ノット、五一サンチ三連装砲三基、二十.三サンチ三連装砲二基、十二.七サンチ連装高角砲二四基、三十連装噴進砲四基、二五ミリ三連装機銃四八基。武装は凄いだろ?」

「凄いものじゃないです」

「それだけじゃない。魚雷二十本まで速度を維持でき、五十本まで戦闘能力が発揮出来る。ゴムとスポンジの層があるからな」

「……一体何発の魚雷を命中させたら沈むんですか?」

「まぁ……八十本前後くらいだろ」

「………」

 

 俺の言葉に加賀は相当ショックを受けていた。

 

「紀伊は艦娘達の絶対的な守護神になるだろう。ただ問題は……」

「問題は……?」

「……補給だ」

 

 

 

「敵艦見ゆ!! 砲雷撃戦用意!!」

 

 紀伊を旗艦とする第一艦隊が敵深海棲艦隊と同航戦で展開していた。紀伊の五一サンチ砲がゆっくりと旋回して敵深海棲艦隊旗艦の戦艦タ級に照準した。

 

「撃ェッ!!」

 

 紀伊の号令と共に五一サンチ砲が火を噴いた。砲撃の衝撃波で後方にいた高雄に火薬の燃えカスが降ってくる。

 紀伊の砲弾はタ級の装甲を貫いてタ級を轟沈させた。

 

「敵航空機が接近するよ!!」

「対空砲火開け!!」

 

 駆逐艦時雨がそう叫ぶと紀伊は対空射撃を始める。紀伊の対空射撃は次々と敵航空機を撃墜させていく。紀伊は中破していた空母ヲ級に照準した。

 

「残念ですが……これが戦争ですわ」

 

 紀伊はそう呟き、五一サンチ砲がヲ級に火を噴いた。そして紀伊はヲ級を撃沈して第一艦隊は帰投した。

 

「第一艦隊帰還しましたわ」

「御苦労だった。ゆっくりと休んでくれ」

 

 俺は紀伊達を労い、紀伊達が退出した後に深い溜め息を吐いた。

 

「……一回の海戦の消費が激しいな……」

 

 紀伊は大和型を上回る性能を持つため重油や弾薬の消費は激しかった。大和は一回の出撃で燃料五十、弾薬六十を消費するが、紀伊は燃料百、弾薬百二十とほぼ倍の消費をしている。

 

「最強の戦艦ではあるけれど……補給は最強じゃないわね」

「……泣きたくなってくるよ。遠征の回数を増やさんとなぁ……」

 

 最強の戦艦が来てくれたのは助かるがある意味助かっていない状況だった。

 

 

 

 

――後書き――

 

 魚雷二十本まで速度を維持でき、五十本まで戦闘能力が発揮出来る戦艦。

 なにそれ怖い。

 実際に作れるかは……微妙ですね。紀伊の資材は信濃と雲龍型で回してますから資材はあるんですよね。

 ただ予備砲身が作れるかでしょうね。大和型でさえ予備砲身は空母へ改装される信濃から流用してますし。

 五一サンチ砲は時間があれば作れると思います。1918年の八八艦隊の第十三号艦型で四六サンチ砲八門搭載するために四八サンチ砲が試作されてましたからね。

 まぁそれらを作るのに鋼塊(インゴット)の製造技術に難があったらしいので……。

 でも戦艦は男のロマンなのは確かです。国家予算はかなり飛びますが(笑)

 八八艦隊も国家予算半分ですから。

 

 

 




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