インフィニット・エボリューション 最凶の二人の男と最凶の二体の星の狩人 作:武者ジバニャン
あと話しの酷さが増していますが、どうかご容赦くださいますよう心からお願い申しあげます。
それではここでキャラ紹介(2018年10月13日、キャラ設定に一つ付け足します)
織斑秋邏(CV:浪川大輔)
年齢26
身長190
性格は冷静、冷徹な部分がある。現実的な思考を持ち理想を口にしないし、それを口にする者を余り好まない。
しかし、時に優しい部分を見せる。
双子の兄である春我と違い、多くを語るのは好きな方では無い為、よく勘違いされる部分もある。
だが自分に対して敵対する者には、絶対に相手が降参、または再起不能になるまで容赦がない。
幼い頃から兄の春我と共に肉体スペックが異常で、傷の治りも尋常ではない。
母親は病死、父親は行方不明との事。
エボルト「俺の名はエボルト。今日からお前の....相棒だ」
秋邏「......」
前回、地球外生命体エボルトと邂逅してしまった織斑秋邏。その彼は唯淡々として、エボルトに話しかける。
秋邏「...エボルト、っと言ったな」
エボルト「ああそうだ。こっちは名乗ったんだ、そちらも名乗ってくれても罰は当たらんだろう?」
秋邏「...そうだな。俺の名は
エボルト「秋邏...か、いい名前だな。それに俺のような存在と遭遇したにも関わらず、汗の一つも掻かず、怯え発狂せずにいるとは大物だなぁ」
エボルトの言う通り、仮に此処で秋邏以外の第三者がエボルトと遭遇したならば、間違いなく驚愕、悲鳴、恐怖したに違いないだろう。そんな中、エボルトと秋邏の会話が続く。
秋邏「...お前、俺の事を、
エボルト「ああ言ったぞ」
秋邏「...いきなり相棒宣言されても此方が困る。それにお前が何物なのか聞いていない」
これにエボルトはバツが悪そうに「しまった」っと言わんばかりに語る。
エボルト「あー、そいつはすまん。まぁ、端的に言うとだなぁ......俺は地球外生命体だ」
秋邏「...ようはただのエイリアンということだろう?」
エボルト「まぁな」
秋邏「...ならばそのエイリアンが何故に、相棒と抜かすのか聞きたいのだが?」
煙草を再び吸い始めながらに聞く秋邏。これにエボルトは若干イラッとしたが、これからのネメシスとの「ゲーム」に勝つためには目の前の男が必要なので堪えた。
エボルト「実はな.....」
エボルトは話した。ネメシスとのデスゲームの事を...。ただし勝てばこの世界を滅ぼす事に関して言わなかった。言えば間違いなく断られる、そう思った。
秋邏「....」
エボルト「どうだ?このままだと地球はネメシスの奴の手によって滅ぼされるぞ。だが俺と組めば、奴に勝てる」
秋邏「...どうやってだ」
エボルト「この俺が持つパンドラボックスと、そしてこの....」
彼が取り出したるは....赤・青・黄色を基調とし、レバーような物が付けられているベルトのようにも見える物体であった。
エボルト「この“エボルドライバー”を使えば、この世界でお前は無敵となる。どうだ?欲しくなったか?」
秋邏「.....」
これに秋邏は暫く黙っていたが、喫煙していた煙草がもう無くなりかけていた為、吸い殻を足下に落として足底で擦り付けて火を消し、再度エボルトへ視線を向き直して.........。
秋邏「........話しは終わりか?」
エボルト「........何?」
秋邏「...確かにそのエボルドライバーとパンドラボックスとやらが在れば、正に無敵なのだろう」
エボルト「ならぁ」
エボルトが反論しようと食って掛かろうとするが、秋邏が手を前に翳して止める。
秋邏「...だが俺は貴様と組む理由、並びにメリットがない。そんな状況で貴様と組んでも何の意味がない」
エボルト「だがなぁ「それに...俺には貴様が何かを重要な事を伏せているようにも見える」....例えば...?」
エボルトは内心、緊張しながら秋邏に問う。本来エボルトに感情と言う物が、心と言う物が無かった。しかし桐生戦兎のジーニアスボトルの力によって、彼の中で感情、そして心が芽生えた。
あの時は、自らの新たな変化に喜んだが、今になっては邪魔でしかない。
秋邏「...そうだな、例えば....“世界を滅ぼす”、とかか?」
エボルト「........」
秋邏の指摘にエボルトは黙ってしまう。秋邏の、全て凍つかせれるような鋭い黒い瞳に睨まれて、何故かどうする事も出来ないと錯覚してしまう。
そんなエボルトに秋邏は喋り続ける。
秋邏「...沈黙は肯定と見なす。そんな危険極まりない存在と手を組んでも、厄介事しか来ないのは明白だ。故に俺は断らせてもらう」
そう言って秋邏はエボルトに背を向け、診療所に戻ろうとする。しかしそこへエボルトが待ったをかけた。
エボルト「...待て」
秋邏「......何だ」
エボルト「お前見た所、医者をやっているのか?」
秋邏「....それがどうした」
エボルト「それにしては、診療所付近には生活する人間はおろか建物すら無い。なのにこんな何もない土地に住むなど、変わり者だと思ってなぁ....」
エボルトはわざと逆撫でするような口調で、自身に背を向けた状態の秋邏に問う。確かに彼の言う通り、周りに人口建造物がほとんど無いと言っていい。
しかしエボルトは、ある事を思い出した。
エボルト「....いや、そういえば在ったなぁ。
秋邏「.....」
エボルト「飛んでいる途中見えたがぁ....ここから近い所に教会がぁ...「黙れ」...ん?」
エボルトは秋邏の顔を見ると、その彼の表情が怒りに満ちていた。
秋邏「...次その薄汚い声を吐いてみろ.....コロスッ」
エボルト「...ほう」
彼の虚ろにも見える黒い瞳から放たれた殺意を受けた感覚が、エボルトの全身へと行き渡る。そうして秋邏は半ば会話を無理やり終わらせて、診療所に戻って行った。
彼の背を見つめているエボルトは1人呟く。
エボルト「....ハザードレベル120...か。まさかキレただけでこれほどに上がるとは、アイツは万丈以上の奴だなぁ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
秋邏「......」
診療所に戻った秋邏は、先ほどのエイリアン...エボルトの事を忘れようと思いながら、診療所に戻り、そのまま奥に向かう。彼の診療所は、自宅と一体となっているのだ。
そして自宅のリビングに入った秋邏は、リビングに居るであろう千冬に声をかける。
秋邏「...ただいま、千冬。いるのか?」
「ああ!もうちょっと待っててくれ」
どうやら彼女の声がキッチンから聞こえてくる。
秋邏「(何故キッチンから声が...。まさかアイツが料理を...いや無いか)」
すると.....。
千冬「すまない、キッチンを借りていたぞ。兄さん」
秋邏「......」
彼の視界に現れた千冬は、エプロンを身に着けていた。そしてその表情は恥ずかしげである。
秋邏「...お前、漸く家事が出来る様になったのか」
彼の言葉...まるで彼女が今まで出来なかったと言っているような口ぶり。だが実は事実なのである。
彼女は今まで家事や炊事が全然ダメダメだったのだ。
千冬「む!その言い方は何だ兄さん!私だって女なんだぞ。料理なんて出来て当然だ」
秋邏「...いやIS学園に居た頃、作って貰った奴が余りに酷かったのでな」
千冬「何を言っているんだ!その時、自分が食べる前に“大義の為の犠牲となれ”っと言って、春我兄さんに無理矢理食わせて保健室送りした秋羅兄さんが言う言葉か!」
秋邏「...そんな事があったな。懐かしい」
学園時代の懐かしい過去を思い出した。彼にとって最初、居心地が良い物ではなかったが、自分と同じく学園に入れられた兄の春我、千冬やオータム、他にも自分と関わった人間が居たからか、それが良くなった。
彼がそれに浸っていると....。
千冬「兄さん、兄さんっ!!」
秋邏「ん?ああ、すまない。で?何を作ったんだ?」
千冬「え、あ...そのオムライスを....作ってみたんだ」
彼女が指差す方へ見ると確かにオムライスがある、それもちゃんと2人分。
秋邏「...お前、一体どうやってこれほどまでに出来る様になったんだ」
これに彼女はモジモジしながら答える。
千冬「...えっと///...一夏や束や箒に教えて貰って...それで、ようやく///」
秋邏「...そ、そうか。頑張ったようだな」
千冬「っ///あ、ああ///頑張った///頑張ったんだ!兄さんに会える時に絶対にご馳走してあげたいって!」
顔を赤くしながらに言う千冬に、秋邏は彼女の頭に己の手を乗せて撫でてやる。
千冬「に///兄さん///」
秋邏「...いや、なんだ。頑張ったお前に撫でてやっただけのことだ。気にするな」
千冬「でも....嬉しい、嬉しいよ....兄さん///」
秋邏に撫でて貰っている千冬にとって最早至福の時と言ってもいい。
秋邏「...それよりも食べよう」
千冬「あ!ああ、そうだな!食べよう、兄さん」
秋邏「ああ」
そうして食事に入った2人。秋邏が食べる姿を見る千冬は、彼に味を聞いた。
千冬「どうだ?兄さん....美味しいか?」
秋邏「...ああ、美味い。よく頑張ったな千冬」
彼の賞賛に千冬は素直に喜ぶ。
千冬「本当に!?「ああ」よかったぁ...」
そうして無事に夕食は終わり、2人で皿洗いを一緒に始めた。その後ろ姿はまるで新婚夫婦と言っても過言ではない。
千冬「~♪」
秋邏「....」
隣で皿を磨く千冬は上機嫌だ。対する秋邏は、淡々と皿を洗い食器乾燥機に置く。そんな作業の中、上機嫌だった千冬が真剣な表情で秋邏に問いかける。
千冬「.....秋邏兄さん」
秋邏「...何だ」
千冬「明日案内してくれる場所に、兄さんがIS学園に来れない事情があるんだな?」
秋邏「...ああ、そうだ」
千冬「.....そうか」
秋邏「...詳しくは聞かなくていいのか?」
千冬「明日案内してくれるなら、聞く必要はないさ。だが....」
秋邏「...どうした」
千冬「...明日、その場所に行って、兄さんが来れない事情が私や学園側で解決出来るものなら、来てくれるか?」
彼女の眼差しが秋邏を捉え、離さない。
秋邏「....解決出来れば、の話しならば、な」
それに対して淡々と返して千冬の事を見ず、皿を洗い続けた。その後、後片付けを終わらした秋邏は、千冬に...。
秋邏「...千冬、風呂沸いてるから、先に入れ」
千冬「え、兄さん、は?」
秋邏「...俺は後からでもいい。今日ここまで来るのに大変だったはずだぞ」
千冬「いや、でも....分かった、なら甘えさて貰う」
彼女は、秋邏からバスタオルを借りたが、少しばかり黙って何かを思考し始めた。
秋邏「...どうした」
千冬「あの...ワイシャツとかあるか?」
秋邏「...何」
彼女は秋邏に、ワイシャツを要求し始めた。
秋邏「...在るには在るが、何故だ?」
千冬「そ、そのう....実は下着の変えは在るんだが、その....」
彼女が何を言いたいのか分かった。
秋邏「...お前まさか、下着の変えは在れど、今着ている服以外の変えは無いのか」
秋邏の問いに、彼女は無言で俯いたまま首を縦に振った。これには秋邏の反応は当然の溜息である。
秋邏「ハァ...千冬、何故にそういう....」
千冬「そのう...別に一日だけ、旅館にでも泊まれば浴衣があると思っていたし、だから.....」
秋邏「はぁ....分かった。ワイシャツ位寝間着に使っていい」
秋邏の了承に、千冬は驚きと嬉しさが入り混じった顔で聞く。
千冬「い、いいのか?!兄さん!」
秋邏「...ああ、いいから早く入ってこいっ」
千冬「あ、ああ!」
彼女は嬉々として風呂場へと向かって行った。その様子を見届けた秋邏は、片手で顔を覆う様にしながら三度目の溜息を吐いたのだった。
秋邏「....ハァ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
千冬「~♪」
風呂場から上機嫌な鼻歌が聞える。その鼻歌の主は、隅々まで自身の体を洗っている。その彼女のプロポーションは、全て女性が羨み、嫉妬し、そして全ての男からすれば、性の欲望を掻き立てる程の魅惑かつ艶美で、引き締まった体、くびれたラインがハッキリして、そして女性の象徴とも言うべき豊満な胸。
それらを兼ね備えた彼女は正に美の女神と言うべきだろう。
千冬「~♪」
そんな彼女にとって想い人である従兄、兄のような人の家でこうして一緒に居るのが夢ような気分なのだろう。
千冬「~♪.....兄さん」
鼻歌を途中止めた彼女は呟く。
千冬「....明日、IS学園に行くって言って欲しい、なぁ....」
そうして彼女は風呂場を後にし、洗面所にて彼から頂いたワイシャツを下着の上から着る。
千冬「あ...」
ワイシャツを着た瞬間、彼女は何かに気付いたようだ。
千冬「秋羅兄さんの...香りが、する」
そう彼女は自分が着た秋羅のワイシャツを.....。
千冬「///」
彼女は少しの間、彼の残り香を堪能することになった。
千冬「(はぁ///兄さん///)」
その時.....。
秋邏「...千冬」
千冬「きゃ!!に、兄さんっ!?」
洗面所の扉の外側から秋邏の声が聞こえてきた。それに反応し、可愛らしい悲鳴を上げる今の彼女は、ブリュンヒルデと呼ばれている世界最強の織斑千冬ではなく、1人の女性である。
千冬「どどどどどどどどっどうしたっ?!ににににににに兄さんっ!!」
秋邏「...いや、今日着た服を今夜中に乾かす必要が在るから、さっさと洗濯機に入れろと言おうと、な」
千冬「そそそそそそそそそそうかぁ!!わわっわわっわわわわわわかったっ!!!」
秋邏「...何を激しく動揺している」
千冬「な!なんでもない!!」
秋邏「.....」
彼女の返答を聞いた彼はそのままリビングに戻っていった。
見ていると、ある意味良い雰囲気、っと言えばと問われればそうなのやもしれない。その頃、外に居るエボルトは.......。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エボルト「はぁ~、全くあの野郎。明日になったらもう一度説得するしかないかぁ~、だがもしまたダメなら、石動の時の様に体を乗っ取ればいいしな」
そうしてエボルトは診療所の灯りが消えた事に気づき、自身も休眠に入る事にする。
エボルト「はぁ~、もういい.....寝よう........ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ」
診療所の近くの木の上で、睡眠を取るエボルト。しかし......。
???「......」
どうやら、エボルト以外にも秋邏を狙う者が居たようだ。しかしこの者、どうやらネメシスではないようだが...。
一体何者...なのだろうか?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌日
木の上で寝ていたエボルトは、秋邏と千冬が診療所から出てくると同時に起き、2人が移動すると間違いないと見て尾行を開始する。これに2人は気づいていない。
エボルト「うーむ、まさか昨日見た“教会”に向かっているのか?」
しかし2人を尾行していたエボルトであったが途中野犬と遭遇し、追われて尾行どころでは無くなった。
エボルト「だああああっ!!なんなんだぁー!!」
千冬「兄さん、何か聞えなかったか?」
秋邏「...気のせいだろう」
そんな小さな事をスルーし、千冬は秋邏の案内で、彼がIS学園に行けない理由が在る場所に向かっている。
千冬「秋邏兄さん、その場所っていうのはどういう所なんだ?」
秋邏「...付いて来れば分かる」
そう言われ暫く歩く事20分。その目的地に着いた。
千冬「ここは....」
彼らがたどり着いたのは、一件の教会であった。
千冬「秋邏兄さん、ここって教会、なんだが....」
秋邏「...ああ、教会だ。この教会に居る人たちが理由だ」
千冬「え?それって...「あー!秋邏センセーだぁー!」...え?」
第三者の声が聞こえる、それもまだ幼い子供の声。千冬はその声がした方角へ向くと....。
「「「「「「「秋邏センセー!!」」」」」」
10人は居る子供たちが、皆秋邏に向かって走ってきた。
「秋邏先生、今日は早いね!」
秋邏「...ああ」
「先生!俺ね、昨日先生に教えてもらった通りに問題を解いたら、100点満点だったんだよぉ!」
秋邏「...そうか、やれば出来るじゃあないか」
「先生、私ね!昨日シスターと一緒にカレー作ったんだぁ♪」
秋邏「...ほう、凄いなぁ。今度また作る時は、ご馳走してくれ」
「センセー、レナねぇー、イイこにしてたよぉ」
レナという幼子が、ピョンピョンと跳ねて秋邏に構って貰おうとしている。
秋邏「...おお、そうか」
秋邏がそう聞くと、レナという幼い少女はニコニコしながらに元気よく頷いた。
レナ「うん♪」
子供たちに接する秋邏は、何処となく優しい微笑を見せる。それを千冬までもが温かい気持ちに包まれる。
そんな彼女に気付いた子供の1人が、声を掛ける。
「お姉さん、誰ぇ?」
千冬「え?私は...」
「あー!分かったぁ!秋邏先生の恋人だぁ!」
千冬「えっ!?こここここ恋人ぉ!!?」
「お姉さんキレイ!すっごい美人!!」
千冬「え?!いやぁ....」
秋邏「フッ」
子供の対応が初めてだろう千冬は、困惑しながらも傷づけないように一生懸命である。それを見ていた秋邏は再び笑みを見せる。
そんな時、子供たちよりも遅く現れ、こちらにやって来る人物が1人。どうやら大人のようだ。
???「皆さん、秋邏先生を困らしたらダメですよ」
レナ「しすたぁー!」
トテトテと可愛らしい歩きで、シスターと呼ばれる修道女の服を着た女性に近寄るレナに、シスターは抱き上げて此方に近寄って来た。
シスター「織斑先生、おはようございます」
秋邏「...おはようございます」
千冬「お、おはようございます!」
秋邏に釣られるように、千冬も挨拶をする。それに対してシスターは千冬の顔を近くまで寄ってじっくりと見つめる。
シスター「ん~?」
千冬「あ、あのう....」
シスター「貴方は、もしかしてブリュンヒルデの、織斑千冬さんですか?」
千冬「あ、あのう、はい...」
シスター「やっぱりぃ!あ!すみません、私は此処のシスターを務めている黒江愛紗といいます」
シスター愛紗は丁寧にお辞儀をし、それに千冬は慌てながらに頭を下げるのだった。
千冬「よ、よろしく!」
「え!お姉さん、あの世界最強の人?!」
「スゴォイ!」
「カッコいいー!」
千冬に対して、その場に居た子供たちは大いに騒いだ。だがそれを秋邏によって鎮められる。
秋邏「...お前達、いつまでもシスターや、お姉さんを困らすんじゃない」
「「「「「「はーい」」」」」」
彼らが返事したのを確認したシスターが...。
シスター愛紗「それでは皆さん。教会の学び舎に戻ってください。織斑先生に宿題を見せなきゃですよぉー」
「「「「「「はーい」」」」」」
秋邏「...出来なかった奴は居ない筈だな?もし居たら作文10枚の罰だぞ」
「「「「「「えー!」」」」」」
皆が叫ぶ中、シスターに抱っこされているレナが手を上げて声を出す。
レナ「レナもぉー!しゅくだい、やったよぉ」
秋邏「...そうか、偉いぞぉ」
秋邏はレナの頭を撫でてやり、彼女も嬉しそうに頬を赤く染める。
レナ「えへへへ///」
レナを撫でてやってると、他の子供たちが秋邏に教室に行くよう急かす。
「先生!早く行こう!」
「勉強教えて!」
「早く早くぅ!」
秋邏「...分かったから....千冬すまない。終わりまで待っててくれ」
千冬「ああ!分かった。待ってるから、兄さん」
子供たちと共に秋邏が教会の方へ歩いて行く。それを見届ける千冬に、シスターから声をかけられる。
シスター愛紗「兄さんっと呼んでましたが....」
千冬「ああ!いえ、私と彼は従兄妹なんです」
シスター愛紗「ああ!そうだったんですか。秋邏先生には、私達いつも助けられっぱで、本当に感謝してます」
千冬「そうだったのですか...あのう、ここはまさか....」
千冬の聞きたい事が分かったのか、シスターは複雑な表情で答えた。
シスター「はい....ここは身寄りのない子供たちの拠り所なんです。ここの子供たちは皆、親に捨てられたり、親を事故で失ったり....最近ではISの登場で、仕事を失い家族に酷い虐待をする父親から逃げるように、家出とかしたりする子もいます」
千冬「そう...なのですか」
この時千冬は、昨日秋邏に言われた言葉を思い出す。
『ISの所為で大勢の人間たちの人生が滅茶苦茶になって破綻してしまっている。それに関してお前と束は、どういう気持ちで居るんだ?』
千冬「......」
シスター愛紗「あのう...織斑さん?」
千冬「あ!いえ!何でも....ありません」
千冬の重苦しい表情に、シスターに抱っこされているレナが声をかける。
レナ「おねえちゃん」
千冬「...?」
レナ「にぃー」
千冬の前でニコッと明るい笑顔を見せるレナ。これに千冬は「え」っとなるが、次にこの少女はこう言う。
レナ「あのねぇ、あきらセンセーがねぇ、かなしいときはわらったほうがいいって、いってたよぉ」
千冬「兄さん...が?」
シスター愛紗「秋邏先生、自分は余り笑わないのに、ここの子供には必ず言っているんですよ。ねー」
レナ「ねー」
シスターの話しに、千冬は微笑で言う。
千冬「ほんと....自分は余り笑わないくせしてそんな事を言うなんて、まったく.....フフッ」
シスター愛紗「そうだ!良かったら秋邏先生の授業風景を見てみますか?」
千冬「え?いいんですか?」
シスター愛紗「はい、全然構いませんよ。どうですか?」
シスターの申し出に、千冬は頷いた。
千冬「はい、是非!」
シスターと共に、千冬は教会の中に入る。
シスターの案内の中、千冬が口を開く。
千冬「何故医者である秋邏兄さんが、子供たちの勉強を教えているんですか?」
シスター愛紗「実は...」
シスターは徐にレナを見る。
シスター愛紗「キッカケは、この子が酷い熱を出した時でした」
内容はこうだ。ある日、レナが突然高熱を出して苦しんでいた。シスターは近くの病院を駆け巡ったが、何処も診てくれる者など居なかった。そんな時、シスターが居ない間に他の子供たちが、教会の近くに秋邏が居る診療所の存在を知って助けを求め、それを聞いた秋邏本人も了承して治療用意を済ませてレナを助けた。
シスターが急いで戻って来た時には、熱がすっかり良くなった。そんな大事が収束した事で皆安心した後、此処の事情を聞いた秋邏が子供たちの授業を教えると提案し、シスターや子供たちはそれを受け入れた。
千冬「.....そうだったのですか」
シスター愛紗「はい。今では皆、秋邏先生のお陰であんなに元気で....その前は余り陽気に外で遊んだりとか無かったんです」
千冬「それは...子供たちが受けてきた過去の所為、ですか?」
シスター愛紗「はい、皆今とは違って、暗かったんです。でも!秋邏先生が来てからは...」
子供たちの事を語るシスターの瞳からは涙が出ていた。彼女が此処の子供たちの事を、どれだけ愛しているのかと言うのが千冬から見ても理解出来た。
話しをした後、千冬は秋邏が行う授業風景を見ていた。皆嬉々として聞いて頑張っている。それに秋邏の方も何処となく子供たちと接しているのが嬉しい様に見える。
千冬「(兄さん、凄いな....やっぱりこれでは一緒にIS学園には....)」
こんな賑やかで幸せな光景を見せられては、秋邏を連れて行く事は出来ないと感じる千冬。その時、シスターが近寄って来た。
シスター愛紗「織斑さん」
千冬「は、はい」
シスター愛紗「あの、少し二人でお話がしたいので宜しいですか?」
千冬「え?でもレナちゃんは?」
シスターが先ほどまで抱っこしていたレナは今、自分の事をいつも面倒を見てくれる女の子たちの傍で、一緒に秋邏の授業に参加しているようだ。
シスター愛紗「レナはまだ小さい子ですが、いつも面倒見てくれる女の子と居るので大丈夫です。それに目の前には秋邏先生が居ますし」
千冬「分かりました....兄さん、今からシスターと話が在るから」
秋邏「...そうか、分かった」
秋邏の返答を聞いた2人は教室を後にし、シスターと共に教会へと向かった。そんな時、外には何者かの影が、どうやらエボルトでは無い様だが....。
???「....」
その者、何処か仮面ライダービルドの世界に存在していたブラッドスタークに似ているが、違うのはコブラではなく、サメのような意匠を思わせるデザインを持った怪人。
黒いバイザーに覆われた頭部。
左手には嘗てブラッドスタークやナイトローグが所有していた“トランススチームガン”
???「ふぅむ、此処にアイツが...か」
その声はまるでテレビとかでよく聞くモザイク音声のように低い。次にバイザーが光り、怪人の視界に映る教会が、透けて中の状態が見える。そこには通路を歩くシスターと千冬。
???「いやぁ、違うなぁ....うーん、ん?おぉ♪居た居たぁ♪」
千冬たちが来た方向へ視点を向けると、そこには子供たちと一緒に居る秋邏であった。それを見て謎の怪人は喜ぶ。
???「ハハハッ、みーけった♪で、どうやってアイツを
何かよからぬ事を考えた怪人は、姿を消す。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
千冬「それで...話しとは?」
シスター愛紗「あの、織斑さんが来られたのは...秋邏先生をIS学園に連れて行く為、ですよね...?」
私に、不安げに問うシスターに隠す事は出来ないと思い...。
千冬「はい....その通り、です」
私も複雑な面持ちで答えた。
シスター愛紗「やっぱり、ですか。以前、貴方の弟さんがISを動かしたというニュースを見て、“嘗ての秋邏さんの時”と同じくIS学園に行くのは分かってました。きっと秋邏さんに誰かしらの接触が在るのも....」
彼女の言葉に直ぐに違和感が湧いた私は問いかける。
千冬「“嘗て”って...すみませんがシスター、貴方は秋邏兄さんとは、ここで出会ったのでは...?」
これにシスターは首を左右にゆっくりと振って答えてくれた。
シスター愛紗「いえ、実は私もIS学園を卒業した者です。貴方や秋邏先生とはクラスが違いますが...」
千冬「そうだったのですか!?」
まさかシスターが私と同じIS学園のOGだったとは....。
シスター愛紗「はい。当時は遠目で見ていても、違う世界の人って感じで近寄れなかったんです....でも」
千冬「!」
シスター愛紗「私はそれでも、見ているのが好きだった」
それを語るシスターの表情は幸せに染まっている。それを見た私は「もしかしたら」と思い、シスターに尋ねた。
千冬「もしかして...シスターは、愛紗さんは、秋邏兄さんの事を....」
彼女は私の問いに対して、肯定するように頷き答えてくれた。
【イメージBGM:仮面ライダー龍騎BGM:クライマックス10】(YouTubeに上がってますが、この曲がどういう物かを知っている方は居ると思います。お手元に龍騎のCD-BOXが在れば、この曲をリピートで聞いてみてください)
シスター愛紗「はい、好きでした。今でもその想いは消えていません.....助けて貰ったんです。その時から」
千冬「助けて貰った?一体」
シスター愛紗「...私、小学生の時から剣道ばかりしていて、碌に友達も作れませんでした。それが中学でも続き、IS学園に来てもそうでした。まぁ、その当時の私がいけなかったのですけどね」
千冬「それはどういう...」
シスター愛紗「強くなりたかった...誰よりも強く...強くなればきっと、周りが見てくれると勘違いしてたんです。それがいつしか歪に傲慢になって.....それが周りの人たちにとっては嫌な物だったようで、直ぐに虐めの対象なりました。でもそこへ.....」
千冬「秋邏兄さんが.....助けてくれた」
シスター愛紗「はい。どうすれば良いか分からず自暴自棄になっていた私を、彼が救ってくれた。そして彼にこう言われたんです...“辛い時こそ顔をあげるんだ。地べたに希望は転がってないぞ”って...」
千冬「兄さんらしい...」
シスターの話しに私は感慨深く聞いた。秋邏兄さんはいつも何だかんだ言って、キツイ事や冷たい事を平気で言う人だけど、でも最後には必ず助けてくれた。周りに兄さんの事を恐がったりする者が居て、兄さんの事を悪く言う者も居た。
でも....それでも兄さんは、決して誰かを助けないなんて絶対にしない人だった。そんな兄さんだから、私も好きになったんだ...きっと。だからシスターも...。
シスター愛紗「....でも」
千冬「シスター?」
彼女の表情が悲しい物へと変わる。
シスター愛紗「でももう、これ以上あの人を此処に縛り付けるのは良くないと言う思いが、いつしか心の片隅に生まれてました.....だからもう、秋邏さんには広い場所に戻って欲しいんです」
そんなぁ!!...私は“兄さんにIS学園に来てほしい”“傍に戻って来て欲しい”という思いを忘れて、シスターの言葉に納得出来ず食って掛かってしまった。
千冬「何故!?貴方は兄さんの事を想い続けてきた筈?!なのに...!!」
しかしシスターの返答は変わらなかった。
シスター愛紗「いいんです...この沖縄で、この場所で、あの人と同じ時間を共に居られただけでも、十分幸せ過ぎる程の思い出を貰いました.....だからもういいんです」
千冬「兄さんは....貴方の事を覚えて....?」
シスター愛紗「.....きっと覚えていると思います。以前にも会いませんでしたか?って聞かれた時は焦りました。「どうして!?その時に言えば良かった筈!?」....ううん、もういいんです」
そんな切なそうに言わないで....どうして....。
シスター愛紗「....織斑さん、いえ...千冬さん」
千冬「はい」
シスター愛紗「秋邏さんは、私が説得します。そしてあの人とIS学園に戻った時に、こう伝えてください」
千冬「はい、約束します」
シスター愛紗「私は..............」
その言葉を聞いて、私の心に深く辛い痛みが走る。私以上に、こんなにも秋邏兄さんの事を想って...。
千冬「分かりました....必ず秋邏兄さんに伝えます」
私は心から誓った。それにシスターは微笑を見せて「良かった」っと言って安心してくれた。
???「いやぁー、正に聖母の鏡だねぇー。思わず俺、涙が流れたよぉー、ガチで...ハハハッ」
2人「っ!?」
私とシスター以外の声が教会内に響いた。そしてその方へ向くと、人間ではない者が参列席に寛ぐ様に座って居た。
この時の私は知らない、秋邏兄さんが背負う悲しき宿命を....。
???「感動的だったよぉー、だが.........無意味だ。フハハッ♪」
そして今....秋邏兄さんの穏やかな日常が....終わろうとしている。
今回も話しが酷過ぎてすいません。ですがどうかこれからも、寛大なお心でよろしくお願いいたします。
それではまた....。
次回....生誕