狭いMSのコックピット内に若い女性の鼻歌が響く、彼女は足にネイルを施していた。
「それにしても・・・早く食べたいなーアレ。茹でたエビみたいですっごい美味しそう!」
彼女の乗るMSのモニターの一部には下方から映し出されたイサリビがいた。
しかしイサリビを茹でエビみたいで美味しそうとは、なかなかユニークな発想だと思うのだが・・・
◆◇◆
一方実際にソロモンで照り焼きになったマサキはというと。
『人の船を勝手に乗り回しやがって!!この泥棒ネズミが!!!』
誰かと思えば真っ先に敵前逃亡かましたシャチョサンじゃあねぇすか、今更どの面下げて通信してんだ。
取り合えずユージンに社長と全然成立してない会話に勤しんでもらっている間にフミタンに何処から通信しているのか探ってもらった。
「方位180度、距離6200。相対速度ほぼ一致してます。」
うん、間違いなく付けられてるね。
少なくともレーダーに探知されずに後をつけることが出来る技量の持ち主ということ、ミノ粉も無しに良くやるもんだ。
すると画面が切り替わり、汚い社長から白スーツに長髪のオシャンティー男が現れた。
彼の名前は名瀬・タービン。
タービンズという組織の代表で、彼曰く敵前逃亡社長とは仕事で付き合いがあり久しぶりに火星に来た際に偶然再会。
GFと揉めていたので「俺ら」の力で手出しできないようにしてやると言ったらしい。
タービン・・タービンズ・・名瀬・タービン・・・なんか聞き覚えが・・・
「タービンズって言うのは木星圏のトップのテイワズ直参の組織で、名瀬はそのテイワズのトップであるマクマード・バリストンと親子の盃を交わしているらしい。」
オイオイオイヤクザだわこいつ。
で、GFを何とかする代わりにCGSの全てをタービンズで預かるという事で話がまとまったのだがご存じの通りCGSを潰して鉄華団となっている、がGFの戦闘を見ており実力は折り紙付き、資産を返上してくれればタービンズ傘下で真っ当な職を斡旋してくれるという。
これもう勝ち確じゃね?安全な職も住処も全部手に入れられるんだ。こいつはこれ以上ない俺達の上がりじゃねぇのか?
名瀬さんは大所帯だから今後は鉄華団全員が一緒に居られるわけでは無いと言ったが、そんなもん予定を合わせて集まりを開けば済むことである。
「俺は皆がバラバラになるのは嫌だな」
いきなり何言ってんすか三日月ィ!!!このままだと宇宙で皆が四肢がバラバラになって死ぬ可能性があるんだぞ!?
「悪いがタービンさん、その話には乗れねぇ」
「オルガァ!?」
「俺達にはお嬢さんを地球まで送り届ける仕事がある、いま途中で投げ出す訳にはいかねぇんだよ」
そんなん名瀬さんに任せりゃ良いじゃねぇか!!
と思ったら、お嬢さんはマルバの資産扱いらしい。
オルガはフミタンに何か言いたげに目を向けるが、フミタンは黙ったままだった。
今度はビスケットがタービンにGFに気づかれないようにクーデリアを送りたいのでGFに会わないような航路を案内してほしいと頼んだが・・
「火事場泥棒で組織を乗っ取ったガキがいっちょまえの口を利くなっ!俺はな、さっきから道理の話をしてるんだよ!」
「道理ってのは物事の正しいすじみち、人として行うべき正しい道という意味であって敵前逃亡した奴の肩を持つ奴が言う事かぁ?」
「そうだ、俺らを見殺しにした腰抜け野郎とは取引しといて、それを言うか?」
「あんな野郎より下に見られてるってのは面白くねぇ・・・!」
「じゃあお前らどうすんだ?ガキじゃねぇってんなら、俺を敵に回す意味くらいわかってんだろうな?」
「・・・さっき言った通りだ。あんたの要求は飲めない、あんたの要求がどうだろうと、俺たちにも通さなきゃいけねぇ筋がある」
「それは・・・俺たちとやり合うって意味でいいんだよな?」
「ああ・・・俺たちがただのガキじゃねぇってことを教えてやるよ。マルバ!てめぇにもな」
「お前ら、生意気の代償は高くつくぞ」
◆◇◆
どうもマサキ・サヤマです。敵前逃亡社長を匿うヤクザに喧嘩吹っ掛けられたのでただいまハンガーに急行中です。
整備班を潜り抜け人蹴りでザクに乗り込み起動する。
「よぉし、昭弘、マサキ、三日月の順で出るぞ!」
カタパルトにて射出される昭弘のグレイズ。続いてザクが射出される。そして最後にバルバトス。
「三日月、昭弘!敵は2機、なぜかは余り知らんがこのザクは敵のレーダーには映りにくい!自分はこれから敵艦に接近し艦橋及びエンジン部を叩き無力化する!」
「「了解!」」
「さあ・・・狩りの時間だ。ヤクザ共・・」