艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

1 / 141
降りつける雨の中を一人の少女が走っていた。長い茶髪を揺らしながら何処に向かうわけでもなく走っていた。髪と同じ色の瞳には光がなく、ただただ道の先を見つめる。
「はぁはぁ」
少女は逃げたかった。何かから逃げたかった。しかしそれが何なのか、もはや少女にはわからなかった。そして…

バタッ

少女は道に倒れ、そのまま意識を手離した。


EP1 出会いの日

キーンコーンカーンコーン!

学校の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。生徒たちはそれぞれこの後のことを話していた。部活に行く者、下校する者、それぞれであった。

ここは私立暁学園(しりつあかつきがくえん)。別にガンダムSEEDDestinyのアカツキガンダムに関係があるわけでも、駆逐艦暁に関係しているわけでもないがこういう名前なのだ。この学園にも数人の艦娘が入学しており、中等学部1年2組の窓側最前列に座っている茶髪の少女(いなづま)もその1人である。引っ込み思案で、ちょっとのことで驚いてしまうが心優しい元艦娘である。電は椅子に座ったまま俯いていたが、やがて何かを決心したような顔で教室を出て行った。

廊下をビクビクしながら歩く電。すれ違う生徒たちが不思議そうに通り過ぎる中、電はゆっくりゆっくり歩を進めていた。

「はわわわ…と、遠いのです…」

電が目指している場所。そこは別に1年2組の教室から遠くはない場所であった。中等部校舎の裏手に存在する小さな小屋がそうである。ちなみにこの小屋、1年2組の教室の窓から見えているので窓から出れば10秒で着いてしまう。それでも電はゆっくりゆっくり歩みを進め、小屋の入り口前にたどり着いた。しかし電は相変わらずビクビクしたままで扉を開けようとしなかった。両手を自分の胸の前で握りしめてしばらく立ち尽くしていた。そしてゆっくりと右手を扉に伸ばした。

ところ変わって数分前の小屋の内部。そこには2人の少女がいた。アホ毛のある焦げ茶色の髪を三つ編みにして茶色とオレンジ色の髪留めをした青い瞳の少女と、髪の先が少し赤みがかった長くて白い髪に黒いリボン、真っ白のマフラーをまいた赤い瞳の少女だ。部屋の中には大きなガンプラバトルができる装置と、プラモデルの組み立てができるブース、人1人が寝っ転がれるような大きなソファがあった。そんな時、白髪の少女が口を開いた。

「新入部員来ないっぽいね~時雨」

時雨と呼ばれた焦げ茶色の髪の少女。彼女もまた元艦娘である。白露型(しらつゆがた)駆逐艦の2番艦で自分のことを「僕」と呼ぶ少し変わった物静かな少女である。そんな彼女も戦争終結で退役し、暁学園に通っている。

「仕方ないよ。僕たちの部活、そんなにすごい活躍もしてないからね…それはそうと夕立…」

「ぽい?」

夕立と呼ばれた白髪の少女。彼女も元艦娘である。白露型駆逐艦の4番艦、人懐っこく語尾や自分の言葉のほとんどに付く「っぽい」が口癖の少女だ。

「そろそろ勧誘に行かないかい?いつまでもここにいても仕方ないと思うんだ」

「え!お散歩に行くっぽい!?」

「散歩じゃなくて部員勧誘だよ夕立。まあ、散歩も兼ねて行こうか」

「了解っぽーい!」

ソファから夕立が飛び上がって歩き出した。それに続いて時雨も扉へ向かった。そして、夕立が扉に手を伸ばした。

 

そして、扉が同時に凄い勢いで開いた。ビシャンッ!ととてつもない音をたてた。

「はにゃぁぁぁー!?」

突然の出来事に電は、今学期最高の絶頂ビックリをした。そして―――

「おっさんぽ、おっさんぽ~!」

飛び出してきた夕立と正面衝突。電は衝突の反動でその場に尻もちをついた。そして、電の絶叫と、衝突の衝撃に気付いた夕立がキョロキョロと辺りを見回した。

「ぽい?」

絶叫を聞きつけて時雨が慌てて夕立のもとに駆け寄る。

「どうしたの夕立!?凄い声が聞こえたけど!」

「何かにぶつかったっぽい」

「え?」

時雨が前を向いたときそこには半泣きになりかけの電が座り込んでビクビクオドオドしていた。

「ん、君は?」

それが3人の出会いであった。

 

続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。