艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
港湾基地の一角。基地施設に囲まれた場所に3機のガンプラが集まっていた。電のイナヅマガンダム、時雨のガンダムレインバレット、夕立のユニコーンガンダムナイトメアだ。どうやら、時雨を中心に作戦会議をしているようだ。本来作戦会議は、試合前に行うものであるが今回は事前の作戦会議を出来なかったためにこのようなことになっているのだ。
「電。君は天龍先輩たちと戦うのは初めてだから先に言っておくね」
「え?」
時雨が作戦会議を開くにあたり、電に忠告を告げた。
「天龍先輩、龍田先輩、木曾先輩の機体は格闘戦にかなり強いセッティングがされているんだ」
「…コンピューター戦みたいに突撃するとやられてしまうということですか?」
「察しがよくて助かるよ。だからまず―――」
「夕立が先行して天龍たちの注意を引くっぽい!」
夕立が元気よく囮を引き受けることを告げた。時雨は夕立の言葉に、やれやれとため息をつくも自分の考えていた作戦を見事に言い当てた夕立に、流石だねと心の中で呟くのだった。
「そこに僕が狙撃を加えて撃破していくのが今回の作戦だ。電?」
「はい!」
「君は先行する夕立を援護してあげて。僕は単独で狙撃ポイントに向かう」
「電ちゃん。夕立の援護、しっかりお願いするっぽい!」
電は自信に満ちた顔で、なのです!と言ってみせた。その顔を見た時雨は、しっかりと頷くと―――
「じゃあ、作戦開始だ!」
3機のガンプラはそれぞれの戦場へ向かった。
バトルシステムが作り出したフィールドの端、そこにそびえるひと際背の高い倉庫に時雨のレインバレットは近づいていた。ここに来るまで基地のいりくんだルートを進んできた時雨は接敵することなく、割とスムーズにこの場所にたどり着いていた。
「周囲に敵反応はない、か…よし!」
倉庫の目の前に立っていたレインバレットはスラスターを使ったハイジャンプで倉庫の屋根に飛び移った。そして、シールドを倉庫の屋根に打ち付けシールドの上部にある窪みに長銃身のロングバレルビームライフルをセットした。ジェガンのシールドから作られているこのシールドはバイポットとしても使用できるように上部に窪みが付いているのだ。狙撃ポイントに到着した時雨は夕立たちに連絡を入れる
「こちら時雨。狙撃ポイントに到着したよ」
「こちらも予定ポイントに到着したところなのです!」
夕立と電は基地施設の一角で臨戦態勢に入っていた。
「時雨、了解っぽい!電ちゃん、行くよ―――」
夕立が攻撃を仕掛けようとしたその時だった―――
「っ!?」
時雨の操縦スペースにアラートが鳴り響き、黄色い閃光がレインバレットに向かって飛んできたのだ。それに気づいた時雨は、バックパックにアームで接続された大型シールドで受け止めた。爆発が機体の周りを覆う。その爆発は夕立と電のいた場所からもハッキリ見ることが出来た。突然の攻撃に戸惑った夕立は、時雨に大声で呼びかけた。
「時雨!時雨!大丈夫っぽい!?」
「…大丈夫だよ夕立」
「良かった~」
しかし喜ぶ夕立にもそれは飛んできた。
「ぽいっ!?」
今度はオレンジ色の閃光だった。慌ててそれを避ける夕立のユニコーンガンダムナイトメア。機体の態勢を立て直すと閃光の飛んできた方向を向いた。夕立が見たのは紅い胴体が腰から浮き上がった1つ目の機体と、ビームの刃を持つ薙刀を構え右腕に巨大なドラゴンハングを持つ黒い機体だった。
「あの機体は!」
「そう、天龍様だ!驚いたか夕立とちんちくりん?」
夕立と電の操縦スペースに天龍の声がこだまする。その声を聴いた夕立は背中に装備されている2本のエクスカリバー対艦刀を抜き放ち、大声で天龍に返事をした。
「さっきの貸し、100倍にして返すっぽい!」
「おい!オレの質問無視すんな!」
「夕立、突撃するっぽいー!」
そう言うと、夕立はユニコーンガンダムナイトメアのスラスターを全開にすると赤い1つ目の機体目掛けて突撃を開始した。
「ちょっと夕立さん!」
慌てて電が後を追った。一方の天龍と龍田は―――
「天龍ちゃん~あなた、どっちを相手にするのかな~」
「夕立に決まってんだろ!…と、言いたいところだが」
天龍はちらりと、イナヅマガンダムを見た。そして言った。
「あのちんちくりんの実力を見せてもらおうじゃねぇか。龍田、夕立の足止めを頼めねぇか?」
「了解だよ~それじゃ、先に行ってるからねぇ~」
そう言うと、龍田の駆る黒い機体「ガンダムドラグノフィア」は先行していった。それに続いて天龍も自分の愛機である「リヴァサーゴ」の胴体部を元に戻すとスラスターを噴かしイナヅマガンダムに迫った。
「見せてもらおうじゃねぇか…新入部員の力ってやつを!」
その頃、爆煙から出てきた時雨のレインバレットは体制を起こして周囲の確認を行っていた。
「さっきの攻撃は…」
レインバレットの頭部を左右させていると、再び黄色い閃光。いや、黄色いビームがレインバレットに迫った。
「くっ!」
時雨はレインバレットを飛翔させ、ビームを回避してビームが飛んできた方向にロングバレルビームライフルを構えた。そこに再度ビームが放たれた。それを空中ローリングで回避した時雨は操縦桿の引き金を引いた。
「見つけたよ!」
桃色の収束されたビームがビームの発射地点に向けて放たれた。それは、狙いたがわずの場所に直撃した。そこに爆煙が立ち昇ると、そこからビームライフルを撃ちながら急接近してくる機体を時雨は目撃した。背中にあるX字のスラスターと二振りの剣そして、黒マントを羽織った額にドクロレリーフが刻まれた黒と紺色の機体。
「相変わらず、いい狙撃のセンスだな時雨…だが!」
「あ!」
時雨は慌てて空いていた左手で背中にマウントされたビームサーベルと抜き放った。それに合わせて黒い機体もビームライフル「ザンバスター」を分割し、銃身を左手に持ち替えてライフルのストックとなっていた部分から
「近接格闘戦を疎かにし過ぎてるな!」
「クッ!木曾先輩の機体…やっぱり凄いパワーだ」
木曽の駆るガンプラ「クロスボーン・ガンダムバーストX1」のパワーに徐々に圧倒されていく時雨のレインバレット。
「その程度なのか時雨?なら俺が、本当の格闘戦ってやつを教えてやるよ!」
大きく振り払われたクロスボーン・ガンダムバーストX1のビーム・ザンバーの勢いに押され、レインバレットは基地の地面に激しく叩きつけられた。
「うわっ!」
しかし、時雨はすぐにレインバレットを立ち上がらせるとスラスター全開でロングバレルビームライフルを撃ちながら後退していった。
「それで逃げたつもりなのか!?」
(クッ、夕立たちと合流しないと!)
分割した銃身部分であるピストル型のバスターガンを撃ちながらクロスボーン・ガンダムバーストX1がレインバレットを追った。
夕立のユニコーンガンダムナイトメアは抜き放ったエクスカリバー対艦刀を振り回しながら龍田のガンダムドラグノフィアと戦っていた。しかし、ユニコーンガンダムナイトメアの放つ攻撃をドラグノフィアは易々と避していた。
「うー!なんで当たらないっぽいー!?」
「そんな攻撃当たらないわよ夕立ちゃん?ほらほら、どうしたのかしら~?」
「ぽいー!!」
自棄になった夕立は対艦刀を大きく振りかぶってそれを上段からすさまじい勢いで振り下ろした。しかし、それを読んでいたかのように龍田はスラスターを少しだけ噴かしてサイドステップで回避すると、通り過ぎ際にユニコーンガンダムナイトメアの足を払った。
「あっ!?」
足を払われたユニコーンガンダムナイトメアは盛大に転倒、慌てて起き上がろうとした夕立はユニコーンガンダムナイトメアを反転させた。しかし、夕立の目にユニコーンガンダムナイトメアの喉元に突き付けられたビーム刃が映っていた。
「まだまだねぇ~夕立ちゃん」
「ぽい~」
一方その頃、電はというと―――
「おいおい、もう終わりかちんちくりん?」
天龍の駆るリヴァサーゴに圧倒されてしまっていた。ビームライフルも破壊され、ビームサーベルで何とか応戦するが、完全に天龍の手玉に取られていた。
「まだ、まだ電は戦えるのです!」
電は大声で叫ぶと、イナヅマガンダムのスラスターを全開で噴かしリヴァサーゴに迫った。右下段から左上段へ斬り払われたイナヅマガンダムのビームサーベルはしかし、リヴァサーゴを捉えられず大きな隙を作ってしまった。
「動きが単調だ!」
イナヅマガンダムの攻撃をギリギリのタイミングでバックステップで避けた天龍はすかさず反撃を加えた。強烈な飛び蹴りがイナヅマガンダムの胴体を捉え、吹っ飛ばす。そしてイナヅマガンダムは、基地施設の壁に叩きつけられた。
「ううう…」
「勝負ありだなちんちくりん?」
電は負けを認めようとしたその時だった―――
ピーピーピーピー!
バトルをしている6人の操縦スペースに接近警報が鳴り響いた。
「なんだ!?」
「接近警報なのです?」
「方向は…海の方っぽい」
「え?そっちのは誰もいないはずよ?」
「僕たち以外にバトルはしていないよね?」
「ああ。それじゃあ…」
接近警報はフィールドの果てに広がる海のほうを示していた6人と6機のガンプラが一斉にその方向を向いた。
あのガンプラは、いったい何なんだ――――
フィールド内の時間が進み夕陽に照らされる海の上。夕陽を背にしてそこに1機のガンプラがいた。
続く