艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
深海たちが敵艦隊を壊滅させてから数分後、戦場に出現した大量のジムとボールは殲滅された。
「Battle Ended! Mission Completes!」
バトルシステムがシャットダウンされ、バトル台の上に47機のガンプラとネェル・ミネルバが鎮座していた。そして、かつてない大規模戦闘を体感したファイター全員が息を整えるのに必死だった。
「はぁ…はぁ…何とか、切り抜けたわね」
「ゼェゼェ…こっちも何とか…大丈夫ですかビスマルク姉さま?」
「ま、まあね…」
「流石のビスマルクも、堪えるか…まあ、この長門もだがな…」
約数人を除いて
「深海!どうだったかな、私の戦闘は!」
「いいと思うぞ。あとは、慣れていけばいい…」
「そっか!そう言ってもらえると、お母さん嬉しいな!後でギューってしてあげる!」
「いや、いいから……深空も、よく頑張ったな」
「う、うん!ありがとう…深海兄ぃ……」
「良かったね深空!深海に頭なでなでしてもらえて!」
そのメンバーを見て、やはりあの人は色々と化け物なんだ。とビスマルクは思うのだった。すると深海が、全員の前で大声で告げた。
「初訓練、みんなご苦労だった!これからもこういう訓練を行って行くつもりだ。今日はゆっくりと休んで、明日からの英気を養ってくれ!片付けは妖精に頼んであるから、機体を回収して解散してくれていいぞ!」
そう言うと、いろんな服装をした小さな小人が体育館の入り口から現れた。戦時中から、艦娘たちや鎮守府の運営を陰で支えていた「妖精」である。妖精たちは一度深海の足元に集合すると、指示を仰ぐように深海を見上げた。深海はコクリと頷くと妖精は一斉に散開、一つに纏まっていたシステム台を力を合わせて元の位置に戻していった。それを見て、深海と空母水鬼以外のメンバーは、最初からこうしておけばよかったじゃん。と思わずにはいられなかった。
その夜
鎮守府の本庁舎、旧執務室に深海一家は集まっていた。依然として、緊張は解けない現状ではあるが深海は久しぶりの平穏な夜を過ごしていた。深海は戦時中に家具屋で購入したクッション付きのチェアに座り、窓から見える星空を眺めていた。チェアをゆらゆらと揺らしながら、傍にある台に置いてある時雨が淹れてくれたミルクココアを一口すする。
「なんかなんかなんか!おとーさん、お爺さんみたい!」
「………!」
それを見ていた部屋のちょうど真ん中にあるソファーに座っていた雨葉が言った。白も、それを肯定するように、首を何回も縦に振っていた。
「何もやることがない時、仕方ない」
「うん。お父さん、いつも色んなこと考えているからね。仕方ないよ」
「聞こえてるぞ~」
「聞こえるように雨葉は言ったんだよー!」
深海は、フッと小さな笑みを浮かべココアをもうひと口あおった。すると、秋雨と梅雨葉もクスクスッと笑った。すると、秋雨が深海に尋ねた。
「そう言えばお父さん。なんで秋雨たちのナラティブガンダムE装備を、AB装備に使ったの?あれが無いと、秋雨と梅雨葉…バトル出来ないよ?」
「梅雨葉も思った。梅雨葉のガンプラ、何で使ったの?」
その言葉を聞いた深海は、しばらく何も答えなかった。しかししばらくして、深海は台にココアの入ったコップを置くとゆっくりと立ち上がり、4人の元に歩いていった。そして、ソファーの空いていたスペースに座り、語りだした。
「お前たちのガンプラを母さんに使わせてしまった事は謝る。すまない、秋雨、梅雨葉、雨葉、白……」
「ううん。その事は怒ってないよ?」
「うん。梅雨葉も」
「雨葉も雨葉も雨葉も!」
「……!」
「そうか…ありがとうな」
深海は笑みを浮かべながら感謝を述べた。秋雨たちも、深海の浮かべた笑みを見て小さく笑う。そして、深海は言った。
今回の戦いに、お前たちは連れていかない
その言葉に部屋は静まり返り秋雨が、え?と言うまでの数秒間、部屋は完全に無音状態だった。
「お、お父さん、今なんて言ったの?」
「今回の戦いに、お前たちは連れていかない。そう言ったんだ」
「な、なんでなんでなんで!」
「梅雨葉たち、足手まとい?」
梅雨葉と雨葉が、思った事を素直に伝えた。深海は、全員の顔を見据えて言った。
「そうじゃない。そもそも、お前たち4人をこんな危険と隣り合わせなことに連れ出した俺は、父親として失格だ。本当なら、俺1人で動かなければいけなかったんだ」
「…お父さん」
「だから、今回の戦いにお前たちは連れていけない…もうこれ以上、お前たちを危険な場所へは連れていきたくないんだ」
「おとーさん…」
「お前たちに今の言葉が通用しないって事はわかってる……だが頼む!俺の願い、聞き届けてくれないかっ?」
「………」
深海は秋雨たちに向かって頭を下げ、願った。そして、秋雨は口を開いた。
「わかったよお父さん…秋雨たち、今回は残るよ」
「秋雨…」
「梅雨葉も雨葉も、文句ないよね?」
「梅雨葉は…大丈夫」
「秋雨おねーちゃん!………うん…雨葉、文句ない」
「………」
一度声を張り上げた雨葉だったが、秋雨と梅雨葉の真剣な表情を見て悲しそうに頷いた。白もまた深海の言葉を受け、頷いた。深海は一言―――
ありがとう
と呟いた。
「秋雨、梅雨葉、雨葉、白さん、今日はもう寝なさい……」
部屋の隅にあるキッチンで洗い終わったお皿を拭きながら話を聞いていた時雨が、4人に声を掛けた。秋雨たちは、うん。と言って頷き、旧執務室を出て行った。そして部屋には深海と時雨の2人だけが残った。最後の1枚を拭き終わった時雨は、壁に掛けてあったタオルで手を拭いて深海の元に歩いていった。そして、背後からゆっくりと深海を抱きしめた。
「大丈夫だよ。提督の気持ち、きっと秋雨たちに届いてるから」
「……ああ」
深海は時雨の左手をギュッと握った。
「………時雨」
「なに?」
「お前も…今度の戦いには、付いてこないでくれ」
「……うん。わかったよ」
「随分…あっさりと了承してくれるんだな…」
「…本当は僕も、提督の傍に居たい……でもきっと、提督はああ言うと思うから……」
戦いは…戦うことしか知らない…
「って……」
深海はその言葉を聞き、ああ。と小さく呟いた。
「でも、ちゃんとした理由は…聞きたいかな」
時雨がそう言うと、深海はゆっくりと立ち上がった。そして、時雨の正面まで歩み寄ると彼女を抱きしめた。最初は少し驚いた時雨だったが、やがて彼女も深海を抱きしめ返した。
「お前を、守りたいからだ……お前と結婚した時に誓って、今まで守り通せなかった約束を…」
「……」
「そして…生まれてくる新しい命を……俺は守りたいんだ」
「っ!!」
時雨は深海の言葉を聞いた瞬間、ハッとした。今自分のお腹には、深海と自分の新しい子供。新しい命が宿っていたのだ。深海は時雨を強く優しく抱き締めなおした。
「それが俺の理由だ。って言ったらお前は、納得してくれるのか?」
その言葉を聞いた時雨は一粒の涙を流し、答えた。
うんっ
その時、夜空に一筋の流れ星が流れた。
続く