艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
5機の敵機と対峙する深海たち。地上に3機、上空に2機とほとんどの逃げ道のない状況の中、深海たちのガンプラは身構えたままだったが時雨と夕立の2人は上空から現れた深海雨雲姫の機体を見上げていた。そして時雨は深海雨雲姫に問いかけた。
「村雨!なんでこんな事に協力するんだ!自分が今、何をやっているのか本当に分かっているのか!」
「……ええ。わかってるわよ勿論。この世界からガンプラバトルを無くそうとしている吹雪ちゃんに協力しているのよ」
「そんな事をして君は本当にいいの!君がガンプラバトルを心の底から楽しんでいるのを僕は何度も見てきた!こんな事は止めるんだ!」
「そうだよ!村雨、あんなに夕立たちとのバトルが楽しいって言って―――」
黙りなさいッ!!!
「っ!!」
深海雨雲姫の突然の絶叫に驚く時雨と夕立。深海雨雲姫は荒げた声で時雨と夕立に叫んだ。
「あぁもうっ!何で貴女たちはいつもそうやって私の
「しゃ、癪に障るだって!?」
「ええそうよッ!!いつもいつもお姉ちゃん面してッ!何かある度に「良い雨だね」だの「雨はいつか止むさ」だ!!いつもいつも雨に例えやがって…聞いてて飽きれるんだよッ!!」
「なんだって!?」
「
「ぽいっ!?」
深海雨雲姫もとい、村雨の私情にまみれた言葉を耳にした時雨と夕立は衝撃を受けた。深海雨雲姫は更に続ける。
「ガンプラバトルを無くす?そんな事、私にはどうだっていいのよッ!!ガンプラバトルが無くなろうが、無くならかろうが、私には関係ないのよッ!!」
「か、関係ない?」
「それなら村雨!君の目的はなんなんだ!」
時雨の問いかけを聞いた深海雨雲姫は不敵な笑みを浮かべ、フフフッ!と笑い、言った。
「私の目的はたった1つ―――」
姉妹全員、深海細胞の力で私の下僕にする事よッ!!アハハハハハハハー!!!!
狂気を纏った甲高い笑い声をあげ、深海雨雲姫は宣言した。その宣言を聞いた時雨と夕立、山風、駆逐棲姫は絶句した。
「大切な姉妹を下僕にだなんて…」
「ひ、酷いのです…」
深海雨雲姫の言葉を聞いた白雪と電は、思わず声を漏らした。深海と、空母水鬼は何も口を開かず耳を傾けていただけだった。深海雨雲姫は笑いながら言った。
「だから貴女たちも今この場で深海へ染めてあげるっ!!白露たちのようにねッ!!」
「っ!まさかここに居る機体を操縦してるのは!」
「ええそうよ。深海化した白露と五月雨、海風と江風よ!」
時雨たちの目の前に4つのモニターが現れ、以前に見た深海化した白露と五月雨と、黒色の髪を足首まで届きそうな長さの1本の三つ編みにして山風と同じセーラー服を着た赤い目をした少女「深海化海風」と、白色の髪を後ろで黒いリボンでおさげ髪にしてある白と赤のヘアバンドをした山風と同じ服装を着崩してお腹とへそを見せている赤いの目の少女「深海化江風」が映っていた。
「な、なんて酷いことを……海風に江風まで」
「安心して、時雨姉さんたちもすぐにこうなるんだから。勿論山風、い・ら・な・い・子の貴女もねぇッ!!感謝しなさいッ!!」
「い、いら…いらない?」
「ええ!貴女は今回だけ省かないであげる…ホント、感謝しなさいよ?いらない子のや・ま・か・ぜ・ちゃ・ん!」
「あ、あたしは…い、いらな、い?いら、な、い…」
「深空っ!!」
山風が発作を起こそうとした瞬間、空母水鬼は居ても立っても居られず操縦スペースを飛び出し、山風の元へと走った。
「母さん!」
「いら、ない…いらない…いらないいらないいらないいらないいらないいらない!!!うあ、あああ……あぁあ!!」
「アハハハハッ!!やっぱり山風をからかうのは最高に面白いわっ!」
「深空ぁっ!!」
空母水鬼は山風の操縦スペースに辿り着くなり、飛び込む様に山風に飛びついた。空母水鬼の身体は、山風を抱えたまま地面に激突し大きな音をたてた。
「いったたたぁ……」
「う…あ?す、水鬼?」
空母水鬼が地面に激突した衝撃で我に返った山風に、空母水鬼は痛みを堪えながら笑みを浮かべ言った。
「だ、大丈夫だよ深空。深空はいらない子なんかじゃない…だって、この世界にたった1人しかいない…代わりなんて存在しない………私の―――」
大切な…大切な娘なんだものっ
「すい…き?わっ!」
空母水鬼はそのまま山風をギュッと強く抱き締めた。
「だから、深海雨雲姫の言葉に負けないでっ。ここには…お母さ―――私が一緒にいるから…」
「……うんっ」
「頑張ろう深空!さあ、立って!」
「うん!」
空母水鬼に支えられながら山風は立ち上がった。そして、モニターに映った深海雨雲姫を睨みつけた。その深海雨雲姫を睨む空母水鬼の目は、いつもの優しい目ではなかった。薄っすらと赤い光を放ち、奥底に殺意の様な闇を纏う深海棲艦の目だった。
「私の姉妹に、変なこと拭きこまないでくれないかしら?空母水鬼」
「私の姉妹。だと?散々この子を困惑させ、馬鹿にしたその口で…姉妹を語るなッ!」
空母水鬼は重々しい口調で言った。
貴様だけは…私の手で叩き潰すッ!!
「いいわ、やってみなさいよ?」
空母水鬼は自身の操縦スペースに戻ると、即座にナラティブガンダムE装備を飛翔させビームサーベルを抜くと上空の深海雨雲姫が操る機体「ファバルク」へ斬りかかった。
「沈めぇ!!」
しかし斬りかかろうとした直後、深海雨雲姫は不敵な笑みを浮かべた。その瞬間、空母水鬼の操縦スペースに後方からの接近警報が鳴り響いた。ナラティブガンダムE装備の後方からもう1機の敵機、深海化江風の操る飛竜のような機体「ゼラクス」が高速で迫ってきたのだ。
「母さん、避けろ!」
「チッ!」
ゼラクスの高速突進を回避したナラティブガンダムE装備だったが、そこに蛇の様な機体「タツミネ」が放った多数のミサイルの飛来し襲い掛かってきた。
「くそぉ…あっちこっちからしつこい!」
ファバルクへの攻撃を中止しミサイルを回避するためその場から離脱するナラティブガンダムE装備。
「水鬼!」
「全員避けろ!来るぞ!」
そして遂に纏まっていた深海たちにも攻撃が始まった。恐竜の様な機体「ディノーバ」は大剣の様な尾を深海たちに向けて振り下ろし、象のような機体「ガムルト」は再びビームシールドを張って全速力で突進してきた。その場を一斉に離脱し散開する深海たち。ディノーバの大剣は再びに地面に巨大な斬撃跡を作り出し、その場からバックステップ。その斬撃跡を削り消すようにガムルトが大地を抉りながら通り過ぎる。
「くっ…なんてパワーを持っているんだ、こいつら!」
「このままじゃマズイっぽい!足止めされてるっぽい!」
「………」
しかし、そんな中で時雨は口を閉じ何か真剣に考えこんでいた。その間にも、エンドレインバレットへ向けミサイルやゼラクスの放ったビームなどが襲い掛かっていたが、時雨はそれを回避しながらやはり何かを考えていた。そして一言、これしかないか。と呟き―――
「深海は行って!電と白雪も!」
そう叫んだ。
「なんだと!?」
「ここはお母さんと僕たちで食い止める!深海たちは先に進んで!」
「そんな!時雨さんたちを置いていける訳ないのです!」
「駄目だよ電ちゃん!」
「っ!」
電の言葉を聞いた夕立が電を制止した。夕立はそのまま言葉を続ける。
「今は時雨の言う通りっぽい!ここで全員が足止めをくらってたら、間に合わなくなっちゃう!」
「でも……」
「早く行くんだ電!この作戦を成功させるには、もうこの方法しかないんだ!」
「………時雨さん、夕立さん」
電が戸惑う中、深海は小さく歯ぎしりをすると操縦桿を強く握りしめた。
「わかった。行くぞ電、白雪」
そう言って深海は、エクストリームアウェリアスを草原の彼方へと走らせた。
「深海提督さん!」
「電ちゃん、ここは堪えてください!」
未だに動こうとしなかったイナヅマガンダムトリニティⅥを左手で牽引しながらガンダム・ホワイトボトムサウンドもその場を飛び去っていった。
時雨さんッ!!夕立さんッ!!
電は最後まで時雨と夕立の名前を叫び続けていた。そしてその場には時雨と夕立、山風、駆逐棲姫、空母水鬼が残り、深海雨雲姫たちとの戦闘が始まった。
「あらら、行っちゃったわ。一応、追った方がいいかしら――――」
「村雨ぇぇー!!!」
深海たちを追おうとしたファバルクにエンドレインバレットがビームサーベルで斬りかかった。深海雨雲姫は咄嗟に方向転換、ファバルクの頭部となっていた部分をガンダムハルートの様に腰裏へ回すと、手足を展開。機体を起こすと腰のサイドアーマーにマウントされていたビームサーベルを居合斬りの要領で抜き放ち、エンドレインバレットの右からの袈裟斬りを受け止めた。2つのビームサーベルがぶつかり合い、エンドレインバレットとガンダムマルコシアスの様な頭部を持つファバルクが睨み合った。
「さすが、頭の回転は速いわね。そこは褒めてあげる」
「光栄でもないさ。今はこうすることが先決だからね」
「やっぱりその性格、気に食わないわ!」
「何とでも言え!これが僕だ!」
激しく火花を散らす2つのビームサーベル。
(電や、深海お兄ちゃんの為にも――――)
ここは譲れないッ!!!
エンドレインバレットのメインカメラが淡い光を放ち、輝いた。
続く