艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
草原を抜けた深海、電、白雪は再び工場内を突き進んでいた。時たまに現れるCPU制御のガンプラを撃破しながら、進撃を続けた3人はいよいよ最深部へ近くへと辿り着こうとしていた。
「時雨さん…夕立さん…」
電は未だに2人を置いてきてしまった事を悔やんでいた。
「電ちゃん、悔やんでも仕方ないよ。時雨ちゃんや、夕立ちゃんの言ってたことを実行してなかったら、間に合わないんだから」
「わかっているのです…でも、あの2人は…電の……」
(電……)
無理矢理その場を後にしてしまった深海自身もまた、心に小さな悔やみがあった。肉親と妹をあの場に残して自分1人、先を目指した。だが、今ここで退き返せばそれこそ3人に対しての裏切りになる。深海はその悔やみを胸の底に押し込み、前を見据えた。すると、先頭を行く深海の目の前に突然赤アラートが点灯した。
「っ!止まれ!」
急いで残りの2人の進行を止める深海。深海の言葉に驚きながらも、イナヅマガンダムトリニティⅥとガンダム・ホワイトボトムサウンドはエクストリームアウェリアスの傍で急停止した。そして深海同様、電と白雪の目の前にも同じ赤アラートが点灯した。アラートに書かれた文に目を通す電と白雪。
「えっと…エマージェンシー…アウトオブエリア?…えっ!?」
「この先場外!?」
そこに書かれていた文は、この先がプラフスキー粒子の範囲外であることを意味していた。通常のガンプラバトルにおいても、ガンプラがシステム台の端まで到達してしまうとこのアラートが表示される。プラフスキー粒子の範囲外。つまりは、ガンプラが動かなくなるのである。
「大部隊を持って来られないようにした強制的な防壁か……」
深海はゆっくりとエクストリームアウェリアスの右手を前へ伸ばし、ヴァリアブルライフルの銃口付近をエリア外に出して引き金を引いた。しかし、銃口からビームは撃ち出されなかった。ライフルが放つビームなどもシステムが作り出したエフェクト。範囲外でビームが撃ち出されるはずもないのだ。
「どうやら本当に範囲外のようだ…奴らもバカじゃないってことだな」
「どうするんですか深海提督さん?」
「電、白雪。ちょっと俺の操縦スペースまで来い」
「え?あ、はい」
そう言って電と白雪の2人は深海の操縦スペースへ歩いていった。そして深海は早々に小さなセンサーの様な機械をポケットから取り出し、続いて手のひらサイズとは言えないものの、そこまで大きくないお菓子作りなどで使用する小さな計りのような物を2つ取り出し、電と白雪に渡した。
「深海提督さん、これは…」
「明石と夕張が作った、プラフスキー粒子探知装置と持ち運びサイズの機体認証システム装置だ」
「ええ!!明石さんと夕張さん、こんな物まで作っていたのですか!?」
「ああ。今回の様な状況があるかもしれないと判断してな、俺が作らせておいた。残念ながら出来上がったのは、この2つだけだが…」
「深海司令って、何処まで頭回るんですか……流石に少し引きます」
「勝手に言っていろ」
「あれ?でも、2つだけって……」
電がその機械が2つしかないことに違和感を覚えた。すると深海は答えた。
ここから先は、お前たち2人だけで行くんだ
「え!」
思わず声をあげる電。すると深海は淡々と言葉を続けた。
「この先がプラフスキー粒子の範囲外にされたのは意図的の筈だ。つまり敵にとってここが俺たちの部隊を食い止める最終防衛ラインという事だ。プラフスキー粒子の範囲外では頼みの綱であるガンプラが使えない。妥当な判断だろ?」
「た、確かに…」
「だからこの探知装置と機体認証装置を持った少数が突入しプラフスキー粒子の漂っているエリアを探知装置で見つけ次第、機体認証装置でガンプラを出撃させるプラフスキー粒子は人体に害影響を及ぼすこともないしな。それに、このバトル台を持って移動できるわけもないからな。それに、ここが行き止まりとなっているのであれば……」
その時、深海たち3人の耳に接近警報のアラートが届いた。3人は慌てて後方を向き直った。そこには圧倒的な数のCPU制御のガンプラが現れていた。
「やはりな。退路を断って包囲殲滅する気だな」
「そんな!」
「2人共、早く場外にガンプラを弾き出せ!場外に出したガンプラは傷つくことはない!急ぐんだ!」
「でも!深海提督さんまで―――」
さっさと行けッ!!
「お前たち2人にはやらなければいけないことがあるんだぞ!早く機体を場外に出して、奥へ進め!」
「「!!」」
深海は電と白雪を早口で説き伏せた。その言葉を聞いた電と白雪は、何も言わずに操縦スペースへ戻ると機体のスラスターを全開で噴かし、それぞれのガンプラを場外へ弾き出した。カシャカシャ。という音をたてて、地面に落ちるイナヅマガンダムトリニティⅥとガンダム・ホワイトボトムサウンド。それと同時に操縦スペースが消失し、電と白雪の2人はGPベースを台から外すと全速力で工場内へ突入していった。2機のガンプラが場外に出たことを確認した深海は、エクストリームアウェリアスを180度反転させた。深海の目の前には、1000機以上のCPU制御のガンプラが群れを成してエクストリームアウェリアスに迫って来ていた。
「もっと多くの敵を倒す為にこんな数を用意したんだろうが……悪いな、たった1機が相手で……だが――――」
俺とアウェリアスを…侮るなよッ!!
深海の額から黒い角が現れ蒼白い炎を纏うと、前髪の後ろの真っ赤に染まった右目が一層の赤みを増した。そしてエクストリームアウェリアスは敵機の中へと突入していった。
それから数分が経った。電と白雪は、メンバー全員の戦闘を横目に見ながら工場の中を駆け抜けていき、遂に先程のエリア。プラフスキー粒子の境界線に辿り着いた。
「あ!あったのです!電と白雪さんのガンプラなのです!」
「……よかった!どこも壊れていないみたい…急ごう電ちゃん!」
「なのです!」
イナヅマガンダムトリニティⅥとガンダム・ホワイトボトムサウンドを回収した2人は、更に工場の奥を目指して走った。すると走っていく内に、電の手に握られた探知機がピー!ピー!ピー!と音を発し始めた。
「はにゃ!プラフスキー粒子の反応が大きくなってきたのです!」
「なら、もう少し進めば!」
そこから数分走ると、遂に探知機はピィー!!と途切れることのない音を発した。
「ここから行くのです!」
「うん!わかったよ電ちゃん!」
電と白雪は早速機体認証装置を取り出し、それを地面にセットした。そして「起動」と書かれたボタンを押すと装置から光で文字が現れた。
「GPベースとガンプラを装置にセットしてください。はわわわ…やっぱり明石さんと夕張さんは凄いのです」
「浮かれてる場合じゃないよ!急いで電ちゃん!」
「了解なのです!」
2人は装置の円形の台座にガンプラを、そこから伸びる四角い接続部にGPベースをセットした。すると、機体が装置によって読み込まれメインカメラが発光、操縦スペースが2人の前に現れた。2人は驚きながらも現れた操縦桿を握りしめた。そして機体認証装置がカタパルトを、上方へ作り出した。
「え!上なの!?」
「あ!ガンダムSEEDでフリーダムガンダムとかジャスティスガンダムが発進する時は上に向かって発進してたのです!それを再現しているのですよ!」
「なるほど……このサイズじゃ前へはカタパルトエリアを作れないから……そういうことなんだ」
「白雪さん、準備はいいですか?」
「うん、行こう!白雪。ガンダム・ホワイトボトムサウンド、行きますッ!」
「電。イナヅマガンダムトリニティⅥ、出撃ですッ!」
2機のガンプラは大きく膝を曲げると、その次の瞬間上空へ勢いよく飛び上がった。そして、カタパルトを抜けた2機は全速力で工場の最深部へ向かって行った。
そしてそこから更に奥を目指した2機は、道中で現れる少数の敵機を撃破しつつ進んでいた。すると、だだっ広い円形の広場に出た。
「凄い広い所に出たのです!」
「何というか…あからさま。って感じがします…奥に続くであろう正面の扉も開きっぱなしだし…」
その広間はただ広いばかりで周囲には何もなく、敵機の反応すらなかった。
「誰もいないのなら手早くこのエリアを抜けてしまおう!」
「了解なのです!」
イナヅマガンダムトリニティⅥと、ガンダム・ホワイトボトムサウンドが解放されていた扉へ向かおうとした、その瞬間だった―――
ピーピーピーピー!
突然の接近警報と共に、正面の扉から1機のガンプラが飛び出してきた。そのガンプラは一直線にイナヅマガンダムトリニティⅥへ向かってきた。
「はっ!!」
その機影に気づいた電は咄嗟に左腕のアカツキビームシールドを構えた。突っ込んできた機体は、右手のビームサーベルが展開されたレギルスライフルに似たライフルをアカツキビームシールドに向かって振り下ろしてきた。
「くぅ!」
バチバチバチ!とビームの火花を散らすビームサーベルと、アカツキビームシールド。そして電は、目の前に現れたガンプラ。黒とグレー、そしてメタリックパープルで塗装され、6本のブレードアンテナを持つガンダムレギルスの様な頭部に、胸部中央にはゼイドラよりも尖った薄紫のクリアパーツ、それを挟み込む様にガンダムタイプによく見られる胸部のエアダクト、ゼダスのような鋭利な両肩アーマー、両肘と両膝にはギラーガの「Xトランスミッター」の様な薄紫のクリアパーツが設けられ、ガンダムレギルスの曲線的で非常にスマートな形状の下半身を持ち、背中にはゼダスが変形時や飛行形態時に展開する巨大な翼と、ガンダムレギルスの長大なビーム砲「レギルスキャノン」の様な稼働する尾を持った。そのガンプラを操縦しているのが誰なのかすぐに分かった。
「その機体…レ級ですね!!」
「流石オレの偽物だ!これほど早く気づくとは思わなかったぞ!」
レ級が操るガンプラは、ビームサーベルを展開したライフル「
「うわっ!」
しかし電はすぐさま態勢を立て直し、ヴェールフェニックスライフルをレ級のガンプラへ向けた。
「全国大会で付けれなかった決着、今ここで付けさせてもらうッ!!」
レ級がそう言うと、左腕に装備されたレギルスシールドに似た形状の実体盾「
この、ガンダムレギュルス・
ガンダムレギュルス・theレプリカの薄紫のツインアイが神々しくも怪しく光り、輝いた。
続く