艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP110 最深部

その瞬間、ガンダムレギュルス・theレプリカの周囲を覆っていた光弾が一斉にイナヅマガンダムトリニティⅥへ向かって飛び立った。その光弾に驚いた電だったが咄嗟にその場を離れ、回避行動に入った。

「これは、レギルスビット!クッ、物凄い数なのです!」

偽物に終極をもたらせ!行くぞ、レギュルス・theレプリカッ!!」

その光弾「theレプリカビット」を追うようにレギュルス・theレプリカはその黒い翼を羽ばたかせイナヅマガンダムトリニティⅥへと向かって行った。

「クゥ!」

四方から迫ってくるtheレプリカビットを回避しながら、迫るレギュルス・theレプリカから逃げるイナヅマガンダムトリニティⅥ。theレプリカビットや、ベースとなった「レギルスビット」はオールレンジ攻撃系の武器の中でも珍しく周囲に展開された光弾がそのままビーム弾となる。その為、通常のファンネルやドラグーン、ライフルビット等と言った端末からビームを撃ち出すタイプに比べて圧倒的に手数と継戦能力を持っている。勿論照射ビームなどで打ち消すことも出来るが、シールドや機体各所の発射源となるパーツを破壊しない限りほぼ無限に展開されるのだ。電はその事を勿論知っている。だが、レ級の操るtheレプリカビットは非常に高密度の弾幕となり、隙もほぼ無い。電は回避することしか出来ていなかったのだ。

「電ぁぁー!!!」

レギュルス・theレプリカはtheレプリカライフルを連射しながら左手を右腰に回すとそこからサイドアーマーの上部にマウントされた円筒状のビームサーベル「theレプリカビームサーベル」を抜き放った。

「やられるもんかー!」

イナヅマガンダムトリニティⅥは機体を左右に振ってtheレプリカビットを回避し、レギュルス・theレプリカと同様左手で右腰のアウェリアスサーベルを抜いた。そしてイナヅマガンダムトリニティⅥとレギュルス・theレプリカは同時に左手のビームサーベルを振り下ろし、そのまま鍔迫り合いとなった。2つの刀身がぶつかり合いビームの火花を散らす。

「レ級、答えてほしいのです!レ級は吹雪さんの思惑を知っているのですか!?」

「それを知ってどうする!オレとの決着から逃げる気か!」

「違うのです!吹雪さんの計画が成功したら、レ級との決着も付けれなくなるのです!だから今は――――」

「逃げ腰な偽物の言葉など、オレの耳には届かん!ハアッ!!」

「わっ!」

レギュルス・theレプリカはそのままイナヅマガンダムトリニティⅥを押し返し、蹴り飛ばした。

「theレプリカビット!」

蹴り飛ばされたイナヅマガンダムトリニティⅥへ再び、無数のtheレプリカビットが襲い掛かった。咄嗟に電は態勢を立て直し、飛来するtheレプリカビットを回避しレギュルス・theレプリカから距離を取った。

「電ちゃん!」

咄嗟に電の援護を行おうとした白雪だったが、その瞬間にtheレプリカビットが数発ガンダム・ホワイトボトムサウンドへ向け飛来して来た。白雪はギリギリのタイミングでこれらをかわしたが、直後にレ級が釘を刺してきた。

「邪魔すんじゃねぇ!貴様から先に殺すぞ!!」

「っ!?」

その直後にイナヅマガンダムトリニティⅥとレギュルス・theレプリカは再び互いのビームサーベルで鍔迫り合いを演じていた。

「貴様という偽物を消さなければ、オレは一生前へは進めない。今日ここで、オレは貴様を超える!」

「電は!電はそんなっ、どっちが本物かなんて!」

「貴様には関係なくても、オレにはあるんだよ!」

「クッ!(このままじゃ、吹雪さんの思うつぼになってしまう!)」

鍔迫り合いの中で電は、今のままでは突破することも出来ず吹雪の思う壺となってしまうと思わずにいられなかった。そしてその中で、レ級が吹雪の計画に関して全く興味がない事が気になっていた。

(こうなったら、仕方ないのです!)

 

電は決意した。

 

「白雪さんは最深部へ向かってください!電は大丈夫なのです!」

「電ちゃん!?」

「今は目的を最優先するのです!白雪さんなら、わかっているはずなのです!」

「………」

白雪は少しの間だけ沈黙してしまった。しかし、今自分がやらなければならないことと自身の存在意義に後押しされ、白雪もまた決意した。

「わかったよ…私が必ず吹雪ちゃんを止めてみせるから!」

ガンダム・ホワイトボトムサウンドはその場で反転、開いていた最深部への扉をくぐって吹雪の元へと駆けていった。

「自分から援護を外したか、偽物にしてはいい判断力じゃないか」

「今は、やらなければいけない目標があるのです!この手以外にその目標を成功させる方法は無いのです!」

「フンッ。さっき言っていた、吹雪の計画ってやつか…まあ、オレは興味がない。貴様らの勝手にするんだな」

「そうさせてもらっているし、そうするのです!」

そう言った電は、全開まで操縦桿を前へ突き出しレギュルス・theレプリカを押し返した。しかし、レギュルス・theレプリカは簡単に態勢を立て直しtheレプリカビットを展開した。

「フッ、そう来ないと面白くないからな!」

レギュルス・theレプリカは一斉にtheレプリカビットを撃ち出し、イナヅマガンダムトリニティⅥに襲い掛かった。

「クッ!!」

イナヅマガンダムトリニティⅥは光の翼を展開し、その場から急速に離脱した。

 

薄暗い通路をガンダム・ホワイトボトムサウンドは駆けていた。通路の周辺には配管のような物が次々に現れては後方へ消えていった。襲撃してくるCPU制御のガンプラも全く現れることはなく、ガンダム・ホワイトボトムサウンドは恐ろしい程スムーズに最深部へと向かっていた。

「ここまで来て、敵機が全く展開していない…もしかして、吹雪ちゃんは―――っ!」

そして白雪の前に終点となる扉が現れた。

 

 

 

プラフスキー粒子精製室

 

 

 

その扉の上に取り付けられたプレートにはそう書かれていた。そして――――

 

 

扉は空いていた

 

 

「………」

白雪はその解放された扉を見て思わず唾を飲み込んだ。

(まるで…こっちに来いと誘っているみたい……いや、そうだとしても!)

ガンダム・ホワイトボトムサウンドは室内へ飛び込んだ。

 

青白い光によって照らされる少し暗い室内をガンダム・ホワイトボトムサウンドは進んでいた。周囲に電灯のような物は見受けられなかったが、所狭しと配管が周囲を覆い尽くしていてその配管はある一点へ向かって伸びていた。

「電灯も無いのに、こんなに明るいなんて……これはいったい…」

それからしばらくすると、何かを取り囲む様に広がる場所にガンダム・ホワイトボトムサウンドは足を踏み入れた。そして目の前には青白い光の源があった。

「これは―――」

「凄いよね~こんな物がこの世界に存在するんだから」

「っ!!」

その光の源の傍にある配管の上、そこに吹雪は座っていた。

「吹雪ちゃん!!」

「…やっぱり来たんだ白雪ちゃん」

吹雪はそう言って配管の上に立ち上がり、ガンダム・ホワイトボトムサウンドを見下ろした。白雪は居てもたってもいられず、吹雪を説得しようと口を開いた。

「もう止めようよ吹雪ちゃん!こんな事しても、誰も嬉しがらないよ!」

「誰も嬉しがらない?私は凄く嬉しいけど!」

「っ!」

白雪の言葉にハッキリ返答する吹雪。しかし吹雪は操縦スペースにいない。普通なら会話できるわけがない。だが白雪は会話できる理由を知っていた。

「ガンダム・アイアンボトムサウンド!」

吹雪の肩の上、そこにガンダム・アイアンボトムサウンドが立っていた。そして、深海フレームを使用した機体―――いや、自分たち…電とレ級の細胞から生みだされたクローンたちの最大の特徴。

「いざ初めてやると、驚くものだね。深海フレームがある限り、私たちの脳に埋め込まれたマイクロチップを介して会話ができるんだからね」

「吹雪ちゃん……」

「まあ、そんな事どうでもいいよね!それより白雪ちゃん、これ…この物体が何かわかる?」

「……深海結晶」

「大当たり!」

 

 

 

深海結晶

 

 

 

深海棲艦の使用する艤装の動力源となる深海にしか存在しない結晶である。そして―――

この結晶が放つ光……粒子こそが、プラフスキー粒子の正体

「そこまで知ってるなんて、流石だね白雪ちゃん。なら、この結晶がどうすれば破壊できるか……もちろん知ってるよね?」

「っ!」

「そう!この結晶は艦娘の装備でしか破壊できない。だから、この工場中に艦爆や艦攻の爆弾や魚雷を設置して、この部屋の時限式爆弾を爆発されて連鎖爆発でこの工場は跡形もなくなる!」

「そんな!残り時間はあとどれくらいなの吹雪ちゃん!?」

「あと1時間きっかりだよ!」

「1時間!?今すぐ止め―――」

その瞬間、ガンダム・ホワイトボトムサウンドはガンダム・アイアンボトムサウンドからの攻撃を受けた。単純なビームによる射撃だったため回避は容易にできたが、それでも白雪の言葉を遮るには十分だった。そして吹雪は冷めた口調で言った。

 

 

 

もう五月蠅いから、沈めさせてもらうよ

 

 

 

吹雪の肩からガンダム・アイアンボトムサウンドは飛び立ち、異形な左腕を掲げてガンダム・ホワイトボトムサウンドに襲い掛かった。

 

続く


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