艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
「行くぞ!」
木曾の一声で5機のガンプラが一斉に動いた。まず、木曾のクロスボーン・ガンダムバーストX1と龍田のガンダムドラグノフィアがunknownの懐に向かって突撃していった。夕立のユニコーンガンダムナイトメアと、電のイナヅマガンダムが後に続き、時雨のガンダムレインバレットはその場にしばらく留まるとその場から少し離れた場所に陣取り、ロングバレルビームライフルを構えた。
「俺から仕掛けさせてもらう!」
「一撃撃破はナシでね~」
「一撃で仕留めるに決まってるだろ!」
クロスボーン・ガンダムバーストX1がビーム・ザンバーを横に薙ぎ払うように構え、一気に加速する。クロスボーン・ガンダムバーストX1の攻撃モーションに身動き一つ起こさないunknown。それを怪しそうに睨みつける木曾だったが、既にunknownとの距離はもうほとんどなく、ビーム・ザンバーを握った右腕もあと少しで胴体を真っ二つに出来る位置にまで来ていた。
「もらった!」
「フッ…」
影がニヤリと笑い。ビームの刃が胴体に直撃するその瞬間、それは起こった―――
スカッ―――
直撃するはずの胴体はそこになくビーム・ザンバーが空を切ったのだ。
「っ!?」
木曾が慌てて振り返ると、そこには上半身と下半身を分離させたunknownの姿があった。
「あれはインパルスガンダムの!チッ、龍田!」
「は~い」
次に接近していた龍田はドラグノフィアが右腕のドラゴンハングを展開すると勢いよくそれを打ち出した。
「いただきね~」
ドラゴンハングが分割された上半身に命中する瞬間、unknownは上半身を下半身と合体させると凄まじい速度で移動した。
「えっ!早―――」
目にも止まらない速さで動いたunknownは龍田の視界から完全に消えた。そして龍田がunknownを見失った僅か2秒後、ドラグノフィアの背部を衝撃が襲った。
「きゃあ!」
衝撃の正体はunknownが放ったキックだった。そのキックをもろにくらってしまったドラグノフィアは、木曽のクロスボーン・ガンダムバーストX1と衝突した。
「龍田―――グッ!」
「木曾先輩!龍田先輩!」
電の声がこだました。しかしドラグノフィアとクロスボーン・ガンダムバーストX1は衝突の衝撃で地面へ落ちて行った。それを眺めていたunknownの左腕が今度は四角い箱状の物体に変形し、そこから円筒状のミサイルが次々に打ち出されて2機が落下して行く方へと飛んで行った。
「しまった、この体勢じゃ!クソォ!」
地面に叩きつけられたクロスボーン・ガンダムバーストX1とドラグノフィアにミサイルが次々に降り注ぎ爆発する。
「ぐわぁぁ!」「あああ!」
しかし、爆煙を見下ろしていたunknownにユニコーンガンダムナイトメアが迫った。
「背中がお留守っぽいー!」
ユニコーンガンダムナイトメアはエクスカリバー対艦刀を大きくX字に振り下ろした。しかし、unknownはそれを急上昇で回避してみせた。その間にunknownの左腕がまた変形した。今度は肘までの部分が変形し、肘を発信源とした大型のビームソードの形になった。それが振り下ろした所でそれに気づいた夕立は操縦桿の武器スロットを操作して大きな三角形の絵柄が書かれたスロットを選択した。
「ぽいー!」
すると、肩に装備されたビームキャノンの砲身の先端部が切り離され、そこから長大なビームサーベルが発振されるとunknownのビームソードを受け止めた。バチバチバチッ!と凄まじいビームの火花が散っていた。しかし、徐々にユニコーンガンダムナイトメアはunknownのビームソードに圧されていった。そして―――
「ぽいぃー!!」
ユニコーンガンダムナイトメアは地面に向かって落ちて行った。そう、ユニコーンガンダムナイトメアは、空を飛ぶことは出来ない。それはこの機体を作った夕立が一番よく知っていたし、夕立が本機の製作でどうしても克服することが出来なかったことでもある。
「夕立さん!」
電が夕立の名前を叫ぶ。すると夕立ちは―――
「夕立の落としたビームキャノンを使って!ライフルになるっぽい!」
「はい!」
イナヅマガンダムは地上へ方向転換すると、地面スレスレでビームキャノンをキャッチした。すると砲身の下部からグリップが現れた。それを右手に持ち変えるとイナヅマガンダムはスラスターを噴かしながら180度全身を反転させビームライフルを上空へと向けた。しかし―――
「あれっ!?」
そこにunknownの姿はなかった。そして次の瞬間、電の操縦スペース正面の接近警報が鳴り響いた。
「えっ!?」
「電、避けるんだ!」
時雨の声が電に聞こえたのと、正面モニターにunknownの顔が映ったのはほぼ同時だった。
「あっ――――」
イナヅマガンダムはunknownの放ったパンチを顔面に受け、激しくふっ飛ばされた。
「はにゃぁぁー!」
「ふー、危なかったぽ―――きゃあっ!」
そして、丁度着地に成功した夕立のユニコーンガンダムナイトメアも巻き添えをくらって基地施設の壁に叩きつけられた。
「電!夕立!」
操縦スペースで叫ぶ時雨。しかし、そんな時雨の耳にも接近警報が届く。
「クッ」
慌てて身構えたその瞬間、レインバレットのバックパックに装備されたシールドとロングバレルビームライフルが突然爆発した。突然の爆発で驚く時雨が、操縦スペースのモニターで見たのは四枚の羽根を付けた円筒状の物体だった。
「ふ、ファンネル!?」
爆煙からよろめきながら立ち上がってきたレインバレット。しかし、接近警報が鳴りやむことを知らないかのように鳴り続けていた。そして、正面モニターが真っ黒に染まった。
「うわっ!」
いつの間にか零距離まで接近していたunknownの巨大な爪と化した左腕がレインバレットの頭部を鷲掴みにしていた。ミシミシ、とレインバレットの頭部にヒビが走る。
「く、まだ…」
レインバレットが胸上部のマシンキャノンで反撃するも、unknownは気にする素振りすら見せずレインバレットを真横にあった倉庫の壁へ向けて放り投げた。ガシャーン!と大きな音を立て倉庫が崩れ落ち、その下敷きになるレインバレット。
「あ――うわぁぁぁー!」
そして、基地施設で立っているものはunknownだけになってしまった。
「……拍子抜けしちゃうな~」
影がポツリと呟く。
「ま、いっか。それじゃあ最後の仕上げと行こうかな」
unknownが基地施設から飛び立ち上昇していく。そして、左腕を再びサテライトキャノン変形させた。それを地上へ向けて構える。ゆっくりとサテライトキャノンのチャージを始めるunknown。眼下の基地施設では大破乃至中破した5機のガンプラが倒れていた。
「クッ…クソ…」
「許さない。絶対に許さないから!」
「動いて!動いてよユニコーン!」
「ううう…僕らの完敗だ」
「アハハ、それなりに楽しかったよ」
しかしそんな中、夕立があることに気付いた。自身の目の前、正面モニターがゆっくりと明るくなっていったのだ。
「え?」
自身の目の前にいたイナヅマガンダムがゆっくりと動き出したのである。イナヅマガンダムは、壁から抜け出すとよろよろと歩きバランスを取ろうとしていた。
「い、電ちゃん?」
「ん?」
ゆっくりと地面に足を付け、ようやくバランスを取り戻し立った。それに気づいた影は、機体をイナヅマガンダムの方へと向けた。
「い、電は…」
そして、電はモニター越しに上空のunknownを見据えて叫んだ。
「電は、諦めないのです!」
電は、イナヅマガンダムのスラスターを全開で噴射させると上空のunknown目掛けて飛び立った。
「フフフ…いい根性だね。でも、もうお終いだよ」
そういった影は、サテライトキャノンの引き金を引いた。青白い光の帯がイナヅマガンダムに向けて走り、そして光の先端がイナヅマガンダムのシールドに直撃した。
「アハハハ!無駄なのに自らを盾にするなんて本当に――――」
「……でも……」
「ん?」
「それでも……それでも!電はぁぁぁー!!!」
「なっ!?」
光の先端はイナヅマガンダムのシールドで止まっていた。操縦スペースの各所が深紅に光り、アラートが激しく鳴り響いて機体がもう持たないことを知らせている。しかし、電は諦めようとしなかった。
「ググググ……」
「そ、そんな!サテライトキャノンを普通のシールドで受け止めるなんて!」
影はその光景に困惑していた。そして、あることに気づく。
「な!サテライトキャノンが―――」
「それでもぉぉー!!!」
(押し返されている!?)
普通ならあり得ない。だが、イナヅマガンダムはサテライトキャノンの放った光の帯を徐々に押し返していた。徐々に、徐々に――――そして―――――
「いっ、けぇぇぇぇぇー!!!!」
「!?」
基地施設の上空―――そこで巨大な爆発が起こった。
「電ぁぁー!!」
そして、巨大な爆煙の中から1機の黄色いガンダムが落ちてきたのだった。
unknownとの戦闘から1週間が過ぎた。この1週間、ガンプラ部のメンバーは各々の機体の修復に努めていた。中破程度の損傷で済んだ時雨と夕立は、4日かけて機体を完全修復出来たが、特に機体が壊れる直前までのダメージを受けた電はこの1週間部室に来ることもなかった。そして今日もまだ、電は来ていない。
「電ちゃん。大丈夫かな…」
「大丈夫だよ夕立。怪我をしたわけじゃないんだから、気長に待っておこうよ」
「ぽい~」
「……」
時雨と夕立はなかなか顔を見せない電の事が心配だった。しかし、心配をしたとしても自分たちには何も出来ない。そんな現状に置かれている自分たちが悔しくてしょうがなかったのである。
「……」
「……」
重い沈黙が部室を包み込んだ。そんな時だった――――
ガララッ!
部室の扉が勢いよく開き、薄い茶髪の少女が入ってきた。時雨と夕立が、2人揃って扉の方を向いた。そして、時雨は小さく微笑み、夕立は少女に飛びついた。
「ただいまなのです!」
「「―――おかえりっ!」ぽいー!」
続く