艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
笑みを浮かべた駆逐水鬼は言った。
「流石ですね不知火姉さん、いい洞察力です。でも、それを知ってどうなるんですか?」
不知火の操縦スペースにロックオンの警告アラートが鳴り響いた。そして考える間もなく、不知火と陽炎は回避行動を取った。直後、ガンダムDχのツインサテライトキャノンが火を噴き周囲を飲み込んだ。
「くっそぉー!」
「くうっ!」
「どうにもなりませんよ。姉さんたちは、ここで撃墜されてしまうんですから」
再びツインサテライトキャノンが発射される。ガードが出来ない以上、回避するしかない。しかし、サテライトキャノンの放つビームは非常に幅が広い。それを回避するのは非常に困難を極める。ましてや、それが連続射撃となれば尚更である。放たれた次弾によってガンダムFXは左肘から先と左下のサテライトキャノンを喪失し、ガンダムXブルーメギドも右脚を失ってしまった。もはや陽炎と不知火の機体は満身創痍の状態だった。
「アッハハ!無様ですね2人共!」
「はぁ…はぁ…」
「…くっ」
ボロボロなガンダムFXとガンダムXブルーメギドを見て、駆逐水鬼は不敵な笑みを浮かべた。駆逐水鬼の不敵な笑みを見た陽炎はとても悔しそうな表情をし、不知火は焦った表情になった。
(このままじゃ、私たち2人共ツインサテライトキャノンの餌食になって終わってしまう!そうなったら、萩風を助けるチャンスも完全に―――)
「―――ください。陽炎」
「え?」
陽炎が全力で頭をフル稼働させて思考を巡らせていたその時、不知火の言葉が耳に届いた。
「退却してください陽炎。このままでは私たち2人共、撃墜されておしまいです!」
「し、不知火何を!?」
「ネェル・ミネルバに戻って補給を!ここは私1人で―――」
そう言った不知火は汗を拭った。しかし陽炎は反対した。
「っ!不知火、あんた何考えてるのよ!萩風相手に1人でなんて!」
「二度も言わせないでください。早く退却を!」
「そんな事できるわk―――」
「さっさと退却しろぉー!!」
「へ?きゃああああー!!」
聞き分けの悪い陽炎を退却させるため、不知火のガンダムXブルーメギドはガンダムFXの右腕をガシリと掴むとそのまま体を数回転させ、ガンダムDχの居る方向とは真逆の方向へと投げ飛ばした。そしてガンダムFXはキラリン!と星になって消えた。
「――――?」
まるで漫画の様なやり取りを見て、先程まで不敵な笑みを浮かべていた駆逐水鬼だったが流石に驚きを隠せなかった。ここだけの話し、ガンダムFXが投げ飛ばされ星になった瞬間、駆逐水鬼は完全にフリーズしてしまっていた。しかしその直後、駆逐水鬼はハッとした。自機の正面で、満身創痍のガンダムXブルーメギドがサテライトキャノンの発射態勢を取っていたのだ。残されていた2枚のバインダーが開き、右肩越しにサテライトキャノンを構え、機体各所の発光装甲が青白く輝いていた。
「………」
不知火は黙って手元のエネルギー充填モニターを見ていた。原作を再現したX字状のエネルギー充填メーターは半分も埋まらず、3分の1程しかチャージできずに停止してしまった。
(やはりこんな状態ではソーラーシステムでのチャージはまともなエネルギーが手に入らないですね。ですが、これだけあれば十分!)
不知火はガンダムDχに照準を合わせた。
「そんな状態で、このDχとサテライトキャノンの撃ち合いですか…哀れなものですね」
「何とでも言えばいいですよ………いけぇっ!!」
不知火はサテライトキャノンの引き金を引いた。右肩越しに構えたサテライトキャノンの砲口から青白い光が放たれ、ガンダムDχへと向かって行く。しかし、駆逐水鬼に焦りなどなかった。
「無様な最期ですね」
駆逐水鬼はツインサテライトキャノンの引き金を引いた。ガンダムDχのツインサテライトキャノンが発射され、渦を巻くようにガンダムXブルーメギドが放ったサテライトキャノンのビームへと向かって行った。
「陽炎ッ」
やがて2つのビームがぶつかり、巨大な爆炎と閃光が周囲を飲み込んでいった。その爆炎と閃光に飲み込まれたガンダムXブルーメギドは、全身が解けるように形を失っていき、消滅した。
一方のガンダムDχは、光に飲み込まれはしたものの全身の装甲が少しだけ剥がれ落ちただけで、損傷は軽微だった。
「機体各所に軽微の損傷。問題はないですね」
そして、周囲を漂う元はガンダムXブルーメギドだった残骸を見て駆逐水鬼は言った。
「可哀想な不知火姉さん……」
その直後だった――――
遥か彼方に伸びる一筋の光が見えた。上空からある一点へと伸びるその光は、やがて何かに当たり――――
巨大な黄金の光となった
「あの光……まさか!!」
そのコンマ数秒後、駆逐水鬼の耳にロックオンの警告アラートが届いた。そして悟った。
(今までのこと全て、作戦だったの!?)
月からのマイクロウェーブを受け、黄金色の光を放つガンダムFX。陽炎は遥か遠方にいるガンダムDχに照準を合わせ、手元のエネルギー充填メーターを見た。Xの文字は100%、完全に埋まりフルチャージされていた。
「不知火。あんたの覚悟、無駄にはしないわ!」
陽炎はこれが作戦であると知っていた。不知火が汗を拭ったあの時、この作戦は始まっていたのだ。陽炎の脳裏に、昨晩不知火が言った言葉が流れた。
どんなことがあっても、陽炎は必ず萩風を救ってください!
「当り前よッ!!」
陽炎はフォースサテライトキャノンの引き金を引いた。直後、陽炎の耳にもロックオンアラートが届き、フォースサテライトキャノンが発射された。
(してやられた!)
陽炎と不知火の作戦にまんまとはまった駆逐水鬼は、この時初めて焦った。ガンダムDχのツインサテライトキャノンは月からのマイクロウェーブを受けずに連射が可能である。それがガンダムDχの最大の利点だった。しかし、駆逐水鬼は知っていた。
これが同時に最大の弱点でもあると
ガンダムDχは深海フレームに内蔵されたプラフスキー融合炉によって「月からのマイクロウェーブを受けずにツインサテライトキャノンを連射」出来る。だがそれは、フルチャージ時のツインサテライトキャノンの威力を超えることが出来ない。つまり、ガンダムDχは低威力のツインサテライトキャノンを連射していたのだ。低威力とは言え、サテライトキャノンである。折り紙付きの威力に連射が効けば申し分なかった。だが今、自身の前に月からのマイクロウェーブを受け、フルチャージされたサテライトキャノンを構えるガンダムFXがいる。ましてや相手は既にチャージを終え、こちらをロックオンしている。彼女に選択肢など無かった。
「陽炎ぉぉぉぉぉー!!!」
ガンダムDχはそのままツインサテライトキャノンを放った。
その後はすぐに決着がついた。
ガンダムFXのフォースサテライトキャノンはガンダムDχのツインサテライトキャノンを打ち消し、ガンダムDχを飲み込んだ。
「かげろぉぉぉぉぉぉッッッー!!!!!」
駆逐水鬼は断末魔を上げながら光に飲み込まれ、ガンダムDχは消滅した。
「やっ…たぁ………」
安堵した陽炎だったが、その直後―――
ガンダムFXはフォースサテライトキャノンの発射に耐えられず、残った手足が捥げるようにして爆発、その姿を消したのだった。
続く