艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
ケンプファージライヤは、その身を盾として動けないネェル・ミネルバを護った。長門の撃墜はその場に居た者たちに動揺を与えた。
「そ、そんな…長門が―――」
「長門が、やられた……」
龍田と天龍は特にそうだった。艦娘時代から、彼女の実力とくに知る2人にとっては信じられない光景だった。だが、そんな2人に渇を入れる人物がいた。
「おい!ボーっとしてる暇ないぞ、天龍、龍田!すぐにあいつを墜とさないと、被害がどんどん広がるぞ!!」
「き、木曾!?」
「暁、お前のアカツキ・リュミエールでネェル・ミネルバを護れ!出来るな!」
「も、勿論よ!」
「それ以外の連中も、出来る限り
「木曾!お前、墜とされに行く気かよ!」
「無駄口叩いてねぇで行動しろ!大鳳、後の指揮は頼んだ!」
「お、おい!」
そう言った木曾は、単独でビグ・ザムへと向かって行った。そして早々に、ビグ・ザムは大型メガ粒子砲の第2射を行おうとしてきた。すかさずハイペリオン・アカツキマスターがネェル・ミネルバの前に出ると、アカツキ・リュミエールを展開した。
「アカツキ・リュミエール、出力全開で展開よ!ついでにオールレンジシールドも正面に展開!」
その次の瞬間、ビグ・ザムは大型メガ粒子砲を放った。大型メガ粒子砲のビームはまずオールレンジシールドのビームシールドにぶつかったが、8基のオールレンジシールドを集中運用したにもかかわらず、そのビームによって全てを弾き飛ばされてしまった。暁の手元にある武装スロットには「全基使用不能」の表示が点滅し、オールレンジシールドを弾き飛ばしたビームは続けてアカツキ・リュミエールに直撃した。
「こんな攻撃で、アカツキ・リュミエールは破れないわ!」
しかし今度は、そのビームを拡散させ簡単に防ぎ切った。そこへなんと、傷だらけでボロボロとなった北上と大井のガンプラ、ヘビーアームズZZガンダムとガンダムドーベンアームズが現れた。
「北上さんに大井さん!ど、どうしてこんなところに!」
「いや~もううちらの機体、ほぼ動かないしさ。暁の機体のエネルギータンクとして使っちゃってよ」
「ええ!?」
「つべこべ言わないでさっさとしなさい!北上さんをイライラさせたら許さないわよ!」
そう言った北上と大井は機体から伸びているケーブルをハイペリオン・アカツキマスターのバックパックに無理矢理ぶっ刺した。ハイペリオン・アカツキマスターに2機分のエネルギーを供給されると、アカツキ・リュミエールの使用時間が大幅に延長された。
「ありがと、お礼はちゃんと言えるし」
「んじゃ、後はよろしくね~」
「CPU制御の機体程度で、俺を墜とせると思うな!」
たった1機先行していくアスタロト・Xバーストは、並み居る敵機を次々に撃墜しながらビグ・ザムを目指した。
「そこをどけぇー!!」
ビーム・ザンバーの一刀で正面に居た敵機を4機まとめて切り裂いた。更に近づいてきた敵機も、ビームブーメランを投擲し丸ごと撃墜。木曾とアスタロト・Xバーストの進撃スピードはとてつもない速度となっていた。しかし、先に進めば進むほど敵機の密集率も高くなっていく。アスタロト・Xバーストの進撃スピードは確実に落ちていっていた。
「くそっ、次から次へと!」
するとアスタロト・Xバーストに近づいてきたウィンダムと、ガンダムエクシアが突然で爆発した。その事に少し驚いた木曾だったが、そこに現れたガンプラを見て、笑みをこぼした。
「お前にばっかり、いいカッコさせるかよ!」
ウィンダムとガンダムエクシアを撃墜したのは天龍のジークイフリートだった。そして、その背後からジークイフリートを狙っていたガンダムグシオンが一刀両断された。
「さ、早くあの目障りなデカ物さんを微塵斬りにしちゃいましょ~」
そして龍田のガンダムデスサイズH・ラストワルツがビームシザースを肩に担ぎながら現れた。木曾はフッ。と笑って言った。
「遅れるんじゃねぇぞ。お前ら」
「ハンッ!オレ様が遅れるわけねぇだろが!」
「2人とも~もう遅れてるわよ~」
「あ!おい待ちやがれ龍田!」
「ちっ、先を越されたな」
ジークイフリート、デスサイズH・ラストワルツ、アスタロト・Xバーストの3機は、ビグ・ザムへ向かっていった。
一方その頃、ネェル・ミネルバの操縦スペースでは艦の状況を確認していた。両舷のメインエンジンと殆どの火器を失っても、扶桑たちは諦めようとは思わなかったのである。
「皐月ちゃん、メインエンジン以外で使えるスラスターはあるかしら?」
「一応、両舷の姿勢制御用スラスターは使えるけどこれじゃあ旋回するしか出来ないよ。ましてや、この船体を回すんだ。180度の旋回にはそれなりに時間がかかると思う」
「でも、やらないだけマシだわ。お願いできるかしら?」
「うん!まっかせてよ!」
「武蔵さん、格納庫の方はどうなっている?」
「もうこっちも手一杯だ。格納庫内は荒れ果ててしまっているし、何より修理用のパーツがもうない。今補給を受けてる涼月と長月以外の機体はもう補給出来んだろう」
「わかったわ。なら本艦の戦闘は、次の一射で最後になるわね」
「姉さま?」
「山城、第3主砲に本艦に残されたエネルギーの全てを集めて。木曾さんたちがビグ・ザムに一撃を加えたら、そこへ最後の一射を行います!」
「っ!了解姉さま!!」
「各機に通達。最後の一射後、本艦は破棄します!大鳳さんに通達。深海提督の指令書の開封を通達!」
「了解!」
「右舷姿勢制御スラスター全開!180度回頭!」
「了解!180度回頭!」
ネェル・ミネルバはゆっくりと動き出した。
「邪魔だ!」
ジークイフリートがV2ガンダムを撃墜した時、ネェル・ミネルバからの通達が届けられた。正面モニターに映し出された通達文にサッと目を通した天龍と龍田、木曾はお互いを一弁しながら頷いた。
「急ぐぞ!」
「ああ!」「ええ!」
敵機を撃破しつつ、3機は足を速めた。
その頃大鳳は、深海から渡されていた指令書を開封した。それは、もし何らかの理由で、ネェル・ミネルバが撃沈に相当する状況になった場合に開封するようにと、長門と大鳳の2人に渡されていた指令書だった。
「この指令書、出来れば開封したくなかったけど……」
大鳳はポケットから指令書が入った封筒を取り出し、封を切った。そして、指令書の文書に目を通した。
「なになに…この指令書が開封された際、作戦参加の全部隊は速やかに撤退。自分たちの身を護る行動を取るように。撤退の際は、全領域通信チャンネルで「全軍撤退セヨ」と通達するように(ルート上に小型中継器を撒いておいた)。なお、身内を探す必要のある者は、撤退完了後明石から専用の電探を受け取り、捜索に向かわれたし。以上………了解しました提督!急いでみんなに伝えます!」
大鳳は早速行動を開始した。
そして木曾たちは、遂にビグ・ザムの懐へと飛び込んだ。ビグ・ザムは全方位メガ粒子砲と両脚の対空ミサイルを放ってきたが、その程度の攻撃で被弾するほど木曾たちは甘くは無かった。まず最初の一手を打ったのは天龍だった。
「うおぉりゃぁぁぁー!!!」
ジークイフリートはビグ・ザムの左側にあるIフィールド発生器へ両肘のヒートトンファーと、両手に持ったヒートサーベルを斬りつけた。球体上のIフィールド発生器に非常に深い斬撃痕が残った。
「こちら側が、お留守よ~」
続けてデスサイズH・ラストワルツが右側のIフィールド発生器をビームシザースで焼き斬った。
「これで終わりにしてやる。天龍!龍田!」
「おお!」「は~い!」
そして木曾の掛け声に合わせるように、ジークイフリートが右下から駆け抜けるようにビグ・ザムの正面装甲を斬り裂き、続けてデスサイズH・ラストワルツが左下から同じ位置をビームシザースで斬り離脱。
これで、ジ・エンドだっ!!
ビグ・ザムの上空から、アスタロト・Xバーストがビームザンバーを出力全開にし一気に斬り降ろした。通常時よりも更に巨大なビームの刀身は、ジークイフリートとデスサイズH・ラストワルツが斬りつけた斬撃痕をより一層深く抉った。そしてその直後――――
「180度回頭完了!扶桑さん、山城さん。いつでもいけるよ!」
「涼月さんと長月さんの出撃確認!こちらも問題ないわ!」
「よし……姉さま!」
「よしっ……主砲照準!目標、敵巨大MA!」
「照準…よし!」
回頭を完了したネェル・ミネルバの照準が、ビグ・ザムを捉えた。
扶桑の掛け声と共に、ネェル・ミネルバの全エネルギーを搔き集めた第3主砲が放たれた。放たれた3本のビームは螺旋を描いて一筋の閃光へと姿を変え、ビグ・ザムの斬り裂かれた装甲の中心を直撃し、ビグ・ザムの胴体をそのまま貫通した。ビグ・ザムはその巨体を盛大な爆炎へと変え爆発、消滅した。
しかしその直後、ネェル・ミネルバのエネルギーの過負荷に耐えられなくなった第3主砲が大爆発を起こした。爆発は艦全体へと広がっていき、艦の各所で連鎖爆発が発生した。そして艦中央で起きた大爆発により―――
ネェル・ミネルバはその船体を真っ二つに割りながら爆沈した。
続く