艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

125 / 141
EP118  撤退開始

ネェル・ミネルバの爆沈直後、大鳳は指令書に書かれていた内容の通信を発信した。それから遅れること僅か数秒後、戦闘中だった各部隊は撤退を開始した。

「天龍さん、龍田さん、木曾さん。まだ余力はありますか!」

「ああ。オレはまだまだいけるぜ!」

「私も大丈夫よ~」

「俺も大丈夫だ。大鳳、俺たちで殿を務めるんだろ?」

「ええ。出来るだけ多くの時間を稼ぐ必要があるわ。みんなを逃がす為、力を貸して!」

「ハッ!言われるまでもねぇ!」

やる気になる天龍。するとそこに日向のガンプラ、ガンダム試作改2号機「キリサリス」が現れた。

「日向さん!?どうしてここに?」

キリサリス(こいつ)のアトミックビームバズーカなら、時間を大量に稼げると思ってな」

「なるほど。広範囲をビームで焼き払うわけか…大鳳!」

「わかりました。お願いします日向さん!」

「任せておけ」

そう言った日向は、キリサリスを少しだけ前進させるとメガラジエーターシールドからアトミックビームバズーカの砲身を取り出し、右肩の基部に接続した。

「皆さん!日向さんの砲撃と同時に撤退を始めます!用意をお願い!」

 

はいっ!

 

そして日向の右目に照準アイコンが重なった。

「いくぞ!」

日向はアトミックビームバズーカの引き金を引いた。アトミックビームバズーカの砲口から青白い閃光が放たれた。その閃光は数多の敵機を飲み込んでいった。

 

 

撤退始めッッ!!!

 

 

直後に大鳳の声が生き残っていたメンバー全員の耳に届けられた。それを聞いた全員が一斉に撤退を開始した。そして遅れて大鳳たち4人も撤退を始めた。しかし、大鳳が撤退を始めようとした時、彼女は気づいた。

「っ!日向さん、何してるんですか!?」

日向のキリサリスは未だに撤退しようとしなかった。それどころか、アトミックビームバズーカの砲身から手を放そうとすらしていなかった。

「あとは任せた」

日向の小さな一言が大鳳の耳に入った瞬間、キリサリスの全身から小さな爆発を起き始め、アトミックビームバズーカを放ったまま全身が捥げるように分裂、大爆発を起こしたのだ。大鳳たちと合流した時点で、キリサリス自体は無事だったもののその全身は傷だらけで機体内部の負荷も相当な物がかかっていた。その状態でアトミックビームバズーカを放てば機体はガンダムFXの様に崩壊してしまう。日向はその事を知っていた上でこの役割を引き受けたのだ。

「……ありがとうございます。日向さんっ」

大鳳はそう言って、Hi-νトールギスを天龍たちの元へと向かわせた。

 

そして、大鳳が通信を発して数秒後にビスマルク隊と金剛隊のメンバー全員に通信が届いた。ビスマルクはその通信を聞いた時、思わず声をあげた。

「全軍撤退セヨ、って…ネェル・ミネルバが沈んだというの!?」

「ビスマルク姉さま?」

ビスマルクは戦線突破部隊の司令官としてただ1人、深海からこの通信が何を意味するのかを伝えられていた。この通信が届いた時は速やかに撤退し、自身の身を護る行動を取ること。ビスマルクは決断を迫られた。

「Hey!ビスマルク、一体どうしたのデースか?」

「浮かない表情ですね。もしかしてこの通信が何か?」

金剛と榛名の2人が浮かない顔のビスマルクを心配して声を掛けた。

「撤退するのであれば早い方が良いかもしれません。幸い、ここ周辺の敵は殲滅しましたし。退路は確保できています!」

「霧島の言う通りですよー!私たちのガンプラだって損傷していない訳じゃないんですからー!」

「そうですよ!理由はどうあれ、この指示には従うべきですよ!」

「ビスマルク姉さま。ここは撤退しましょう!また、ライン演習作戦みたいなことになるのは、私嫌です!」

比叡と霧島、綾波、プリンツはこの撤退に賛成だった。しかしただ1人だけ、言葉を発さない者がいた。

「………」

最上だ。最上は、何を言うまでもなく難しい表情で考えていた。ビスマルクはそれに気づいて最上に声を掛けた。

「どうしたの最上?何か考え込んでるようだけど…」

「……うん。みんなには悪いけど、ボクはこのまま先へ進むよ」

「What!一体どういうことデスか、最上!」

「時雨が心配なんだ。彼の大戦では時雨だけが生き残ってしまったから、余計になんだよ」

「………」

「止めたところでボクは行くよ。もう、時雨を1人にさせたくないんだ」

「わかったわ。なら、私とプリンツで援護するわ」

「え!」

ビスマルクの口から飛び出してきた言葉に突拍子なものだった。これには流石の霧島も、え!と声をあげた。しかしビスマルクは動じることなく言葉を続けた。

「金剛、貴女たち4人は撤退しなさい。綾波、貴女もよ」

「そんな!私だけ撤退するなんて出来ません!」

「分からないの?金剛たちの護衛が出来るのは貴女だけなのよ。インフィニットバーニングラブは頭部と右手脚、ガーディーフォビドゥンは3枚の盾を、Ez-ASはほとんどの射撃武器を、ブーストカラミティは左腕と右脚、そして殆どの砲を失っている。今、五体満足で戦えるのは綾波、貴女の鬼羅エピオンだけなのよ」

「………」

金剛たちの顔から、先程までの余裕がなくなった。現在までの戦闘で、金剛たちのガンプラは非常に傷ついていたのだ。その反面、綾波の鬼羅エピオンの損傷は少なかったのだ。その事は、勿論綾波が1番良く知っていた。綾波はとても悔しそうな表情で、ギュッと操縦桿を握りしめた。

「わかりました。私が、金剛さんたちを必ずお守りします!」

「いい心掛けね。急ぎなさい、いつまた敵が来るかわからないわ!」

「はい!金剛さん、比叡さん、榛名さん、霧島さん。行きましょう!」

綾波の合図を受け、金剛隊とビスマルク隊は別れた。金剛たちは綾波に護衛され撤退を始め、ビスマルクたちは更に奥を目指していった。

 

そしてビスマルクたちが通信を受け取ってから遅れること1分。深海化翔鶴との戦闘に決着をつけた瑞鶴は加賀と合流を果たし、通信を聞いた。

「加賀さん「全軍撤退セヨ」って、これどういう意味なのかな?」

「言葉の通りじゃないかしら。送信者も、大鳳となってるわ。長門じゃない所を見ると…おそらくネェル・ミネルバに何かあったんだと思うわ」

「加賀さん、瑞鶴さん。無事ですか!?」

そこへ2人のバトルを見届けていた秋月と初月が合流した。幸いなことに、戦闘中にCPU制御の機体が現れなかったため、ウイングゼロ・アランダイトとトライオークアンタは完全な無傷状態であった。

「さっきの通信はいったい何なんでしょうか?」

「今のボクたちなら、ここ周囲の防衛は出来ると思うけど……」

「いいえ。ここは撤退しましょう。陽炎たちもやられてしまったし、何より翔鶴を探す必要があるわ」

「加賀さん」

「瑞鶴の機体を中心に輪形陣を作って、この宙域から離脱します。急ぐわよ!」

「はい!」「了解だ!」

そして瑞鶴たちは、その場からの撤退を始めた。

 

続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。