艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

131 / 141
EP124 雨のち、晴れ

「あとはお前たち2人の戦いだ」

エクストリームアウェリアスからの通信が時雨と夕立、2人の耳に届いた。時雨と夕立の2人はモニター越しにそれぞれの顔を見合わせ、コクリと頷きファバルクへ視点を移した。しかし一方で、たった1分で全ての姉妹たち(友軍機)を失った深海雨雲姫は動揺を隠せずにいた。

「嘘…嘘よ…こんなの嘘よッ!!」

「………」

深海雨雲姫の言葉に深海は耳を貸すだけで、何も答えようとしなかった。しかし、深海からしてみれば深海雨雲姫の反応は嘘まみれでしかなかった。

「白露…五月雨…海風…江風………よくも―――」

「………」

 

 

 

よくも私の姉妹をッ!!

 

 

 

ファバルクが動き出そうとした瞬間、今まで蚊帳の外だった時雨のエンドレインバレットがファバルクの進行方向へ向けてエンドレインライフルを放った。エンドレインライフルから放たれたビームはファバルクのメインブレードアンテナの部分の先端を掠めた。深海雨雲姫はハッとして、エンドレインバレットとユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアの方向へ顔を向けた。

「なに?私の邪魔する気なの?」

時雨は汗を垂らしながら、唾を飲み込んだ。

「姉妹が全員やられて、何も感じないの?なんでみんなの敵討ちの邪魔するの?」

「……村雨」

「あんたも私の姉妹に加えてあげようって思っていたけど、もういいわ……あんたなんかいらない」

 

 

 

 

塵も残さず消滅させてあげるッ!!!

 

 

 

 

逆上した深海雨雲姫は、ファバルクをMA形態に変形させると超高速でエンドレインバレットとユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアへ向かって来た。

 

沈めぇぇぇー!!!!

 

怒りに任せた槍状のバインダーによる刺突攻撃。MA形態のファバルク自身の回転と速度が重なり、直撃を受ければ一撃撃破は必至の攻撃を前にしてエンドレインバレットとユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアは即座に回避の態勢に入った。エンドレインバレットはそのままファバルクから距離を取ろうとしたが、ユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアは違った。

「夕立!?」

ユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアはその場でファバルクの刺突攻撃を機体を左にスライド移動させることで回避したのだ。そして、ファバルクがユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアの正面を通り過ぎる瞬間、夕立は目にも止まらない速さで手元の武装スロットを操作し大型ビームサーベルを選択した。両肩のビームキャノンの砲身部がパージされ、一瞬にして巨大なビーム刃形成された。そして、砲身部を既に上方へ向けていた夕立はそのまま砲身の基部を回転させ、両肩の大型ビームサーベルを一気に振り下ろした。

「っ!!」

「くらうっぽぉーい!!」

深海雨雲姫がユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアの動きに気づいた時には振り下ろされた大型ビームサーベルは、ファバルクの槍状の右バインダーの表面に直撃していて槍状の先端を斬り落としてしまっていた。ファバルクはその場で機体のバランスが崩されてしまい、少し落下してしまった。しかし、すぐに態勢を立て直してMS形態へと変形すると、方向転換しユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアへと向かって来た。

「お前!お前!お前ぇー!!」

「やらせないっぽい!」

ファバルクは右手でビームサーベルを抜き放つと、その要領で居合斬りをユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアへ放った。ユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアは手にしていたエクスカリバー対艦刀のビーム刃でその居合斬りを受け止め、鍔迫り合いに持ち込んだ。

「よくも!よくも私のガンプラを!!」

「違うっぽい!村雨が使っているその機体は、深海棲艦の力で溢れてる!だから村雨の機体はガンプラじゃない!

「黙れ黙れ黙れッ!!」

「クウッ!」

ビームサーベルを更に押し込んでくるファバルクにユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアは少しずつだが押し返され始めていた。

「夕立!」

そこへビームサーベルを掲げたエンドレインバレットが向かって来た。ファバルクへ向けて右上段からビームサーベルを振り下ろしたエンドレインバレットだったが、ファバルクはそれを高速で回避し、再びMA形態に変形し離脱していった。

「待てッ!」

それを追うようにエンドレインバレットもその場を離脱していった。その後、雨空に青い閃光と赤い閃光が何度にも渡って衝突を繰り返していった。

「もう止めるんだ村雨!」

「こんな時にまでお姉ちゃんぶりやがって!その口を閉じやがれッ!!」

「君を止めるまでは、絶対にやめない!絶対に止めてやる!!」

「ほざけぇぇぇー!!!」

MS形態に変形したファバルクは残された左のバインダーから赤い照射ビームを放ってきた。しかし時雨はその照射ビームを上昇して回避し、ファバルクへと斬りかかった。

「はあぁぁぁー!!」

「クソがぁぁー!!」

再び右上段に構えたビームサーベルを袈裟斬りで放つエンドレインバレット。間合いに入られてしまったファバルクはそれをビームサーベルで受け止め、鍔迫り合いになった。

「なぜこんな事をする!僕たちみんなを深海細胞で操って、それが本当の姉妹だって言うのか!?」

「それが理想の姉妹なのよ!私という絶対的な(上位者)が、無能な(下級者)を導く!これが真の姉妹なのよ!」

「っ!ふざけるのも体外にしろ村雨!そんな薄っぺらな関係、姉妹なんて言わない!そんなのはただの支配だ!!」

「黙れ黙れ!いつもいつも私の事を不愉快にさせるような奴は、絶対的な力でねじ伏せられてしまえ!!」

「ぐうっ!」

そして今度はエンドレインバレットが押し返され始めた。何とか必死に堪えるエンドレインバレット。

「どうだ!!さっきまでの威勢はどうしたんだよ!跳ね返してみろよ!」

「グッ!くうぅぅぅッ!!あああぁぁぁぁー!!!」

「なっ!!」

だが、エンドレインバレットはそこからファバルクを押し返していった。

 

 

 

うおおぁぁぁぁああああー!!!!

 

 

 

「な、なにぃッ!?」

「―――認めない」

 

 

 

 

 

そんな支配による姉妹を、僕は絶ッッ対に認めないッッッ!!!!

 

 

 

 

 

はあああああぁぁぁぁー!!!!!!

そしてエンドレインバレットはファバルクを完全に押し返した。鍔迫り合いの亀甲が破られ、弾き飛ばされたファバルクへ向けエンドレインバレットは全力の縦斬りを放った。その縦斬りはファバルクのビームサーベルを握っていた右腕を根元から斬り落とした。ファバルクはそのまま地上へと墜落していったが、直後左の槍状のバインダーが正面へ向けられた。

「っ!!」

 

 

 

舐めるなぁぁぁー!!!!

 

 

 

そして槍は撃ち出され、エンドレインバレットの右腕と右側の首元、右のアームド・アーマーDEを抉り取り、飛び散った機体の破片によって右のメインカメラまでをも使用不能としてしまった。

「うわぁぁぁー!!」

「時雨ぇぇー!!」

攻撃をもろに受けたエンドレインバレットもまた地上へと急速に落下して行ったが、そこへユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアが駆け付けた。ユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアは落下するエンドレインバレットを何とか支え、地上への落下を防いだ。

「時雨!時雨!応答して!」

「う、うん。僕は、大丈夫だよ」

「よかったぁ…」

地上では墜落したファバルクが舞い上げた砂煙で覆われていた。しかし直後、その砂煙の中心から赤いビームが撃ち出された。夕立は咄嗟の判断でエンドレインバレットを抱えたままこれを躱したが、同時にこのビームを放った主、ファバルクが未だに健在であることを認識した。

「やってクレる、ジャナイ…でモネ、まだファばるクはシズマナい―――」

 

 

 

 

シズマナイノヨッ!!!

 

 

 

 

「村雨っ」

「マダシズマナイ。アンタタチヲケスマデ、ファバルクハゼッタイニシズマナイ!!」

そして砂煙が晴れていき、中から大破しボロボロとなったファバルクが現れた。ファバルクは上空のエンドレインバレットとユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアを見据え、再び左のバインダーを上空へと向けた。

「また来るっぽい!」

「シズメェェェ!!!」

再び照射ビームがエンドレインバレットとユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアを襲った。そして今度は夕立の回避が間に合わず、ユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアは左脚を、エンドレインバレットは更に両脚を失ってしまった。

「時雨!!」

「くそぉ…このままじゃ、こっちがやられてしまう…どうすれば……」

「…っ!狙撃!」

「え!?」

「もう狙撃で村雨を倒すしかないっぽい!夕立の機体じゃ、ここから有効打は当てられない!なら、時雨の機体で狙撃するしかないっぽい!」

「夕立……わかった、やってみるよ!」

そう言った時雨は残された左腕を腰裏へと回し、エンドレインライフルを取り出した。エンドレインライフルのグリップをエンドレインバレットの左手が握り、地上のファバルクへと銃口を向けた。だが―――

「…駄目だ。照準が、定まらないっ」

時雨の利き手と利き目はどちらも右だ。勿論狙撃の時にライフルのグリップを握るのも右、スコープを覗く目も右だ。しかし、エンドレインバレットに残されているのは左のメインカメラと左腕、エンドレインライフルを持つ左腕は大きくブレてしまい、左目で覗いたスコープのロックオンカーソルはなかなかファバルクに合わさらなかった。

「不味い…このままじゃ―――」

夕立も手伝うっぽい!

「え!?」

そう言った夕立の言葉に合わせるように、ユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアの右手がエンドレインライフルの銃身の中程にあるサブグリップを掴んだ。すると、先程までの左腕のブレが治まり、スコープのロックオンカーソルがファバルクに重なった。

「夕立…」

「ケリを付けるっぽい。2人で…一緒にッ!!」

「……うん!!」

エンドレインバレットの左手と、ユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアの右手で支えられたエンドレインライフルのロックオンカーソルは「ピピピピピピピ!」という音をたてファバルクへ完全に重なり、照準が固定された。だがしかし、ファバルクの照準がエンドレインライフルの照準より先に2機をロックオンしていた。時雨と夕立の耳にロックオンアラートが鳴り響いた。

「コレデ、オワリヨッ!!!」

そして、深海雨雲姫が引き金を引こうとした直後―――

「サセ…なイ、よ!」

「ナ、ナニ!?」

深海雨雲姫の操縦スペースに突如、真っ黒のボブヘアーと赤いカチューシャを付けた時雨たちと同じセーラー服を着た水色の目をした少女が飛び込んできて、深海雨雲姫に組み付いた。その人物は深海雨雲姫を抑えながら通信回線を開くと、時雨と夕立に言った。

「ハヤくウって!」

「「白露っ!!」」

そこに映っていたのは、姿は少し違うがまさしく2人の姉である白露だった。白露は暴れる深海雨雲姫を必死になって取り押さえようとしていた。

「シラツユ!ナニヲスルノヨ、サッサトドキナサイ!」

「どかなイ!しぐレトゆウダチがムラさメをタオすまでハ、ゼッたいにハナさない!」

「ハナセ!ハナセェェッ!!!」

「――時雨ッ!!」

「―――ああッ!!!」

エンドレインバレットとユニコーンガンダムパーティー・ザ・ナイトメアの腕に支えられたエンドレインライフルの銃口が淡く光り出し、やがて1つの小さな光弾を形作った。

 

そして、時雨の赤い左目がファバルクの胴体中央に重なった時―――

 

 

 

 

止まない雨はない――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、雨は止むんだッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人の腕に支えられたエンドレインライフルの銃口から一筋の閃光が撃ち出され――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウソダアァァァー!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その閃光は、異形の姉妹の長(ファバルク)の胴体中央を撃ち抜き、雨雲の姫は光の中へ消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて空は晴れ、雨は上がった。

 

続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。