艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
結局その後、空を覆ったプラフスキー粒子の光は消え去り僕たちのガンプラは遂に動かなくなった。吹雪が行ったプラフスキー粒子精製工場の爆破によってプラフスキー粒子の源である「深海結晶」は破壊され、結果世界中でガンプラバトルが突如停止する、という事件が発生した。でも、お兄ちゃんが先手を打って中枢棲姫に新しい深海結晶を、ガンプラバトル協会には事前通達をしてくれていたおかげで世界中での混乱は少なかった。そしてガンプラバトル協会は3ヵ月以内の事件収束を宣言し、プラフスキー粒子精製工場の再建と深海結晶の早急な陸揚げ、稼働に取り掛かった。正直僕も、お兄ちゃんがここまで予測を立てているとは思わなくてビックリした。爆発が治まったことを確認した僕たちは、早々にプラフスキー粒子精製工場から撤退しお兄ちゃんの鎮守府に戻った。そこで簡単な解散式が行われた。僕たちはその日の夜、お兄ちゃんに許可をもらって鎮守府総出で大宴会を開いた。それはもうどんちゃん騒ぎだったよ。ガンプラバトルが出来なくなった筈なのに、みんなそれを気にしていないかの様にはしゃぎ回っていた。勿論僕と電、夕立、姉妹のみんなも参加した。でも、1つだけ気になることがあったんだよね。その宴会の時、何故かお兄ちゃんとお兄ちゃんの家族を誰も見かけなかったんだよね……うーん。ちょっと、不思議な気もしたけど次の日にはお兄ちゃんも含めて家族みんな揃って、集まってくれたみんなを見送ってたからきっと夜は家族水入らずで過ごしてたんだろうな~。僕も加わりたかったけど、夕立がうるさかったからね。参加できなかったよ。
それから月日は流れ秋が深まり始めた頃、ガンプラバトルは復活した。最初は日本から復帰が始まり、それからわずか1週間で全世界での復帰が完了した。本当に手が早いな。って思わずにはいられなかった。でもこれで、なんのわだかまりもなくガンプラバトルを楽しめるようになった訳で、暁学園では全国大会決勝戦まで行った僕たちの評判が功を奏し、ガンプラバトル部は一気に賑わいを見せた。今じゃ電も、ガンプラバトル部の(学年は1番下だけど)先輩として後から入ってきた部員たちに良く指導をしている。
電は、あの事件以来僕らがよく知るいたって普通の「電」に戻った。容姿は元の姿に戻ったし、目の色も戻った。そして何より、ぷらづまが息を潜めるようになった。よほどのことがない限り表に出て来ることはなくなったが、電曰く今も自分の中にぷらづまを感じるらしい。まあ電も電で、ぷらづまの事をしっかりと理解しているからこうなっているんだろうけど。そして今日も、ガンプラバトル部では学校終わりから部員たちが集まって、ワイワイと賑やかにガンプラバトルに打ち込んでいた。でも今日は少しだけ違った。
「それじゃあ今日の部活はここまで!みんな、気を付けて帰ってね」
僕がそう言うと、部員たちは「はい!」と言って部室を後にしていった。今じゃ部員は総勢15名にも増えてかなりの大所帯となっている。昔…って言っても数か月前みたいに何もせず部室でゴロゴロ出来るわけではなくなったから、夕立はいつも僕と一緒に最後に帰っている。そして電もそうだ。電はよく、一緒に帰ろうと言われることがあるが部室の片づけやまだやりたいことがあるから、と言って部室に良く残っている。
「あ“あ”~ゴロゴロお昼寝出来ないなんて、こんなのいじめっぽ~い」
「いや流石にいじめじゃないでしょ…夕立はガンプラバトル部1の接近戦ファイターなんだから、少しは頑張ったらどうなのさ?」
「部室でゴロゴロしながらガンプラバトルをするのが夕立のスタイルっぽ~い」
「まったくぅ……」
「あはは!良いじゃないですか時雨さん、今ぐらいは夕立さんにゴロゴロさせてあげても!」
「そうそう!電ちゃんの言う通りっぽい!」
「家でもゴロゴロしてるのにかい?」
「う…時雨ってば、痛いところ突くっぽい」
「あははは!」
そんなやり取りをしていたら、突然部室入り口の扉がガラガラと音をたてて開いた。僕たち3人は部員が何か忘れ物をしたのかと思って振り返ったら、そこには驚きの人物が立っていた。
「よぉっ!久しぶりだな電!」
「はわわ!レ級ちゃんなのです!」
「レ級!久しぶりだね、元気にしてるのかい?」
「久しぶりだな時雨…いや、夜空。オレはこの通り、いつも通りだ」
「こんなところに来るなんて、どんなご用事っぽい?殴り込みに来たのなら、お相手するっぽい!」
「相変わらずだな夕立。今日は殴り込みに来たんじゃない…って、殴り込みになんか来る分けねぇだろ!」
とレ級は夕立にノリノリでツッコミを入れていた。
レ級はあの事件の後、お兄ちゃんの鎮守府で暮らしていた。元々、路地裏の一室で暮らしていたらしいが、それではあまりにも可哀想だ。と電がお兄ちゃんに直談判をして、住む場所と将来が決まるまではお兄ちゃんの鎮守府で暮らせるようになったのだ。何より、以前とは比べ物にならない程、丸い性格になって電のことを妹の様に接するようになった。
「今日は何しに来たのですかレ級ちゃん?あっ、もしかして住む場所見つかったのですか!?」
と電は、早々にその話を切りだした。
「住む場所…って言うか、将来が決まった。って所かな」
「そうなのですか!良かったですねレ級ちゃん!」
そして電も電で、レ級の事を4人目の姉と見るようになった。だが、電の喜ぶ姿とは裏腹に、レ級の顔は優れなかった。何処か寂しそうな表情をしていた。
「…実はな電。オレはこれから、旅に出ることにしたんだよ」
「え?旅…ですか?」
レ級の突拍子のない言葉に電は困惑していた。それもそうだ、いきなり「旅に出る」なんて言われたら誰だってそうなるだろう。そしてレ級は続けた。
「ああ。オレは、もっともっと強くなりたいんだ。この世界の誰よりも強くなりたいっ」
「………」
「だから、もっと世界を知ろうと旅に出ることにしたんだ。だから電、お前とはしばらく会えなくなる」
「…レ級ちゃん」
レ級の言葉に、電も寂しそうな表情を作った。今レ級が言った言葉はつまり、お別れの言葉だ。せっかく姉妹として分かり合えたのに、こんなに早い別れになることが電は寂しいのだろう。するとレ級は、さっきまでのニッと笑った笑顔に戻ると電に言った。
「心配すんなよ。永遠の別れじゃないんだ。それに、オレは1人じゃない」
「え?」
「おーい!早く入ってこいよお前ら!」
するとレ級は部室の外にいるのであろう人物を呼んだ。そして現れたのは―――
「ふ、吹雪さん!白雪さん!」
吹雪と白雪だった。
吹雪と白雪の2人もまた、事件以後お兄ちゃんの鎮守府で暮らしていた。理由はレ級と同じで、例のごとく電がお兄ちゃんに直談判したのだ。結局、レ級と同じ理由で2人もお兄ちゃんの鎮守府で暮らしていた。
「久しぶりだね電ちゃん」
「お久しぶりなのです吹雪さん!この街に戻って来ていたのですね!」
「まあ、ね。でも、前の家は私を作った連中が用意してくれていた物だから早々に取り払ったんだ」
電やレ級、吹雪と白雪、そして彼女の姉妹たちを作った組織。旧海軍の復権を狙っていた勢力は、吹雪が個人的に報復を行ったおかげで殆どの人物が死亡してしまっていた。中心人物は勿論、研究者に至るまで、だ。でも、あの研究施設に残されていた資料から今の海軍上層部によって「艦娘、及び深海棲艦の技術を軍事、思想的な悪用の禁止。それを取り締まる機関の設立」を政策として提出してくれたおかげで、もう電たちの様な人間は生まれなくなった。僕としても嬉しいし、何より喜んだのは吹雪たちだろう。
「そうなのですか?…あ、もしかして吹雪さんと白雪さんも―――」
「はい。私と吹雪ちゃんは、世界各地を巡る贖罪の旅に出ることにしたんです」
「んでその旅に、オレも同行させてもらう。ってこった」
「……そうですか」
白雪の説明を聞いた電は、更に暗い表情になった。だが、吹雪はすぐに言った。
「だからね―――」
約束、果たしに来たんだ
「え、約束?」
「忘れちゃうなんて、酷いね電ちゃん。
笑い合って、私とガンプラバトルがしたいって
「あ―――」
電は、ハッとしたような表情を作った。そして、先程の暗い表情と打って変わって電の顔には光が戻っていた。その電の表情を見た僕は、黙ってガンプラバトルシステムを起動した。
Gun-pla Battle combat mode Stand up!
そのバトルシステムの音声を聞いた電はまたビックリした表情をしてこちらを向き直った。
「時雨さん―――」
「約束を果たしに来てくれた相手を、無下にしたらガンプラファイター失格だからね」
「電ちゃん、行ってくるっぽい!そして勝ってくるっぽい!」
「夕立さん―――」
そして僕と夕立は、コクリと頷いた。そして電は今までで見せた中で最高の笑顔で言った。
なのです!!
Mode damage level set to A.Please set your GP base.
1つのバトル台を挟む様に電と吹雪の2人が対峙し、GPベースをセットする。
Begining Plavsky particle dispersal.Field 01 space.
空を覆ったあの光。プラフスキー粒子によって広大な宇宙空間が形成される。
Please set year Gun-pla.
時雨と夕立、レ級と白雪の4人に見守られながら電と吹雪の2人がそれぞれのガンプラを台座にセットする。システムがガンプラをスキャンして読み込み、2人のガンプラ―――
イナヅマガンダムトリニティVIと、
ガンダム・アイアンボトムサウンドのメインカメラが淡く発光する。
2人は手元に現れた操縦桿を握りしめ、カタパルトではイナヅマガンダムトリニティVIとガンダム・アイアンボトムサウンドが発進体制に入った。そして――――
Battle Start!
最初っから全力で行きますよ吹雪さん!
電!イナヅマガンダムトリニティVI、出撃ですッ!!
こっちこそ、手加減なんてしないんだから!
吹雪!ガンダム・アイアンボトムサウンド、行きますッ!!
イナヅマガンダムトリニティVIとガンダム・アイアンボトムサウンドは飛び立った。
笑い合える