艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP14 地区予選前夜

「夕立さん。ファトゥム-01の調子はどうですか?」

ガンプラバトル部の部室で今日も練習に打ち込む3人。特に夕立は、イナヅマガンダムのバージョンアップに伴って使用できるようになったファトゥム-01の特訓を重点的に行っていた。今まで夕立が実現すらさせていなかった陸上フィールドでの自立飛行。それが出来るようになった以上、電と時雨の足手まといにはならないようにとの硬い決心と、自分のプライドが夕立を突き動かしていた。

「だいぶ上達したっぽい!大丈夫、足手まといにはならないっぽい!」

「確かに初めてファトゥム-01に乗った時より上手くなってるね。それに、夕立の腕は電も知ってるでしょ?」

「なのです!」

そして、一通りの練習を済ませた3人は明日に控えたガンプラバトル全国大会地区予選に向けて最終確認をしていた。

「じゃあ、明日は朝の8時に県立体育館に集合だよ。遅れないようにね」

「わかりました」

「よーし!今年こそ、「ソロモンの黒い悪夢」の異名轟かすんだから!」

「ソロモンの黒い悪夢?」

「そう言えば電は知らないんだったね。夕立の異名だよ」

「駆逐艦としての異名じゃなくて、ガンプラファイターとしての異名っぽい!」

夕立は過去に、この地区一帯で行われたガンプラバトル協会が開催した無双バトルロワイヤルバトルのイベントにおいて完成したばかりのユニコーンガンダムナイトメアで時雨と共に出撃。そのバトルの舞台になったのがジオン公国軍の宇宙要塞「ソロモン」で、夕立はこのバトルでCPU制御のガンプラを64機、戦艦を6隻、敵対ガンプラファイターのガンプラを4機撃墜する戦果を挙げたのだ。そしてユニコーンガンダムナイトメアの機体色と暗い宇宙空間での視認性低下が相まって、イベント参加者や、観客、更には地区の住民から「ソロモンの黒い悪夢」の異名を付けられたのだ。そして当の本人も満足しているようで、今年は特に去年の予選敗退の汚名返上に燃えているのだ。

「夕立さん凄いのです!そんな戦果、電絶対達成できないのです!」

「僕も姉として鼻が高いよ。おっと、話が脱線してしまったね。じゃあ、明日の相手について話しておくね」

「明日の相手はどこっぽい?」

「県立第1中学校だよ。去年も当たってる相手だけど、油断したら駄目だよ夕立」

「わかってるっぽい!」

「電はよく知らないのですが、がんばるのです!」

「それじゃあ、また明日。まずは初戦突破しよう!」

「「おー!」」

 

帰路についた電。時雨たちとはつい先ほどの交差点で別れ、1人自分が住んでいるアパートを目指した。3人の姉たちは遠くの学校へ通っている為、実質の一人暮らしである。

「いよいよ明日。地区予選なのです…」

そう呟いた電は、バックからイナヅマガンダムを取り出し両手でギュッと握りしめた。

「イナヅマガンダム。どうか、電に力を貸してください」

そして、イナヅマガンダムをバックに戻すと再び歩き出した電。しばらくして、アパートに到着した電は階段を上がり玄関の鍵を開けた。ガチャンという音が響き、扉を開けた電。その時、電の後ろから足音が近づいてきた。

「あ、電ちゃん。今帰ってきたところ?」

電が振り向くと、そこには少し茶色がかったセミショートの黒髪、黒に赤茶色の線が入った襟と青色のリボンを付けたセーラー服の少女が立っていた。

「吹雪さん。ただいまなのです」

彼女の名前は吹雪。電たちと同じ退役し一般人としてこのアパートに暮らしている元艦娘だ。姉たちが家を空けている為、いつも電のことを気にかけている優しい性格の持ち主である(艦これでは駆逐艦としての型は別々ではあるが、一応特型駆逐艦としては姉妹である)。

「おかえり。学校にはもう馴染めた?」

「なのです!友達も出来て、とっても楽しいのです!」

「そっか!なら、心配なさそうだね」

電はニッコリと笑って頷いてみせた。そして、ハッと地区予選のことを思い出すと、吹雪を誘おうと口を開いた。

「あ、そうだ!明日、ガンプラバトルの地区予選があるのです。吹雪さん、良かったら見に来てください」

「うーん。明日はちょっと用事があって行けそうにないかな…ごめんなさい」

吹雪は少し苦笑いして断った。電は、そうですか。としょんぼりした声で答えた。すると吹雪が小声で呟いた。

「………いよ」

「え?吹雪さん、何か言いましたか?」

「ううん何でもない!それじゃあ電ちゃんは明日の準備しないとダメなんじゃないの?」

「あ、そうだったのです!吹雪さん、失礼します!」

「頑張ってね。応援してる」

「ありがとうなのです!」

そう言って電は自分の部屋へと入っていった。吹雪は電を見届けると小さく微笑見部屋に入っていった。

 

続く


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