艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP17 荒野を裂く炎

ガンプラバトル全国大会地区予選、暁学園ガンプラバトル部2回戦の相手は水陸両用タイプのガンプラを使用する水面(みずめ)学園だった。水面学園は1回戦で水中からの奇襲で相手チームのガンプラを殲滅するという活躍を見せた。そして2回戦である今回のバトルも、彼らは運よく湖が存在する夜の森林地帯フィールドを引き当て水中で電たち暁学園ガンプラバトル部のガンプラを待ち構えていた。しかし―――

 

 

ドゴォォォーン!!!

 

 

バトル開始から数分後、フィールドの上空にある月から一筋の光が差し込んだと思うとその4.03秒後、湖が天に届くほど巨大な水柱を立てて爆発したのだった。そして―――

「Battle Ended!」

バトルは終了した。

 

「はぁ…まさか、ガンダムXを使ってあの方法をするとは時雨姉さんも変わってるわね」

「あはは…まあ、上手くいってよかったよ」

「村雨姉さん。さっきの爆発はいったい何だったんですか?」

試合終了後、体育館入り口付近で観戦に来ていた白露たちと話していた電たち。そんな中、五月雨に質問された村雨は苦笑しながら答えた。

「あれは、ガンダムX劇中で使われた戦法(?)よ。ガンダムXは背中のリフレクターで月から送られてくるスーパーマイクロウェーブを受信してエネルギーに変換するの、でも月から地上までは距離があるから4.03秒のタイムラグが生じるわ。それをあえて逆手に取って湖面にスーパーマイクロウェーブを当てて水蒸気爆発を起こし、敵部隊を全滅させたシーンがあったのよね。まさか、あれをやる人がいるとは思わなかったわよ…」

「じゃあ、あの月から伸びてきた光が…えっと…」

「あれは、マイクロウェーブを受信する前に受信するガイドレーザーよ。あれを機体が受信しないとマイクロウェーブを受けれないの」

「村雨さんって、凄く詳しいのです」

「???」

村雨の説明を真剣に頷きながら聞く五月雨、そして相変わらず白露の頭には?が浮かんでいた。そんな様子で会話を弾ませていた電たちに近づいてくる2人の姿があった。

「あら、白露型の面々で揃って何話してるの?」

声をかけてきたのは狐色のセミロングの髪を大きなツインテールにして黄色のリボンを付け、白のカッターシャツの上に緑がかった黒色のブレザーベストを羽織って黄緑のリボンを付けた目尻がキリッとした狐色の目をした少女だった。その声を聴いた白露が振り向く。

「あ、陽炎と不知火はっけーん!」

「久しぶりね白露!」

声の主は陽炎と呼ばれた少女だった。彼女もまた退役し最照光(さてらいと)学園の高校1年生として生活している元艦娘である。明るく楽天的な性格の持ち主であり、17人姉妹の長女である。

「白露さん、時雨さん、村雨さん、夕立さん、五月雨さん、電さんお久しぶりです」

次に口を開いたのは陽炎と同じ服装に赤いリボンをしてピンク色の髪をリボン型プラスチック飾りのゴムで短いポニーテールにしたスカイブルー色の目の少女、不知火だ。陽炎の1つ下の妹で、非常にクールで礼儀正しい性格をしている。陽炎同様、最照光学園高校1年生として生活している元艦娘である。

「陽炎、不知火、久しぶりだね」

時雨が1歩前へ出て陽炎と不知火に声をかけた。陽炎も、久しぶり!と返すと人差し指を時雨に突き付けて口を開いた。

「明日のバトル、悪いけど私たちが勝たせてもらうわ!」

「その様子だと、相当自信があるっぽい?」

「当り前よ!去年の様に行くと思わないでね!」

「去年の屈辱、今年こそ晴らさせてもらいますっ」

去年の地区予選でも、時雨たち暁学園は陽炎たちの最照光学園と当たっていたが結果は暁学園が勝利していたのだ。その為、陽炎と不知火の2人はリベンジに燃えていたのだ。

「はわわ!電たちも気合入れていかないとなのです!」

「残念だけど、今年も僕たちが勝たせてもらうよ。僕たちにも負けられない理由があるからね」

「全力でお相手するっぽい!」

5人はお互いの執念をぶつけ合っていた。

 

翌日、体育館では地区予選3回戦が行われていた。電たちはその3回戦の第1試合で、既に体育館のバトル台の前に立っていた。

「Please set your Gun-pla」

システムがガンプラのセットを指示し、5人がそれぞれのガンプラをセットする。セットされたガンプラのメインカメラが光りを放ち、操縦スペースが展開される。

「Battle Start!」

「電。イナヅマガンダム、出撃です!」

「時雨。ガンダムレインバレット、行くよ!」

「夕立。ユニコーンガンダムナイトメア、出撃よ!」

電たちが出撃を終える。陽炎たちも出撃態勢に入っていた。

「今年こそ必ず勝つわよ不知火!」

「もちろんです陽炎。不知火。ガンダムXブルーフレア、出撃します!」

「必ず勝ってみせる!陽炎。ガンダムDX(ダブルエックス)イフリーティア、出撃しまーす!」

 

今回バトルの舞台となったのは砂塵が舞い、高く上がった太陽が照らす荒野だった。周囲には大小様々な岩山が存在し、その中を電たちの3機のガンプラが飛んでいた。

「このフィールドは見通しが良すぎるな…さて、どうしたものかな…」

時雨がポツリと呟く。今回のフィールドである荒野は非常に見通しの良い地形となっていた。狙撃機体である時雨のガンダムレインバレットとは相性が良いとは決して言えないだろう。

「とりあえず、夕立が先行するっぽい!」

そう言ってファトゥム-01に乗ったユニコーンガンダムナイトメアが全速で前進を開始した。慌てて電が制止をかける。

「夕立さん無理に突っ込んだら危険なのです―――」

電がそう言い切った瞬間。荒野の果てから青白い大きな光の塊が向かって来た。その光に気付いた3人は機体を急速に降下させた。3機のガンプラは何とかその光を回避したが、地面への衝突を余儀なくされた。

「はにゃー!」「うわっ!」「うへ~」

荒野の先、そこには6枚の黄金に輝くリフレクターを展開し、肩に2門の長大なキャノンを担いだ鋭利的な外見を持つ赤いガンダムと、淡い青色に輝くX字のリフレクターと赤いガンダムと同じく長大なキャノンを肩から担いだ青いガンダムがいた。

「第1射、失敗です。陽炎」

「あちゃー避けられちゃったか…仕方ない、前に出て攻撃よ!」

「了解!」

赤いガンダムを駆る陽炎と、青いガンダムを駆る不知火が、一気に電たちに向け前進を開始した。

「ううう…一体何が?」

「サテライトキャノンの奇襲を回避するなんてなかなかやるわね!でも―――」

赤いガンダムが腰の両サイドアーマーに装備されたビームサーベルを抜き放ち、柄同士を連結させて薙刀のようにするとようやく起き上がったイナヅマガンダムに迫った。

「ハッ!?」

立ち上がったイナヅマガンダムも咄嗟にビームサーベルを抜き放ち、両ビームサーベルが衝突した。桃色の火花がビームの刃から飛び散る。

「私のガンダムDX(ダブルエックス)イフリーティアは倒せないわ!」

陽炎のガンプラ「ガンダムDXイフリーティア」。ガンダムDX(ダブルエックス)をベースにずんぐりした外見を鋭利でスマートな外見に変更し、格闘戦に特化させる為ビームサーベルや、膝から足首にかけて発振するビームブレイド等が装備されている。

「ガンダムDX!そうか、さっきの光はサテライトキャノンの!」

「不知火、電はあたしが相手するわ!時雨と夕立を頼むわよ!」

「了解。徹底的に追い詰めてやるっ!」

鍔迫り合いをするイナヅマガンダムとイフリーティアの横を、サテライトキャノンの後部から抜き放った大型ビームソードを握りしめた青いガンダム「ガンダムXブルーフレア」が駆け抜けていく。ガンダムXをベース機とした不知火の機体、ガンダムXブルーフレア。素組を生かしながらも、下半身に重点的なカスタマイズが施されている。特に乱戦を想定して増設されたスラスターは、ガンダムX本来の装備であるリフレクトスラスターと合わせて凄まじい推力を発揮する。その凄まじい速度で、レインバレットに迫るガンダムXブルーフレア。レインバレットはロングバレルビームライフルで牽制をかけながら後退していく。しかし徐々に2機間の距離は縮まりブルーフレアが右側中段から、大型ビームソードを振るった。レインバレットは咄嗟にバイポットシールドでこれを防ぐが耐ビームコーティングが施されていなかったバイポットシールドは呆気なく両断されてしまった。

「クッ!」

両断されたバイポットシールドを手離し、後方にバックステップをしたレインバレットはロングバレルビームライフルを地面に捨てるとビームサーベルと、ビームピストルを抜いた。

「そこっ!」

再びレインバレットに大型ビームソードが襲い掛かった。今度は左下からの斬り上げで、時雨はそれをビームサーベルで受け止めた。

「くうぅぅ…」

「流石ですね時雨さん。しかし、どれだけ耐えられますか?」

「まだだよ!」

レインバレットの胸元に装備されたマシンキャノンが火を噴き、高速連射で発射された銃弾がブルーフレアの胴体に雪崩れ込んでいく。ブルーフレアが少しだけ態勢を崩すとその隙にとレインバレットはブルーフレアに蹴りをお見舞いする。ブルーフレアは両足を地面に当て、ブレーキをかけて態勢を整えていた。

「チッ!」

「時雨っ、今行くっぽい!」

そこに、エクスカリバー対艦刀を両手に装備したユニコーンガンダムナイトメアが迫った。右上段に担いだエクスカリバー対艦刀を袈裟斬りで振り下ろすユニコーンガンダムナイトメア。しかしその攻撃はブルーフレアがバックステップすることで回避されてしまった。エクスカリバー対艦刀の刃が地面を激しく抉る。

「甘いですよ。夕立さん」

「まだ夕立の攻撃は終わってないっぽーい!」

スラスターを噴かして再度ブルーフレアに迫ったユニコーンガンダムナイトメアは左手に握ったもう1本のエクスカリバー対艦刀を左から横一文字に切り払う。しかしこれもバックステップで回避されてしまう。しかし、夕立は攻撃の手を休めようとせず、今度は横一文字に斬り払った勢いをそのまま利用してユニコーンガンダムナイトメアを一回転させ左上段から斜め斬りを放った。この攻撃もブルーフレアに当たることはなかったが、遂に鍔迫り合いとなった。

「やりますね夕立さん…ですがっ!」

「え?キャア!」

鍔迫り合いの中、ブルーフレアの右手がユニコーンガンダムナイトメアの左肩を掴んだ。そしてその瞬間、ユニコーンガンダムナイトメアの横をブルーフレアが通り過ぎたと思うと、ユニコーンガンダムナイトメアが激しく地面に叩きつけられた。

「「夕立!」さん!」

「フフンッ悪いわね、もらったわ!」

「あっ―――」

電が一瞬みせたよそ見を陽炎は見逃さなかった。ビームサーベルを握っていない左の拳をイナヅマガンダムの顔面にお見舞いしたのだ。拳の直撃を受けたイナヅマガンダムは吹き飛ばされ、地面に仰向けに倒れこんだ。倒れたイナヅマガンダムを何とか立ち上がらせようとする電だったがそれより先に陽炎のイフリーティアが目の前に現れた。電は、目の前のイフリーティアの姿に恐怖したのか目に涙が浮かんできていた。

「そ、そんな…」

「これで終わりよ電!」

イフリーティアは分断したビームサーベルの片方を逆手に持つと、イナヅマガンダムのコックピット部分に狙いを定めた。そして、腕が下りる直前――――

 

パシュンッ!

 

「なに!?」

「陽炎、時雨さんがそっちに行きました!」

ビームサーベルを握っていたイフリーティアの手に緑色のビームが直撃した。残念ながら手からビームサーベルを弾いただけだったが一瞬の隙を作るのには十分だった。

「電、今だ!」

ビームを放ったのは時雨のレインバレットだった。不知火のブルーフレアに追われながらも電を助けるため、放った1発は見事目標に命中したのだ。

「時雨さん!?は、はい!」

言葉の意味を悟った電は、イナヅマガンダムのスラスターを全開で噴かし地面に機体を擦りつけながら離脱し、少し離れたところで機体を起こして地面に着地する。

「しまった!」

しかし、着地したイナヅマガンダムはそのまま膝をついて座り込んでしまった。

「き、機体が!?」

「電―――うわぁっ!」

「チッ、浅い!」

電の窮地を救った時雨だったが、後方から迫っていた不知火のブルーフレアが放った大型ビームソードの斬り上げをバックパックに受けてしまった。しかし、浅めに入った攻撃はバックパックを少し斬っただけだった。後ろからの勢いに押され、レインバレットがうつ伏せに倒れてしまった。

「時雨さん!」

「クッ!ううう…」

倒れ伏したレインバレットの隣にブルーフレアが着地する。不知火は申し訳なさそうな声で陽炎に話しかけた。

「すいません陽炎。不知火の落ち度です」

「いいっていいって!それより、時雨。どうする?」

不知火の言葉に明るい口調で答えた陽炎は、今度は時雨に通信で呼びかけた。

「な、何がだい?」

時雨が弱々しい声で陽炎に聞き返す。

「もう3人ともボロボロなのよ。降参するなら、ここで終わりにしてあげるわよ?」

「あはは…笑えない冗談だね陽炎」

「悪いけど冗談じゃないわ」

陽炎の提案を聞いた時雨は引きつった笑顔で答えてみせた。しかし、いくら時雨が強がっても今の電たち3人のガンプラは大破寸前、どう考えても勝利は果てしなく遠い場所にある。

「し、時雨さん…もう電たちじゃ…」

電もまたこの状況がどういう物かはハッキリとわかっていた。しかし、時雨は諦める素振りすら見せず、ポツリと一言呟き目を閉じた。

「ううん。まだ終わりじゃない……」

 

 

 

そうだよね――――

 

 

 

「夕立っ!!」

そして目をカッと見開き、夕立の名を叫んだ。

「―――あったりまえっぽぉーいっ!!」

ブルーフレアが立つ遥か後方から、大きな土煙を上げながら何かが迫っていた。慌てて不知火が機体を反転させる。そして気づいた。

「!?あれは!」

 

迫ってくる物の正体―――ナイトメアモードを発動したユニコーンガンダムナイトメアに―――

 

「な、何あの姿…」

「陽炎!」

ナイトメアモードを発動したユニコーンガンダムナイトメアの姿に衝撃を受けた陽炎が思わずたじろぐ。しかし、不知火の声で我に返り臨戦態勢に入った。

「全部のビームサーベル、出力最大っぽぉーい!」

ユニコーンガンダムナイトメアの肩部ビームキャノンの砲身が外れ、そこから超巨大なビームサーベルが発振される。その大きさはユニコーンモード時の数倍のと言っていいほど巨大だった。更に腕部のビームトンファーと、両手に握ったビームサーベルもそれぞれに刃渡りが延長していた。

「クッ、不知火!サテライトキャノンでやるわよ!」

「わかりました!サテライトキャノン、用意!」

そう言うと、陽炎と不知火は武装スロットからサテライトキャノンを選択した。背中のリフレクターが展開し、砲口がユニコーンガンダムナイトメアに向けられる。

「まだ撃てるのです!?」

「最初の1射目が撃てたんだ!きっと付近のプラフスキー粒子をエネルギーに変えるソーラーシステムを使ってるんだ!」

「流石時雨ね。でも、もう終わりよ!」

イフリーティアのリフレクターが黄金色に、ブルーフレアのリフレクターが淡い青色に発光する。そして――――

「サテライトキャノン、発射っ!」

青白い光の帯が、ユニコーンガンダムナイトメア目掛け進んでいく。

「夕立ぃー!」「夕立さーん!」

ユニコーンガンダムナイトメアが光の中に消えた。電と時雨の2人が、夕立の名前を叫ぶ。

「ふぅ…ビックリしたけど、距離があり過ぎたみたぃ―――」

「陽炎、上!!」

「え――――」

 

陽炎とイフリーティアが上を見上げる。荒野の上空。そこに奴はいた――――

 

「もらったぁぁー!!」

それは一瞬だった。地上に降り立ったユニコーンガンダムナイトメアはその場で一回転。桃色の光の中に2機のガンプラは消えたのだった。

 

 

「Battle Ended!」

 

 

バトルの終わりを告げる言葉が体育館に響き渡った。

 

 

続く




新年あけましておめでとうございます。新年早々、週終わりの投稿となったこと申し訳ありません。どうか本年も、「艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん」をよろしくお願いいたします。
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