艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
バトルシステムがシャットダウンされバトル台の上には腹部を両断されたイフリーティアとブルーフレアが倒れ、ボロボロになったイナヅマガンダム、レインバレット、ユニコーンガンダムナイトメアが立っていた。陽炎と不知火は未だに起きたことを理解出来ずにたじろいでいたが夕立の喜びに満ちた歓声で状況を把握した。
「やったぁー!!夕立たちの大勝利っぽーい!」
「そ、そんなぁー!」
陽炎が体育館全体に響くような大声で叫び、そのままガックリと項垂れた。項垂れた陽炎に不知火がゆっくりと近づくと、陽炎の身体を起こさせた。
「陽炎。負けてしまった以上認めるしかありません」
「し、不知火…」
「不知火たちも自分の出来る最大限のことをしました。しかし今回は、時雨さんたちが一枚上手だったんです」
「…クッ!うう…」
「陽炎さん…」
不知火に支えられ涙をぽろぽろ零す陽炎。そんな陽炎の手をギュッと握りしめ不知火が呟く。
「泣かないでください陽炎。陽炎型駆逐艦のネームシップの名が泣きますよ?」
「う、うん…!」
陽炎は涙で溢れる目をグシグシ、と拭き取り不知火の手を握ったまま顔を上げた。そして、ニッと笑った顔を作って電たち3人を指さしありったけの力を込めて叫んだ。
「今回は負けたけど、次に戦うときは3度目の正直!絶対に私たちが勝つんだから!」
陽炎のその目はキラキラと輝きを放っていた。それは再戦での勝利を誓うものと、少しの悔し涙による輝きだった。時雨も、フッと小さく笑みを浮かべ返した。
「その再戦、謹んで受けさせてもらうよ!」
「また夕立たちがコテンパンにしてあげるっぽい!」
「電も、全力でお相手するのです!」
3人の言葉を聞いた陽炎は口元で小さく笑うと――――
「フフンッ!返り討ちにしてやるんだから!」
そっと涙を流した。
ロビーとバトル会場を繋ぐ細い廊下を歩く3人。
「いやー陽炎。相当悔しそうだったぽいー」
「それは当たり前だと思うよ。夕立だって、負けたら悔しいだろう?」
「それは勿論っぽい…」
「なら、僕たちはあの2人の悔しさを馬鹿にしちゃ駄目なんだよ」
夕立との会話をただ聞いていた電は頷きながら口を開いた。
「電も同じ思いなのです。陽炎さんたちの分も、電たちが頑張るのです!」
「そうだね!電の言う通りだよ」
「ぽい!」
3人が会話を弾ませていると、目の前から別の3人組が歩いてきた。その内の1人が、
「あ、電!さっきのバトル見せてもらっていたわよ!」
「い、雷ちゃん…」
「電どうしたの―――て、雷に最上、綾波じゃないか!」
「ん?あ、久しぶり時雨!」
時雨の言葉に気付いた最上と呼ばれた少女は手を振ってみせた。黒髪のショートヘアに、小豆色の生地に白線が入った襟のセーラー服に茶色のショートパンツと、非常に動きやすそうな服装の少女だ。彼女も元艦娘で、時雨とは旧海軍時代に共に戦った仲である為かなり仲が良い。
「まさか、こんな所で優勝候補の
「あはは、そう警戒してくれないでよ時雨」
「お久しぶりです!時雨さん、夕立さん!」
「綾波、久しぶりだね」
綾波と呼ばれた栗色の長髪を黒く細いリボンでポニーテールにして、焦げ茶色のセーラー服を着た少女だ。彼女もまた元艦娘で、退役後は白守学園に通っている。
「綾波ちゃん!ここであったが百年目っぽい!」
「夕立さん、相変わらず元気ですね。それと先程の試合凄かったです!」
夕立の挑発に乗ることなく、話す綾波。そんな綾波に、無視するなっぽいー!と叫ぶ夕立。すると綾波は、すいません。と謝って夕立と話し出した。
「それにしても、電がガンプラバトル始めてるなんて驚いたわ!」
雷が一歩前へ出て電に話しかける。電はまるで申し訳なさそうな表情で口を開いた。
「あ、あの時は教えられなくてごめんなさいなのです」
「ううん!良いのよ電、それにしても電は上手なのね操縦」
「え?そ、そうですか」
「流石、「救済の魔弾」である雷の妹ね!誇っていいのよ?」
「「え?」」
時雨と夕立は雷の「救済の魔弾」の言葉を聞くと彼女の方を勢いよく振り向いた。
「え?い、雷が救済の魔弾?どういうことだい?」
時雨は完全に呆気取られていた。
「雷ちゃんがきゅ、救済の魔弾?え、ええ!」
夕立は衝撃を受けていた。
「ええそうよ、この雷様が「救済の魔弾」よ!驚いた?」
「「ええぇー!!」」
救済の魔弾
それは、雷の二つ名だ。以前に使用していた「ミゲル・アイマン専用モビルジン」のカスタムガンプラ「雷専用カスタムジン」での活躍が大きく影響しガンダム
「ま、まさか。僕が憧れていたのが雷だったなんて…」
「夕立、驚きで心臓が爆発しそうっぽい…」
「あらら、全く仕方ないわね」
「あ~雷ちゃん。もうすぐボクたちの番だよ、そろそろ行こっか」
「あ、最上さんごめんなさい。じゃあね電、時雨、夕立」
「では皆さん。失礼します」
そう言って雷たち3人は会場へと歩いていった。電たち3人は雷たちの背中を眺めていた。
数分後、電たちは観客席にいる白露たちと合流し雷たちのバトルを観戦することにした。
「あ、時雨に夕立!お疲れ様!」
「う、うん。白露ごめん、白守学園のバトルが始まるからちょっと静かにして」
「ん?どうしたの時雨、真剣な顔なんかして」
「白露姉さん!」
村雨の言葉に、あ。と一言呟いた白露は口を閉じて会場に向き直った。
「あ、始まりました!」
五月雨が小さく呟いて白守学園のバトル台を指さす。電と時雨、夕立は固唾を呑んでバトルの様子を見ていた。
「最上たちの相手は私立
「結構しっかり作りこまれてるっぽい」
「……」
デストロイガンダムは「ガンダム
「デスティニーガンダムのカスタム機にガンダムサンドロックのカスタム機の様ね」
青と赤、そして白色のトリコロールで彩られたガンダムSEED DESTINYの後半主役機のデスティニーガンダムのカスタム機と、赤とグレーで塗装された大きなマントを羽織った「ガンダム
「あ!あのオレンジの機体って!」
「間違いないのです。雷ちゃんのガンプラなのです…あれは、ガンダムキュリオスのカスタム機?」
オレンジと白、そして黄色のトリコロールで塗装されたガンダムキュリオスのカスタム機だ。バトルシステムが表現した今回のフィールドは、レンガ造りの建物が立ち並ぶ欧米風の市街地だった。その空をデスティニーガンダムとガンダムキュリオスが飛び、ガンダムサンドロックはスラスターを噴かし市街地を駆け抜けていた。そして、3機の目の前に漆黒の影が現れる。デストロイガンダムは、出撃早々に円形バックパックに装備された全方位ビーム砲と、指先のビーム砲をばら撒きながら接近してきていた。
「す、凄い射撃ですね!」
「うわ~あれ回避できるの?」
デストロイガンダムの全方位射撃に驚く白露と五月雨だったが、驚いたのは2人だけでそれ以外の電、時雨、夕立、村雨は何も言わずにその様子を見ていた。
「あれを回避するのは至難の技だ。でも…」
「きっと、意味がないっぽい」
時雨と夕立がポツリと呟きそして電が続ける。
「あの程度じゃ雷ちゃんは倒せないのです」
「「え?」」
白露と五月雨がそう呟いたのと、弾幕を全て避けデストロイガンダムの懐に入り込んだ3機がデストロイガンダムの武装を破壊し始めたのは丁度同じだった。デスティニーガンダムが赤く輝く翼を広げ大型対艦刀である「アロンダイトビームソード」で背面の4門のビーム砲を両断、ガンダムキュリオスが手にしたGNビームサブマシンガンを改造したライフルでバックパック側面の全方位ビーム砲を次々破壊していき、ハイジャンプで切り込んだガンダムサンドロックの赤熱化したヒートショーテルが指先のビーム砲を削ぎ落しそれに続いてデスティニーガンダムがもう片方の指先を斬り落とす。
「す、凄いね時雨…」
「うん。凄く息の合った連携だ。流石去年の予選突破校だね」
「ぽい…」
そしてガンダムキュリオスがデストロイガンダムの口吻部と胸部のビーム砲を全て破壊しデストロイガンダムが背中から崩れ落ちると、バトルは終了した。
「これが、雷ちゃんたちの力…」
電は真剣な表情で雷たちを見ていた。
暗く光の射さない階段をフードを被った黒いロングコートの人物が下りていく。肩には白いベレー帽にピンク色のサイドテールの少女が担がれていた。春雨である。完全に気を失った彼女はピクリとも動かず、目を閉じていた。やがて、黒コートの人物は突き当りの扉を開け中に入っていった。部屋の中はゴウンゴウンという奇怪な音が響き、薄暗い消えかけの蛍光灯で照らされていた。しかし部屋全体を見渡すには完全に不十分な光の量だ。そして黒コートの人物が口を開く。
「おーい!居る―?」
部屋の中にいる誰かに向けられた言葉、しかし返答はない。が、コツコツと足音が響いてやがて黒コートの人物の前にもう1人の人物が現れた。その人物も黒いフードを被っていて素顔は見えない。
「なんだよ?」
一言だけ呟くその人物の言葉に春雨を背負った人物は笑いながら答えた。
「連れてきたんだよ、これでメンバーが揃うんじゃない?」
「フンッ奴はオレ1人いれば十分なんだよ」
すると、そのフードを被った人物が荒れた口調で呟いた。
「まあまあ、ここは素直に私の案に賛成しといてよ」
フンッ、とそっぽを向いたその人物はそれ以降何も喋らなかった。すると春雨を背負った人物は、愛想がないね。と呟くと部屋の奥へ向かって行った。
「さて、この前の子たちはどうかな?」
部屋の奥に並んだ数基のカプセルの前で春雨を背負った人物が口を開く。数基あるカプセルの内、2基のカプセルは黒い液体で満たされ中に2人の少女が浮かんでいた。薄暗い室内ではその2人の少女が誰なのか把握できないが、春雨を背負った人物は1基のカプセルを見上げながら口元をニヤリとさせ更に続ける。
「こっちの子はいい感じに侵食されてるみたいだ。これなら、全国大会に間に合いそうだよ」
そして今度はもう1基のカプセルを見上げる今度は少し悩ましそうな口調で呟きだす。
「うーん、こっちの子はまだもう少し掛かりそうかもしれないな。ま、元々バトルは3人以上連れてけないから良いだけどね」
そして2基目のカプセルの隣、空のカプセルの前に立つとその人物は春雨を肩から降ろしてカプセルの台座の上に座らせると少し離れた場所のスイッチを押した。すると上に上がっていたガラス張りのカプセルが降りてくると台座と接続され、黒い液体が台座からあふれ出しカプセルを満たしていく。
「フフフ……これで春雨ちゃんも私たちの仲間入りだよ」
黒コートの人物が不敵な笑みを浮かべる。カプセルが黒い液体で満たされたその時ほんの少し意識を取り戻した春雨の虚ろな目にその笑みは映った。
(どうして…あなたが…)
そして、春雨はまた意識を手離した。
続く