艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
準決勝まで駒を進めた暁学園ガンプラバトル部は、先の陽炎たち最照光学園とのバトルで傷ついたガンプラの修復に取り組んでいた。地区予選では準決勝以降になると、機体の修繕期間として1週間の猶予が与えられるのだ。これは、準決勝まで進んだ大会参加者のガンプラがそれまでのバトルで消耗し、ダメージが蓄積して本来の性能を発揮出来なくなってしまう。とのガンプラバトル協会の判断によりこのルールが定められているのだ。これは、全国本戦でも設けられており、全国本戦では5日間になっている。そして例によらず、暁学園の面々も修復作業を行うために部室にて作業をしていた。比較的損傷の少なかった夕立は1日で修復を済ませたが、電と時雨のガンプラはかなりのダメージを受けていたため既に3日も作業が続けられていた。
「夕立、ちょっとここ抑えててくれる?」
「了解っぽい!」
「ありがとう。よし、後は接着剤が乾くのを待つだけだね。電、君の方はどうだい?」
「はい!電も、後はこのパーツだけなのです」
「そっか、お疲れ様…ふぅ…」
時雨は一息つくように椅子の背もたれにもたれかかった。机の上には仕分けされ修復されたレインバレットのパーツが綺麗に並べられていた。時雨は少し目を瞑ると、後ろから夕立が時雨の両肩に手を置いて落ち込んだ表情で話しかけた。
「時雨ごめんね。夕立があの時不知火を倒せていたら…」
どうやら先の陽炎たちとの戦闘で時雨のレインバレットを損傷させてしまったことを悔やんでいる様だった。レインバレットに迫ったブルーフレアに真っ先に攻撃を仕掛けるも逆に返り討ちを受け、時雨のレインバレットは大破寸前までされてようやく助けることが出来たのだ。
「時雨のガンプラ、こんなにすることもなかったのに…」
更にボソボソと続ける夕立。すると時雨は椅子からゆっくりと立ち上がると、夕立の方に向き直り落ち込んだ夕立の頭に手を置いた。そして、小さな笑顔を作るとその頭をゆっくり撫でた。
「し、時雨?」
「夕立ありがとうね。僕のことをそんなに思ってくれて…でも、僕も夕立に謝らないといけない」
「え?」
「僕も、最後の最後で夕立に頼ってしまった、ごめんね」
時雨も最後の最後で夕立に全てを頼ってしまったことを悔やんでいたようで、小さく俯いてしまった。そして、時雨の言葉を聞いていた夕立は少し涙目になっていた。
「木曾先輩の言った通り、接近戦にも対応出来るようにならないと…」
「時雨ぇ…」
「夕立、僕たちはもっと強くならないと駄目なんだ。だから、力を貸してくれるかい?」
時雨のその言葉を聞いた夕立は、目元をゴシゴシと拭くと満面の笑みを浮かべ―――
「あったりまえっぽいっ!!」
と大声で宣誓してみせた。
「時雨さん、夕立さん。電も修復作業終わりました!」
夕立の宣誓とほぼ同時に電も機体の修復を終わらせ、椅子から立ち上がった。そして、2人の方を振り向くと円陣を組むように作戦会議を始めた。
「じゃあ、作戦会議を始めるよ。2人も知ってるように次の対戦相手は金剛さん率いる
陽炎たちとの試合の日、白守学園のバトルの観戦を終えた3人は次に控えていた自分たちの次の対戦相手を決める試合も観戦していた。そしてその試合で勝ち上がったのが金剛率いる風天学園だったのだ。風天学園はハイスピード、高機動なガンプラを使用してくる学園としてこの周辺地域では有名な学園だった。そして案の定、試合を見ていた電たち3人はそのバトルを見て驚愕したのだ。高速で行われるそのバトルは一方的な風天学園の勝利で幕を閉じたのだ。対戦チームのガンプラはスピードに翻弄され、あっという間に全機撃破されたのだ。
「時雨、どんな作戦で行くの?」
「高機動機体の対処法はいろいろあると思うけど、僕は敢えて受け身の作戦で行こうと思うんだ」
「受け身ですか…でもそれだと、ガンダム
ガンダムAGEの劇中で主人公機であるガンダム
「いや、金剛さんと島風の戦いを見たんだけど。どうも、その心配はないかもしれない」
「時雨?それって、どういう意味っぽい?」
「島風の機体はどうも射撃特化の機体みたいだったし、金剛さんの機体は格闘機体だけど何でかビームサーベルを使おうとしないんだよね」
「じゃあ、しっかり引き付けて狙い撃てば良いってことですか?」
「そう言うこと。じゃあ早速練習に入ろっか」
「あ、あの時雨さん、夕立さん!」
そう言って練習を始めようとした2人を止めた電。電の制止を聞いた時雨と夕立は電の方に振り向いて同時に、どうしたの?と言った。すると電は、自分の鞄から1冊のノートを取り出し2人に見せる。
「あの、雷ちゃん対策としてこれを考えたのです」
「ぽい?…し、時雨!これって…」
「なるほどね。たぶん、ルール的にも大丈夫な筈だ。わかった、協力するよ!」
「あ、ありがとうなのです!」
こうして、残りの4日を練習と電の提案を進めることに費やすことになった暁学園ガンプラバトル部。そして、準決勝戦の日を迎える。
体育館のバトル会場は、今まで4台置かれていたバトルシステムは1台を残して全て捌けられ、会場は更に観客が多くなったようにも思える。そして、準決勝第1試合である暁学園対風天学園の試合が始まろうとしていた。暁学園の3人が立つ反対側には白と焦げ茶色の巫女服の様な服を着て、アホ毛が目立つブラウン色のロングヘアーを両サイドでお団子にして金色のヘアバンドを付けた背の高い女性「金剛」と、大きなうさ耳リボンを付けた銀髪ロングヘアーに、ノースリーブのセーラー服に鼠径部がギリギリ隠れるようなミニスカートを履き、白と青の長い手袋と白と赤の縞々ストッキングを履いた少女「島風」と、銀色の長い髪をツーサイドアップで狐耳にしたような髪に、白地に黒い線が入った襟と焦げ茶色のシースルーワンピースを着て白い線が2本入った赤色の長い靴下を履いた少女「天津風」たちが立っていた。そして後方の観客席からは金剛と色違いではあるがほぼ同じ巫女服を着た比叡、榛名、霧島が応援をしていた。しかし、会場の歓声に3人の声はかき消されていた。
「金剛さん、島風、天津風…」
「Hey!時雨ぇ!そんな怖い顔するなんてせっかくの美人が台無しネー!」
「オウッ!電ちゃん、時雨ちゃん、夕立ちゃん、ひっさしぶり―!」
「久しぶりね3人とも!」
「島風ちゃん、天津風ちゃん、金剛さん、久しぶりっぽい!」
「お、お久しぶりです!」
「Youたちには悪いデスが今日のbattle、勝つのは私たちデース!」
金剛がビシッと電たちを指さし勝利宣言をする。しかし、時雨と夕立も負けじと強気の返事をする。
「夕立たちにも負けられない理由はあるっぽい!」
「だから、今回のバトル。勝つのは僕たちだ!」
「な、なのです!」
慌てて電も加わり、バトル前の緊張が一気に高まる。そして金剛が小さくニッと笑うと―――
「では!Battle startネー!」
「Gun-pla Battle combat mode stand up!model damage level set to B」
金剛の掛け声でバトルシステムが起動し、会場から大きな歓声が沸き上がる。
「Please set year GP base.Beginning Plavsky particle dispersal.Field 01 space」
大量のプラフスキー粒子が散布され、広大な宇宙空間フィールドが形成される。宇宙の中でも建造物の残骸が点在する暗礁宙域が今回のフィールドの特徴だった。
「Please set year Gun-pla」
電たち3人と金剛、島風の2人がそれぞれガンプラをセットする。システムがガンプラを読み込み、メインカメラが発光する。ホログラフの操縦スペースが現れ、それぞれが球状の操縦桿を握りしめる。
「Battle Start!」
ガンプラの周りがカタパルトで囲われ、それぞれのガンプラが発進体制に入る。
「電。イナヅマガンダム、出撃です!」
「時雨。ガンダムレインバレット、行くよ!」
「夕立。ユニコーンガンダムナイトメア、出撃よ!」
暁学園の3機のガンプラが射出される。そして、バトル台の反対側。金剛たちも出撃を開始しようとしていた。
「島風、今回の相手は特に強いわ。大丈夫だとは思うけど、無茶はしないでよね?」
「任せて天津風ちゃん!島風。ウィンドガンダム、出撃しまーす!」
「ぜかましぃも気合十分ネー!私も負けてられないデース!金剛。ビルドバーニングラブガンダム、Take-offデース!」
島風のウィンドガンダムと、金剛のビルドバーニングラブガンダムが発進した。
「暗礁宙域か、ちょっと厄介だなぁ…夕立。」
暗礁宙域に入るなり、時雨はポツリと愚痴を呟いた。そして夕立に何かの合図を送ると夕立はそれに反応して、操縦桿の武装スロットから大型ビームサーベルを選択した。パージされた砲身部をレインバレットが確保すると、ロングバレルビームライフルを腰裏にマウントし2丁のビームライフルを握りしめる。電も、イナヅマガンダムの全射撃武器を構えた。
「電ちゃん、時雨、行くよ!細かいのは任せたっぽい!」
「なのです!」「うん!」
夕立がそう言い放つと同時に、ユニコーンガンダムナイトメアが前衛となって全速力で前進を開始した。大型ビームサーベルに次々焼き切られていく暗礁宙域に点在する残骸。
「いっけぇー!」
尚も前進するユニコーンガンダムナイトメアの後を追うイナヅマガンダムとレインバレットは、ユニコーンガンダムナイトメアが破壊しきれなかった残骸を次々に射抜いていく。そして、金剛たちの操縦スペースに接近警報が鳴り響く。
「早速来ましたネー!」
「待って金剛さん!何か様子がおかしいわ!」
「Waht!?」
島風のセコンドとして付いていた天津風が、接近する3機に違和感を感じたのだ。金剛もそのことを感じ取ったのか、天津風を一弁すると正面を向き直った。すると正面から大型ビームサーベルを展開しながら突っ込んでくるユニコーンガンダムナイトメアが見えた。
「ぜかましぃーひとまず回避デース!」
「ぜかましじゃなーい!」
そう言って回避行動を取った2人は後ろに続くイナヅマガンダムとレインバレットを確認し、ようやく3機が通り過ぎるのを見届けた。それは電たちも同じで金剛の燃える炎の様な頭部アンテナと、背中の6枚のスタビライザー、手甲を備えた両腕、脚部に備わった大型スラスターユニットと赤、白、金のトリコロールが目を引くガンプラ「ビルドバーニングラブガンダム」と、島風の白、青、赤のトリコロールカラーに、両側合わせて計10枚の白と青の背部ウイングバインダー、丸びを帯びながらもどこか角張った外見を持つガンプラ「ウィンドガンダム」を確認した。
「夕立、これくらいで十分だ!急いで密集隊形を作るよ!」
「ぽい!」「なのです!」
ビルドバーニングラブガンダムと、ウィンドガンダムを通り越してしばらくしたところで時雨は夕立にストップをかけた。その言葉を聞いた夕立は瞬時に機体を停止させ大型ビームサーベルも停止させた。それに続いて、イナヅマガンダムとレインバレットも停止しお互いの機体が背中合わせになった。
「村雨、時雨たちはいったい何やってるの?」
観客席で観戦する白露が、時雨たちの行動を村雨に聞いていた。村雨は白露に顔を向けることなく話し始めた。
「暗礁宙域で戦う場合。障害物が多いと敵が何処から攻撃される可能性があるの、時雨姉さんはその障害物を先に無くして、相手が攻めてきてもしっかり把握出来るようにしたのよ」
「…なるほど!海みたいにしたってことか!」
「…もうそれでいいわ」
白露の反応にため息交じりに呟く村雨。そんな中、背中合わせになった暁学園の3機に風天学園の2機が襲い掛かった。ビルドバーニングラブガンダムは両手の拳による接近戦で、ウィンドガンダムは両手に保持した2丁のビームライフルで攻撃を始める。
「速攻で決めちゃいマース!ぜかましぃ、援護は任せたデース!」
「よーし、ウィンドガンダムの射撃見せちゃうよー!って、ぜかまし言うなー!」
「島風、しっかり狙って一撃で仕留めてよ!」
まず狙われたのはガンダムレインバレットだった。レインバレットはユニコーンガンダムナイトメアのビームライフルに変わってビームピストルを装備し、ビルドバーニングラブガンダムに照準を合わせていた。ビルドバーニングラブガンダムの大きく振りかぶった拳が放たれる。
「これでFinishデース!」
「計算通りだ、電!」
「はい!任せてください!」
時雨の掛け声で、電はイナヅマガンダムをレインバレットの正面に飛び出させた。イナヅマガンダムは縮小させた機動防盾を構えた。
「Waht!」
ガキーン!と大きな音を立てて放たれた拳を受け止めたイナヅマガンダム。防御した時の反動でイナヅマガンダムは後ろに大きく飛ばされたが、その隙にビルドバーニングラブガンダムの真横に移動していたレインバレットは両手に握ったビームピストルを連射する。
「もらったよ金剛さん!」
しかし、金剛はビルドバーニングラブガンダムのスラスターを全開で噴かし、時雨の攻撃を回避してみせた。
「クッ、流石の速さだ」
「この程度じゃ私は討ち取れないネー!」
「時雨っておっそーい!」
「あっ!?」
レインバレットの上空からウィンドガンダムがビームライフルを放ちながら降下してくる。それをバイポットシールドを構えながら回避するレインバレット。ウィンドガンダムはそのままレインバレットに突撃し、すれ違いざまにレインバレットと衝突し駆け抜けた。
「うわぁ!」
「時雨!」
夕立が時雨の名前を叫びながら操縦桿の武装スロットからビームブーメランを選択した。ユニコーンガンダムナイトメアが右腕を背中にまわし三角形のビームブーメランを握ると、その腕を払うようにビームブーメランを投擲した。弧を描きながらウィンドガンダムを追いかけるビームブーメランだったが、島風はそのビームブーメランを回避してみせた。手元に戻ったビームブーメランをキャッチしたユニコーンガンダムナイトメアは左手にもビームブーメランを握ると、右手の物と同時に投擲した。
「もう1回っぽい!」
「へん!止まって見えるよー!」
ウィンドガンダムはビームライフルを左右に構えると、ビームブーメラン目掛け放った。そのビームは狙い違わずビームブーメランを破壊した。ウィンドガンダムが爆炎に照らさせる。
「あー、夕立のブーメランが…」
「へっへーん!私より遅いとこうなっちゃうんだよー」
操縦桿を握りしめながらドヤ顔をする島風。しかしそこに1機のガンプラが襲い掛かった。
「隙ありなのです!」
ウィンドガンダムの上空から、イナヅマガンダムがビームサーベルを振り下ろしながら現れたのだ。
「へ?きゃあ!」
反応が遅れた島風のウィンドガンダムは、右肘から下を斬り落とされてしまった。イナヅマガンダムは高速降下から反転、再度ウィンドガンダムに迫った。危険を感じた島風はウィンドガンダムを180度反転させ逃走を開始した。イナヅマガンダムは逃げるウィンドガンダムにビームライフルを放ちながら追撃を開始した。
「くっそー私が被弾するなんて…」
「逃がさないのです!」
「電、深追いは禁物だ!戻って―――」
時雨の言葉が切れる前にレインバレットの前を赤い影が通り過ぎた。時雨はハッとして、赤い影を追ったが追いつけない。
「しまった!電、避けるんだ!」
「え―――」
ウィンドガンダムを追っていたイナヅマガンダムの頭部に赤い拳が命中した。拳を放った正体は、金剛のビルドバーニングラブガンダムだった。ビルドバーニングラブガンダムの拳をもろにくらったイナヅマガンダムは激しく飛ばされ、宇宙を漂っていた。
「はにゃぁぁー!」
「ぜかましぃはやらせませーん!」
「金剛さん!」
そう言い放った金剛は、ビルドバーニングラブガンダムの各部スラスターを噴かし、イナヅマガンダムを四方八方から攻め立てた。それはまるで電が危惧していたガンダムAGEのゼダスのあり様と瓜二つだった。
「「電!」ちゃん!」
何とか救助に向かおうとする時雨と夕立だったが、そこにウィンドガンダムが残ったビームライフルを放ちながら割って入った。
「ここは通せんぼだよ!」
「島風ぇ!」
「意地でも押し通るっぽーい!」
ガンダムレインバレットと、ユニコーンガンダムナイトメアがウィンドガンダムに正面から攻撃を開始した。
四方八方から攻撃を受けボロボロになっていくイナヅマガンダム。ビルドバーニングラブガンダムの高速移動からの拳の叩き込みは止まることなく続けられていく。
「ああぁぁ!」
「まだまだぁ!私は喰らい着いたら離さないワ!」
操縦スペースに電の悲鳴がこだまする。機体の操縦もままならずただただ、攻撃を受け続けるイナヅマガンダム。機体の各所にはヒビが入り、装甲の縁は徐々に欠けていく。そして遂にビルドバーニングラブガンダムが、止めを放とうとしていた。
「これでFinishデース!」
ビルドバーニングラブガンダムの右手が赤く輝きを放ち、ビルドバーニングラブガンダムは腰を落として構えの姿勢に入った。その赤い輝きは時雨たちにもハッキリと見えた。
「あれは、まさか!?」
「電ちゃん!」
2人の言葉も虚しく、ビルドバーニングラブガンダムは右手を前方へ突き出しスラスター全開でイナヅマガンダムに迫った。
「バァァァニングラブ、フィンガァァァー!!」
そんな中で正面モニターへ顔を向けた電。赤く輝くバーニングラブフィンガーはすぐそこまで迫っていた。
「あ、ああ……」
電が涙を流した。敗北を受け入れることが辛かった。悔しかった。そして何より、こんな時になっても何故か思っていた。
(負けたくない…負けたくないよ…)
その時だった――――
単純なのです――――
その言葉が4人の耳に届いたのは、イナヅマガンダムがビルドバーニングラブガンダムのバーニングラブフィンガーを零距離で回避した時だった。
「ナッ!」
金剛が驚愕した表情になり、声を上げた。そんな中、操縦スペースの電はニッと笑っていた。そして、高速と言って良い程の手捌きで武装スロットを操作しビームサーベルを選択した。そして、そのビームサーベルを――――
「消えちゃえなのです…」
その言葉と共にビルドバーニングラブガンダムに投げつけた。バーニングラブフィンガーを回避され困惑と驚愕に支配された金剛は回避できず、投擲されたビームサーベルはビルドバーニングラブガンダムの胴体中央部に根元までグサリと刺さった。更に電は武装スロットを操作し、今度はビームライフルを選択した。そして、照準をビルドバーニングラブガンダムに合わせると、連続で引き金を引き続けた。
「あははははははは!!消えろ消えろ消えろ消えろぉぉっ!!」
正確無比と言える連続射撃は次々ビルドバーニングラブガンダムに吸い込まれていった。
「ああぁぁぁっ!」
「「「………」」」
その光景に時雨と夕立、そして島風は言葉を失っていた。そして、ビームライフルを放ちながらビルドバーニングラブガンダムに接近していくイナヅマガンダム。
「終わりなのです…」
そして、零距離まで近づくとビームライフルの銃口をビルドバーニングラブガンダムの首元に当て引き金を引いた。緑色のビームがビルドバーニングラブガンダムを貫通する。そして、胴体に刺さったビームサーベルを勢いのまま引き抜き横一文字に切り払ったイナヅマガンダム。そして、ビームサーベルが抜けたのと同時にビルドバーニングラブガンダムは炎に包まれ、爆発した。爆炎に照らされたイナヅマガンダムのメインカメラが、キュピィン!と輝く。
「あんな…あんな戦い方…」
「まるで、悪魔だ…」
ビルドバーニングラブガンダムを撃墜した電は、操縦スペースで操縦桿を握りしめながら俯いていた。
「……フフフ………アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!」
そして、突然大声で笑いだした。
「い、電?」
「ど、どうしちゃったの…?」
「フフフフ…」
そして笑い終わった電は顔を上げ正面モニターに目を向けた。その顔はまるで獲物を見つけた悪魔の様に、口角を大きく上げニヤリと笑っていた。そしてその瞳は金色ではなく――――
深紅に輝いていた。
「次はお前なのです…」
ウィンドガンダムをニヤリと睨みつけた電は、イナヅマガンダムをウィンドガンダムに向け突撃させた。青白いスラスターの尾を引いて、イナヅマガンダムがウィンドガンダムに迫る。
「ハッ!島風、降参するんだ!」
その咄嗟の瞬間、時雨は島風に大声で叫んだ。
「えっ!時雨ちゃん何を!?」
「早く!でないと島風のガンプラまで金剛さんのみたいになっちゃうよ!」
「そうだよ!島風ちゃん、お願い!」
「島風!私からもお願い!」
このバトルに参加している全員の意見が一致した。島風の頭に先程のビルドバーニングラブガンダムの姿がフラッシュバックする。島風の額に汗が流れ、ゴクリと唾を飲み込む。そして、島風は降参を宣言した。
「Battle Ended!」
プラフスキー粒子が消滅し、スラスター全開で動いていたイナヅマガンダムはその勢いのまま台の外へと転がっていった。操縦スペースが消えていくことに気付いた電は、顔を上げ再びニヤリと笑った。
「フンッ。こんなんじゃつまらないのです…」
そう言い放った電。そして、その言葉を言い終わった電の瞳から赤みが消え、元の金色の瞳に戻ると電はその場に崩れるように倒れた。
続く