艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP20 秘密と決勝への先駆け

電が会場で倒れ時雨と夕立が慌てて助け起こされ、救護室に運ばれていった。その様子を見ていた観客席の雷たちや白露たち、金剛や島風、天津風も慌てて後を追いかけていった。

 

救護室のベットの上に横たわり目を瞑る電を心配そうに見つめる時雨たち。静まり返った救護室で夕立が口を開いた。

「電ちゃん、いきなりどうしたんだろ?急に人が変わったみたいに…」

「確かに…あんな電、僕も初めて見たよ。雷、何かあの電に心当たりはある?」

時雨に問いかけられた雷は、静かに首を横に振った。

「ううん…私もあんな電を見たことはないわ。私たちと暮らしてた時も、こんなことにはならなかったし…」

「そうなんだ…」

再び静まり返る救護室。電の小さな寝息と時計の針の音だけが、救護室にこだまする。それからしばらく時間が流れた時、何かを考えていた最上が静かに一言呟いた。

「まるでさ…」

「最上さん?」

最上の隣に立っていた綾波が最上の言葉に反応し聞き返す。綾波の声に気付いたその場にいた全員が一斉に最上の方に振り向いた。最上は右手を口元に当て考えながら口を開いた。

「…まるで、ガンダムOO(ダブルオー)のアレルヤとハレルヤみたいだよね。二重人格?って言うか、あの戦い方って言うか」

「え?」

最上が言った人物、アレルヤこと「アレルヤ・ハプティズム」はガンダムOOに登場する心優しい性格のガンダムマイスターの1人で、二重人格の持ち主だった。そして彼のもう1つの人格、ハレルヤこと「ハレルヤ・ハプティズム」は非常に好戦的な性格で、それがガンダムに搭乗した時もそのような戦い方をしていた。そのハレルヤの戦闘スタイルと、先の電の戦闘はまさにそれ(・・)と重なっていたのだ。そこに、時雨が何かに気付いたかの様に口を開いた。

「確かに…あの時の電の言動は、ハレルヤとよく似ていた。それに電の普段の言動を見ていると―――」

「アレルヤとハレルヤにそっくりっぽい!」

3人の言葉に周囲がざわつく。その場にいた全員が小声で口論をし始めていたその時だった―――

「うるさくて眠れやしないのです」

「!?」

不意にベッドから声がした。口論をしていた全員が慌ててベッドに振り返った。そこには体を起こした電がいた。慌てて雷と時雨がベッドに駆け寄り声をかける。

「い、電!大丈夫かい!?」

「どこか体が痛いところとかある!?」

2人の声掛けに、あぁん?と口を開く電。その言葉を聞いた2人は慌てて電の目を見た。そしてその目は深紅に輝いていた。

「そ、そんな…」

「おいおい、どうしたのです?」

先程のバトル中程ではないが、口の悪い言葉で話す電。そして、雷は両手で口を押えながら目に涙を浮かべていた。その場にいた全員が絶句していた。

「い、電……電ぁ」

「い、雷。どうして泣いてるんです?」

その言葉を聞いた雷は、一瞬ハッとすると泣きそうな表情で歯を食いしばりながら電に飛びつき、喉元に掴みかかった。

「い、雷っ!!」

「返してっ!私の…私の電を返して!」

「ちょ!離してくださいなのです!」

「黙りなさい!その声で…電の声で喋るなぁ!」

「ま、待て!電なら大丈夫なのです!」

すると、電の右目が深紅から金色になった。そして、その目がまるで憎むべき相手を見据える様な表情の雷を覗き込んだ。そして、ビクビクした声で慌てながら口を開いた。

「い、雷ちゃん…い、痛いのです、離してほしいのです…うぇ…」

「ハッ!?」

慌てて胸倉から手を放した雷。そしてよろよろと後ろにたじろぐと、大粒の涙を流しながら電を見据えて震える声で尋ねる。

「い、電…電、なの?」

「ど、どうしたのです雷ちゃん?電の顔に何か付いてますか?」

「…う、うわぁぁぁん!電ぁ―!」

すると今度は大泣きをしながら安堵に満ちた表情で電に飛びつく雷。そしてそれを見ていた全員が安堵する。そして今の状況が飲み込めない電は、慌てた表情で周囲にいる全員に声をかけた。

「あ、あの…この状況はいったい何なのですか?」

「あ~話すと複雑っぽい…」

夕立の言葉に周りの全員が、うんうんと頷く。電は頭の上に?を浮かべながら泣きついて離れようとしない雷の頭を撫でていた。すると時雨が口を開いた。

「簡単に説明すると、君はバトルの途中で倒れたんだよ。だから慌ててここ(救護室)に運んだんだ」

「え?じゃ、じゃあバトルはまだ終わってないのですか!?」

「あ、いや…バトルは―――」

「バトルならワタシが終わらせてやったのです」

「っ!?」

不意に再び、口の悪い(?)電の言葉が救護室に響いた。慌ててその場にいた雷以外の全員が身構えたが、時雨だけは電の目の色が変わっていないのを発見した。

「っ!目の色が変わっていない?」

「時雨どうしたっぽい?」

夕立の言葉に答えることなく、真剣な表情でその電(・・・)に話しかけた。

「君は…いったい誰なんだ?」

「ん?あんたはこいつ()が、時雨さんって呼んでた奴なのです?」

「そうだよ…僕は時雨。君が憑いている電とはチームメイトだ」

「おいおい、憑いているなんて失礼なのです。これでもワタシはこいつ()なのですよ?」

「君が電?どういう事か説明してくれるかな?」

表情一つ変えず、真剣な表情で電を見据える時雨。そしてその時雨を見ていた彼女の姉妹と、時雨をよく知る最上以外は、こんな時雨は見たことがないと驚くあまり絶句していた。すると電は、やれやれなのです。と呟き話し出した。

「簡単に言えば、ワタシはこいつ()のもう1つの人格。あんたらがさっき言ってた奴と、まぁ似たようなモノなのです」

「い、電の…もう1つの人格っ!?」

「そうなのです。まあ、ワタシもなんでこうなったのかはわからないですが」

「そ、そんな…電が二重人格なんて…」

電の話を聞いて雷は相当なショックを受けていた。そんな中でも、時雨は依然表情を変えず更に会話を続ける。

「じゃあ、1つ聞きたい。君が表に出ている時、電はどうなっているんだ?」

「完全に表に出た時は眠ってるのです。ま、今は半分出てきてるから起きてるよ。なぁ、電」

「は、はいなのです!」

「「電!?」ちゃん!?」

突然いつもの口調に戻って話した電。それは先程までの荒っぽい口調とは違う、彼女たちがよく知るいつもの電の口調だった。すると今度は電が喋り出した。

「確かにもう1人の電が出てる時は眠ちゃってるのです。でも、電にも何でもう1人の電がいるのかはわからないのです」

「そうなんだね。で、もう1人の電は今は起きてる…」

「ご名答なのです時雨!」

と、再び口調が変わる。なるほどね。と、納得した時雨はようやく強張った表情を解いた。すると今度は夕立が口を開いて尋ねた。

「片目が赤いままなのもそのせいっぽい?」

「たぶんそうだと思うのです」

と言って電が笑ってみせた。それを見てか、それまで泣いていた雷は再び電を抱きしめた。

「はわわ!い、雷ちゃんどうしたのです!?」

「そうよ電は電。うん、大丈夫…」

どりた表情を一瞬見せた電だったが、やがて穏やかな表情になり雷を抱きしめ返した。

「雷ちゃん…」

それから少しして、白守学園の3人は準決勝の為救護室から出ていき、電たちは救護室でしばらく話をしてその日は解散となった。

 

準決勝から4日、機体の修復作業を完璧に終わらせた暁学園ガンプラバトル部の3人は、決勝戦の相手となった白守学園とのバトルを想定した練習に励んでいた。そして、それと並行して電は「対雷用のある物」を3人の協力を得て制作していた。

「後は、ここのパーツを…よし!」

「ふぅ…やっとできたね電」

「でもまさか、こんなことを思いつくなんて。電ちゃん、案外頭が切れるっぽい!」

「えへへ、ありがとうなのです!」

夕立に褒められた電は照れ笑いしながら答えた。すると、電の左眼が深紅に変わった。

「お!ワタシの新しい機体の完成なのです?」

「あ、もう1人の電ちゃんが出てきたっぽい!」

「全く、いきなり出てくるのはやめてほしいな。もう1人の電」

「う…もう1人の電って言い方なんか腹立つのです」

「はわわ…喧嘩しちゃダメなのです!」

と、時雨はついさっき思い出したかのような口調でもう1人の電に尋ねた。それを聞いて、ぐぬぬ…と呟いたもう1人の電だったが、実際自分が名前を名乗ったことなど無かったしな…と思い両腕を組み目を閉じて何か考えだした。

「うーん…そうだな~裏の電…ウラノイナヅマ…ウライナヅマ…ウラヅマ…」

「君って頭の中で物事を考えられないタイプなんだね…」

「思いっきり声に出てるっぽい…」

もう1人の電が両腕を組みながら目を閉じてはいるが、声に出して考えているその光景に時雨と夕立は、苦笑しながらその様子を見ていた。案の定、2人の後頭部には漫画に出てきそうな大粒の汗が流れていた。

「ウラヅマ…ウラヅマ…あ!」

何かを閃いたのかもう1人の電が声を上げた。その声に、ピクッと反応する時雨と夕立。すると、もう1人の電が声高らかに宣言した。

「じゃあワタシの事は、ぷらづまって呼んでくれなのです!」

「君もなかなか…面白いこと言うんだね…」

「む、失礼なのです…」

「でもでも、ぷらづまっていい名前だと思うっぽい!」

「だよなぁ!」

「電もとってもいいと思うのです!」

結果、電のもう1つ人格の名前は「ぷらづま」に決定したのだった。はしゃぎ立てる夕立とぷらづま、やれやれとため息を吐く時雨、そしてニコニコと笑う電。今日も暁学園ガンプラバトル部は平和です。と区切りを付けたくなるような場面だはあったが、時雨が1つ咳ばらいをすると一気に部室は緊張感漂う空間へと変貌した。そして、全員が静まったのを確認して時雨が口を開いた。

「3人とも知っていると思うけど。決勝の相手は、白守学園だ」

その言葉に夕立と電がこくりと頷く。そして時雨がさらに続ける。

「あの3人を相手取る以上、まず障害となるのが雷の存在だろう」

「確かに、あの3人の中でも率先して前に出てくるもんね」

「なのです…そうなるとこちらは固まっていると危険なのです」

「そう言うことだね。だから今回は電―――」

突然名前を指摘された電は、少し驚いた表情で時雨の顔を見た。すると、目が合ったのと同時に、時雨は真剣な表情で電に話し出した。

「君に雷の相手を任せたいんだ」

時雨の口から語られた言葉は、電の想像していたものとは全く違った。電は一瞬驚くがやがて弱気な声で、でも…と一言呟き続きを話そうとしたが時雨の言葉がそれを遮った。

「勿論、危険なことに変わりはない。リスクも大きいよ。でも、雷の相手が出来るのは電しかいないんだ」

「え?い、電しか…ですか?」

そうだよ。と時雨がハッキリと頷き、続ける。

「電のガンプラ…イナヅマガンダムには雷と戦える力がある」

「い、雷ちゃんと戦える力…」

「大丈夫。電なら、きっとできるよ!」

「その為に今から練習するんでしょ?電ちゃん」

「夕立さん……わかりました。雷ちゃんは、電がお相手します!」

「ありがとう!よし…これで行けるね!」

「なぁに、いざって時はワタシもいるのです!大丈夫なのです!」

「ぽい!夕立も全力で頑張るよ!」

こうして、決勝までの残り3日間。暁学園ガンプラバトル部はこれまでにない練習に打ち込んでいったのだった。

 

 

そして、遂に決勝戦当日―――――

 

 

体育館の中央、バトル台を挟んで6人の少女たちが立っていた。そして、彼女たちお互いの瞳は、バトルの先にある勝利だけしか見つめいないような物だった。

「交わす言葉はない。って感じだね3人とも」

バトル台の向こうで最上が口を開いた。それに答えるように時雨が頷き、言葉を返す。

「うん。最上たちもそうみたいだね」

最上が頷き返すと、今度は最上の隣に立っていた綾波が口を開く。

「綾波たちにも、負けられない。譲れないものがあります!」

それに答えるように夕立が叫ぶ。

「夕立たちもそれは同じっぽい!」

そして、電が続く。

「今日勝つのは、電たちなのです!」

その言葉を聞いた雷がニッと笑ってみせ叫んだ。

「その言葉、そっくりそのまま返させてもらうわ!」

6人の表情が一層引き締まる。そして、その全員が叫んだ――――

 

 

 

さあ…始めようっ!!

 

 

 

「Gun-pla Battle combat mode stand up!Model damage level set to B.Please set year GP base.」

6人がそれぞれのGPベースをセットする。

「Beginning Plavsky particle dispersal.Field 01 space.」

幾億万のプラフスキー粒子が散り、広大な宇宙空間と6つの棘の様な岩壁を持つ巨大な宇宙要塞「ソロモン」が形成させる。

「Please set year Gun-pla.」

6人がそれぞれのガンプラを台にセットする。システムが機体を読み込み、メインカメラが発光する。それぞれが出現した操縦桿を握りしめる。

「Battle Start!」

台座がカタパルトで囲われ、6機のガンプラが発進体制に入る。

「時雨。ガンダムレインバレット、行くよ!」

時雨のガンダムレインバレットが出撃し、それに続いて夕立のユニコーンガンダムナイトメアが発進する。

「夕立。ユニコーンガンダムナイトメア、出撃よ!」

そして、バトル台の反対側で最上たち3人が出撃を始める。

「最上。アンティリーデスティニーガンダム、出撃するよ!」

「綾波。ガンダム鬼羅(キラー)サンドロック、出撃します!」

最上、綾波が出撃し、残っていた雷のガンプラも発進体制に入る。

「電…私に貴方の力を見せてみなさい……雷。ガンダムキュリオスアーチャー、いっきまーすっ!」

雷のガンダムキュリオスアーチャーも、出撃し残すは電のみとなった。電は、操縦桿をギュッと握りしめた。

「…必ず、このバトルに勝つのです…そして、皆で全国大会にっ!」

勢いよく顔を上げた電に呼応して、イナヅマガンダムが発進体制に入った。そして――――

 

「電。イナヅマガンダム、出撃です!」

 

電の声と共にイナヅマガンダムは、広大な宇宙の広がるフィールドに飛び立った。ガンプラバトル地区予選決勝の火蓋が今、切って落とされたのだ。

 

続く

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