艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
不意を突いた攻撃でアンティリーデスティニーガンダムを撃破した時雨は、荒い息を整えながらレインバレットを先程爆発が起きた場所へと向かわせていた。先程の攻撃でアサルトシュラウドを全てパージしてしまったため、現在のレインバレットは無防備状態と言っても過言ではなかったが時雨はそんなことを考えることすらせずにレインバレットを走らせた。
「夕立…」
しばらくして、爆発の起きたポイントにたどり着いたレインバレット。時雨はモニター越しにその場の惨状を目の当たりにした。自分の周囲には破壊されたり、欠けたりしたガンプラのパーツが漂っていた。時雨はキョロキョロとモニターを見渡し、ユニコーンガンダムナイトメアを探した。そして、見つけた。
「!?夕立っ!」
時雨の目に飛び込んできたのは右足と胴体だけを残したユニコーンガンダムナイトメアだった。赤く発光していたフレームは輝きを失い、全身がまさに真っ黒に染まっていた。
「そんな、夕立…」
ガンプラバトルでは現実の戦闘のようにパイロットであるファイターが死ぬことはない。しかしそれでも、時雨は悔しさと悲しさのあまり目に涙を浮かべていた。しかし、時雨はすぐに涙をぬぐうと、ユニコーンガンダムナイトメアの周囲を漂う残骸から使えそうなものを探していた。その時、ソロモンの上空でひと際大きな爆発が起こった。
「電っ!?」
時雨が爆発に気付いたのは、丁度ユニコーンガンダムナイトメアの肩部ビームキャノンを見つけた時だった。時雨はビームキャノンの砲身部を取り外すとソロモンを目指した。
時間は少しばかりさかのぼる。
バトル開始からしばらくして始まった射撃戦から抜け出した電は、全速力で雷のガンダムキュリオスアーチャーから逃げていた。チラリと電が後ろのガンダムキュリオスアーチャーを見る。雷のガンプラ「ガンダムキュリオスアーチャー」ガンダム
(流石雷ちゃんのガンプラ…気を抜いたら追いつかれちゃいそうです)
「うまい具合に離されたけど…電の力を確かめるにはいい機会かもね」
そう言った雷はGNビームライフルでの攻撃を始めた。それを回避しながらなおも逃げるイナヅマガンダム。雷は攻撃の手を休めることなくGNビームライフルの引き金を引いたが、電はと言うと一切攻撃をすることがなかった。その攻撃の中、雷はイナヅマガンダムにある違和感を感じていた。
(それにしても、バックパックに乗っているあれは何かしら?)
イナヅマガンダムのバックパック「ファトゥム-
「やあー!」
(なるほど、あれはプロペラントタンクだったのね。それなら説明がつくわ)
イナヅマガンダムの放ったビームを回避しながら箱状の物の正体に確信を持った雷。確かにスラスターで推力を得る機体とGN粒子を推力に使う機体ではスピードにかなりの差が出てしまう。「推進剤を多く蓄えたプロペラントタンクを使えば、少しは差を縮めることが出来る」と納得した雷は反撃を始める。ビームライフルが飛び交う激しい射撃戦が展開されるソロモン上空。放たれたビームを回避したり、シールドで防いだりと激しいバトルを繰り広げるイナヅマガンダムとキュリオスアーチャー。
「もらったわ!」
「命中させます!」
イナヅマガンダムとキュリオスアーチャーが同時にビームライフルを放った。放たれたビームは互いにぶつかり合い激しいスパークを散らして爆発する。爆風により2機のガンプラが飛ばされる。
「危ない危ない」
最初に態勢を立て直したのはキュリオスアーチャーだった。雷がモニター越しにイナヅマガンダムを見ると、電も態勢を整えることを完了していた。
「なかなかやるわね電」
そして、雷が攻撃を再開しようとしたその瞬間、ソロモンから少し離れた宙域で爆発が起きた。例によってそれは夕立と綾波の相打ちによるもので、雷はそれがすぐに分かるとすぐさま行動を開始した。キュリオスアーチャーが180度反転しソロモンから去ろうとしていることに気付いた電はすぐさま攻撃を仕掛けた。ビームライフルとハイパーフォルティスビーム砲、ビームキャノンの全てを発射し移動するキュリオスアーチャーの前方を遮る。
「逃げるななのです!」
「電っ!?」
ブレーキを掛けられたキュリオスアーチャー。その隙をついてキュリオスアーチャーの進行方向に割って入りビームライフルを放ちながら追撃するイナヅマガンダム。迫るイナヅマガンダムから後退しながらビームを回避するキュリオスアーチャー。
(どうあっても行かせない気ね…くそぉ)
「えぇーい!」
電は再びハイパーフォルティスビーム砲と、ビームキャノンを選択し斉射する。それを回避し武装スロットの中からGNビームキャノンを選択する雷。バックパックの2本のバインダーが前方へ向けられる。
「これでっ!」
「当たらないのです!」
キュリオスアーチャーがGNビームライフルも合わせたビームキャノンを斉射する。しかし放たれたビームをイナヅマガンダムは左ローリングで回避し、ビームライフルとハイパーフォルティスビーム砲を放つ。放たれたビームをGNシールドで防ぎビームの直撃はま逃れるも少し体勢を崩してしまうキュリオスアーチャー。その時雷は目の前にあるモニターの奥にまた爆発を見た。
「クッ!最上さんも―――」
「もらったのです!」
電はここぞとばかりに再びビームライフルとハイパーフォルティスビーム砲、ビームキャノンを斉射する。5本のビームがキュリオスアーチャー目掛け飛んでいく。
「甘いわよ電!」
態勢を整えるキュリオスアーチャーも、反撃するようにGNビームライフルとGNビームキャノンを発射する。そして、放たれたビームが再び交わる。ビームライフルがぶつかり合った時とは比べ物にならないほどのスパークと爆発が起こり、2機のガンプラは爆風でかなりの距離を離された。
「きゃあっ!」
「はにゃっ!」
爆風に飛ばされた2機のガンプラが態勢を立て直す。
「もう、ワタシ1人だけみたいね…」
「はぁはぁはぁ…」
睨みあうイナヅマガンダムとキュリオスアーチャー。そんな時、キュリオスアーチャー目掛け何処からともなくビームが飛んできた。接近警報に気付いた雷は慌ててそれを回避する。
「なにっ!?」
そして電の方には聞きなれた声の通信が入った。
「電!」
「!?」
現れたのは時雨のレインバレットだった。レインバレットはユニコーンガンダムナイトメアの肩部ビームキャノンから取り外したビームライフルを放ちながらキュリオスアーチャーに迫った。しかし、放たれるビームを全て回避するキュリオスアーチャー。しかし、電は時雨の乱入を慌てて制止する。
「駄目です時雨さん!こっちに来ちゃ!」
「あの機体。時雨ね!」
「電はやらせないよっ!」
レインバレットはビームサーベルを抜き放つとスラスター全開でキュリオスアーチャーに突撃した。しかし―――
「クッ、2機相手は厳しいわね…なら!」
そう言うと雷はGNシールドをレインバレット目掛け投擲した。ひし形のGNシールドがクルクルと回転しながらレインバレットに飛んでいく。
「え―――」
時雨の反応は完全に遅れていた。そして――――
グシャァンッ!
キュリオスアーチャーのGNシールドがレインバレットの胴体部を直撃した。胴体部を捩り切られたレインバレットは大きな軋む音をたてながら逆くの字に曲がるように折れると―――
「あ、あああ…」
大きな爆発と共に消滅した。
「時雨さぁんっ!!」
電が操縦スペースで時雨の名前を叫んだ。その隙にキュリオスアーチャーは宙に浮かんでいたGNシールドを回収しGNビームライフルを放つキュリオスアーチャー。
「これで決着をつけるわ!」
※注意、ここからガンダムSEED Destiny「PHASE-34 悪夢」のワンシーンをアレンジ付きで再現します。キャラ崩壊等が含まれますのでご注意ください。
「てやぁー!」
放たれたビームを機動防盾で防ぎながら距離を詰めるイナヅマガンダム。キュリオスアーチャーがイナヅマガンダムの頭部を狙ったビームを放った。しかし電はそのビームを頭部を少し反らすことで回避した。
「あっ!?」
「いっつもそうやって…やれると思うなぁー!!」
その時電の片眼が深紅に染まった。その行動に驚く雷だったが攻撃の手を緩める事なく再び武装や頭部を狙ってGNビームライフルを放つ。しかしイナヅマガンダムはそれを機体を上昇させたり降下させたりしながら際どいギリギリのタイミングで回避してみせる。
「クッ!」
再びGNビームライフルを放つキュリオスアーチャー。だがやはり、イナヅマガンダムは機体を反らしたり、少しスピードを落としたりして回避する。イナヅマガンダムとキュリオスアーチャーが互いにビームライフルを放ちながら円を描く。そこからキュリオスアーチャーはGNビームライフルを放ちながらイナヅマガンダムから距離を取る。ビームライフルと頭部を狙って放ったビームはイナヅマガンダムが腕を少し上げたり、機動防盾でビームを弾くことで防がれた。電はニヤリと笑みを受けべながら未だに攻撃を回避し続けていた。しかし、ここまで完璧に攻撃を回避され続けた雷はついに驚愕の表情を浮かべた。電の脳裏に決勝戦までに特訓していた時の光景が蘇る。
「キュリオスアーチャーは確かに動きが速い。射撃も正確だ。だけどあの機体は、絶対にコックピットを狙わない」
「え?」
時雨の言葉に驚く電、時雨はさらに説明を続ける。
「撃ってくるのは、決まって武装かメインカメラだ。そこにイナヅマガンダムの勝機がある!」
イナヅマガンダムがビームライフルを放ち距離を詰める。キュリオスアーチャーはそれをGNシールドで防ぎ、撃ち返す。イナヅマガンダムもビームを回避し撃ち返すが回避されてしまう。キュリオスアーチャーがGNビームサーベルを抜き放ち、応えるようにイナヅマガンダムもビームサーベルを抜き放つ。互いの縦斬りがぶつかり、更に2機が同時に切りかかり互いの相手のビームサーベルをシールドで受け止める。
「くぅ!」「クッ!」
そして再び2機が距離を離す、キュリオスアーチャーはそのまま態勢を整えたがイナヅマガンダムは左腕に装備してある機動防盾を投擲し、機動防盾の表面目掛けビームライフルを放った。放たれたビームが機動防盾の表面を直撃すると、光がまるで鏡に当たって跳ね返る様に弾かれ、キュリオスアーチャーの左肩の先端上面を掠めた。
「なっ!?」
その突拍子な行動に驚きを隠せない雷。そこに空いた左手にビームサーベルを握ったイナヅマガンダムが迫り、左中段から右上段へ斬り払った。しかしその攻撃をキュリオスアーチャーは機体をかがませることで回避し、右中段から斬り払った。無防備となっているイナヅマガンダムの左肘から下と頭部を斬り落とした。大きくバランスを崩したイナヅマガンダム、しかし電は手を休めなかった。武装スロットの中から「SP」を選択する。
「今だ!チェストフライヤー、ファトゥム-
そう叫んだ電はイナヅマガンダムをコアスプレンダー、上半身「チェストフライヤー」、下半身「レッグフライヤー」に分離させファトゥム-01シルエットを装着したままのチェストフライヤーを斬り払いから立ち直ったキュリオスアーチャーに目掛け射出した。
「なにっ!?」
咄嗟にGNシールドを構えるがチェストフライヤーはキュリオスアーチャーに吸い込まれるように衝突し、そこにコアスプレンダーが機首部に装備されたバルカン砲を撃ち込む。バルカンの弾が次々にチェストフライヤーに直撃する。そして銃弾に耐えきれなくなったチェストフライヤーが爆発すると、その爆発の衝撃に押されキュリオスアーチャーがソロモンの岩壁へと落ちて行く。
「きゃあぁぁっ!」
その時、戦闘の最初にパージし宙域を漂っていた箱の外装が全てパージされ中からイナヅマガンダムの上半身とファトゥム-01シルエットによく似ているシルエット「ファトゥム-
「くっうう!」
何とかキュリオスアーチャーの動きを止めることが出来た雷だったが、そこに接近警報が響く。慌てて上空を見るとそこにはビームサーベルを抜き放ち、斬りかかってくるイナヅマガンダムの姿があった。
「うおぉぉー!!」
勢いよく振り下ろされるビームサーベル。それを咄嗟の上昇で回避するキュリオスアーチャー。斬り降ろしが外れたと分かった電はすぐさまキュリオスアーチャーを追ってイナヅマガンダムを上昇させた。互いにビームサーベルを構えながら並走するイナヅマガンダムとキュリオスアーチャー。
「逃がさないと言ったろっ!」
「クッ、電!」
イナヅマガンダムがビームサーベルを左へ斬り払い、更に右へと斬り返す。それを後退しながら回避するキュリオスアーチャー。
「あんたが時雨さんを殺したっ!!」
電の脳裏に、胴体部を捩じ切られ爆発するレインバレットの光景がフラッシュバックする。
「止めようとしたのにぃー!!」
イナヅマガンダムが全力の縦斬りを放つ。しかしキュリオスアーチャーはそれをバク宙で回避し、GNビームサーベルを真横に構えてイナヅマガンダムに突っ込んだ。しかし、キュリオスアーチャーの攻撃は空を斬った。イナヅマガンダムが、上半身と下半身を分離させ空洞を作って回避したのだ。
「っ!?」
「うおぁぁぁー!!」
追撃を加える電。放った縦斬りはキュリオスアーチャーのバックパック左側を直撃し爆発する。その勢いに押されキュリオスアーチャーは体勢を崩すが、すぐにそれを整えイナヅマガンダムに背を向けて逃走を始めた。
「くっそぉ…」
それを追うイナヅマガンダムをチラリと見る雷。尚も追撃を止めない電は、ビームライフルの照準をキュリオスアーチャーに定め引き金を引く。
「あんたは電が討つんだっ!!」
電の脳裏に雷と過ごしていた日々が浮かぶがそんなことを気にする様子もなく更に引き金を引く。
「今日、ここでぇっ!!」
尚もビームライフルを放つイナヅマガンダム。それを180度回転し、GNシールドで防ぎながら撃ち返そうとする雷だったが、その内の1発がGNビームライフルに直撃し爆発してしまう。慌ててGNビームライフルを離すキュリオスアーチャー。
「こんな…これは…!?」
「ファトゥム-02、射出!」
電が叫ぶと同時にバックパックのファトゥム-02が射出され独立して飛行し始め先行してキュリオスアーチャーを追った。尚も逃げるキュリオスアーチャー、そこにファトゥム-02と並走したイナヅマガンダムが迫り、手に持っていたビームライフルと機動防盾を投げ捨てると、ファトゥム-02のメインウイング上面にあるグリップの様なものを握りしめ、それを抜き放った。グリップの反対部分から短いビーム刃が形成される。抜かれた物の正体はフラッシュエッジビームブーメランを改造した物だったイナヅマガンダムはそれを大きく振りかぶるとキュリオスアーチャー目掛け投擲する。
「クッ!」
慌ててGNシールドでブーメランを防ぐキュリオスアーチャー。しかし、衝突の衝撃はすさまじく完全に体勢を崩してしまった。そこにファトゥム-02が本体上部に取り付けられていたエクスカリバー対艦刀を改造した大型ビーム対艦刀をパージする。それをガッシリと握りしめ、右へ切り払うと同時に切っ先までビーム刃が形成される。
「うりゃぁぁー!」
それを握りスラスター全開でキュリオスアーチャー目掛け特攻するイナヅマガンダム。
「ハッ!?」
「うおぉっ!!」
キュリオスアーチャーのすぐ傍まで迫るイナヅマガンダム。電は手元の操縦桿を大きく前へ突き出す。
「うわぁっ!」
咄嗟にGNシールドを構え、GNビームサーベルを正面に向けるキュリオスアーチャー。
「てぇやあぁぁぁ!!!」
イナヅマガンダムは大型ビーム対艦刀を身体の前面に構え全開にしたスラスターを更に噴かす。そして、次の瞬間――――
バキィィィンッ!!!
イナヅマガンダムの大型ビーム対艦刀がGNシールドを突き抜け、キュリオスアーチャーの胴体中央に深々と突き刺さった。キュリオスアーチャーのGNビームサーベルはイナヅマガンダムの頭部を捉えていたが、もはや手遅れだった。
「―――――!?」
「ああぁぁぁぁ!!!!」
大型ビーム対艦刀を胴体部に喰らったキュリオスアーチャーは大爆発を起こした。
そして、爆煙の中から全身がボロボロになり色も全て抜け落ちたイナヅマガンダムが姿を現した。操縦スペースの電は涙を目に貯めながら何かが砕けたような笑みを浮かべていた。
「ふっ、あはは…やった…時雨さん……やっとこれで…ふふっ…あはは………」
その瞬間、バトル終了のアナウンスが流れた。
続く