艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
旅館で貸し出し自転車を借り、体育館へと急ぐ電たち。この県の代表を決めている試合となれば観戦しそのチームの戦力を見ておかないわけにはいかないと、と言う3人全員の意見一致でこの状況になったのだ。
「それにしても、結構遠いっぽい体育館」
「そうだね。こぎ出してもう10分は経つかな」
「でも、これくらい余裕っぽい!」
「あはは、流石だね夕立」
自転車を漕ぎながらお喋りをする時雨と夕立。その2人の後を追いかける電。元々、そこまで体力のない電にとって2人の、特に夕立のスピードに追い付くのはかなりの苦の様で―――
「はぁはぁ…ま、待ってくださーい!」
「あ、また電を置き去りにするところだったよ。夕立、少しペースダウンするよ」
「ぽーい!」
やがて体育館の駐輪場にたどり着いた3人。そこにはやはり大和旅館の貸し出し自転車が大量に止まっていた。それはもう駐輪場の3分の2を埋め尽くす程だった。
「よし、急ごうか」
「ぽい!」「なのです!」
そして体育館を目指し、3人は駆けていった。
そして体育館の2階への階段を上がり、3人の視界が開ける。体育館の中央ではガンプラバトルが既に始まってはいたが、会場はバトル中だというのに静まり返っていた。そのことに気付かない3人ではなかったが時雨が、とりあえずどこかに座ろう。と言うと階段のすぐ傍の空いていた席へと腰を下ろした。そして、席に座ると遠目に戦況の確認を始めた。
「フィールドは街みたいだね。広い草原と、都市部の2つのエリアに分かれてるみたいだ」
「今動いてるガンプラは都市部で戦ってる2機だけみたいなのです。あれは…ガンダムバルバトスの第6形態と…グレイズアイン!?」
月の満ち欠けを表すような線が描かれた黄色い円を背景に黒縁に黄金色の鉄華団マークを胴体部につけた白い外装を身に纏った巨大な恐竜の頭部を思わせるを
「でもあの戦闘、バルバトスのファイターが押され気味っぽい」
「バルバトスのファイターは……あ!あれ三日月だよ!」
時雨は操縦スペースでバルバトスを動かしているのが、元艦娘の三日月であることに気付いた。癖のあるセミロングの髪に大きなアホ毛、黒いセーラー服に三日月のペンダントを付けた金色の目をした背の低い少女、三日月は歯を食いしばりながらバルバトスを操縦していた。
※注意、ここから鉄血のオルフェンズ「#25 鉄華団」のワンシーンをアレンジ付きで再現します。キャラ崩壊等が含まれますのでご注意ください。
グレイズアインが右手に握る大斧を上段から振り下ろす。バックステップでそれを回避するバルバトスに、左手の大斧で連撃を加えるグレイズアイン。
「グッ!」
三日月はバルバトスの態勢を整えながら、相手をモニター越しに睨みつける。そこに右手の大斧を振り下ろしてくるグレイズアイン。それを今度は機体を横に移動させることで回避する三日月はすかさず手にしたレンチメイスを横に振るしかしその攻撃はグレイズアインが機体を少し反らすことで回避し空振りとなってしまった。レンチメイスを振りきり、隙を見せたバルバトスにグレイズアインが蹴りを放つ。その蹴りをくらってしまったバルバトスは地面に尻もちをついてしまった。
「グッ!クッ…」
すると、グレイズアインのファイターから通信が入る。
「これがアシムレイトの完全なる姿…」
地面に突き立てた大斧を拾いながらさらに続ける。
「貴様の様な半端な物ではない。文字通り人とガンプラを1つに繋ぐ力!」
尻もちをつくバルバトスに大斧を突き立て、三日月を挑発するグレイズアインのファイター。三日月はその言葉に少し驚きながら呟いた。
「完全な…アシムレイト」
アシムレイトとは、ファイターがガンプラに強い自己暗示をかけて五感を共有し、機体性能を向上させる現象のことで簡単に言えば「ガンプラとファイターの一体化」である。プラシーボ効果により、ファイターの精神が続く限り使用できるもののノーシーボ効果により機体のダメージがファイターに伝わってしまう副作用の様な物も存在する。三日月はどう言うわけかアシムレイトの才能があったためこの技を使用出来るようになっているのだ。するとその時、三日月はバトル開始前の事を思い出した。
(確か、相手の人数は3人でした…でも出てきたのはグレイズアイン1機…なるほど、そう言うことでしたか)
「貴様など…」
何かに気付いた三日月だったが、グレイズアインが大斧を大きく振りかぶったのが目に入るとバルバトスを宙返りさせてそれを回避した。見事な着地を成功させたバルバトスは落としていたレンチメイスを拾い上げ両手で構えるが、グレイズアインが投擲した斧が右肩側面の装甲を直撃し装甲が弾き飛ばされてしまった。バルバトスも直撃の時の衝撃で少しバランスを崩すも、しっかりと両足を地面に打ち付けることでバランスを保った。
「ただの出来損ないにすぎない!!」
グレイズアインはバルバトスに大斧で薙ぎ払い攻撃を放った。三日月はそれをバルバトスをしゃがませることで回避し接近してきたグレイズアインにレンチメイスでの薙ぎ払いで反撃した。しかし、その攻撃は相手のジャンプで回避されグレイズアインはそのまま踏み付け蹴りを放ってきた。バルバトスはすぐさまその場を動き回避する。舞い上がる土煙の中から現れたバルバトスは、レンチメイスの長い持ち手を両手で握りしめ機体を1回転させてグレイズアイン目掛けて放った。グレイズアインも大斧を振り下ろしこれを迎え撃つ。ガキーン!という金属音と共に2機の目の前でレンチメイスと大斧がぶつかり互いを弾き合う。バルバトスとグレイズアインが互いにバランスを大きく崩す。
「くっそ…」
ところ変わって「
「これでみんなの荷物整理は終わりですね」
薄紫色の髪の少女が、茶髪の少女に話しかける。すると、茶髪の少女は―――
「うん、終わる。終わらせる…」
「団長?」
茶髪の少女の言葉に疑問を持った薄紫色の髪の少女が茶髪の少女のことを「団長」と聞き返す。すると団長と呼ばれた少女は薄紫色の髪の少女へ振り向くと口を開いた。
「弥生ちゃん、頼みがある」
「頼みですか。でも、団長は?」
弥生と呼ばれたその少女はさらに団長に聞き返す。すると団長はすぐに答えた。
「ミカを1人にさせておくわけにはいかないんだ…」
「まさか!県代表戦の会場に!?」
驚愕した声で返す弥生。しかし、団長はフッと笑ってみせ言葉を続ける。
「団長としての私の仕事だ。見届ける責任があるんだよ…全部をね」
そう言うと団長は部屋の扉を勢いよく開け飛び出していった。そして止めてあった自転車に跨ると全力でこぎ出した。
夕焼けに染まりだした都市部の一角から大きな砂煙が上がる。その煙の中には倒壊したビルにもたれかかるバルバトスと、それを見下すように立つグレイズアイン。三日月は荒い息を吐きながら現状を確認していた。
「罪深き子供…オレの兄はお前たちと戦うつもりなどなかった。お前たちを救うつもりでいたのに…その慈悲深き思いがなぜ伝わらない!」
(スラスターの残量は残り僅か、ガトリングの残弾も…どっちにしろこれじゃ倒しきれない…)
完全に有利に戦闘を進めるグレイズアインのファイターは、にやけた表情で三日月を挑発する。その言葉に三日月が疲れ気味になった口調で返す。
「
その言葉が発せられるとグレイズアインの頭部センサーが赤い光を放った。そして大斧をひと際大きく振り上げた。その隙にバルバトスも背面のスラスターを全開で噴かした。
「やはり貴様は出来損ない!」
斧が振り下ろされそうになったその瞬間バルバトスがスラスターで砂煙を舞い上げた。そして、バルバトスは手にしていたレンチメイスをグレイズアイン目掛け放り投げた。しかし、レンチメイスはグレイズアインの左手で受け止められてしまいそこに装備されたパイルバンカーで粉々に粉砕されてしまった。
「不意打ちなど、効かん!」
しかし、その先にバルバトスはいなかった。
「零距離ならっ!」
グレイズアインの後方から現れたバルバトスは右手を、グレイズアインのコックピット目掛け大きく突き出し零距離での機関砲を発射しようとした。しかしバルバトスの伸ばした腕はグレイズアインの左手に握られそのまま放り投げれた。
「清廉なる正しき神童を理解しようとしない野蛮な獣!」
「クウッ!」
三日月は何とかバルバトスの態勢を整えさせ地面に着地する。
「はぁはぁ…あっ!」
「なのに!」
しかしそこにグレイズアインが足をドリル状に回転させたドリルキックを一直線に胴体部目掛けて放ってきた。バルバトスはその攻撃を少しだけ受けたが咄嗟に後退し、連撃で放ってきた大斧の縦振りを回避する。そして、壊されてしまったレンチメイスに変わってバックパックにマウントされた太刀を抜く。咄嗟に太刀を構えたバルバトスにグレイズアインが更に大斧を横一文字に放ってくる。その状態で鍔迫り合いとなった2機だったが、グレイズアインのファイターはさらにもう1本の大斧も振り下ろしてきた。バルバトスは太刀の背を手で押さえながら何とかこらえていた。
「あろうことか、その救いに手をかけ冷たい墓標の下に引きずり込んだ!」
「単純な速度…じゃなく反応速度か。これがアシムレイトの差って訳ですか…」
三日月は少し焦りを見せながらも冷静さを保ち続けていた。しかし、グレイズアインの追撃は止まることを知らないかのように機体の全重量を乗せ始める。
「もう貴様は救えない!その身にこびりついた罪の穢れは決して救えはしない!」
「はぁはぁ…」
「貴様も!あの女も!お前の仲間も!」
「ッ!!」
三日月の脳裏に、茶髪の少女の笑顔がよぎった。しかしグレイズアインの全重量を乗せた押し込みに遂に両膝をついてしまったバルバトス。
「消して!貴様の、貴様らの敗退をもって、罪を払うっ!!」
「…罪?救う?……それを決めるのは貴方じゃないんですよ…ねぇ、バルバトス…良いからよこせ貴方の全部っ」
バルバトスのメインカメラが大きく光り始めたのはその時だった。しかし、グレイズアインの放った蹴りで体勢を崩されてしまったバルバトスはそのまま2撃目の蹴りを喰らい大きくふっ飛ばされてしまった。
「負けて贖えぇ!!」
その隙にグレイズアインはバルバトスの背後に回り込み、右手の大斧を振り抜いた。しかし――――
ガキィーン!!
大きな金属音と共に大斧が宙を舞ったのだ。その現象の理由はバルバトスだった。バルバトスが右手に握った太刀を大きく振り抜いていたのだ。咄嗟の出来事にグレイズアインのファイターは驚きに満ちた言葉を発した。
「な、なんだ、今の反応は!?」
「まだです……」
操縦スペース内にいる三日月の右手がうずきだし、右目からだくだくと血が流れ始める。
「もっと……もっと………もっとよこせ!バルバトスッッ!!!」
バルバトスのメインカメラがより一層光り輝いた。
一方その頃、自転車をこぎ体育館へと急ぐ団長。その時、自身のスマホに電話が入った。発信者は弥生だった。自転車をこぎながら電話に出る団長。
「団長、聞こえますか?出発準備が出来ました。みんなにこの事を伝えてください!」
「よくやった!」
すると団長は自身のスマホを操作し、月華団の全員と通話を始めた。
「みんな、聞こえるか!?合宿への出発準備は整った!」
そして、その言葉を聞いていた月華団の団員たちが衝撃を受けニヤつきだした。
「私たちの仕事はあと1つだけだ!だから…こっから先は負けるな!」
荒げた声で団長が続ける。
「もう負けんじゃねぇぞ!こっから先に負けた奴は、団長命令違反で私がもっぺん負かす!だからいいか!?何としてでもっ、這ってでもっ、それこそ負けても勝ち上がれっ!!」
自転車をこぎ続け、遂に体育館へたどり着いた団長。自転車のスタンドを勢いよく止め体育館へと駆けていく。そして階段を駆け上がり、団長の視界が開けバルバトスとグレイズアインの戦闘の砂煙が目に映る。
「ミカッ!?」
そして団長が駆け上がった階段は電たちが座る席のすぐ隣だった。
「え?瑞鳳さん!?」
グレイズアインが横一文字に大斧を振るい、それをしゃがんで回避するバルバトス。その隙に懐に入ったバルバトスは太刀を振り上げてグレイズアインを攻撃した。しかし身体を少し反らされ回避されてしまう。そこにグレイズアインの振り下ろしが放たれるがバルバトスはさらにその攻撃を避け、再び太刀を振り上げる。その太刀の振り上げは遂にグレイズアインの左肩を掠めた。
「こいつ急に動きが!?」
「あああっ!!」
更に斬りこんだバルバトスは再び斬り上げを放つ。しかしこれはグレイズアインに横スライドで回避されてしまった。斬り上げの隙を突かれスクリューパンチを顔面に喰らってしまった。
「なめるなぁー!」
「グゥッ…グアッ!」
更にドリルキックを胴体部に受けたバルバトスはノックバックされてしまい、胴体部を覆っていた装甲をパージしてしまった。その装甲を踏み付け頭部のカメラをギラリと光らせるグレイズアイン。
「鼠の悪あがきも…これで終わりだぁー!」
地面に両膝をついて崩れ落ちるバルバトス目掛け、グレイズアインが大斧を上段から一気に振り下ろそうとした。もはや万策尽きてしまった三日月は静かに目を瞑り、負けを認めようとした……その時―――――
何やってんだミカァァァー!!!
「っ!?」
瑞鳳の心からの叫び声を聞いた三日月は勢いよくその目を見開いた。そして、両肩の装甲を咄嗟にパージするとその場から目にも止まらない速さで一気にグレイズアインの背後に回り込んだ。振り下ろされた大斧がパージした装甲を捉えたことにようやく気付いたグレイズアインのファイターは驚愕の言葉を放った。
「なにぃ!?」
その一瞬の隙を突きバルバトスはグレイズアインの真後ろから、太刀を最上段に構えて斬りかかった。機体の全出力を乗せた三日月とバルバトス、渾身の一太刀はグレイズアインの左肘をバッサリと切り裂いた。
「このグレイズアインの装甲を…フレームごと…!?」
「これの使い方…やっと覚えれた…」
瑞鳳が来たことに何か安堵したかのような少し弱い声で三日月が呟く。しかし、これに完全にキレてしまったグレイズアインのファイターは大声で叫びながらスクリューパンチを仕掛けた。
「この…化け物がぁー!!」
しかし、そのスクリューパンチもバルバトスが放った横一文字斬りによって手首を切断され阻止されてしまった。そして、三日月が一言嫌そうな口調で呟く。
「貴方にだけは言われたくないですよ…」
遂に冷静さを失ったグレイズアインのファイターは荒げた声で喋り出す。
「兄さん!先生!」
しかし三日月はその言葉に耳を貸そうともせず、太刀をバルバトスの胸の正面に構えさせ―――
「オレは、オレの正しさ――――」
ガキィィィン……
グレイズアインのコックピット部分をピンポイントで突き刺した。グレイズアインがゆっくりと機能を停止させる。
「うるさいなぁ…」
赤く染まり出した太陽が太刀の刀身と重なり輝く。そして、三日月がゆっくりと口を開く。
「瑞鳳の声が…聞こえないじゃないですか……」
三日月がそう言い終わるのと同時に瑞鳳は体育館の天井を向き、ニッと笑ってみせた。
「Battle Ended!」
バトルが終了し、三日月の元へ駆けつけた瑞鳳。
「ミカ…」
瑞鳳が三日月の名前を呼ぶと、三日月は一言聞き返した。
「ねぇ瑞鳳…」
「ん?」
「ここがそうなんですか?私たちの本当の居場所?」
瑞鳳は少し考えた後、体育館の窓から見える本物の夕焼けを見つめ、答えた。
「うん。ここもその1つだよ…」
三日月も瑞鳳と同じ夕焼けを見上げ、満足した表情で呟いた。
「そっか……綺麗だね……」
続く