艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP29 その名は鉄底

パーティーが終了し、自分たちの客室に戻った電たちは入浴の準備をしていた。先程パーティーが開かれていたと言えどやはり合宿、入浴の順番はきっちり割り振られていた。

「皆準備できた?」

「オッケーっぽい!」「大丈夫なのです」

そして準備が完了したのと同時に部屋のドアをノックする音が響きドア越しに誰かが声をかける。

「暁学園の皆さん。お風呂の順番ですよ!」

その声に時雨が、今行きます。と答え3人はドアを開けた。すると、そこには3人のよく知る人物が頭を下げて立っていた。

「あれ?もしかして清霜に雪風?」

「ん?」

腰まである長い銀色の髪を上下に分け、耳より上の髪はアンダーでお団子にし、下の髪は一枚の淡黄色のリボンで後ろで二房に別れるようにくくり、白地に赤紫色のサクラソウが描かれた浴衣を着た髪と同じ色の目をしたアホ毛の少女が顔を上げた。

「あー!電に時雨に夕立だー!」

「久しぶりっぽい清霜ちゃん!」

「お久しぶりなのです!」

彼女の名前は清霜。元艦娘で今ではこの大和旅館で働いている少女だ。

「まぁ、知り合いにはもうたくさん会ってるからそんなに驚かないんだけどねー!」

「あはは…まあ、確かにそうだね」

「清霜ちゃん。早くお風呂に送ってあげないと武蔵さんに怒られるよ?」

「おお、そうだったね!」

「雪風も、久しぶりだね」

茶髪のショートヘアーに白地に青紫色のヤガラマギクの模様が入った浴衣着た髪と同じ色をした目をした少女がニッコリと笑って答えた。

「久しぶり時雨ちゃん!電ちゃんと、夕立ちゃんも久しぶりです!」

彼女の名前は雪風。彼女も元艦娘で、今ではこの大和旅館で働いているのだ。

「じゃあお風呂に案内するから清霜についてきて!」

「わかったよ。行こっか電、夕立」

「ぽーい!」「なのです!」

清霜と雪風について歩く電たち。会話を弾ませながら浴場に向かっていると、会話の内容が戦争終結についての話になった。

「それにしても、まさかあんな形で戦争が終わるなんて夕立思わなかったっぽい!」

「うん。僕もそう思うよ」

「雪風もそう思います。あの戦争は雪風たちか深海棲艦のどちらかが滅びるまで続くと思ってましたし…鎮守府でも、敵の殲滅が戦争終結になる。って習いましたから」

「電も同じ意見なのです」

「あんな人がいるとは思わなかったもんね」

「うん。あの人「黒野深海(くろのみかい)」さんが居なかったら、きっと今も…」

 

 

黒野深海

 

 

人類と深海棲艦の果てしなく続いていた泥沼の戦争を終結させた人物である。彼は正規の提督では無いにも関わらず、廃墟になりかけていたある鎮守府を拠点に人類側に与することもなく、ましてや深海棲艦側に与することもなく、当時戦争を指導していた海軍上層部が長年隠していた艦娘と深海棲艦に関する真実を公開し上層部を崩壊させ、深海棲艦と和平を結び戦争を終結させ、そして人類と深海棲艦の関係が一段落した時期を皮切りに忽然と家族と共に姿を消し、今では「行方不明の英雄」と呼ばれている。

「清霜たちの今の生活があるのもあの人のおかげだしね!」

「ぽい!…そう言えば時雨は本人と直接会ったことがあったんだっけ?」

「…うん。艦娘だった時に上層部の人たちに襲われて、その時助けてもらったんだ…ちょっと恥ずかしいけど…僕にとっては命の恩人なんだ」

「時雨ちゃんそんなことがあったんだね。どんな人だったの?」

「とっても優しい人だったよ。その時は名前を聞けなかったけどね」

「黒野深海さん。一度会ってみたいのです」

そんな会話をしている間に浴場に到着した電たち。清霜と雪風は、じゃあごゆっくり。と言って3人を送り出した。

 

お風呂から上がった電たちは、浴場の隣にあった売店で買った牛乳のパックを片手に自分たちの部屋を目指していた。

「ゴクゴク…プハーお風呂上がりの牛乳はやっぱり美味しいっぽいー!」

「こらこら夕立。そんな一気飲みしたらお腹壊しちゃうよ?」

「もうちょっとゆっくり飲んでみるのいいかもしれないのです。ゴクゴク…」

それから少しして部屋にたどり着いた電たち。

「明日は早いから、あと少ししたら寝ようか」

「えー!」

「夕立、朝は弱いんだから諦めるんだね」

「ぐ、反論できないっぽい…」

夕立がドアの取っ手に手をかけた時、最後尾を歩いていた電の後ろから誰かが走ってきていた。それに気づいた電は後ろを振り向くと、そこには先程浴場へ送ってくれた清霜と雪風が荒い息を整えながら両膝に手をついていた。

「え!?清霜さんに雪風さんどうしたのですか!?」

「はぁはぁ…い、電ちゃん!」

「さ、さっきね。なんか黒いフード被った人に、電ちゃんをガンプラバトルルームに連れて来い。って言われたんだよ!」

「な、なんだって!?」「!?」

突然のことに思わず声を上げる時雨と驚く電。それに続いて夕立も声を上げた。

「ガンプラバトルルーム…どっかの学校が勝負を仕掛けてきたっぽい!?」

「それは明日でも可能な筈です。それに、その黒いフードを付けた人の声笑っていたのに凄く殺気を帯びてました」

「ますますきな臭いね。よし、夕立。僕たちも準備するよ!」

「待ってください!」

時雨たちが部屋に入ろうとしたその時、雪風が慌てて2人を止めた。

「その人こうも言ってました。電ちゃん以外の人を連れてきちゃだめだからね?って」

少し脅えた口調で雪風が話した内容は、更に謎を呼ぶような内容だった。しかし、時雨はそれに応じようとはしない事を宣言した。

「なるほど。電1人を潰そうって魂胆なんだね…残念だけどそれには応じられないな」

「当然っぽい!電ちゃんを1人だけで行かせるなんてチームメイト失格っぽい!」

夕立も時雨に続いて宣言した。しかし、その当の電は―――

「わかりました。その条件、飲むのです」

「え!電!?」

その得体の知れない相手の条件を承諾することを決意した。

「なんで、そんな条件飲むの!?夕立たち全員で戦えば――――」

「今、この状況で電たちのガンプラが傷ついちゃったらそれこそ大変です。だから、今回は電だけで行きます」

「でも、あいつの雰囲気はマジでやばかったよ!」

電は、一息ついてコクリと頷くと言葉を続けた。

「電は大丈夫なのです。それに、いざとなったらぷらづまちゃんにバトンタッチしますから!」

電の言葉に首を傾げる清霜と雪風。しかし、電の言葉を聞いた時雨と夕立はしばらくの沈黙の後ゆっくり頷いた。

「わかった。電、ここは君に任せるよ」

「でも、負けて帰ってきたら許さないっぽい!」

「ありがとうなのです…清霜さん、雪風さん。道案内をお願いするのです」

「う、うん。わかった」

電は寝間着からいつもの制服に着替えると、イナヅマガンダムの入ったカバンを持ちガンプラバトルルームに向かった。

ガンプラバトルルームの入り口前に電と清霜、雪風が立っていた。

「電ちゃん。何度も言うけど…気をつけてね。あいつの殺気本当にヤバかったから」

「ありがとうございます清霜さん。行ってきます」

電がガンプラバトルルームの扉を開きそして中に入っていった。

 

部屋の中は真っ暗だった。しかし、何故かガンプラバトルの台が起動しており青い光を発していた。電はゆっくりとバトル台に近づいた。そして、バトル台に最接近した時その声は部屋に響いた。

「待ってたよ。電ちゃん…」

「!?」

咄嗟に身構える電。バトル台の反対側、そこには先程清霜たちが言っていた黒いフードを被った人物が立っていた。

「いきなり呼び出してごめんね。でも、電ちゃんを見つけた時どうしてもバトルがしたくなっちゃってね。それで――――」

「貴女は、誰なのですか!」

フードを被った人物の言葉を遮り電が声を上げた。しかし、その人物は口元をニヤつかせながら再び口を開いた。

「誰。か…まっ、まだ教えるつもりはないよ。電ちゃん勝ってすらいないしね。でも、電ちゃんはもう私と会ったことあるんだよねこれが」

「会ったことが、ある?」

「うん!これ…この機体…忘れてるわけないもんねぇ!」

するとフードを被ったその人物は、自分の右手を前に向けた。そしてその掌には――――

「!?」

「そうだよね…忘れるわけないもんね。自分ガンプラをバラバラにされた…私の愛機を!」

その掌の上には、左右非対称の腕に頭部のマルチブレードアンテナ、4対の翼と腕・膝・翼部先端の深紅に発光する装甲を持ち、そして数多くのパーツを取り込んだ巨大な爪を思わせる左腕を持った白と黒のガンプラ。Unknown(アンノーン)が立っていた。

「そのガンプラ…貴女のだったのですね」

「そうだよ!」

その人物はフードの下で無邪気に笑ってみせた。そして――――

「じゃあ始めよっか!」

「Gun-pla Battle combat mode Stand up!Mode damage level set to A.」

その人物の声に反応してバトルシステムが立ち上がる。そして、ガンプラへのダメージレベルが一段階上の「Aレベル」に設定される。

「長話は無しってことですね…」

「電ちゃんが私の話切ったんだから当たり前じゃない?」

「Please set your GP base.」

「ほら、早くGPベースセットしなよ?」

「……」

促されるまま、電はGPベースを台座にセットした。

「Begining Plavsky particle dispersal.Field 01 space.」

広大な宇宙空間のフィールドが形成され、バトルシステムは更に進む。

「Please set year Gun-pla.」 

電はカバンからイナヅマガンダムを取り出し台座にセットした。そして相手もUnknownを台座にセットした。システムが機体を読み込み、ガンプラのメインカメラが発光する。それぞれが出現した操縦桿を握りしめる。

「Battle Start!」

そしてバトルスタートの合図が下り、2機のガンプラが発進体制に入る。

「……」

電の額に汗が流れる。それもそうだ。なぜこの人物が自分に勝負を仕掛けてきたのか、その理由が皆目見当もつかなかったからだ。しかし、既にバトルは始まっている。電は意を決して声を上げた。

「電。イナヅマガンダム、出撃です!」

イナヅマガンダムを乗せたカタパルトが動き出し、イナヅマガンダムを宇宙空間へと出撃させる。そして、フードを被った人物もニヤリと口元を笑わせ――――

「さーて、楽しい楽しいゲームの始まりだ。ガンダム・アイアンボトムサウンド、いきます!」

Unknown改め、ガンダム・アイアンボトムサウンドは宇宙へ飛び出していった。

 

続く

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