艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
宇宙空間へ飛び出したイナヅマガンダムを操る電は索敵を始めた。戦闘の基本はまず索敵から始めることが大体だが、今日の電はいつも以上に神経を研ぎ澄まして目の前のモニターを見ていた。
(今回の相手は、何をしてくるかわからない…慎重に進まないと)
電がそう思ったその時、自分の後方から接近警報が鳴り響いた。電は、後ろ!?と驚いた表情をし警報の鳴った方向にイナヅマガンダムを向けた。すると、丁度イナヅマガンダムの機動防盾が向けられて所に桃色のビームが直撃した。耐ビームコーティングが施された機動防盾が放たれたビームを相殺すると、電はそのまま機体を回転させビーム飛んできたの方向に向けビームライフルを放った。
「そこです!」
放たれたビームは一直線にその方向へ飛んでいき、そしてそれに命中した。赤い爆炎が電の目に映った。しかし電は、何かの違和感を感じた。
(おかしい…手応えがないのです)
すると、また接近警報が鳴り響いた。今度は電の丁度真横、左側からの物だった。
「っ!?」
咄嗟に機動防盾を構えるとそこに再び桃色のビームが命中した。例によって耐ビームコーティングのおかげで大きなダメージは入らない。すかさずイナヅマガンダムがビームライフルを撃ち返す。イナヅマガンダムのビームライフルはやはり目標に命中したが、電はやはり手応えのない事を感じていた。電はその方向にイナヅマガンダムのメインカメラを向け拡大表示を使おうとした。しかし再び接近警報が鳴り響いた。その方向は真後ろ、電は急いでイナヅマガンダムを後方へ向け機動防盾を構えた。襲ってきたビームは機動防盾で防いだ電はすかさず撃ち返し、その方向へ拡大ズームをした。そして電はある物を発見した。
「あ、あれは小型砲台!?」
そこには円形状の小型砲台が漂っていた。ようやく攻撃してきたものの正体を突き止めた電は周囲の警戒を更に続けた。すると電のいる操縦スペースにあの声が響いた。
「あ~あ、見破られちゃったか!」
「貴女は!?」
その声に反応した電は思わず声を上げた。しかし、その人物は口元をニヤつかせながらすぐに言い放った。
「でも次のは避けられるかな?」
その言葉を聞いた電の耳に接近警報が届く。次に来る方向は!と、電が叫んだが電はあることに気付いた。
「え!ぜ、全方位!?」
その言葉の通り、イナヅマガンダムを取り囲むように8つの方向からビームが飛んできた。慌てて回避行動にとった電は、イナヅマガンダムの全スラスターを全開で噴かし急上昇しビームの飛んできた方向に向け次々ビームライフルを放った。その間にもビームは飛んできたが機動防盾で全て防ぎきった。
「あらら、全部破壊されちゃったか…」
「よし。これで全部なのです」
「んじゃあ、第2弾行ってみよー!」
フードの人物は顔を笑わせながら次の攻撃を放ってきた。電が再び周囲を警戒しているとその目に今度はビームとは別の物が映った。白い尾を引いて飛んでくる円筒状の物体だ。
「ミサイル!?」
幾百のミサイルの弾幕がイナヅマガンダム目掛け飛んできていた。電は慌ててミサイルの方向と逆方向にイナヅマガンダムを走らせ、ある程度離れると機体を180度回転させてビームライフル、ハイパーフォルティスビーム砲、ビームキャノン、マシンキャノンの引き金を一斉に引いた。放たれた弾幕はミサイル群へと吸い込まれていき命中、周囲を巻き込む大爆発となった。
「ほーら、まだまだ行くよー!」
再びイナヅマガンダムにミサイル群が迫った。今度はイナヅマガンダムを挟み込む様に左右から飛んでくる。
「くぅ!」
電は方向転換が利くビームキャノンを2本とも後方へ向け、再び全門斉射でミサイルを薙ぎ払った。爆発したミサイルが周囲のミサイルも巻き込んで大爆発を起こす。
「はぁ…はぁ…」
「あれ、もう息切れしちゃったの?私まだまだ楽しみ足りないんだけど?」
その時、イナヅマガンダムにある物が迫っていた。そして電がその物体に気づいたのは丁度、物体がイナヅマガンダムのファトゥム-01の左翼をへし折った時だった。ガキーン!と、大きな音をたてファトゥム-01の左翼は根元から完全に折れてしまった。
「きゃあ!」
「へへへ、左翼いただき!」
衝撃で大きく体勢を崩してしまったイナヅマガンダム。電は慌てて態勢を整えて、左翼を破壊した物体を探した。しかし、飛んで行った方向に目をやるもそこには何の痕跡もなかった。
「え、いったい何が―――」
「もう1枚いただき!」
ガキーン!再び大きな金属音が鳴り響いた。
「はにゃぁ!」
再び襲ってきた物体が、今度はファトゥム-01の右翼を根元から折っていった。両翼を折られてしまったイナヅマガンダムのファトゥム-01。イナヅマガンダムの態勢を整え終わると、電はファトゥム-01をコンテナごとパージし、フォースシルエットの主翼を展開その場からの離脱を測った。離脱する中、電は気づいた。
(電は、弄ばれてるのですか!?)
そして、移動していた電の耳に前方に対する接近警報が鳴り響いた。電が正面を向くと、そこには幾つもの細いビームが張り巡らされたビームカーテンがあった。
「あ!」
気づくのが遅れてしまった電は慌ててイナヅマガンダムを止めたがタイミングが完全に遅れ、前方へ向けてスラスターを噴射していた両足を足首まで斬られてしまった。イナヅマガンダムは残った脹脛のスラスターとフォースシルエットのスラスターで何とか止まることに成功し、慌てて元来た方向へと反転していった。
「はぁ…はぁ…」
見えないガンダム・アイアンボトムサウンドから逃げるイナヅマガンダム。以前戦った時と違う戦法で攻めてくる相手に、電はどんどん追い込まれていった。息は上がり、額には大粒の汗が流れる。そして再び電の耳に接近警報が届く。
「上!」
電はイナヅマガンダムを止めることなく頭部のみを動かし上空を見た。その瞬間緑色のビームがイナヅマガンダム目掛け飛んできた。それを回避し動き続けるイナヅマガンダム。
「あ、避けられた」
イナヅマガンダムの遥か上空、そこにはビームライフルを構えたガンダム・アイアンボトムサウンドがいた。更にビームライフルを連射するガンダム・アイアンボトムサウンド。それを最小限の回避行動で避けるイナヅマガンダム。
(やっぱり、懐に飛び込むしかないのです!)
遠距離で撃ち合っていては埒があかないと思った電は、イナヅマガンダムを大きくカーブを描きながら方向転換させ、ガンダム・アイアンボトムサウンドに迫った。接近するイナヅマガンダム目掛け尚もビームライフルで迎撃するガンダム・アイアンボトムサウンド。
「貴女のビームの軌道は見えました!」
そう言った電は左手の武装スロットにビームサーベルを選択した。イナヅマガンダムが右腰のビームサーベルを抜き放ち、ビームライフルを放ちながら一気に接近する。しかし、これだけの接近を許して尚ガンダム・アイアンボトムサウンドは微動だにしなかった。
「もらいました!」
イナヅマガンダムが左手に握ったビームサーベルを上段から振り下ろす。しかし、微動だにしなかったガンダム・アイアンボトムサウンドはビーム刃が機体に命中するその瞬間、禍々しい形状の左腕を少しだけ動かし、そして――――
「え!?」
ビーム刃をその指で防いでしまった。
「…どうしたの?もっと力入れなよ」
確かにビーム刃は指を捉えていた。しかし、電がどれだけイナヅマガンダムに力を込めてもその場からビーム刃は動かなかった。
「そ、そんな!」
電は完全に動揺してしまった。それもその筈だ、いくら対ビームコーティングを施したとしてもガンプラの指がビームサーベルの刃を受け止めることなどほぼ不可能だからだ。動揺する電をよそにガンダム・アイアンボトムサウンドはイナヅマガンダムの胴体中央に蹴りを放った。微動だすることも出来なかったイナヅマガンダムは大きく吹き飛ばされてしまった。
「はにゃぁぁー!」
クルクルと宙を回転し飛んでいくイナヅマガンダム。そこからしばらくして、電はようやく態勢を整えることに成功した。
(おい電!ワタシに代わるのです)
「ぷ、ぷらづまちゃん…」
(いや、お前の意見なんか聞かねぇのです!)
電が目を瞑ったその瞬間、ピシッと電の脳に電撃が走った。そして開いた両目が深紅に輝く。
「行くぞなのです!」
ぷらずまは中破しかけたイナヅマガンダムのスラスターを噴かし、飛ばされた方向へ一直線に向かって行った。高速で飛ぶイナヅマガンダム、そしてぷらづまは早々にガンダム・アイアンボトムサウンドを発見した。自分と並走して現れたことには少し驚いたものの、ぷらづまは攻撃を開始した。
「見つけたのです!そこぉ!」
ぷらづまはビームライフルとビームキャノンを斉射した。ガンダム・アイアンボトムサウンドはそれをローリングしながら回避してみせ、手にしたビームライフルで撃ち返してきた。イナヅマガンダムもそれを回避しながらビームライフルを撃ち返す。
「へぇー貴女がぷらづまちゃんかぁ…」
「(ワタシを知っている?)どういうことなのです!」
ビームライフルを撃ち合いながら尚並走する2機。
「ん~?さて、どういう意味だろうねぇ…それと熱くなりすぎて前方が見えてないんじゃないの?」
「なに――――」
ガシャーン!
イナヅマガンダムは勢いよく漂っていた小惑星に衝突してしまった。
「ぐわっ!」
「アハハ!本当に衝突しちゃったよ!まるで本物の電ちゃんみたいだね!」
高笑いするフードの人物。激しく舞い上がる砂煙。しかし、その時舞い上がった砂煙の中から青白い尾を引いてイナヅマガンダムが飛び出してきた。イナヅマガンダムがくるりと反転し、ガンダム・アイアンボトムサウンドを見下ろす。
「はぁ…はぁ…まだ、勝負は終わってないのです」
「流石ぷらづまちゃん。根性は電ちゃん以上かもしれないね!」
「ハンッ!ワタシは何をとっても、全部電以上なのです!」
ガンダム・アイアンボトムサウンドに再び突撃するイナヅマガンダム。それを見たフードの人物はニヤリと笑みを浮かべ、小さく呟いた。
「フフッ、なら私がやっつけちゃうよ」
すると、ガンダム・アイアンボトムサウンドは再び微動だにしなくなった。もう1本のビームサーベルも抜き放ち、ガンダム・アイアンボトムサウンドに迫るイナヅマガンダム。
「くらえぇー!」
右手に握られたビームサーベルを右上段から袈裟斬りで放つイナヅマガンダム。しかし、やはりその攻撃はあの左手で受け止められてしまった。しかし、ぷらづまの攻撃は止まらない。
「もう一発ー!」
今度は左手に握ったビームサーベルを横一文字に放った。これは確実に直撃だ、と確信するぷらづま。しかし――――
「な、なに!?」
ビームサーベルは何処からともなく現れていた盾に防がれ、その表面を斬りつけていただけだった。
「変化できるのは左腕だけだと思った?残念、右腕も変化できるんだよね!」
すると、ガンダム・アイアンボトムサウンドの右手がイナヅマガンダムの左腕を掴んだ。そして、その腕と同時に体を大きく回転させ始めた。回転の勢いに乗せられてしまったイナヅマガンダムの右手からビームサーベルが離れてしまった。尚も回転の勢いを強めるガンダム・アイアンボトムサウンド。そして――――
「飛んでけー!」
ガンダム・アイアンボトムサウンドがイナヅマガンダムを頬り投げた。その勢いでイナヅマガンダムの左腕は肩の根元から引きちぎれてしまった。
「うわあぁぁー!」
投げられたイナヅマガンダムは、再び同じ小惑星に衝突してしまった。先程よりも大きな砂煙が舞い上がる。
「う、あぁ…電、すまないのです…」
そしてぷらづまは意識を手離してしまった。電がゆっくりと目を開けると、目の前には赤く光る操縦スペースと、そしてガンダム・アイアンボトムサウンドの姿が映っていた。
「あ、ぁぁ……」
すると、ガンダム・アイアンボトムサウンドはその禍々しい左腕でイナヅマガンダムのボロボロになった頭部に掴みかかった。動くことの出来なかったイナヅマガンダムはその手で鷲掴みにされてしまった。
「ううっ!」
「アハハ!電ちゃん、そんな腕じゃあの子に勝てないんじゃないの?」
「え?あの子…」
高笑いしながらフードの人物が電に話しかけた。しかし電には何のことなのか全く分からなかった。更にフードの人物が続ける。
「ま、とりあえず電ちゃんには私からプレゼントを贈ってあげるね」
「プレゼント?」
その言葉が言い放たれた瞬間、ガンダム・アイアンボトムサウンドの左手周辺が変形し「細長い管」の様な物へと姿を変えた。そして、その管はイナヅマガンダムの頭部に付着するとまるで絵の具が高いところから落ちたように頭部に張り付いた。そしてその瞬間――――
「あああぁぁぁぁぁー!!!」
電は、両手で額を抑えながら絶叫した。
「アハハハハハハハ!!!どうかな?私からのプレゼントは!」
フードの人物が今までに聞いたことのないような高笑いをした。イナヅマガンダムの頭部に張り付いた管の周辺が次第に黒く染まっていく。
「ああああぁぁぁぁぁー!!!」
「フフフッ、これが私の力…「内部浸食」!」
(な、内部浸食?)
苦痛に悶えながら必死に相手の言葉を聞こうとする電。そしてフードの人物は淡々と続ける。
「これはガンプラを通して相手の身体に直接苦痛を与えることの出来る力。たとえ相手がアシムレイトを使っていなくても、苦痛を与えれるんだよ!……そして―――」
イナヅマガンダムの頭部が段々と黒く染まっていた。そして、変化は電にも起きていた。
「これを受けたガンプラはアイアンボトムサウンドに
電の目の前に鏡の様なモニターが点灯し、そこに電が両手で額を抑える姿が映し出された。そして電は気づいた。
「っ!?」
自分の手で抑えている右目付近の肌と髪が白くなっていたのだ。
電がそのことに気づいたことを知ったフードの人物は再び高笑いをした。
「アハハハハハハハ!!苦しみに悶えながら、深海に沈んでしまえー!」
「ああああああぁぁぁぁぁー!!!」
より強い痛みが電を襲った。もはや電にはどうしようもなかった。額を抑える手でイナヅマガンダムを操縦することは出来ないし、この痛みにどう抵抗していいのかも彼女が知るわけがない。ただただ、電の絶叫とフードの人物の高笑いがその場にこだましていた。
ようやく見つけたぞ
その時、一筋の黄色の閃光がイナヅマガンダムを侵食する腕を貫き、爆発した。
「っ!?な、なに!?」
その突然の事に驚きを隠しきれないフードの人物は、閃光の飛んできた方向に目をやった。そこには1丁の長銃身のライフルを構えた、赤と黒、白のトリコロールで彩られ背中に金色の8枚の翼を持ったガンダムがいた。
「っ??」
ようやく痛みから解放された電もその方向を向いた。しかし、今の電には何が何なのか全く分からなかった。だが、自分が助けられた。と言うことだけはハッキリとわかった。
「………」
「お前か!私の邪魔をしたのはっ!」
フードの人物が声を荒げて叫ぶ。そして、そのガンダムの操縦スペースに立っていた少年の様な顔立ちをした右目が隠れてしまっている真っ白の髪を1つに纏めて、黒地に右胸を中心点にした銀色の十字線の入ったTシャツに、黒いジーンズをはいた男が立っていた。男は、真剣な表情で口を開いた。
「今日で最後にさせてもらう!」
続く