艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
電は未だぼんやりとしか見えない目で突然現れたガンダムを見ていた。そのガンダムは長大なライフルの構えを解くとジッとガンダム・アイアンボトムサウンドを見つめていた。
「私の邪魔する気?」
「まぁ、そんなところだ…ついでにお前を捕まえるつもり」
「なに?」
通信回線は未だに開いたままで、電の耳にフードの人物と男の少し高い声が聞こえてくる。そして、男の言葉に疑問の言葉をこぼすフードの人物。男は更に言葉を続ける。
「青葉と手を組んでおいて正解だったな。まさかこんなに早く手掛りを見つけられるとはな」
「青葉…あいつはまた余計なことをっ!」
「ともあれ…」
男は一呼吸おいて言った。
「行くぞ…アウェリアス!」
そのガンダム「ガンダムアウェリアス」はメインカメラを発光させると、長大なライフルを中央線の部分で分割し片方を左手に握るとそれを連射しながらガンダム・アイアンボトムサウンドに迫った。ガンダム・アイアンボトムサウンドはそれを急上昇で回避し、距離を取る。ガンダムアウェリアスもガンダム・アイアンボトムサウンドを追いかける。しかし、ガンダムアウェリアスの放つビームは全て回避されてしまっていた。
「チッ…素早いな」
そう言うと男は武装スロットの中からファンネルの絵柄が描かれた物を選択した。
「行け!アウェリアスウイング!」
ガンダムアウェリアスのバックパックにある金色の物が基部から外れるとひとりでにガンダム・アイアンボトムサウンドを追いかけて飛んでいった。雫状の形をした縁に緑色の刃を持つ金色のそれはガンダム・アイアンボトムサウンドに追いつくなり四方八方からビームと斬撃で攻撃を開始した。その攻撃を何とか回避しながら逃げ続けるガンダム・アイアンボトムサウンド。そしてフードの人物は気づいた。
「これは、スーパードラグーン!」
金色の羽根の正体はストライクフリーダムガンダムのスーパードラグーンだった。接近戦が可能になる改造が施されてはいるが、その形状とコンピューター頼りの単純な動きではない複雑な動きとドラグーン同士の連携。
「もう気づいたか…ま、流石と言えば流石だな。だが、逃がすか!」
アウェリアスウイングでの攻撃を苛烈させ、更に長大なライフルで追撃を加えるガンダムアウェリアス。
「クソ…なら!」
フードの人物がそう呟くとガンダム・アイアンボトムサウンドの左腕の一部が変形し、そこから円筒状に4枚の羽根を持ったファンネルが次々飛び出してきた。そしてそのファンネルはガンダムアウェリアスに向かって飛翔し先端部からビームを放って攻撃を始めた。男はガンダム・アイアンボトムサウンドへの攻撃を止めることなく、そのファンネルからの攻撃を回避していた。
「なるほど、それで俺に対抗するつもりなんだな」
その様子を見ていた電は呟いていた。
「す、凄いのです」
宙を漂うイナヅマガンダムの遥か彼方で起きているその戦い。電はその激しさと凄さにただただ、圧倒されていた。しかし電は自分にも何かしたいと思い、イナヅマガンダムの状態を確認し始めた。各所に光る赤色の警告表示、
「よし、あと少しなのです…」
先を急ぐ電。しばらくして遠くから3つの光点が近づいてくるのが見えた。電はその光点に合わせるようにコアスプレンダーを動かしそして、コアスプレンダー、チェストフライヤー、レッグフライヤー、ファトゥム-02シルエットが直線状に並ぶと、コアスプレンダーは変形しレッグフライヤーと合体する。折り畳まれていた両足が展開し、次いでチェストフライヤーと合体する。両腕が機体正面から離される。そして、後方からファトゥム-02シルエットが近づき背中に装着される。イナヅマガンダムは左腕の機動防盾を展開しガンダムアウェリアスとガンダム・アイアンボトムサウンドが戦う宙域を目指した。
「しつこい!いい加減に沈め!」
「そうはいかないな…そこだ!」
ファンネルを掻い潜り長大なライフルを放つガンダムアウェリアス。それを回避するガンダム・アイアンボトムサウンドは手にしたビームライフルを撃ち返し、方向転換すると腕から赤いビーム刃を発生させガンダムアウェリアスに迫った。
「接近戦か」
男は武装スロットからビームサーベルを選択した。ガンダムアウェリアスは長大なライフルを再び合体させて左手に握ると、空いた右手を肩の上に伸ばした。そこにあったハッチが開き中からビームサーベルが出てきた。右手がそれを握ると緑色のビーム刃が形成された。
「沈めぇ!」
フードの人物の叫びと共にガンダム・アイアンボトムサウンドの左腕が振り下ろされる。
「させるか!」
ガンダムアウェリアスもビームサーベルを振り下ろし、ビーム刃が衝突して火花を散らす。ビーム刃を合わせながらクルクルとその場で回る2機のガンダム。そこにお互いのオールレンジ攻撃端末がビームを放ち、回避行動を取った2機の間に距離が出来る。しかし2機はまたビームサーベルを掲げて接近戦を始めた。ガンダムアウェリアスが左中段から右上段に向けて切り払い、ガンダム・アイアンボトムサウンドは身を反らして回避しそのまま勢いをつけて縦斬りを放つ、それをガンダムアウェリアスは手首を180度回転させてビームサーベルを逆手持ちの様にして防ぎ肩部のマシンキャノンと頭部バルカンを斉射する。ガンダム・アイアンボトムサウンドは急上昇で弾幕を避わし、左腕をまた変形させてミサイルポッドを作り出した。
「沈んじゃえ!」
大量に放たれるミサイル。後を追って上昇したガンダムアウェリアスは頭部バルカンでミサイルを迎撃する。飛来するミサイルを次々撃ち落とし、ガンダム・アイアンボトムサウンドに接近するガンダムアウェリアスは次々に出来る爆煙に向け連結させた長大なライフルを構えた。
「ヴァリアブルライフル、バーストモード!」
その言葉に反応するかのように周囲を飛翔していたアウェリアスウイングが長大なライフル「ヴァリアブルライフル」の銃口付近の銃身上部、側面、下部に6基片側3基ずつ接続された。そして、その銃口にエネルギーが集まり出し黄色い球形を形作った。すると、爆煙の中からガンダム・アイアンボトムサウンドが飛び出してきた。左腕は未だに赤いビーム刃を形成されていた。全速力でガンダムアウェリアスへと向かって行く。
「沈めぇー!!」
「っ!」
すると男はキッとした表情を作ると照準をガンダム・アイアンボトムサウンドに合わせ、そして引き金を引いた。アウェリアスウイングを纏ったヴァリアブルライフルが超特大な黄色いビームの帯を撃ち出した。
「甘いよー!」
しかし、ガンダム・アイアンボトムサウンドはその帯を簡単に避けてしまった。思わず男が舌打ちをする。
「チッ…」
接近してきたガンダム・アイアンボトムサウンドはガンダムアウェリアスに向け右上段から斜め切りを放った。それをシールドで受け止めるガンダムアウェリアス。するとガンダム・アイアンボトムサウンドはシールドの上からビームライフルをガンダムアウェリアスに向けた。
「フフフッ、この距離なら避わせないんじゃないの?」
「……」
「これで終わりだねっ!」
ガンダム・アイアンボトムサウンドが引き金を引こうとしたその時、何処からか飛んできた緑色のビームがガンダム・アイアンボトムサウンドの右肩に命中し、更に飛んでくる。慌てて離脱するガンダム・アイアンボトムサウンド。
「クッ…な、なに!?」
ガンダム・アイアンボトムサウンドがビームの飛んできた方向に顔を向ける。そこにはビームライフルを放ちながら近づいてくるイナヅマガンダムの姿があった。
「はぁ…はぁ…は、初めて命中したのです」
「電か?」
イナヅマガンダムがガンダムアウェリアスの隣にたどり着き、ガンダム・アイアンボトムサウンドに向き直った。すると男は電に忠告をした。
「下がってるんだ電。とてもじゃないがお前の腕で倒せる相手じゃないぞ」
「大丈夫なのです。はぁはぁ、電も戦えます!」
「良いから俺の忠告を聞いておけ」
「援護くらいなら…電にもできます」
しかし電は男の忠告を聞こうとはしなかった。するとそのやり取りを聞いていたフードの人物は笑い出した。
「アハハハハハ!!電ちゃんもバカだね!もう1度アイアンボトムサウンドに沈められに来るなんてね!アハハハハハハハ!!!」
「もう負けない…絶対、貴女に勝ってみせるのです…はぁはぁ」
フードの人物の言葉に大きな言葉で言い返す電。しかし、その人物は未だに笑い続けていた。
「アハハハハハハハ!!なら私に勝ってみなよ。ま、無理なんだけどねぇー!」
「………」
その人物が笑い続ける中、男はただ沈黙していた。そして、フードの人物は言った。
「それじゃあ、もう1度鉄の底に行こっかー!アハハハハハハハ!!」
その時だった。
ドクンッ―――――
「――――っ!?」
「ん?」
突然フードの人物が片膝をついてしまった。
「はっあぁぁ…こ、こんな時に―――うっ、くっ」
そしてそれに呼応するようにガンダム・アイアンボトムサウンドが動きを止めた。
「ふぅ…ふぅ…アガッ!」
「なんだ!?」
「ううううっ!あああああっ!」
するとその人物は突然悶え始めた。何かに苦しんでいたことは明白だが、それが何故なのか電にも、そして男にもわからなかった。そしてその人物は台座からGPベースを無理矢理剥がし取るとガンダム・アイアンボトムサウンドを台の上から引っ張り出し悶えながら走って部屋を出ていった。
「なっ!待て!」
男もその人物を追って部屋を飛び出そうとした。しかし、走りだそうとした瞬間。男の背後から何かが倒れる音がした。男は振り向くと、電が倒れているのが目に映った。男は慌てて電に駆け寄りその体を起こした。
「おい!しっかりしろ電、電っ!」
「うウウぅぅゥ!」
月明かりが照らし出す窓の空いた部屋にその人物はいた。風がフードをなびかせる中、その人物は悶えながら机の上に置いてあった白と赤に色分けられたカプセルが入ったケースを取り、中から取り出したカプセルを勢いよく呷った。掌に収まりきらずに出てきたカプセルがパラパラと床に落ちて行く。ドン!と床を思い切り叩いたその人物の悶え声は次第に落ち着いていきやがて荒い息をしながら、口を開いた。
「はぁ…はぁ…はぁ…くそっ…どうして、どうして私は、こんなことに…」
そう言い切ったその時、ひと際強い風が部屋に入ってきた。フードが脱げ、後ろで短く纏めた白い髪が月明かりに照らされた。そしてその人物、いや少女は歯ぎしりと共に口を開いた。
「…絶対に殺してやる……あいつも、あの完成した奴もっ!!」
そして一拍おいて続けた。
「みんな、みんな……殺してやるっ!!」
続く