艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
フードの人物を取り逃してしまった男は、一先ず自分たちが泊っている部屋へ向かった。腕の中には気絶した電が小さく息をしていた。男は電の顔を一弁した。電の右目付近と髪の一部が白くなっていた。男は電の顔を見ながら呟いた。
「クソ…あの野郎」
男は部屋の扉を開き、そして中に入る。すると――――
「おとーさーん!」
「どわぁっ!?」
男に1人の少女が飛びついてきた。黒地に青いラインの入ったセーラー服っぽい襟元が特徴的なワンピースを着て青色のスカーフをネクタイ代わりにつけ、黒い髪を後ろで三つ編みにした青い右目と赤い左目をした少女だった。ドッシーン!と言う音は立て、男は電を抱えたまま廊下に尻もちをついてしまった。
「いっつつつ…」
「おとーさんお帰り!お帰り!お帰り!」
少女は男に抱き着くなり頬をすりすりと体に擦り付けていた。
「ててて…いい加減そのお出迎えはやめてくれ
「だってだってだって!雨葉、おとーさんが大好きなんだもん!」
「だとしてもだなぁ…」
彼女の名前は雨葉。この男の実の娘で三女だ。とても元気ハツラツとした性格の持ち主で、そして見ての通り完璧なまでのファザコンである。やれやれ。と頭を掻こうとした男だったが今は両手が塞がっていることを思い出し、自分に呆れる男。すると、部屋からもう1人別の少女が出てきた。
「こらっ、雨葉。またそんなことして…お父さん困ってるでしょ!」
出てきた少女は黒い襟に赤いラインの入った黒地の長袖セーラ服を着て青色のネクタイを締めた右目を少しだけ覆っている髪の部分だけが白い黒髪を三つ編みにして左肩から垂らしている青い目の少女だった。
「でもでもでも!
「良いからお父さんから離れるの雨葉。でないと、また雨葉のお父さんコレクション破壊するよ」
「ちょっ!それはやめてやめてやめて!」
「ふぅ…(てか、お父さんコレクションってなんだよ…怖ぇよ…)」
彼女の名前は秋雨。彼女もこの男の実の娘で長女だ。物腰のしっかりした頼りなるような姉気質の性格の持ち主でもある。しかし―――
「でもでもでも!秋雨おねーちゃんも、おとーさんの事大好きだよねー!雨葉知ってるよ、この前秋雨おねーちゃんが雨葉のコレクション見ながらニヤニ――――」
「わぁあああー!!待って待って待って待って!!!」
雨葉程ではないが父であるこの男のことが好きなのである。そしていじられキャラでもある。
(うぉぉぉ…秋雨までも怖ぇ…)
「2人とも、廊下で騒いだら駄目だよ。ほら、中に入って」
「お、お母さん…ごめんなさい」
「ご、ごめんなさーい」
そう言うと秋雨と雨葉は、渋々部屋に入っていった。男はようやく立ち上がり腕に電を抱え直すと目の前に立つ自分と同じくらいの身長の少女に声をかけた。
「助かったよ時雨。ありがとうな」
「うん。どういたしまして」
男の目の前に立っていたのは時雨だった。しかし、電たちといつも一緒にいる時雨と違って、彼女の左手の薬指には銀色に輝く指輪がはまっていた。すると時雨は男の腕の中にいる電に目が行った。
「あれ、その子電ちゃんだよね?」
「ああ、さっきまでのあいつとの戦闘で気を失ってしまったんだ」
「わかったよ。
「あいつらなら大丈夫だろ。梅雨葉は初めての相手でも面倒見ちまうし、
そう言って男と時雨は部屋へ入っていった。部屋に入った男は広い部屋の居間で言い争っている秋雨と雨葉に、静かにな。と言って奥の寝室へ向かった。寝室に入った男の目に本を読む2人の少女の姿が映った。1人は左目が隠れてしまう程長い白いショートヘアーに雨葉と同じではあるが襟のラインとスカーフの色が赤色のワンピースを着た赤い右目をした少女で、もう1人は腰まである青みがかった右目が隠れている白いロングヘアーに、真っ白のワンピースの上にグレーの長袖上着を着た額の左右に1本ずつ黒い角がある真っ赤な目をした少女だ。ショートヘアーの少女が男に気付いた。
「…お父さん、おかえり」
「梅雨葉。ただいま」
梅雨葉と呼ばれたその少女は、ジーっと男の腕の中の電を見ていた。彼女の名前は梅雨葉。この男の実の娘で次女だ。非常に口数が少ないが、面倒見の良さでは3姉妹の中でも最高クラスの持ち主である。
「頼めるか?」
「ん」
「白もいいか?」
そして白と呼ばれた青みがかった白のロングヘアーの少女は無言で男の顔を見ていた。その顔は何かをねだる様な表情だった。
「………」
「あーわかったよ。後でいくらでも頭撫でてやるよ」
「………!」
少女が喜んだ表情になる。彼女の名前は
「………?」
「ああ、俺が追ってる奴とのバトルで気絶したんだよ。と、これで良し」
男は電を布団の上に寝かせ、そっと掛け布団を掛け部屋を出ていった。それを確認した梅雨葉と白は電の傍に2人でよって行った。
男はゆっくりと入り口と隣接する部屋にある椅子にもたれかかった。それを見た時雨も椅子に腰かけた。
「提督、大丈夫?」
「ああ、俺は大丈夫だよ。それにしても…」
「ここで捕らえられなくて残念だ。って言いたいんですよね」
すると部屋の中に青葉が入ってきた。男は一言、流石だな。と呟き青葉もまた、恐縮です!とニコリと笑ってみせた。それを見て男も小さな笑みを浮かべたが、すぐに険しい顔を作った。
「それで、奴の動向は?」
「駄目ですね。完全に逃げられましたよ…どうしますか司令官?」
「お前は今まで通り捜索を続けてくれ。俺もしばらくしたら捜索を再開するつもりだ」
「了解です!」
そう言った青葉はすぐに部屋を出ていった。そして部屋はシーンと静まり返った。しかしそんな中秋雨がとても心配している様な口調で口を開いた。
「お父さん。本当に無理してない?私…またお父さんがずっと居なくなるんじゃないかって…」
胸の前で手を合わせ俯く秋雨。すると男は椅子から立ち上がり秋雨の傍に来ると、優しく頭を撫でた。
「心配するな秋雨。お父さんが帰ってこなかった事なんてあったか?」
「ううん…なかった。でも…」
「おとーさん…雨葉も、凄く凄く凄く心配…」
秋雨に続いて雨葉も心配そうな顔で男を見ていた。すると、男は空いていたもう1つの手で雨葉の頭を撫でた。
「雨葉も心配してくれてありがとうな。でもな、お父さんが居ない時は雨葉がお母さんや秋雨や梅雨葉、白を元気づけないと駄目なんだぞ?これは、いつも元気なお前にしか出来ない事なんだ」
「おとーさん…」
2人の娘の頭を撫でる男を見て、座ったままだった時雨は小さく笑った。フフッ、と言う時雨の声に気付いた男が時雨に顔を向ける。
「な、なんだよ?」
「ううん。やっぱり提督は優しいんだね。って思って」
「……照れるからやめてくれ」
男は頬を少し赤くしてそっぽを向いた。それを見て時雨はまた小さく笑う。その時、寝室の襖が開いてそこから梅雨葉が顔を出した。
「…お父さん、あの人、起きた」
「わかった。今行く」
そう言った男は寝室へ向かって歩いて行った。そして部屋に入る前、梅雨葉の顔を見るとそっと頭を撫でた。
「お父さん…恥ずかしい…」
「秋雨と雨葉にもしてやったからな。梅雨葉にもしないと不公平だろ?」
「ん…」
頭を撫でられた梅雨葉は顔を少し赤くして小さく笑った。そして、男は梅雨葉の頭から手を離すと部屋に入っていった。部屋には白がジッと電を見ていた。男は、あいつ電に興味津々だな。と心の中で呟いて電に近づいていった。電は白の顔に目を奪われ男に気付いていなかった。男は電に声をかけた。
「気分はどうだ、電?」
「はわっ!?」
男の声に驚く電。しかし驚いたのは電だけで、白は相変わらず電の顔を凝視していた。電は慌てた様子で部屋の中をクルクルと見回していた。そしてようやく男を見つけた電は落ち着きを取り戻した。しかし、男は自分が未だに電から警戒されていることに気付いていた様で、まずは誤解を解こうと口を開いた。
「慌てるなよ。別に取って食おうなんてしないし、お前に危害を加えるつもりもない」
「………!」
「…お兄ちゃんはそんなこと絶対しない。安心していいよ?いや、そこは自分の口で伝えろよ」
「な、なのです…」
白が確信に満ちたキラキラした表情になり、それを見た男が呆れて口を開く。すると、少し電の警戒心が解けた。それに気づいた男は、腰裏に着けてあるポーチから何かを取り出した。それは電が先程のバトルで見たあの機体だった。
「あっ!そのガンプラ!」
「ああ、こいつは俺のガンプラだ。機体名は「ガンダムアウェリアス」。俺の中での「アウェリアス」の意味は「
「え?朱金の月を背負う者…ですか?」
「ああ。ほら、バックパックの翼を広げると「太陽を背にして
男はガンダムアウェリアスのバックパックの翼を展開してみせた。すると、赤色の翼本体と、金色のアウェリアスウイングがそれぞれ
「………」
「え?見えないって?」
と、白が呆れた表情で首を横に小さく振った。その表情の意味を読み取った男は少しガクリとする。すると2人のやり取りを見ていた電がクスリと笑って口を開いた。
「とっても仲が良いんですね」
「ん、まあな…と、自己紹介がまだだったな…」
男は一拍おいて口を開こうとしたが、白が右手をピシッと上げてハツラツとした笑顔を作った。男は一旦自分の自己紹介を止め、白を紹介した。
「………!」
「と、こいつの名前は白。俺の妹だ…よろしくだって」
「電です。よろしくお願いします白さん」
「………!」
白はその表情のままより右手をピシッと伸ばした。すると男は、ようやく喋れる。とため息を吐いてようやく自己紹介をした。
「俺の名は黒野深海。世間じゃ、「行方不明の英雄」って呼ばれてる男だ」
「っ!?」
男の言葉に電は衝撃を受けたのだった。
続く