艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
電たちの今後についてが決定し、ガンプラ閲覧会も終了すると、電と深海は部屋を出て旅館の正面玄関の外に向かった。そして部屋を出たのと時を同じくして、電は時雨たちに連絡を入れ玄関の外に来るように伝えた。玄関の外に立つ電と深海。半月の光が2人を照らしていた。するとしばらくして、旅館の玄関が開き時雨と夕立が出てきた。電はその2人に声をかける。
「おーい、時雨さーん!夕立さーん!」
その声に気づいた時雨と夕立は電の元へと駆け寄ってきた。2人の表情はとても心配した表情だった。
「電、大丈夫だったんだね!まったく、バトルが終わったなら連絡しないと駄目じゃないか」
「そうだよ!夕立たち凄く心配してたっぽい!」
「ご、ごめんなさい…連絡できる状況じゃなくって」
「わかったよ。でも、これからは気をつけるんだよ……って、電。その白くなった髪はどうしたんだい!?」
電の髪の一部が白くなっていることに気づいた時雨は慌てた表情で電の肩に両手を乗せた。すると、電の隣に立っていた深海が時雨に声をかけた。
「それは俺から話そう」
時雨と夕立が聞いたことのある声に気づいてその方に顔を向けると、次の瞬間2人は叫んでいた。
「「み、みみ、深海提督!?」さん!?」
それからしばらく2人はパニック状態(?)になっていた。落ち着けよ。と深海が声をかけるも2人は落ち着きを取り戻せなかった。はぁ、とため息を吐いた深海は2人が落ち着くのを待って話すことにしようとその時決めたのだった。
「落ち着いたか?」
「う、うん。大丈夫…」
「夕立も落ち着いたっぽい…」
ようやく落ち着きを取り戻した時雨と夕立。深海は2人が十分に話を理解できる状態と判断し、そして口を開いた。
「単刀直入に言うと、電の髪の一部が白くなったのは、さっき電に勝負を挑んできた相手に深海棲艦の細胞を植え付けられてしまったからだ。このまま放っておくと、電はただ破壊を求めるだけの深海棲艦になってしまう」
「い、電が深海棲艦に!?」
深海の言葉を聞いて時雨は衝撃を受けた。無理もない。と深海は一言呟くと今度は夕立が口を開いた。
「深海棲艦化…もしそうなったらどうなるの?深海提督さん」
「そこまではわからない。だが、今は大丈夫だ。電には深海細胞の侵食を抑制する薬を渡してある」
「深海提督、電を助けることは出来ないのかい?」
「今の技術力じゃ、深海細胞を適切に取り除くことは出来ない。だが、何も出来ない訳じゃない」
額に汗を流しながら脅えた表情で話を聞いていた時雨の顔が少し和らいだ。それと同時に、夕立が目に涙を浮かべながら深海に飛びついた。
「深海提督さん、その方法夕立に教えて!夕立、電ちゃんの為なら何でもやるっぽい!」
「僕からもお願いするよ深海提督!お願いだよ、その方法を僕たちに教えて!」
「時雨さん…夕立さん…」
電は2人の必死さに涙を浮かべていた。その電の顔を見た深海は、フッと小さく笑って口を開いた。
「俺たちに出来ることは1つ。今日、電に勝負を仕掛けてきた奴を捕まえることだ。奴なら、深海細胞を除去出来る術を知っているかもしれないからな」
時雨と夕立が驚愕の表情を浮かべる。それを予想していたのか、深海はその表情のまま言葉を続けた。
「恐らくだが、奴は今年のガンプラバトル全国大会に出て来る筈だ。その時に奴の身柄を抑える。2人も手伝ってくれるか?」
深海の言葉を聞いた時雨と夕立の2人は、互いに顔を見合わせ目に浮かんでいた涙を拭うと深海の方を向いて自信満々の表情で言った。
「「勿論だよ!」っぽい!」
こうして時雨と夕立の2人も、深海の作戦に参加する事になったのだった。
その翌日、旅館の大宴会場ではフリーバトルが行われていた。大宴会場の至る所に設置されたバトル台には幾つものチームが全国から集まったチームと練習を行っていた。このフリーバトルはダメージレベルをCにセットし、ガンプラが壊れないようにして戦うと言うルールで全国大会前のこの合宿のメインイベントと言ってもいい物だ。そして参加は自由つまり、バトルをして相手の動きを見極めるも良し、参加せずに自分の手の内を隠すも良し、とかなり計算されている内容のイベントなのである。そして電たちはと言うと……
「時雨さん。今日のフリーバトルは参加しないのです?」
「うん。深海提督の言ってた事もあるからね…手の内を見せるのは危険だ」
「まだ誰が電ちゃんを襲った人なのかもわからないっぽいしね」
「そう言うことだよ」
バトル台が置かれた場所から少し離れた場所に3人は立っていた。昨日、深海からの言葉を聞いた3人は自分たちに今出来ることを使用と決めたのだった。
「………」
「どうしたんだい、電?いつになく暗い顔だね」
電が暗い顔をしていたのに気づいた時雨が声をかけた。電は少し暗い顔をしたまま口を開く。
「あ、えっと…これは…」
「でも、無理もないって思うっぽい。電ちゃん、その薬を飲んでないと深海棲艦になっちゃうんだもんね」
「あ、はい…やっぱり怖いのです。もし深海棲艦になっちゃって皆に危害を加えるのが……」
(ごめんなさい……電、2人に嘘をついてるのです。本当に気になってるのは……)
電の顔をは一向に晴れないままだった。しかし、何かを決めたのか電は少しだけ明るい顔を作ると2人に、暁と響の所に行ってくると言いその場を離れた。
時雨たちと離れた電は、人混みの中で暁と響の姿を探した。そしてしばらく歩いていると2人の姿が電の目に映った。慌てて駆け寄る電。
「暁ちゃん!響ちゃん!」
電の声に気づいたのは響だった。後ろにくるりと振り返り、その声の主が電であったのに気づく。
「あ、おはよう電。どうしたんだい?そんなに慌てて」
「響どうしたの?て、電じゃない。おはよう!」
「暁ちゃん、響ちゃん。おはようなのです…」
その時電の様子がおかしいことに気づいたのは響だけだった。響は、どうしたんだい。ともう1度聞こうとしたが、暁にその言葉を阻まれてしまった。
「朝から暁の事を探すなんて、もしかして怖い夢でも見たの?」
「ううん、そうじゃないのです。暁ちゃんと響ちゃんに聞きたいことがあるのです」
「電がこんなに慌ててるのは久しぶりに見たよ。もしかして、髪が白くなってるのと関係するのかい?」
響は電の様子がおかしいのと同時に、電の髪が白く変色していることに気づいていた。響がそれについて言った事で、暁もようやく電の髪が白くなっていることにようやく気づいた。
「あ、本当ね。電、駄目じゃない。髪なんか染めるなんてレディーとして相応しくないわよ?」
「あ、あの…その事じゃないのです。電が2人に聞きたいのは…終戦の日の事なのです!」
「終戦の日の事?」「!?」
「終戦の日」と言う言葉を聞いた響は、ピクッと肩を震わせた。その事に電は気づいていない様で、淡々と言葉を続けた。
「電、昨日深海提督さんに会ったのです!そしたら、深海提督さんは自分が人間と深海棲艦のハーフだ。って言ったのです!でも、電はその事を知らないって言ったら終戦の日の演説でその事を話したって言ったのです!」
「!?」
この時、遂に暁もピクッと肩を震わせた。だが電は、その2人の様子に気づく素振りも見せず言葉を続けようとしたが、そこに響が割って入った。
「電、昨日はちゃんと早く寝たのかい?」
「え?」
「電の話を信じてない訳じゃないけど、深海提督がもしここにいるならきっと大騒ぎになってる筈だ。でも、騒ぎは起きていない」
「ひ、響?」
(話を合わせて、暁)
響は暁に顔を向け、真剣な表情を作った。暁はその響の顔が伝えていることを理解したのか暁も響に弁上するように話し始めた。
「そうよ!まったく、嘘を吐くなんて駄目じゃない電」
「あ、暁ちゃん…響ちゃん…電の事を…信じてくれないのですか?」
「そうは言ってないよ。ただ、深海提督に会ったって証拠がないじゃないか」
「それは…そうですけど…」
「残念だけど証拠がない以上、話にはならないよ。電」
「………」
響からの言葉にガックリと項垂れた電は、ゆっくりと踵を返し元来た道を歩いて行った。そして、残された暁と響は去っていく電の背中を見ていた。電の姿が人混みの中に消えたのを確認した響は、暁に声をかけた。
「暁、助かったよ。スパスィーバ」
「ううん。暁は何もしてないわ、響のおかげよ」
「うん。電にはまだ
「……うん。言えるわけないよね…」
電は、終戦を迎えてなんかいないんだもん
それから2日が過ぎ、合宿は終了となった。電はその間、暁たちと言葉を交わすことは無かった。そして、電たちは旅館を後にし自分たちの住んでいる街に帰ってきた。
「楽しかったね合宿!夕立、とっても満足っぽい!」
「夕立、本当はここからなんだよ。気を引き締めてね?」
「わかってるっぽい!」
「あ、電はこっちなので!」
「うん。電ちゃん、またね!」
「なのです。それでは!」
そう言って電は、時雨たちと離れ自分の家へと向かったのだった。電を見送り時雨たちも自宅を目指した。電を見送ってからしばらくは2人は何も口を開かなかった。すると夕立が突然口を開いた。
「電ちゃん。暁ちゃんたちと喧嘩したまま帰って来ちゃったけど…大丈夫かな?」
「……きっと大丈夫だよ。それに、僕たちには何も出来ないんだ…どうしようもないよ」
「うん…」
時雨と夕立は再び歩を進める。しかし、2人の間にまた静寂が訪れた。2人して何も喋らない帰り道ではあったが、しばらくして時雨と夕立が姉妹で暮らしている家が見えてきた。白い壁に赤色屋根の2階建ての一軒家だ。玄関のドアを開け、家の中に入った時雨と夕立は一息つこうとしたが現実はそうはさせようとしなかった。
「な、なんだ……これ?」
時雨は自分が見た
「家が、荒らされて…うう…なんか、すっごい嫌な感じがするっぽい…」
夕立も家のその現状に嫌な予感を感じていた。
「白露!村雨!五月雨!」
靴を脱いで家のリビングへと向かう時雨、その後を夕立が追いかける。そして、2人にリビングの惨状が目に映った。
「こ、これは…」
「玄関よりもっとひどいっぽい…それに―――」
「あの黒い染みって…」
リビングは更にひどい状態だった。家具は散乱し、所々に黒い水が跳ねた様な大きな染みが出来上がってた。そして、時雨と夕立がリビングに足を踏み入れ辺りを調べ始めた時、テーブルの上に置いてある1枚の紙を見つけた。時雨その紙に書いてあるは文章を読んでみることにした。
「なになに……おかえり2人共!白露と五月雨は貰って行くわ…探すことなんて無駄だから、諦めてね……これって!?」
「ん?時雨、何か見つけたっぽい?」
「うん。ちょっとこれを見てよ」
時雨は、夕立にその紙を渡した。そして、その紙をしばらく読んでいた夕立だったがやがてその紙を両手でくしゃりと握りしめた。
「嘘でしょ?」
「……僕も信じたくないけど。これは…この紙に書いてある字は―――――」
村雨の字だ
2人は紙を見ながらただ立ち尽くしていた。
アパートに到着した電は、階段に上がり自分の部屋に向かった。階段を上りきった電は、自分の目の前に立っていた白地のシャツの上に胸元が少し空いたところまでチャックを上げたフード付きの黒い上着を着て、黒いミニスカートをはいた白いショートヘアーに血の様に赤い目をした少女に気づいた。その少女は、その血の様な赤い目で電の顔をジッと見つめていた。電は、とりあえず声をかけることにした。
「あ、あの…電に何か御用ですか?」
「……お前」
電の言葉に反応するようにその少女は口を開いた。そして、電が口を開こうとするのより早く少女は口を開いた。
「ガンプラバトル全国大会の決勝で、必ず負かしてやるからな」
そう言った少女はゆっくりと電の方へと歩きだし、やがて電とすれ違った。その時、その少女は一言呟いた。
「オレの名はレ級。覚えておけ、偽物」
「!?」
電はピクリと肩を震わせたその時、一瞬だけ頭に何かの光景が過った。しかしそれは本当に一瞬で、電にはその過ったものが何なのかわからなかった。電は慌てて振り返るが、レ級の姿は既にそこにはなかった。
続く
いつも「艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん」を読んでいただきありがとうございます。次回はEP25~EP34までに登場したガンプラと登場人物紹介となります。お楽しみに待っていてください。お話の続きが気なる方には申し訳ありませんがご了承ください。
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