艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
電の衝突もあり、練習は一時中断となった。バトルシステムを切った時雨は電に問いかけていた。
「い、電。まさか、さっきビクビクしてた訳って・・・」
電は泣きそうな顔で何度もコクコクと頷いていた。これには時雨も夕立もかなり驚いたようで、夕立に関しては「訳わからん」と言いたげな顔をしていて、時雨も汗を流して苦笑いである。
「夕立、あんな目にあったの初めてっぽい…」
「ご、ごめんなさいなのです。い、電は…」
時雨はガンプラバトルの台に向き直って、そこで倒れ伏せていたイナヅマガンダムを拾い上げて機体の観察を始めた。そして電へと振り向いて口を開いた。
「電、この機体の推進力って相当高いんじゃないかい?」
「え、時雨さん。わかるのですか?」
「まあ少しはね。で、どうなんだい?」
電はコクリと深くゆっくり頷いた。やっぱり、と言いたげな顔になる時雨。夕立にはまだわからないようで時雨に問いかけていた。
「時雨、どういうことっぽい?」
「この機体の推進力…つまりは総合的な機動力が高すぎるんだ」
「ぽい?」
そう言うと夕立はイナヅマガンダムの各所を観察してみた。そして、見つけた。
「あ、肩の空洞部分と、背中のコアスプレンダーにスラスターが増設されてるっぽい!…ん?てことはつまり…」
「そう。電の操縦スキルがまだ機体に追いついていないんだ。電、どうしてこんな機体に仕上げたのか聞かせてくれるかい?」
「は、はいなのです…」
電は淡々と話し始めた。電の姉たちの機体がかなりの高機動性を持っていること、それに憧れてこの機体を作ったこと、そして完成したこの機体での初バトルが散々だったことも。話を聞いた夕立と時雨。普段はこういった話をあまり好かない夕立だったが、今回は真剣な表情で話を聞いていた。そして、時雨もまた真剣に話を聞いていた。
「と、いうわけなのです…」
話し終わった電。そこからしばらく沈黙が部室を包んでいたが、やがて時雨が口を開いた。
「そうだったんだね電。だったらこの機体、なおさら崩すわけにはいかないね」
「時雨の言う通りっぽい!そんなに思いを込めていたガンプラ、崩したらバチがあたるっぽい!」
「し、時雨さん!夕立さん!」
2人の言葉に感激した電。そして夕立が大声で言い放つ。
「じゃあ早速練習するっぽい!」
「そうだね。慣れるのは早いほうがいいから、始めるよ電!」
2人の掛け声にパァと顔をさせた電は答えた。
「なのですっ!」
「…」
「…」
ガンプラバトル部の部室の外、そこに2つの影があった。その影は賑やかな部室の中を窓からジッと見つめていた。部室内で始まった練習、3人ともとても楽し気な表情だった。その光景を見た1つ目の影が歯ぎしりをしながら口を開く。
「あの野郎…
それに答えるように2つ目の影が軽い口調で返す。
「まあまあ、そう怒らないでよ」
「うるせぇ、テメェにはわからねぇだろうが…」
「あれ?残念だなぁ~私もかなりあなたの気持ちわかるんだけどなぁ~」
そんな会話を見せる2つの影。1つ目の影が舌打ちをして続ける。
「チッ、なんで奴の見張りがお前なんだよ…」
「さぁね?ま、任せちゃってよ」
「チッ」
もう一度舌打ちをして、1つ目の影は消えていった。そして、残った2つ目の影はまだ部室内を見ていた。
「…フフフ楽しみだな」
続く