艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
「Battle Ended!」
バトルの終了を告げるシステム音声が電たち3人と大久田高校のファイターの耳に届いた次の瞬間、会場から至る所から大歓声が沸き上がった。どうやら他の1回戦のバトルは終了していた様で、電たちはしばらくその歓声を聞きながら会場を見渡していた。そして、にっこりとした表情で互いに向き合うと――――
「「「やったぁー!!」」」
と3人がそれぞれにハイタッチを交わしたのだ。
「やった!やったっぽい!初戦突破っぽーい!」
「やったね電、夕立!」
「はい!電たちの完全勝利なのです!」
「時雨ー!」
「うわっ!ちょ、飛びつかないでよ夕立!」
夕立はあまりの喜びに時雨に飛びついた。電は飛びついた夕立に頬をすりすりする時雨を苦笑いしながら見ていた。
「あはは…」
(仲間と勝利を喜び合う…ワタシも電とハイタッチしてみたいのです)
と、ぷらづまも2人の姿を見てちょっと羨ましいそうな言葉を漏らした。その言葉が聞こえているの電だけで、勿論ぷらづまが電とハイタッチ出来る訳はない。だが電はあることを思いついた。そして両腕を上に掲げた。
(何やってるのです電?)
「ぷらづまちゃん、ちょっと出てきて欲しいのです。こうすれば、ハイタッチ出来るのです」
「ああ、なるほどなのです」
そして電とぷらづまは、そのまま右手と左手をパチンと鳴らした。普通のハイタッチとは違うが、2人は確かにハイタッチをした。
「ちょっと違うが、これもいいハイタッチなのです」
「はい!電も、ぷらづまちゃんとハイタッチ出来て嬉しいのです!」
「そうだな……っ!電、あそこを見ろ!」
ぷらづまは観客席の一角に顔を向けた。ぷらづまに続いて電もそこを見た。そしてそこには――――
「あれは、レ級!」
電とぷらづまの視線の先にフードを被ったレ級の姿があった。レ級はその深紅の眼で電を見下ろしていた。そしてその隣には黒い帽子を被ったサイドテールの少女と、白い長髪にどす黒い赤色の目をした少女が立っていた。その2人もまた、電たちを観客席から見下ろしていた。
「電、どうしたんだい?」
その時、ようやく夕立から解放された時雨が電に尋ねてきた。そして真剣な表情で観客席の一点を見つめる電に釣られて時雨もその方を見た。
「電?」
「………」
「ん?あれは、レ級?」
「時雨、どうしたの?」
そして夕立もまた、電と時雨の見ている方を向いた。
「あれってレ級っぽい?」
「何だろう…とてつもない、殺気?みたいなのを感じるよ」
「……夕立もちょっと感じるっぽい」
「時雨さんと夕立さんも感じるのですね。あれ?レ級の隣に立ってるサイドテールの人、何処かで見たことあるような…」
電がレ級の隣に立っているサイドテールの少女を見て呟いた。時雨と夕立もその少女に目をやったが、そのすぐ後にレ級たちはその場から去っていった。
「あ~行っちゃったっぽい」
「電、あのレ級と何かあったのかい?」
「…宣戦布告をされたのです。決勝で必ず負かす、って」
「……そう」
3人はレ級の消えていった方をジッと見つめていた。
そして、翌日から本格始動した全国大会はどのバトルも白熱した物が展開されていた。2日目の第1試合では月光華高等学校の三日月と睦月、文月の3人が瑞鳳の指揮の元全国常連校を圧倒していた。
「睦月ちゃん、文月ちゃん、ミカが突っ込むから援護を!」
「睦月に任せるにゃしぃ!文月ちゃんいっくよー!」
「はーい!援護するねぇ~」
文月のガンプラ「文月・スペシャルマンロディ」が、両手に握ったサブマシンガンと両肩に装備された可動式機関砲、腰横の迫撃砲を発射し、それに合わせて獅電改をベースにした睦月のガンプラである睦月号がライフルとバズーカを発射する。
「くそ!」
その攻撃を回避しながら迎撃するM1アストレイのファイター。するとそこに無数の岩石群の中を一筋の青い閃光が駆けた。
「よし、これなら」
青い閃光の正体は黒と白、そして銀で彩られ、両肩側面の月華団マークと右肩正面に左曲がりの三日月のエンブレムを持ち背部に大型のテイルブレードとその横にソードメイスを装備した三日月のガンプラ「ガンダムバルバトスルプスレイト」だった。バルバトスルプスレイトは相手のガンプラと一気に距離を詰めていった。
「やられるかぁ!」
「甘いです!えいっ」
M1アストレイはビームサーベルを抜き放ち振り下ろすが、それを読んでいた様に三日月はバルバトスルプスレイトをバク転させて回避し、そしてその勢いのまま右手のツインメイスをM1アストレイの頭頂部目掛け振り下ろし、もう1本のツインメイスをコックピットに突き刺した。ツインメイスの直撃を受けたM1アストレイはグシャという音をたて頭部付近を破壊されコックピットを潰された。バルバトスルプスレイトはコックピットに突き刺したツインメイスを引き抜くようにM1アストレイを蹴り飛ばし、その後方にいてM1アストレイを援護していたウィンダムにぶつけた。
「うわっ!」
ウィンダムへの命中を確認した三日月はすかさず大型テイルブレードを射出し、M1アストレイごとウィンダムのコックピットを貫いて後方へ放り投げた。
「睦月ちゃん、文月ちゃんお願いします」
そして放り投げられた2機を睦月号と文月・スペシャルマンロディが集中砲火を浴びせる。
「相変わらず容赦ないねぇ~三日月ちゃん」
「でもそのおかげで睦月たちは勝ち続けられているのにゃしぃ!」
頬り投げ蜂の巣にされた2機には構うことなく最後の1機へと向かって行く三日月のバルバトスルプスレイト。そして三日月は紫に塗られたフリーダムガンダムを見つけた。
「あれで最後ですか」
「やっちまえ!ミカァー!!」
瑞鳳の叫びが三日月に聞こえた。
「よくも…仲間を!」
ビームライフルを撃ちながら後退するフリーダムガンダムにビームを回避しながらバルバトスルプスレイトは腕部の200㎜砲で牽制射を加えながら接近する。
「くそ!フルバーストでぶっ飛ばしてやる!」
フリーダムガンダムはバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲とクスィフィアス・レール砲を展開し、それを一斉射した。その一斉射はバルバトスルプスレイト目掛け飛んだが三日月はバルバトスルプスレイトを寝かせてそれを回避した。そしてそのまま機体を起こすと更に接近した。
「なんて動きなんだよ!」
ビームサーベルを抜き放ったフリーダムガンダムはバルバトスルプスレイトに対して左右に斬り払いながら攻撃を加えた。しかし、三日月はそれを簡単に回避しながら後退しフリーダムガンダムの隙を伺っていた。そしてフリーダムガンダムがビームサーベルを上段から斬り降ろしたのを回避したバルバトスルプスレイトはフリーダムガンダムを近くの岩石に向けて蹴り落とした。
「なにぃ!?」
「結構痛いですよ」
岩石に倒れるフリーダムガンダムを足で踏みつけながら、バルバトスルプスレイトは手にしたツインメイスを次々フリーダムガンダムに叩きつけていった。ガキン!ガキン!とツインメイスがフリーダムガンダムを壊していく。
「クソ…まだ―――ぐわぁ!」
どんどん壊されていくフリーダムガンダム。三日月は気にすることなくツインメイスを振り下ろし続ける。そして遂にフリーダムガンダムのファイターは降参を宣言した。
「降参だ!降参する!」
「Battle Ended!」
そしてバトルは終了した。バトルシステムがシャットダウンされフィールドと操縦スペースが消える。すると、三日月の右腕がだらりとなり右目から光が消えた。
「ミカ、大丈夫?」
「はい、大丈夫です瑞鳳」
「睦月ちゃん、文月ちゃん。ミカのガンプラをお願い、ミカは私が連れていくから!」
「了解にゃしぃ!」「はぁーい」
瑞鳳に連れられて三日月は会場を出ていった。
その様子を観客席から電たちが見ていた。
「三日月ちゃん、よ、容赦なかったっぽい」
「うん。まるで本物の三日月みたいだったよ」
「うう…ちょっと怖かったのです」
3人がそれぞれ試合の感想を述べていると、電は手元にあった試合予定表を確認した。そして気づいた。
「あ、もうすぐ暁ちゃんたちの試合が始まるのです!」
するとバトル会場入り口から暁と響が出て来た。そして1つのバトル台に立ち、バトルが開始された。
「暁。アカツキ・ハイペリオンマスター、出撃します」
「響。ガンダム・ヴェールフェニックス、出撃する」
全身金色に彩られ、シラヌイアカツキと腰回りにガンダムAGE-FXのCファンネルを装備して肩をストライクフリーダムガンダムの物に変更した4本のアンテナを持つ暁のガンプラ「アカツキ・ハイペリオンマスター」と、全身を純白に染め、淡い金色の不死鳥のとさかを思わせるアンテナと、両肩に4枚とバックパックに2枚の羽根を持ちツインバスターライフルを装備した響のガンプラ「ガンダム・ヴェールフェニックス」が宇宙空間へと発進していった。
「あれが暁と響のガンプラ」
「2人共、凄い完成度なのです」
「あ!響ちゃんのガンプラ、変形したっぽい!」
発進して早々に響はガンダム・ヴェールフェニックスを変形させた。鳥の顔を思わせるシールドの側面にツインバスターライフルを付け、頭部と腰を180度回転させて足先を折り、肩部上面装甲が側面に移動し肩部のウイングが展開、シールドをバックパックのウイング間に取り付けると、ガンダム・ヴェールフェニックスはアカツキ・ハイペリオンマスターと共に敵機を探して飛んでいった。
「あの変形…アニメ版のウイングガンダムゼロに似てるっぽい」
「でも肩のウイングはAGE-2ノーマルみたいなのです!」
「あ、会敵したみたいだ!」
会敵した暁と響は戦闘を始める。
「相手のガンプラは、ガナーザクウォーリアに、
「なら暁の出番ね!響、あとは任せたからね!」
「わかったよ暁」
そう言った暁は、アカツキ・ハイペリオンマスターを先行させた。アカツキ・ハイペリオンマスターの接近に気づいた相手の3機は、その高火力兵装を全門斉射した。
「狙い通りね。
暁は手元の武装スロットから遠隔攻撃端末を示すアイコンが描かれたスロットを選択した。すると、バックパックから誘導起動ビーム砲塔が射出されそれが五角形状に展開するとそこに五角形のビームバリアが展開、相手の放ってきた全てのビームを打ち消した。
「なんだと!?」
「よし。響、攻撃するからね!目標、FAZZ!」
「うん。わかった」
そう言った暁は今度はビームライフルのアイコンを選択、ビームバリアを展開したままその後ろからマシンガンモードに切り替えたヒャクライを発砲した。
「ヒャクライ・スティグマトからは逃げられないわ!」
緑色の小さなビームが次々ビームバリアに向かって飛んでいく。
「馬鹿め!ビームバリアを貼った状態でビームで攻撃するとはな!」
暁の攻撃を馬鹿にするFAZZのファイター。しかし次の瞬間――――
「ぐわぁ!」
FAZZは、ヒャクライ・スティグマトの発砲したビームにより被弾した。
「な、なんだ!?」
「な!ビームが…バリアを通り抜けている!」
アカツキ・ハイペリオンマスターが放つヒャクライ・スティグマトから放たれたビームが次々にバリアを通り抜けて3機に襲い掛かってきたのだ。
「くそ!散開だ!散開しろ!」
「逃がさないよ!」
散開しようとした3機にガンダム・ヴェールフェニックスがツインバスターライフルを放ちながら迫った。そしてそのまま散開した為に出来た各敵機との間を通り抜けていった。
「撃ち落としてやる!」
ガンダムヴァーチェがGNバズーカを胴体のGNドライブと直結させてガンダム・ヴェールフェニックスに向けて発射した。巨大なビームがガンダム・ヴェールフェニックスに迫るが、そこに再びALユニットが現れると今度は四角形状にビームバリアを展開した。そして案の定ガンダムヴァーチェの攻撃はそのビームバリアによって防がれてしまった。
「暁、スパシーバ」
ALユニットがガンダムヴァーチェの攻撃を防いだのを確認した響は変形を解除し、ツインバスターライフルを連結、ガンダムヴァーチェ目掛け発砲した。
「ウラァー!」
黄色のビームがバリアを通り抜け、ガンダムヴァーチェを撃ち抜いた。胴体部を貫かれたガンダムヴァーチェは爆発、四散した。
「やったわね、響!」
「うん……っ!暁、後ろだ!」
「もらったぜ!」
アカツキ・ハイペリオンマスターの後方にいつの間にか回り込んでいたガナーザクウォーリアはオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲をアカツキ・ハイペリオンマスター目掛け発砲した。動きを止めていたアカツキ・ハイペリオンマスターは完全に回避動作が遅れていた。
「しまった!」
「よし、これは完全に直撃だ!」
しかしオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲のビームがアカツキ・ハイペリオンマスターに命中したその時、そのビームはアカツキ・ハイペリオンマスターの装甲に当たると鏡に当たった光が反射するように反射し、逆にガナーザクウォーリアを撃ち抜いた。
「なんてね!暁のガンプラにそんな攻撃効かないわ!」
「暁、また来るよ」
「クソがー!」
ガンダム・ヴェールフェニックスがアカツキ・ハイペリオンマスターの隣に現れると、最後に残ったFAZZがハイパー・メガ・カノンを発射した。今までにない巨大なビームが発射されたがしかし、これもALユニットのビームバリアによって防がれてしまった。
「防いだわ!」
「暁、一気に行くよ!」
ガンダム・ヴェールフェニックスが再度変形した。そしてその上にアカツキ・ハイペリオンマスターが乗ると、暁はALユニットを操作して2機の周囲を内側から取り囲むように展開し、ビームバリアを張った。
「アカツキ・リュミエール、展開!」
正八面体状に展開されたアカツキ・リュミエールが2機を取り囲んだのを確認すると、響はガンダム・ヴェールフェニックスを発進させた。アカツキ・リュミエールに覆われた2機に向けてFAZZは持てる全ての武装で応戦した。しかしFAZZのミサイルも、ビームも全てアカツキ・リュミエールの前に全て消え去っていった。アカツキ・ハイペリオンマスターが試製双刀型ビームサーベルを抜き放ち、その下でガンダム・ヴェールフェニックスがツインバスターライフルと肩部ビームバルカン、シールドに装備されたビームガンを撃ち続けていた。そして次第にガンダム・ヴェールフェニックスのビームがFAZZに直撃し始めていった。ビームの直撃を受け続けたFAZZはやがて体勢を崩した。
「今だよ暁!」
「これで終わりよ!」
体勢を崩したFAZZとすれ違い様にアカツキ・ハイペリオンマスターは試製双刀型ビームサーベルを横一文字に振り切った。ビーム刃はFAZZの上半身と下半身を分断し、爆発した。そして暁はALユニットを回収しガンダム・ヴェールフェニックスから降りると変形を解除したガンダム・ヴェールフェニックスの隣に並んだ。2機のメインカメラが、キュピィン!と発光し太陽が2機のアンテナを照らしだした。
「Battle Ended!」
バトルが終了すると会場から大歓声が起こった。そんな中電は口を開いた。
「流石、暁ちゃんと響ちゃん……」
「凄いバトルだったっぽい!」
「暁と響…勝ち進めばいつか当たることになるね」
時雨と夕立が会話をする中、電は先程の言葉の続きを話すように言った。
「ううん……流石、「黄金の神盾」と「白不死鳥」の異名を持つ2人なのです」
電は、姉とのバトルがより一層楽しみになっていた。そしてそれは、声に出さずとも電のニッと笑った顔を見れば一目瞭然だった。
続く