艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
観客席への階段を上がっていく鳳翔。やがて、視界が開け暗くなっているバトル会場に出た。
「えっと、瑞鳳ちゃんたちは……あ!あそこね」
観客席に座っている瑞鳳たちを見つけた鳳翔はゆっくりとそこへ歩いていった。そして、歩いてくる鳳翔の姿を瑞鳳が見つけた。
「鳳翔さん!来てくれたんですね!」
「ええ。三日月ちゃんの事を聞いたら来ない訳にはいかないもの」
瑞鳳と鳳翔の話し声を聞いた月華団のメンバーが次々に鳳翔の方を向いて口を開いていった。
「こんにちはですわ鳳翔さん」
「あ、もしかして!睦月たちの応援に来てくれたにゃしぃ?」
「睦月ちゃん。まずは挨拶しないと駄目よ?」
「あ、ごめんなさいにゃしぃ」
「鳳翔さん、こんにちは。今日のバトルに出るのは長月と卯月、弥生だ。弥生の枠に本当は私が出る筈だったんだが…望月に、調整がまだ終わってないから今回は駄目だ。と言われてな」
「整備の手が早い望月ちゃんにしては珍しいよねぇ~」
「いつものさぼり癖のせいじゃないかな?」
「ちょっとみんな、もっちに対して言い過ぎですよ。今だって、1人残って調整してくれてるんですから?」
「うふふ。みんな元気で安心したわ。三日月ちゃん、貴女も」
そう言った鳳翔は三日月の頭を優しく撫でた。三日月は少しだけ照れた顔を作ると、や、やめてください。と言った。すると、菊月が長月たちのバトルが始まったことに気づいた。
「みんな、長月たちのバトルが始まったぞ」
「うおぉー!頑張るにゃしぃ3人ともー!」
睦月の声援が上がると月華団の全員が応援を始めた。
「作戦は頭に叩き込んであるな2人共?」
「もっちろんだぴょん!」「弥生も、大丈夫」
「よし!では行くぞ!」
「Gun-pla Battle combat mode Stand up!Mode damage level set to A.Please set your GP base.」
バトルシステムが立ち上がり、対戦相手も含めた全員がGPベースをセットする。
「Beginning Plavsky particle dispersal.Field 03 Forest.」
バトル台から大量のプラフスキー粒子が放出され、森が広がるフィールドが形成される。その時、卯月は弥生に声をかけた。
「弥生、久しぶりのバトルで緊張してるぴょん?」
「卯月?」
「弥生って緊張してるといつもより顔が強張るから!」
「え、そうなの?」
弥生が少し困惑した表情になった。すると卯月はニッと満面の笑みを浮かべて言った。
「大丈夫だぴょん!いつもみたいにやればきっとうまくいくぴょん!」
その言葉を聞いた弥生の顔に少しだけ緩みが生じた。そして、小さく微笑んで口を開いた。
「そうだね。卯月となら…大丈夫だね」
「えへへ!まっかせるぴょん!」
「………」
その2人のやり取りを見ていた長月は口元に小さく笑みを浮かべた。
「Please set your Gun-pla」
そして、それぞれがガンプラをセットする。システムがガンプラを読み込みメインカメラが発光し、発進体制に入った。
「Battle Start!」
「長月。ガンダムグシオンセフティアリベイクフルシティ、行くぞ!」
「卯月。卯月号、出撃でぇ~す!」
「弥生。ランド・マンロディパーチカル、出撃します」
生い茂る森の一角に3機のガンプラがしゃがんでいた。1機は薄茶色とダークグリーンのツートンカラーで彩られた直線的な外装を多用した外見と、大型になった両肩に追加されたスラスターとバックパックにある2つのスタビライザユニット、下半身後方を覆う程に大きな大斧を懸架したリアスカート、そして1つのカメラのみが存在する頭部と、両肩に計8本、腰横に計4本、両脹脛横計10本に装備されたヒートダートが特徴の長大なライフルを装備した長月のガンプラ「ガンダムグシオンセフティアリベイクフルシティ」
「よし。ここで二手に分かれるが…卯月、弥生を任せたぞ」
「りょーかいぴょん!うーちゃんにお任せ!」
もう1機は全身を赤色で染め上げ、セフティアリベイクフルシティ同様直線的な外装と両肩の大型バスターソード、ガントレットシールドと機関砲を装備した前腕部、スラスターが増設された脚部、そしてガンダムの頭部アンテナを思わせるV字アンテナを備えたバイザーを持つ頭部が特徴の卯月のガンプラ「卯月号」
「うん。卯月、よろしく」
そして最後の1機、紫と白のツートンで彩られた他の2機と違い曲線的な外装と、ヒール状になり安定性の増した両脚部に内装されたホルスターが特徴の弥生のガンプラ「ランド・マンロディパーチカル」
「長月、1人での行動だけど大丈夫なの?」
「大丈夫だ皐月。私は問題ないし、バトルに不慣れな弥生を1人にさせることの方が危ないからな」
今回は瑞鳳に変わって皐月が指揮を執っていた。皐月は一言、流石だね長月。と言うと作戦開始の音頭を取った。
「それじゃあ二手に分かれて作戦開始!」
「了解した!弥生、卯月、また後でな!」
「はーい!んじゃあ弥生、うーちゃんたちも行くぴょん!」
「うん」
こうしてガンダムグシオンセフティアリベイクフルシティと、卯月号とランド・マンロディパーチカルの二手に分かれた月華団は行動を開始した。
森林地帯を駆け抜ける卯月号とランド・マンロディパーチカル。未だ2機は接敵してはいなかったが弥生と卯月、2人の間には少しだけ緊張が走っていた。森林地帯は生い茂る木々によって視界を奪われる可能性が高い。故に敵機からの奇襲を受けることも十分にあり得るのだ。そんな中で弥生は手元の武装スロットから銃のアイコンが表示された物を選択した。すると、左の脹脛部から1丁のアサルトライフルを取り出した。
「卯月、これ使って」
そう言った弥生は卯月号にそのアサルトライフルを渡した。見た目は獅電のアサルトライフルと同じだが、次にランド・マンロディパーチカルがサイドスカートから取り出した4色に塗り分けられた1本のラインがそれぞれ入ったマガジンを見て卯月は、それが何かを察したのかニッと笑みを浮かべた。
「やっと完成したんだね弥生!」
「うん。卯月が頼んでた、多用途アサルトライフル「アサルティットライフル」だよ」
「弾もかぴょん!?」
「勿論。白が通常弾、赤が焼夷弾、黄色が散弾、青が貫徹弾。銃身も耐えらるようにしてあるから大丈夫だよ。はい」
「弥生ありがとうだぴょん!……って!うわぁ!」
ランド・マンロディパーチカルが卯月号にマガジンを渡したその瞬間、2機の進行方向から相手チームの攻撃が飛んできた。ビームと実弾を織り交ぜた弾幕だ。何とかギリギリで初弾を回避した卯月号とランド・マンロディパーチカルは一旦後退した。
「弥生、援護は任せたぴょん!」
「了解、卯月」
卯月はそう言うと、武装スロットから左肩の大型バスターソードを選択し卯月号を先行させた。その後方からランド・マンロディパーチカルが、サブマシンガンを撃ちながら追随する。先行してくる卯月号に気づいたのか、森林の中からティエレン全領域対応型と、レギンレイズがそれぞれの射撃武装を放ちながら飛び出してきた。
「目標確認!アサルティットライフル、発射ぴょん!」
それに答えるように卯月号も通常弾を装填したアサルティットライフルを放ちながらティエレンとの距離を詰めていく。ティエレンはビームライフルを撃ちながらライフル下部のビームサーベルを取り外し左手に装備させ、卯月号に向かって行った。2機間の距離が縮まっていき、そして接近戦が始まった。先に仕掛けたのは卯月号だった。
「えぇい!」
左手に握られた大型バスターソードを横一文字に切り払う。ティエレンはそれを右ステップで回避した。そしてビームサーベルを左上段からの袈裟斬りを放った。
「反撃する!」
「おっと!」
卯月号はその攻撃を身体を右に反らせることで回避し、その隙に隙だらけとなったティエレンの胴体にアサルティットライフルを撃ち込んだ。通常弾とは言え零距離でアサルティットライフルの銃弾を浴びたティエレンは大きくバランスを崩した。その隙に卯月号はティエレンの背後を取った。アサルティットライフルのマガジンを通常弾から貫徹弾に変更した。
「これで終わりぴょん!」
しかし、アサルティットライフルはカチン!と言う音だけを放ち、貫徹弾は発射されなかった。
「あれっ!?」
もう一度引き金を引く卯月。しかし、弾は出ない。それを見たティエレンのファイターはニヤリと口元に笑みを浮かべ卯月号に迫った。
「こんな時に弾詰まりとは、運のない奴だな!覚悟しろ!」
「あわわ!ど、どうすればいいぴょん!?」
どんどん距離を詰めてくるティエレン。そして勢いよく飛び上がり卯月号にビームサーベルを斬り降ろそうとした。
「とどめだー!」
しかし―――
「なーんちゃって!うっそぴょーん!」
卯月は元気いっぱいのニンヤリとした顔で操縦桿を操作した。すると、卯月号はアサルティットライフルの引き金上部にあるセイフティを外し、上空のティエレンに目掛け連射した。放たれた貫徹弾の弾幕はティエレンに多くの風穴を開けた。そして、卯月が引き金から指を放しその場からジャンプで離れると、ティエレンは大爆発を起こした。操縦スペースでは卯月が全快の笑顔でピースを掲げていた。
「さっくせんだいせーこーだぴょーん!って、弥生と逸れちゃったぴょん!?」
一方の弥生、ランド・マンロディパーチカルはレギンレイズと射撃戦を繰り広げていた。卯月が先行した後を追っては来たが、途中でレギンレイズが卯月号とランド・マンロディパーチカルの間に割って入ったため卯月と離されてしまったのだ。木の陰に隠れながら移動しては射撃を繰り返すランド・マンロディパーチカルとレギンレイズ。
「私だって!」
サブマシンガンを放ちながら木から飛び出すランド・マンロディパーチカル。しかし、その瞬間を待っていたかのように真横から現れたレギンレイズのタックルをもろにくらってしまったランド・マンロディパーチカル。
「きゃあっ!」
体勢を崩したランド・マンロディパーチカルは尻もちをついてしまった。そこにゆっくりと近づいてくるレギンレイズ。ランド・マンロディパーチカルが立ち上がるより前にレギンレイズは銃口を向けた。しかし、弥生は諦めなかった。
「勝負ありだな」
「まだ諦めないよっ」
すると、ランド・マンロディパーチカルは胸部の装備した4門のバルカンを斉射した。ほぼ零距離まで接近していたレギンレイズはこの攻撃を全弾くらった、しかし撃破はま逃れた。その隙にランド・マンロディパーチカルはレギンレイズから距離を取った。サブマシンガンをリロードし、レギンレイズに向けた。その瞬間だった――――
ガキーン!
という音と共にレギンレイズの腹部から剣の切っ先が出て来た。
「え?」
レギンレイズはそのまま機能を停止し、崩れ落ちた。そしてレギンレイズの背後から大型バスターソードを肩に担いだ卯月号が姿を現した。
「ふぅー間に合ったぴょん!」
「う、卯月?」
「ごめんごめん!先行しすぎちゃったぴょん!」
通信モニターに映った卯月の困ったような笑顔を見た弥生はホッとして一言言おうとした。しかしその時、唐突にそれは現れた。
ガキィィン!
唐突にランド・マンロディパーチカルの背後に現れた機体が、ランド・マンロディパーチカルの右腕を斬り飛ばした。
「え?」
「遅いっ!」
右腕を斬り飛ばされたランド・マンロディパーチカルはそのままその機体のキックを受け、弾き飛ばされた。
「きゃあぁぁ!」
「弥生!」
卯月の言葉が響いた瞬間、その機体は空高くジャンプした。そして遂に卯月がその正体に気づいた。
「あれは、ガンダムバエル!?」
2本の長剣を携え、背部に2枚の大型ウイングバインダーを装備した純白のスマートな形状をしたガンプラ「ガンダムバエル」そして、バエルは上空で手にした長剣の1本を逆手に持つと、ランド・マンロディパーチカル目掛けて一気に急降下していった。
「弥生!」
急降下し始めるその瞬間、卯月は操縦桿をめいいっぱい前へ向けた。そしてランド・マンロディパーチカルの元へ急いだ。
「う、ううう…」
弥生の目の前のモニターには剣を逆手に持ち降下してくるバエルが映っていた。
(避けないと…避けないと!)
弥生は必死に頭の中でその言葉を連呼していた。しかし、ランド・マンロディパーチカルは動かなかった。蹴られて今もたれかかっている木にたどり着くまでに脚部を損傷していたのがその理由だった。動くことの出来ないガンプラはただの的である事など弥生はわかっていた。しかし、やはりランド・マンロディパーチカルは動かなかった。
(負けるの?そんな…嫌だよ…そんな)
バエルの剣が目の前に迫ったその時、弥生の視界に映るモニター越しの映像が突然動いた。そして遅れてグシャッ!という音が聞こえてきたのだった。ようやく動きを止めたモニター。そして、その先に映っていたのは――――
「え?う、うづ……き?」
胴体を首元から突き刺された卯月号の姿だった。
続く
いつも「艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん」を読んでいただきありがとうございます。新しいアンケートを今回から出しますので、お答えいただける方はお答えください。