艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

48 / 141
EP45 責任と黒い面影

バトルが終了すると、長月はすぐにセフティアリベイクフルシティを回収するとその場から立ち去っていった。皐月は、長月を止めようと名前を呼ぼうとしたが彼女のいかにも物悲しそうな背中を見て、口を開くのを止めた。その一方で弥生は、涙を流しながら卯月に抱き着いて謝罪をしていた。

「ごめんっ!ごめんね卯月!私、わたし…また何も、出来なかったっ!」

「ちょ、ちょっと弥生。流石に泣きすぎだぴょん。勝ったんだから、泣いちゃダメぴょん!って聞こえてないぴょん…」

その様子を見ていた観客席の月華団メンバーは弥生が崩れることを何度か見たことがあるが、あそこまで崩れた弥生は見たことがなかった為、驚きを隠せなかった。

「弥生ちゃん。あんなに泣き崩れることあるんだね」

「私も初めて見たわ」

「文月も、初めてかも~」

「しかも相手は卯月だからな。余計に…なのだろう」

「今日の晩ご飯は2人の好きなものにしよう。うん」

「でも、あの状態じゃずっと泣いちゃうかもしれないなぁ。みんな、3人を迎えに行こっか」

瑞鳳の音頭で月華団メンバーは一斉に立ち上がり会場を後にした。

「じゃあ、長月は私が探してきますね」

「ちょ、無茶しないでミカ!」

「いや、三日月。ここは私が行こう。すまないが譲ってくれないか?」

「菊月…わかりました」

そう言って三日月は引き下がった。1階に降りたところで菊月はメンバーと別れ、長月を探しに行った。

 

菊月は会場から外に出ると会場周辺で長月を探した。しばらくして階段でうずくまる長月を見つけた。菊月は長月の隣に座った。すると、隣に座った菊月に気づいた長月は口を開いた。

「菊月…」

「さっきのバトル見ていたよ」

「…また仲間を助けられなかった…フッ、私の腕も落ちたものだな」

「長月姉さん。県予選の時も同じこと言ってたな、それにあの時も今みたいに気落ちしていた」

「……そうだったか」

菊月の言葉に皮肉を込めた返答をする長月。菊月はその皮肉の内容をよく知っていた。故に彼女も淡々と言葉を続けた。

「長月姉さんは、私より腕が立つんだ。卯月姉さんを助けることが出来なかったことは残念だが、それは長月姉さんのせいじゃない」

「いや、あれは私が相手の動きを見極められなかったことが原因だ。全て、私の―――」

「それなら皐月姉さんにも言えたことだ。指揮を執っていたのは皐月姉さんだったからな」

「違う!皐月はしっかり指揮を執っていた!作戦もほとんど完璧――――」

「だが、いくら良い作戦を立てても作戦通り戦闘が進むなんて稀なこと。それくらい長月姉さんも知っているだろう?だとしたら、長月姉さんはあの時最善の行動が取れ――――」

「いい加減にしろ菊月っ!!」

菊月の言葉を聞いた長月は思わず激情して、そのまま菊月を突き飛ばしてその場に仁王立ちした。その目には涙が溜まっていた。菊月は体を起こすと仁王立ちする長月を見上げた。長月が必死に涙をこらえながら叫んだ。

「私の気持ちも知らないでペラペラと!あの場にいなかったお前に何がわかるっていうんだ!弥生と卯月のガンプラをあそこまで損傷させてしまって…何が最善の行動がとれていた。だっ!!」

「………」

すると長月は、菊月の胸ぐらを掴むと更に叫んだ。

「あれだけの損傷を受ければ、2人の機体の修理を担当している望月や如月にも負担がかかる!そうすれば、この先の試合で2人の出番まで奪ってしまったことになるんだぞ!」

「っ――――」

その言葉を聞いた菊月は、今度は長月を突き飛ばした。菊月に突き飛ばされた長月は、その場に倒れ菊月がゆっくりと歩き寄ってくる。

「いい加減にしてくれ長月姉さん…」

「なにっ!」

「さっきのバトルでの責任を感じるのならそれでもいいが、私たちには次の試合があるんだ。ふさぎ込むのは止めてくれ」

「菊月っ!」

長月は体を勢いよく起こすと叫んだ。

「私の知っている長月姉さんは、確かに弱音を吐くこともある責任感のある姉さんだ。でも長月姉さんは、それ以上に強い心の持ち主だった筈だ!」

「!?」

すると菊月は困惑した表情を浮かべる長月の胸ぐらを掴んだ。

「そんなに責任を感じるのなら、今すぐ全員に謝って来い!だが、謝ったのならそれっきりにしろ!いつまでも落ち込んでたら、団の士気に関わるからな」

そう言って菊月は長月から手を離すと踵を返した。そして、一言呟いた。

「強い長月姉さんになってから、戻って来てくれ」

菊月はその場から離れていった。残された長月は何も言わず、菊月が去っていくのを見ていた。

 

ところ変わって会場の近くに存在するカフェに2人の少女がいた。窓際の角の席に座っていたのは秋月と、防空棲姫だった。

「あの、道案内してもらってありがとうございます!」

「………」

先に口を開いたのは秋月だった。しかし、防空棲姫は秋月をジッと見つめるだけで口を開こうとしなかった。しかし、秋月は彼女の無口に動じることなく話しかける。

「お礼にご飯奢りますから何でも注文してください!」

「………」

「うーん。どれにしようかな」

「……おい」

すると、口を開かなかった防空棲姫が口を開いた。突然、防空棲姫が口を開いたことに驚いた秋月。しかし、すぐに気持ちを持ち直し答えた。

「あ、何にするか決まったんですか?」

「お前、何故私に声をかけた。他にも声をかける人間はいた筈だ」

「あ、もしかして本当はご迷惑でしたか?」

「そんなことは無いが、理由を聞かせろ」

淡々と会話が進む2人。声をかけられたことがかなり気になっている防空棲姫は何度も秋月にその質問を投げかけた。

「理由は、確か貴女ってガンプラバトル全国大会に出場している人ですよね?だから、声も掛けやすいかな。って思って」

「お前、何故それを知っている?」

「え?だって、貴女たちのチーム私たちと同じグループでしょ?まさか、気づかなかったんですか?」

「まあな。戦闘の相手のことなど考えたことないからな」

「そ、そうですか………っ!?」

その時秋月が何かに気づいた。一瞬秋月の見せた驚いた表情を防空棲姫は見逃さなかった。

「なんだ?」

「あ、いえ何でもありませ――――て、帰っちゃうんですか!?」

秋月が答えた瞬間に防空棲姫は席から立ち上がり、出口へ向かおうとしていた。秋月の言葉を聞いた防空棲姫は足を止め、顔だけを秋月に向けた。

「別にお礼などいらないからな」

そう一言だけ言った防空棲姫は店を出ていった。残された秋月は去っていった防空棲姫が見えなくなると、両手をテーブルの下でギュッと組むと口を開いた。

「あの動き……もしかして………」

防空棲姫が先程とった行動「右の前髪を右手の中指でクルクルと巻く」この行動が秋月の中の何か(・・)とかなり近い形で一致したのだ。だが秋月は確信に近い何かを感じていたのだった。

 

続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。