艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
「Battle Ended!」
龍北高校の最後のガンプラであるオギュルディアアストレイが撃破され、百年記高校と龍北高校のバトルは終了した。バトルシステムがシャットダウンされ、プラフスキー粒子が消えていきバトル台の上にはAGE-2ホーキンスとAGE-3FX、そして撃破された4機のガンプラの残骸が散らばっていた。特にAGE-1バウンサーとオギュルディアアストレイは見るも無残な姿となっていた。
「はぁ…はぁ…」
先程の戦闘で何度も叫んでいた瑞鶴は荒い息を整えていた。そして瑞鶴が、バトルが終了したことに気づいた瞬間、会場から一斉に歓声と拍手が上がった。
「……え?」
瑞鶴はその歓声と拍手に戸惑いながら会場を見渡した。そして、会場を見渡すうちに加賀の顔が瑞鶴の目に映った。瑞鶴はハッとして加賀の顔を見ながら赤面した。瑞鶴は、今思うとかなり恥ずかしい事を喋っていたことを思い出してしまった。
「あ、あの…い―――加賀、さん」
瑞鶴は加賀から目を逸らしながら言葉に詰まりながらなんとか話そうとしていた。すると加賀はゆっくりと瑞鶴に近づき、そして――――
優しく瑞鶴を抱きしめ、頭を撫でた。
「!?」
「よく頑張ったわね瑞鶴」
加賀の行動に驚愕して上手く口が動かせない瑞鶴。しかし加賀はそんな瑞鶴をよそに話しかけた。
「やっぱり貴女は凄いわ。もう私から教えることは無さそうね」
「あ、あのっ……」
「これからも…私の背中、預けさせてもらうわ」
「加賀さんっ!すっごい恥ずかしんだけど!」
「ハッ!わ、私としたことが…つい我を忘れてしまったわ。ごめんなさい」
そして我に返った加賀はようやく瑞鶴から離れた。その様子を見ていた翔鶴は目に少し涙を溜めながら微笑んでいた。しかし、そこにヲ級が声を荒げながら歩いてきた。
「ヲーヲー!!いい雰囲気になりやがってー!もう1回勝負しろお前らー!」
「ヲ級っ!?」
「今すぐに再戦だヲ!さっさと準備しろヲッ!」
しかし、ヲ級がそう言い放ったところで後ろからヲ級の手をリ級が掴んで引き戻すとヲ級が振り向いた瞬間、リ級の右手がヲ級の左頬をパチンッ!と言う音と共に直撃した。そしてそのままヲ級は床に座り込んでしまった。ヲ級は左頬を抑えながらリ級を見上げた。
「いい加減にしろヲ級っ!!」
「な、何するんだヲ!」
「今まで何度も目を瞑ってきてやったが、今回ばかりは許さんぞっ!!」
「そうだな。今回ばかりは私もお前を許さないぞ…ヲ級」
「ル級まで…ヲ級が一体何をしたって言うんだヲ!」
その言葉を聞いたリ級は、床に座り込んでいるヲ級の胸ぐらを掴んで持ち上げた。
「お前、どの口がそんなことを喋っているのか。本当に分かっているのか?」
「な、なに!?」
「私たちのガンプラに勝手に細工し、自分の都合で勝手に操縦を奪って仲間である私たちのガンプラを壊しておいて、よくそんなことが言えるなっ!!」
「全てはヲ級が勝つためだヲ!その為に2人のガンプラを利用しただけヲ!それの何処がいけないって――――」
するとその次の瞬間、ヲ級の右頬にリ級の拳がぶつかった。そしてヲ級は吹き飛ばされた。
「好き勝手にペラペラと!私たちがどんな思いであのガンプラを組んだと思っているんだっ!!」
「この大会に参加している全ての人物が、それぞれのガンプラに思いを込めているんだぞ!それを踏みにじるような発言をするなど……お前、それでもガンプラビルダーかっ!!」
「…………!」
ヲ級は2人を睨みつけながら何も言い返すこと出来なかった。やがて、2人が会場を去ろうと歩き出した時、リ級はヲ級に振り返って言い放った。
「私たちが言った事をよく考えてから戻ってこい!これは戦争ではない。ガンプラバトルなんだからな!」
リ級はそのまま歩き去っていった。
「………」
ヲ級はその場に取り残されてしまった。すると加賀が座り込むヲ級に言った。
「初めてガンプラを作っていた時の事を思い出してみなさい」
そして加賀たち3人も会場を後にした。
「ふーん…あの子良いじゃない」
黒いフードは人混みに消えていった。
部屋に戻った瑞鶴たちは早速、大破したAGE-1バウンサーの修復を始めた。AGE-1バウンサーは加賀が組み上げた機体ではあったが、瑞鶴は自分の機体を助けてくれた加賀に恩を感じて修復の手伝いを申し出たのだ。そしてそれは翔鶴も同じであり、結局3人でAGE-1バウンサーの修復を開始したのだった。
「それにしても、もう原型留めていませんね。加賀さん」
「ええ…爆散してしまったものね。これは完治に時間が掛かりそうね」
「それか新しいのを作るのもいいと思うわ」
「瑞鶴の言葉も一理あるわね」
加賀は破壊されたAGE-1バウンサーの頭部を指で摘みながら少しだけ動かした。AGE-1バウンサーの頭部はカチャリと音をたてた。その時だった――――
「へー!3人とも仲が良いんですねー!」
部屋のベランダから少女の様な声がした。3人は驚いて一斉にベランダに顔を向けた。そこには黒いフードを被った人物が立っていた。
「あなた、誰なの?」
「名乗るほどの者でもないですよ。それにしても怖い顔ですねー綺麗な顔が台無しですよ?加賀さん」
「ここは選手村ホテルの5階。どうやってここに!?」
「まあちょっとしたテクニックってやつですねぇ……てか、さっきから五月蠅いですよ加賀さんと翔鶴さん。私が用があるのは貴女たちじゃないんですよ」
「「え?」」
フードの人物はそう言うと、人差し指をまっすぐ伸ばした。その先にいたのは――――
「え……」
瑞鶴だった。フードの人物は口元をニヤつかせ、話し始めた。
「そうです瑞鶴さん。貴女の力を貸してほしいんですよ」
「な、なんで私なの!?」
「簡単ですよ。貴女がこの3人の中で1番強いからです。他の2人なんかどうでもいいくらいに、ね!」
「「!?」」
その言葉に驚く加賀と翔鶴。フードの人物は更に言葉を続ける。
「だからほら、こっちに来てください。でないと、2人が酷い目に遭いますよ?」
「っ!」
その言葉を聞いた瑞鶴は肩をビクつかせた。瑞鶴は目だけを動かし、加賀と翔鶴2人の顔を一弁した。そして、瑞鶴はその人物に話しかけた。
「ひとつ教えて…」
「ん?」
「あんたの目的は……いったい何なのよ?」
「んーそうですねぇ……一言で言えば――――」
一瞬だを開けたフードに人物は笑みを浮かべながら言った。
復讐
「復讐…ですって?何に?」
「教えるのはひとつだけですよ?瑞鶴さん、ひとつ教えてって言ったじゃないですか」
笑いながら、と言っていいような話し方をするフードの人物。瑞鶴はその人物を警戒したまま頭を回転させ、考えた。そして、瑞鶴の出した結論は―――
「断るわ」
「………何でです?」
「あんたの復讐に手を貸す理由がないからよ」
「………」
瑞鶴の返答に黙り込んだフードの人物。しかしそれはほんの数秒の間だけで、すぐに口を開いた。
「そうですか…なら少し強引なやり方をしないとですね」
フードの人物がそう言い切ると1歩踏み出した。そして、フードの人物が2歩目を踏んだ次の瞬間、突然異常なほどの加速し3人に迫ったのだ。
「「「!?」」」
瑞鶴は突然の事に驚き反応が完全に遅れてしまっていた。しかしその後、瑞鶴を痛みや衝撃、苦痛が襲うことは無かった。その理由はすぐに分かった。
「しょ、翔鶴姉ぇ!?」
瑞鶴の眼前、そこにはフードの人物の真っ白な手で首を握りしめられた翔鶴の姿があった。
「あ、あが…ずい……か…」
「あ、失敗しちゃった。まいったなーこの技、1日に1回が限界なんだよねー」
すると、翔鶴の掴まれている首から紫色のアザが全身へ広がっていきそのアザは次第に真っ白な物へと変わっていった。
「そんな…翔鶴姉ぇ」
変わりゆく姉の姿を見てしまった瑞鶴はその場に座り込んでしまった。
「ズイ……カ…ク……ニゲ…」
翔鶴の言葉も虚しく、瑞鶴は動くことが出来なかった。それは加賀も同じで、仲間の危機であるにも関わらず加賀の身体は動かなかった。
「嘘…まさか……そんな」
そして翔鶴の全身がアザに包まれた時、フードの人物はその手を首から離した。翔鶴は崩れるように倒れた。
「うーん…目標達成じゃないけど、まぁいっか!」
フードの人物は無邪気な声でそう言うと、倒れた翔鶴を肩に担ぎベランダへ向かった。そして、残された瑞鶴に振り返って言った。
「とりあえず、翔鶴さんを貰って行きますね!あっ、もう来ないから安心していいですよ!」
そして翔鶴を抱えたフードの人物はベランダから一瞬で消えたのだった。残された瑞鶴と加賀はフードの人物が消えたベランダを、ただ見つめるばかりだった。
国立ガンプラバトル競技場のドーム状の屋根の上。そこに1人のフードを被った人物が立っていた。風になびくそのフードの色はしかし、黒ではなく白だった。
「………」
そのフードの人物はただ黙って選手村ホテルの方を眺めていた。そしてひと際強い風が吹き、そのフードを捲った。真っ白なを2つ括りにしたセミロングの髪が風でなびいた時、その人物は口を開いた。
「また……やってしまったんだね」
その人物の声もまた、少女の様な声だった。そしてその人物はゆっくりと右手を正面に向けその手を開いて言った。
あなたは、必ず私が止めるよ
続く