艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
ダインスレイブの直撃を受けた睦月号と文月・スペシャルマンロディを岩陰に退避させることにしたランドマンロディ・改。菊月はモニター越しに2機の被害状況を観察した。ダインスレイブを左腕に直撃された睦月号は、左腕とその後ろのバックパックを根元から持っていかれて胴体左側には幾つものひびが入っていた。
「ううう……い、痛いのね…」
「睦月、大丈夫か?」
「だ、大丈夫じゃないにゃ……」
(かなりひどい損傷だ。これ以上の戦闘継続は、難しいかもしれん)
すると菊月は、今度は文月・スペシャルマンロディを観察した。どうやら胴体の右下部を掠っただけの様だが、それでもその衝撃で右足を関節から破壊されていた。
「文月、動けそうか?」
「う~ん。動くだけならいけるかも~」
「わかった」
(睦月号程ではないが、こちらもかなりひどいな)
2機の損傷を見た菊月は現状がどれだけ不味いかと言うことをハッキリと理解した。現状、まともに動けるのは自身のランドマンロディ・改のみ。文月の文月・スペシャルマンロディも動くことは出来るだろうが、100%の性能を出すことは不可能。ましてや睦月号と睦月を行動させるなど論外に等しい。菊月は必死に頭を回転させ、思考を巡らせた。
(クッ…どうすればいい?何かいい手はないか!)
更に考える菊月。しかし、その時だった。菊月たち3人の操縦スペースに接近警報が鳴り響いた。
「あわわ!もう近くまで来られちゃったよ~!」
「ううう…まだ痛むのね。どうしよう…」
「………」
睦月と文月が慌てる中、菊月は遂にあることを思いついた。そして、睦月に問いかけた。
「睦月。キャノン砲の残弾はあと幾つだ?」
「え?あと2発だけど…」
「わかった。睦月、文月、私が囮になる。文月は睦月の護衛を頼む」
「ちょっと菊月ちゃん!相手にはダインスレイブがあるんだよ!1人で出ていくなんて危ないよ!」
「悪いが議論している暇はない。睦月、私が奴らの隙を作る、その隙に狙撃してくれ。文月、これを渡しておく」
すると、菊月はダインスレイブ用の弾頭である槍を文月に渡した。そして、機体を180度回転させると、一言呟いた。
「1発でも外せばお終いだ。睦月、頼んだぞ」
そしてランドマンロディ・改は岩の影から飛び出して、単機でキマリスヴィダールとレギンレイズ・ジュリアと交戦を始めた。キマリスヴィダールとレギンレイズ・ジュリアの2機は飛び出してきたランドマンロディ・改に驚きながらも攻撃を開始した。
「私が相手だ!来るなら何処からでも来いっ!」
ランドマンロディ・改はマシンガンを放ちながらデモリッションバスタードソードを抜き放ちキマリスヴィダールに迫った。キマリスヴィダールはドリルランスを構え突撃した。ドリルランスを使った突貫攻撃だと、菊月はすぐに把握できた。
(やはりもう釣りのぶせはしてこないか…それならありがたい!)
ランドマンロディ・改の上空からはレギンレイズ・ジュリアが機関砲を撃ってきてはいたが、菊月はそれを回避しつつ少しずつ後退していった。そして、キマリスヴィダールのドリルランスが目前に迫った時だった。
「あまい!」
菊月はドリルランスの直撃寸前でランドマンロディ・改を左スライドさせた。そして、その瞬間右腕のサブアームが握ったデモリッションバスタードソードを振り下ろした。デモリッションバスタードソードはキマリスヴィダールのドリルランスを捉えそれを弾き飛ばした。そして、バランスを崩してしまったキマリスヴィダールにランドマンロディ・改は追撃としてキマリスヴィダールを蹴り飛ばした。弾き飛ばされたきキマリスヴィダールは何とか態勢を整え、太刀を引き抜いた。しかし、その時だった――――
「睦月、今だ!!」
「作品は違うけど、狙い撃っちゃうのね!!」
キマリスヴィダールの後方から1つの閃光が飛来。キマリスヴィダールの胴体部を貫き、機体を爆散させた。そして僚機が一撃で破壊されたことに気づいたレギンレイズ・ジュリアは閃光が走ってきた方向に目を向けると、そこには文月・スペシャルマンロディに護られながらキャノン砲を構えた睦月号がいたのだった。
「助かったぞ睦月」
「へヘン!睦月に任せるにゃしぃ!」
「あわわわ!敵がこっちに気づいちゃったよー!」
狙撃をしてきた睦月号を見つけたレギンレイズ・ジュリアは超加速で睦月号に迫った。
「っ!待てっ!」
レギンレイズ・ジュリアを追いかけるランドマンロディ・改だったが、加速力が違い過ぎて完全に置いていかれてしまっていた。
「くそ、早い!ならば!」
すると、ランドマンロディ・改はデモリッションバスタードソードを頬り投げた。激しく回転しながら飛ぶデモリッションバスタードソード。しかしレギンレイズ・ジュリアは後方から飛んでくるデモリッションバスタードソードに気づいていなかった。だが……
「くそ!あれでは当たらない!」
ランドマンロディ・改が投げたデモリッションバスタードソードは僅かに右にずれていた。
(あ、あれじゃあ大きな剣が当たらないな~よーし!)
そのことに気づいた文月は文月・スペシャルマンロディを岩陰から飛び出させ、レギンレイズ・ジュリアに向け機体の全ての射撃武器を放った。すると、レギンレイズ・ジュリアは僅かに右に移動した。そして――――
ガキーン!
デモリッションバスタードソードがレギンレイズ・ジュリアに直撃、レギンレイズ・ジュリアはバランスを大きく崩されてしまい、そのまま岩に叩きつけられてしまった。
「睦月ちゃん!」
「まっかせるにゃしぃ!」
そして身動きの取れないレギンレイズ・ジュリアの正面に降り立った睦月号は、キャノン砲をレギンレイズ・ジュリアに撃ち込んだ。胴体中央に風穴を開けられたレギンレイズ・ジュリアは、そのまま機能を停止した。
「やったのね!これで残すはあと1機!」
「だが、油断するな。相手はダインスレイブを装備している」
「大丈夫だよ!文月ちゃん、その槍装填してほしいのね!」
「う、うん。でも睦月ちゃん、突撃すると危ないよ?」
「平気平気!」
そう言った睦月は、中破した睦月号を前進させていった。睦月号のキャノンには、試合前に如月に渡された槍が装填されていた。
「睦月、待てっ!」
慌てて睦月を追いかける菊月と文月。そして、突出した睦月号を追いかけている間、菊月は睦月を必死に止めようとした。
「前に出過ぎだ睦月!」
「問題ないのね!さっきのお返し、しっかり返して―――――」
「っ!睦月ちゃん危ない!」
ガキィィィィィィィン!!!!
睦月号を再びダインスレイブの閃光が襲ったのだ。
「ああああああああ!!!」
睦月号の左足にダインスレイブは命中し、左足を根元から吹き飛ばされ睦月号も再び弾き飛ばされてしまった。睦月も、アシムレイトのノーシーボ効果で左足に激痛が走り必死に押さえつけていた。
「うっ…うあ、あああ……」
「「睦月っ!」ちゃんっ!」
弾き飛ばされた睦月号を何とか止めたランドマンロディ・改と、文月・スペシャルマンロディ。睦月号はもはや戦闘が出来るような状態ではなかった。しかし――――
「うっ、うう……まだ……まだ終われないのね………」
ガガガ、という音をたて尚も動こうとする睦月号。やがて、睦月は痛みを堪えながら操縦桿を前へ伸ばした。それに連動し睦月号は残ったスラスターを全て噴して、突撃していった。
「睦月っ!」
菊月は、睦月を止めようとしたが叶わず睦月号は残りの2機を置いていくようにどんどん遠ざかっていく。
「まだ…睦月は、終われないっ……諦めない……あいつに一泡吹かせる…まではっ!」
宇宙に走る閃光の様に、睦月号は相手チームの最後の1機であるグレイズの元へ向かった。睦月は自身の痛む体を歯を食いしばって耐え、睦月号は全速力で前へ進んでいく。しかし――――
「あ――――」
睦月のかすみかけたその目に映ったのは、グレイズが放ってきた無数のミサイルだった。ミサイルの直撃を次々受ける睦月号。
「うっ!うわっ!ううっ!」
ミサイルが直撃する度に睦月の体にも激痛が走る。しかし、それでも前を見据えて進み続けようとする睦月と睦月号だったが、遂にミサイルの内の1発が胴体中央に命中した。激しい爆発に包まれていく睦月号。そして睦月は叫んだ。
ちっくしょぉぉぉぉぉおおおおおー!!!!!
その瞬間、睦月は気を失い睦月号は大破した。
「そ、そんな……む、睦月ちゃん……」
「………」
大破した睦月号をただただ茫然と見つめる文月と菊月。文月は涙を溜め、菊月はグッと歯を食いしばっていた。そして、ギリっと歯ぎしりをした菊月はランドマンロディ・改を先行させていった。
「菊月ちゃん!」
「………」
菊月を止めようと手を伸ばす文月。やがてミサイルの射程圏内に入ったランドマンロディ・改だったが、その全てを回避し尚もグレイズに接近していく。そして、グレイズの元に辿り着いたランドマンロディ・改はグレイズに組み付き、身動きを封じた。それを見た文月は菊月に問いかけた。
「菊月ちゃん何してるのっ?」
「……文月」
少しの沈黙の後、菊月は文月に言った。
そのダインスレイブで、私の機体ごとこいつを撃ち抜け
「き、菊月ちゃん?」
「早くしろ文月!」
「駄目だよ!それじゃあ、菊月ちゃんのガンプラが!」
「壊れても直す!私に構わず、撃てっ!」
「………」
すると文月・スペシャルマンロディは大破した睦月号の元へ向かった。そして、睦月号に辿り着いた文月は、大破しても残っていた睦月号のキャノン砲と弾である槍を、ランドマンロディ・改とグレイズに向けた。
「急げ文月!」
「で、でも!」
「睦月の残したチャンスを無駄にする気か!」
「っ!?」
菊月の言葉にドキッとした文月。そして、必死に思考を巡らせた文月は――――
「ううう……うわぁぁー!」
ガキィィィィン!!!
発射された槍は、ランドマンロディ・改とグレイズを貫いた。
続く