艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP53 確信の涙

バトルが終了した時、観客席に座っていた月華団のメンバー全員は慌しく1階の会場へ走っていった。その中でも特に、如月は誰よりも焦っている表情だった。

「睦月ちゃんっ!」

後を追うメンバーを置いていくように如月は走った。

 

会場に着いた如月は、足を止めることなく睦月の元へ向かった。そして、如月の目に映ったのは―――

「睦月ちゃんっ!!」

バトル台にもたれかかった睦月の姿だった。

「如月?」

「如月ちゃん、早く早く!」

如月は睦月の元に駆け寄り、その体を抱えた。

「睦月ちゃんっ!睦月ちゃんっ!返事してよ!」

必死に睦月に呼び掛ける如月。しかし、意識を失った睦月からの返事は無くその腕はだらりと床に落ちた。

「お願いだよ睦月ちゃん!如月を1人にしないでよっ!睦月ちゃぁん!!」

如月は遂に泣き崩れてしまった。如月の泣き声が会場にこだまし始めた時、後を追いかけてきた残りの月華団メンバーがようやく現れた。意識を失った睦月と泣き崩れる如月を見た瑞鳳は声を荒げて言った。

「急いで2人を部屋に連れていって!!」

「は、はい!」

その場にいた月華団メンバーは2人を抱えて会場を後にした。運び出されていくメンバーを三日月と長月、そして瑞鳳は眺めていた。

「あの被害を見るに…次の準々決勝、出られるのは私とお前だけだな。三日月」

「はい。それに……」

「準々決勝の相手は暁ちゃんと響ちゃん…」

「そうですね。瑞鳳、次はどうすればいいですか?」

「部屋に戻って考えよう。出来ることは何でもやっておかないと……」

3人は会場を後にした。

 

翌日、会場ではレ級たちの3回戦が行われていたが、そのバトルもまた開始1分で決着がついていた。

「はわわ!また1分で決着なのです!」

「夕立たち、本当に勝てるのかな…」

「僕も正直、自身が無くなってきたよ」

3試合全てを開始1分で終了させていくレ級たちに、スタジアム全体が恐怖していた。そして、その隣では秋月たちが相手チームの最後の1機を相手取っていた。

「そこです!」

ウイングガンダムゼロアランはツインバスターライフルを放ち、大気圏内用バックパックを装備したGセルフを追い詰めていたが、Gセルフは見事な回避術を見せ秋月たちの攻撃を避け続けていた。

「もらったぞ!」

Gセルフの上空からガンダムダブルオーエクシアがGNソードで斬りかかったが、その攻撃もバックスライドで回避されてしまう。

「くそっ!」

斬り降ろしたGNソードを今度は横一線に斬り払ったダブルオーエクシアだったが、これも急上昇で回避されてしまう。

「この照準なら!」

そこにガンダムデュナメス・ハイスナイプがGNスナイパーライフルで狙撃を試みた。そしてようやく、GNスナイパーライフルのビームがGセルフの左腕に命中した。

「今です秋月姉さん!」

「了解!」

ゼロアランは再びツインバスターライフルを最大出力で放った。体勢を崩していたGセルフはそのままツインバスターライフルのビームに飲み込まれた。

「Battle Ended!」

最後の1機を撃破した秋月たちは3回戦を見事に突破した。

「やったな秋月姉ぇ。3回戦突破だな」

「これであと2回勝てば決勝ですね。秋月姉さん!」

「う、うん。そうだね…」

しかし、秋月は何処となく元気がなさそうだった。そのことに気づいた初月が、不思議そうな表情で尋ねた。

「どうしたんだ秋月姉ぇ?嬉しくないのか?」

「ううん。嬉しいよ!嬉しいんだけど……」

「「?」」

「ご、ごめんね!ちょっと私、用事があるから先に行くね!」

そう言って秋月は、走って会場を出ていった。残された涼月と初月は首を傾げていた。

「どうしたのでしょう秋月姉さん?」

「わからない……次の準々決勝までに元に戻っていてくれればいいんだが……」

 

会場のエントランス。そこで秋月は何かを探すように走っていた。そしてしばらく走ったところで秋月は探していた者を見つけた。

「あ!防空棲姫さーん!」

秋月が探していた人物、防空棲姫が秋月の前を歩いていたのだ。急いで防空棲姫に声をかけ駆け寄る秋月。防空棲姫も、自分の名前を呼ばれたことに気づき振り返った。しかし彼女は、秋月の姿を見つけたが表情は変わらなかった。

「防空棲姫さん!会場から出ていくの早すぎですよ!」

「またお前か…今度は何の用だ?」

「これ、大した物じゃないんですけどこの前のお礼です!」

そう言うと秋月は、肩から掛けていたカバンの中から1つの袋を取り出してそれを防空棲姫に渡した。

「………何だこれは?」

「私が作ったいちご大福です!良かったら食べてください!」

「………」

防空棲姫は袋から取り出した包み紙に包まれたいちご大福を取り出してジッと見つめた。そしてしばらくして、ゆっくりと包み紙を開けいちご大福をひと口かじった。

「ど、どうですか?お口に合うといいんですけど……」

「………美味い」

「!!」

その言葉を聞いた秋月はとても嬉しそうな表情になった。

「良かったー!頑張って作った甲斐がありました!」

「これ程に美味い物を食べてしまうと、他の物は食べれなくなってしまいそうだ……」

「!?」

その防空棲姫の言葉を聞いた秋月は肩をビクつかせた。しかし防空棲姫は、いちご大福を食べていてその秋月の行動に気づいていなかった。

「………だが、次の準々決勝。手加減するとは思うな」

「は、はい!それはこちらもです!」

「用件が済んだなら、私は行くぞ?」

「あ、はい!ごめんなさい。引き留めてしまって!」

そう言って防空棲姫は去っていった。その場に残された秋月は、防空棲姫が見えなくなるまでその場に立ち尽くしていた。その時、秋月の脳裏にある光景が蘇りある言葉(・・・・)が何度も繰り返されていた。

 

 

 

 

秋月姉ぇのいちご大福食べると、他の物が食べれなくなっちゃうなー!

 

 

 

 

「そうだったんだね……ようやく………ようやく見つけた――――」

秋月はその目に涙を浮かべながら防空棲姫が歩いていったを見つめ、言った。

 

 

 

 

 

 

照月………

 

 

 

 

 

 

秋月は涙を流しながら、いつまでもその場に立ち尽くしていた。

 

続く




いつも「艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん」を読んでいただきありがとうございます。

今日まで皆さんが読み続けていただいたおかげ様で、本作のUAが1万件を超えました!

人気が高い作品に比べたらまだまだ少ない件数かもしれませんが、この小説の作者としてとても嬉しいです!これからも、より良い作品を作ることが出来るよう頑張りますので、よろしければ温かい目で応援していただけると嬉しいです!
これから先も、黒瀬夜明リベイクと、本作「艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん」を、どうぞよろしくお願いいたします!
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