艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
秋月たちの準々決勝進出が決まった日からさらに日が進み、電たちの不戦勝もあって大会の予定が少しだけ繰り上がった準々決勝2日目。会場の中央には、今までのバトルで使われていた台の何倍も大きなシステム台が設置されていた。そしてその台を挟む様に秋月、涼月、初月、レ級、駆逐棲姫、防空棲姫の6人は立っていた。
「いいか?今回も1分で終わらせるぞ」
「「はい。レ級様」」
レ級たちは今回もバトル開始1分でこの試合を終わらせるつもりで、既に臨戦態勢であった。そして一方、秋月たちは……
「いよいよ、奴らとのバトルか…」
「勝てるかどうかわからないですが、私も全力で挑みます」
「ああ。照月姉ぇを見つけるためだ…僕も全力で行く。そうだろう秋月姉ぇ?」
「………」
初月に声を掛けられた秋月だったが、当の本人は無言であった。
「どうしたんだ秋月姉ぇ?」
「え!?な、なに初月?」
「しっかりしてくれ。これからバトルなんだからな」
「まだ、本調子じゃないんですか?秋月姉さん」
妹2人の言葉を聞いて何とか我を取り戻した秋月。そして、秋月は口を開いた。
「ううん。私は大丈夫……初月、涼月、お願いがあるんだけど…聞いてくれる?」
「なんだ?」「何ですか秋月姉さん?」
聞き返してくる妹の目をしっかりと見据えた秋月は、決心を固め話し始めた。
「レ級さんと、駆逐棲姫さんの足止めをお願いできないかな?」
「「………え?」」
「2人共、よく聞いて……」
動揺する涼月と初月をよそに、秋月は話を続けた。
「照月を…見つけたの私」
「…な、なんだって秋月姉ぇ」
「照月姉さんを…見つけた?」
「うん。照月を見つけた。そして、今から私たちは照月と戦うことになる」
「ちょ、ちょっと待ってくれ秋月姉ぇ!いきなり何を言っているんだ!理解が追いつかないぞ!」
「そ、そうですよ!1からちゃんと説明してください!」
「ごめんなさい。ちゃんと説明している暇はない……けど、これだけは言えるわ」
秋月は一呼吸置いて、言った。
あの防空棲姫が照月だよ
その言葉を聞いた涼月と初月は、防空棲姫の方に慌てて顔を向けた。2人はしばらく防空棲姫の顔を見ていた。やがて秋月は、今までとは違った弱々しい声で言った。
「突然変なこと言っちゃったことはわかってる。でも――――」
「相変わらず水臭いな。秋月姉ぇは」
「え?」
その言葉を聞いた秋月は初月を見た。そこには口元にフッと笑みを浮かべた初月がいた。
「まったく、今日まで元気がなかったのはそれが理由だったんだな…」
「初月……」
「秋月姉さんは何でもかんでも背負いこみ過ぎなんです。少しは私たちを頼ってくださいよ」
「涼月……」
今度は涼月を見た秋月。そこには優しい笑みを浮かべた涼月がいた。
「さあ、秋月姉ぇ。いつまでも泣いていられないぞ。照月姉ぇを取り戻すんだろう?」
「行きましょう秋月姉さん。私たちにしか出来ないことなんですから!」
「………」
秋月は目に少しだけ溜まっていた涙を拭うと――――
「うん!行くよ涼月っ、初月っ!!」
「はい!」「ああ!」
「Gun-pla Battel stand up! Model damege level set to A.Please set your GP base.」
システムが起動し、ダメージレベルが設定され6人がGPベースをセットする。
「Begining Plavsky particle dispersal.Field 01 Space.」
大量のプラフスキー粒子が放出され、アステロイドベルト帯の宇宙空間が形成される。
「Please set year Gun-pla.」
6人がそれぞれガンプラを設置し、システムがそれを読み込みメインカメラが発光する。6人は続いて現れた操縦桿を握りしめる。
「Battle Start!」
6機のガンプラがそれぞれ発進体制に入る。
「レ級。ガンダムレギュルス、出る」
「駆逐棲姫。
「防空棲姫。ガンダムボークルス、出ます」
先に出撃したのはレ級たちだった。それに続いて秋月たちも出撃を開始する。
「秋月姉ぇ。レ級と駆逐棲姫は任せてくれ。初月。ガンダムダブルオーエクシア、出るぞ!」
「はい!秋月姉さんは照月姉さんを!涼月。ガンダムデュナメス・ハイスナイプ、出撃致します!」
「ありがとう2人共……待っててね、照月っ」
秋月は操縦桿をより一層握り締め、出撃した。
「秋月。ウイングガンダムゼロアラン、出撃です!」
ウイングガンダムゼロアランが宇宙へと飛び立った。
宙域に点在する大小様々な岩石群を避けながら前進するレ級たちのガンプラ。
「オレが片付ける。お前たちは援護だけしろ」
「「わかりました―――」」
その時、レ級たちの進行方向から黄色いビームの帯が迫ってきた。レ級たちは唐突な攻撃ではあったもののそれを回避した。
「この程度でオレを墜とせるとでも思ったか?」
しかしその次の瞬間、先程の射線上をウイングガンダムゼロアラン、ガンダムダブルオーエクシア、ガンダムデュナメス・ハイスナイプの3機が一直線に並んで向かって来たのだ。
「なに?」
「やられに来るとは…馬鹿な奴らだ」
5.12ガンダムが先頭を行くゼロアランにGNダブルバスターライフルを向けた。しかし、5.12ガンダムの動きよりも早くデュナメス・ハイスナイプは5.12ガンダムに攻撃を仕掛けた。
「秋月姉さんの邪魔はさせません!」
「チッ」
デュナメス・ハイスナイプが放ったGNスナイパーライフルのビームを回避した5.12ガンダムは迫ってくるデュナメス・ハイスナイプにターゲットを変え、戦闘が始まった。
「逃がす訳ないだろっ」
デュナメス・ハイスナイプが離脱した戦列にガンダムレギュルスがビームサーベルを展開し、背後から迫った。一気に接近したガンダムレギュルスが放った右上段からの袈裟斬りは、咄嗟に反転しGNソードを構えたガンダムダブルオーエクシアによって防がれた。
「秋月姉ぇはやらせないっ!」
ダブルオーエクシアは、ガンダムレギュルスを蹴り飛ばそうと回し蹴りを放ったがそれは回避されてしまった。少しだけ後退したガンダムレギュルスは態勢を整えるとダブルオーエクシアを睨みつけた。
「ならまず、お前から潰してやる!」
再びダブルオーエクシアにガンダムレギュルスが迫った。
「照月姉ぇを取り戻すためにも……ここを通す訳にはいかないんだ!」
GNソードを構えたダブルオーエクシアはガンダムレギュルスを迎え撃つ。
ダブルオーエクシアとデュナメス・ハイスナイプの足止めで、戦線の突破に成功したゼロアランは正面からくるガンダムボークルスの攻撃を左前腕部のビームシールドで防ぎながら距離を縮めていった。
「クッ、流石照月のガンプラ。相変わらず凄い弾幕!」
「ビームシールドか…」
「でも!」
ビームシールドを消しツインバスターライフルを構えたゼロアランは、ガンダムボークルス目掛け放った。黄色いビームの帯がガンダムボークルスを襲ったが、それは難なく回避された。しかし、ボークルスの攻撃の止んだ一瞬をついてゼロアランはボークルスへの接近を果たし左肩から抜き放ったビームサーベルで斬りかかった。
「照月!」
「チッ!」
ガンダムボークルスは左前腕部から出力されたビームサーベルでゼロアランの上段斬りを防いだ。秋月は防空棲姫に呼び掛けたが反応は無かった。バチバチッ、とビームの火花が飛ぶ。そしてボークルスは胸部に装備されたバルカンを放った。ゼロアランはそれを緊急上昇で回避し、再びツインバスターライフルを放った。ボークルスは急上昇でそれを回避し、両手に握ったビームライフルをゼロアランに撃ち返した。放たれたビームを回避とビームシールドで防ぎながら再び接近していった。
「クッ!」
左上段からの袈裟斬りを、再び左前腕のビームサーベルで防いだボークルス。
「照月っ!」
そして再び、秋月が照月の名前を呼んだのだった。すると……
「さっきから何だ!私は照月なんて名前ではない!」
防空棲姫は秋月の言葉に反応を示した。しかし、ボークルスはすかさずゼロアランを蹴り飛ばした。
「くぅ!」
ゼロアランは態勢を崩しかけたが何とか態勢を整えることが出来た。しかしそこにボークルスのビームの一斉射が襲い掛かった。
「墜ちろっ!」
ゼロアランはスラスターを全開で噴かし、ビームを回避した。そしてボークルスはゼロアランに対しての一斉射を止めようとしなかった。
「照月っ!私がわからないのっ?秋月だよ!」
「貴様の事など知らん!その五月蠅い口を閉じろ!」
「照月っ!」
ボークルスの一斉射を回避しながら、再度接近を試みようとするゼロアラン。しかし、ボークルスの放つビームに隙は殆ど無く接近しようとしては回避をゼロアランは続けていた。
「止めて照月!なんで私たちが戦わないといけないのっ!?」
「貴様が私の敵だからだ!それ以上の理由が必要か!」
ビームが激しく飛び交う中、秋月は防空棲姫へ語り掛けることを止めようとしなかった。
「くっそぉー!」
ビームを回避しながら、逆さまになった態勢でツインバスターライフルを放った。ツインバスターライフルのビームをボークルスは機体をスライドさせることで回避しそのまま両手のビームライフルを高速連射で撃ち返した。ゼロアランはそれをビームシールドで防ぎ、一斉射が止んだ瞬間を狙ってボークルスの懐に入り込もうとした。
「照月思い出してよ!私たちの思い出……あの戦争を乗り越えた時の事!」
「さっきから照月、照月と。私は照月では―――」
「違う!貴女は照月よ!」
ボークルスの攻撃を防ぎながらなんとか懐に入り込んだゼロアランは、再びビームサーベルで斬りかかった。ボークルスは左上段から斬り降ろされたビームサーベルを左スライドで回避したが、ゼロアランはビームサーベルを振り切ったところでボークルスの避けた方向に向かってビームサーベルを斬り上げた。ボークルスは咄嗟にビームサーベルを展開し、これを防いだ。
「貴女は……私の、可愛くて、とっても頼りになる。妹っ!秋月型駆逐艦二番艦、照月っ!!」
「相変わらず、しつこぃ――――え?」
その時、防空棲姫が一瞬だけ疑問の言葉を呟いた。そして防空棲姫は小さく続けた。
「今、私は…相変わらずと……いっ、た?」
「思い出して照月っ!照月ぃー!!」
「っ!?」
その瞬間、防空棲姫の目の前に何かの映像がフラッシュバックした。そのフラッシュバックした映像「晴れ渡った空の下、防波堤に立つ自分の裏から聞こえてくる声」は、防空棲姫が知らない。しかし、いつか見たような光景だった。
「な、何だこれは?私の知らない……きお、く?」
防空棲姫は額に右手を当てながら汗を一粒流した。その時前方から接近警報のアラートが鳴り響いた。
「なにっ!」
「照月ぃー!!」
ボークルスからいつの間にか距離を取っていたゼロアランがビームサーベルで斬りかかってきた。しかし、防空棲姫の反応は完全に遅れてしまっていた。ビームサーベルの刃はボークルスの右肘を斬り裂いた。
「照月お願い!私たちの元に戻ってきて!また姉妹みんなで、一緒に―――」
「黙れぇ!!さっきから…私の、頭に響く声を出す!」
「頭に声が響くのは、本当の照月が思い出そうとしている証拠だよっ!思い出して照月っ!!」
「黙れぇぇぇ!!!」
ボークルスは残った全てのビーム砲をゼロアラン目掛け発射した。
「私は黙らない!黙るわけにはいかないんだぁぁぁ!!!」
ゼロアランもツインバスターライフルを最大出力で撃ち返した。2機が放ったビームはやがて激突。そして、前代未聞と言ってもいい様な大爆発を起こした。
「あああっ!!」
「照月!!」
ボークルスはその爆風に飛ばされてしまった。そして飛ばされた先には巨大な岩石が浮かんでいた。
「なっ、しまった!」
防空棲姫が気付いた時には既に岩石に衝突寸前だった。そして、次の瞬間――――
ガシャーン!!!
ボークルスは岩石に衝突し、大きな土煙が舞い上がった。
「機体の状況は?………被害、無し。だと…………」
防空棲姫が目にしたのは、何の被害報告も出ていない操縦スペースだった。防空棲姫は困惑した様子で周辺を見渡した。そして、レーダーの表示を見た時に彼女は驚きを隠せない言葉を口にした。
「
ボークルスの背後、そこにはゼロアランの姿があった。ゼロアランはボークルスを受け止めたまま岩石に衝突し、機体の各部から小さなスパークが上がっていた。すると、防空棲姫のいる操縦スペースに秋月の声が響きだした。
「よ、よかった…間に合ったみたい」
「………何故、助けた?」
「…照月を、傷つけたくなかったから」
「私は敵なんだぞ?」
「関係ないよ。貴女は私の妹…照月なんだから」
「………」
お互いが下を向いたまま話を続けた秋月と防空棲姫。そして防空棲姫は秋月に尋ねた。
「お前は……誰、なんだ?」
秋月はゆっくりと、優しい声で答えた。
「私は秋月。貴女の……照月のたった1人のお姉ちゃん」
「秋月………私の、たった1人の――――」
防空棲姫が最後の一言を言いかけたその時だった。
「爆発………?」
岩石群の遥か彼方で、2つの爆発が起こった。そして同時に、その爆発の起こった方向から紫色の光を放ちながら、1機のガンプラが向かって来た。
「この程度の奴相手に、そこまでの損傷を受けるとはな……」
そしてそのガンプラの胸部が光った次の瞬間――――
「貴様はもう必要ない」
ゼロアランとボークルスの2機はガンダムレギュルスのビームバスターによって撃ち抜かれ、爆散。
「Battle Ended!」
バトルは終了した。