艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
味方をも巻き込んだレ級たちの勝利は会場全体を震撼させ、場に静寂をもたらした。秋月も防空棲姫も現状を理解出来ていなかった。
「え?バトルがおわ、った?」
秋月はガンダムレギュルスを見た瞬間に撃破されてしまったため、突然バトルが終了した様に思えてしまっていた。すると、秋月の隣に立っていた初月が肩をゆすって声をかけたことで秋月はようやく現実に戻ってきた。
「秋月姉ぇ!しっかりしてくれ!」
「は、初月!……そうだ!バトルの結果は!?」
「残念ながら僕たちの負けだ。それで、どうだったんだ照月姉ぇの方は?」
「照月は―――」
秋月がレ級たちの方を向いた時だった。
「何故私のガンプラまで撃ち抜いたのですか!」
防空棲姫がレ級に怒鳴り声をあげた。レ級は表情一つ変えず防空棲姫に言った。
貴様はもう用無しだからだ
「よ、用無し………?」
絶句する防空棲姫をよそにレ級は言葉を続けた。
「相手を速攻で倒せないような奴は、オレのバトルの邪魔になる。わかったら今すぐ消えろ」
話終えたレ級は、踵を返すと会場から去っていった。そしてその場には項垂れる防空棲姫と秋月たちが残されたが、秋月は慌てて防空棲姫に駆け寄っていった。
「照月っ!」
「あ!秋月姉さん!」
「僕たちも行こう!」
涼月たちも慌てて秋月の後を追った。
防空棲姫の元に辿り着いた秋月は地面に両手をついて項垂れた防空棲姫の傍に来て両膝をついて、防空棲姫の顔を覗き込んだ。
「お、お前は……」
「大丈夫、照月?」
「私は…大丈夫だ。だが……」
防空棲姫はやや言葉に詰まりながらも、口を開いた。
「もう私には…存在価値がなくなってしまった………」
「ど、どういうこと!?」
「レ級様は、私を用無しだと言った。私はレ級様のサポートをする為に生み出された存在。その相手が用無しを宣言したのだ……もう…私に存在価値は――――」
「そんなこと言わないで照月っ!!」
無い。と防空棲姫が言いかけたその時、今度は秋月が荒げた声をあげた。その言葉を聞いた防空棲姫は俯いたままではあったが少し驚いた表情を作った。
「存在価値がないとか、言わないでよ照月……」
すると秋月は涙を流しながらゆっくりと防空棲姫を抱きしめた。これには流石の防空棲姫も驚いた表情を隠せなかった。
「な、なにを!?」
「大丈夫。照月は大丈夫だから……」
そこに涼月と初月が到着し、防空棲姫を抱きしめる秋月を見つけた。
「こ、これはどういう状況だ?」
「お初さん。今は少しだけ待ちましょうか」
「え?あ、うん」
すると、抱きしめられていた防空棲姫は秋月に問いかけた。
「なぜお前は、そこまでして私を助けるんだ?」
「まただね。その質問」
「………」
「答えは一緒だよ…照月が私の妹だから……」
「………」
防空棲姫は秋月の言葉を黙って聞いていた。そして、防空棲姫は気づいた。
(え?これは……なみ、だ?)
自身のどす黒い赤い瞳から、一粒の涙が零れ落ちたのを。
(なん、で?私は……泣いて、い、るの?)
「私はずっと、貴女と一緒に居たい。だから、一緒に帰ろう?照月」
「あき、づ、き……姉ぇぇ………」
防空棲姫もまた涙を流し、秋月を抱きしめ返した。秋月は、その時に言った防空棲姫の言葉を耳にすることは出来なかったが、彼女はもう一度防空棲姫を抱きしめた。
その光景を観客席から見ていた電たちもまた、何も喋ることなくその光景を眺めていた。しかし、その中で時雨だけは別の事を考えていた。
(……秋月は何故、防空棲姫を守ったんだろう)
時雨が気にしていたのは、秋月がバトル中に見せた「ガンダムボークルスを身を挺して守ったこと」と言う行動だった。お互いが敵同士の関係となっているバトル中で、あのような行動を対戦相手にする人物など時雨は知らなかったから余計であった。しかし、時雨は更に考えを進めた。
(そして今。秋月と防空棲姫は、お互い抱きしめ合っている。これは…どういう事なんだ?)
そしてバトル終了後の2人の行動が尚の事時雨には理解できなかった。時雨の額に汗が一粒流れる。
「―――れ?時雨!」
深く考え込んでいた時雨は、夕立の声に驚いた声をあげた。
「ゆ、夕立!?ど、どうしたの?」
「夕立、電ちゃんと部屋に戻るけど、時雨はどうするっぽい?」
「え、あ…ああ。僕はちょっと深海提督の所に行ってくるよ」
「え?深海提督さん所ですか?」
「うん。ちょっと、個人的に相談したことがあって……」
「ふーん。じゃあ、気をつけてっぽい!」
「では、また後でなのです!」
そう言って電と夕立は観客席を後にした。そして時雨も2人が見えなくなったのと同時に立ち上がり、観客席を後にした。
しばらく時間が経ち、深海のキャンピングカーに到着した時雨。時雨はキャンピングカーのドアをノックした。すると、深海がドアを開けて出て来た。
「時雨じゃないか。どうかしたのか?」
「うん。ちょっと、相談したいことがあって」
「わかった。上がれ」
そう言って深海を追うように時雨は車内に入った。車内には、秋雨たち姉妹と白がいた。
「あ!おか――じゃなくて、時雨さん。いらっしゃいです!」
「いらっしゃいいらっしゃいいらっしゃい!時雨おねーちゃん!」
「いらっしゃい。お茶、入れるね」
「…………!」
「やあ、秋雨、梅雨葉、雨葉、白」
すると、車内を見渡した時雨は山風と涼風の2人がいないことに気づいた。
「あれ?深海提督、山風と涼風は?」
「ああ。あの2人なら、昨日俺の前いた鎮守府に行ってもらった。伝えるのが遅くなってすまない」
「ううん。大丈夫だよ…ありがとう」
そして、2人は机を挟んで椅子に座った。
「それで相談ってのは何だ?」
深海は早々に切りだした。時雨は単刀直入に今日のバトルの事を伝えた。
「なるほど…そんなことがあったんだな」
深海のキャンピングカーで机を挟んで話す深海と時雨。時雨の話を聞いた深海は驚きを見せながらも、真剣にその事を考えていた。
「うん。僕たちファイターの立場からしたら…あんな行動、意味が分からないよ」
「ああ。俺にもさっぱり意味が分からん」
だが、深海も秋月のとった行動の理由はさっぱりだった。
「お父さんにもわからないんじゃ、秋雨たちにも分かる訳ないよ」
「うんうんうん!雨葉にもさっぱりだよ!」
「………!!」
秋雨と雨葉の2人はそう言い、白も、さっぱりわからない!!と言うことを、首を全力で横に振って表現した白。すると、黙っていた梅雨葉が口を開いた。
「本当は姉妹。とか?」
そして梅雨葉がそう言った時だった。
コンコンコン!
「!?」
キャンピングカーの扉をノックする音が車内に響いた。車内にいた全員が少し驚いたが、やがて深海がゆっくりと立ち上がりドアを開けた。
「ん?お前たちは……」
深海の目の前にいたのは秋月と涼月、初月、そして防空棲姫の4人だった。
「あ、あの…深海提督のキャンピングカーはこちらですか?」
「そうだが……何か用か?」
「どうしたの、深海提督――――て、秋月たちじゃないか!」
ドアから顔を覗かせた時雨は、目の前にいた秋月たちに驚いた。
「し、時雨!?どうしたの、こんなところで!」
驚き返す秋月。しかし、深海は
「秋月。用事があるならを早く言え」
深海の言葉に再び驚いた秋月は、ようやく本題を言った。
「え、えっと…何か、突然現れた白いフードを被った人に「急いで黒野深海のキャンピングカーに向かってください!」って写真を渡されてここまで来たんですけど……」
「「!!」」
秋月の口から出てきた「白いフードを被った人物」の言葉を聞いて、深海と時雨はビクッと肩を震わせたのだった。
続く