艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん 作:黒瀬夜明 リベイク
見事にザクⅡ、グフ、ドムの3機を撃墜した電。そして、電の耳にバトル終了のアナウンスが届く。
「Battle Ended!」
操縦スペースのホログラフィが消え、電の目にビームサーベルを切り払った姿で立つイナヅマガンダムと、3機の残骸が映る。しかし電はその「初めての勝利」を自分が手に入れたことに気づかなかった。そんな電をよそに、夕立はお構いなしに飛びついた。
「電ちゃん凄いっぽい!カッコよかったっぽい!」
「はわ!ゆ、夕立さんビックリしたのです!」
案の定電は夕立の飛びつきにビックリした。そこに時雨がゆっくり歩いてきて口を開く。
「凄いね電。あんな戦い方が出来るなんて、僕ビックリしたよ」
「夕立も夕立も!」
「君が掴んだ初めての勝利だよ。おめでとう、電」
「電が掴んだ初めての勝利…」
ようやく状況を把握した電は、イナヅマガンダムをゆっくりと持ち上げた。そして小さく涙を浮かべながら―――
「あ、ありがとうなのです!」
笑ってみせたのだった。
それから数日が流れた。電たちは今日も練習に打ち込み、ガンプラバトル部の部室はいつも通り賑やかだった。そして、大まかな練習が終わって休憩に入ったとき時雨の一言でその話は持ち上がった。
「そう言えば電…」
「なのです?」
「インパルスガンダムは元々シルエットシステムが使えるよね?君のイナヅマガンダムには装備しないのかい?」
シルエットシステム
それはイナヅマガンダムのベース機になっているインパルスガンダムが持つ「武装換装システム」のことである。基本的にはバックパックを変更するもので、種類は高機動戦闘用の「フォースシルエット」、近接格闘戦用の「ソードシルエット」、遠距離砲撃戦用の「ブラストシルエット」の3種類(他にも多数存在するがここでは割愛)、これらを母艦から運んでくるシルエットハンターと呼ばれる無人機から受け取り、様々な戦況に対応することが出来るものだ。そして現在、イナヅマガンダムはその内のどれも装備していないのだ。
「えっと、本当は装備するつもりなのです。でも、どの装備を付けたらいいのか決められなくて…」
「なるほどね。確かに3種類全部のシルエットを使い分けれれば対応力は格段に上昇する。でも、母機とは別にシルエットハンターを操作するのはかなり上級者向けのテクニックだしね…僕も出来る自信がないよ」
「夕立さんはどう思いますか?」
「夕立ならソードシルエットっぽい!…まあ、もう装備してるっぽいけど…」
夕立は、自分に聞かないで。と言わんばかりの苦笑いで答えた。時雨も、それに同意したのか苦笑いしながら頷き、腕を組みながら口を開く。
「うーん。イナヅマガンダムはこのままでも十分に強いけど、やっぱり戦力強化のこともあるしね…」
「なのです…」「っぽい~」
ハ~。と3人がため息をつく。そして、賑やかだった部室が一気に静まり返り、電と時雨はバトル台の前で腕を組んで、夕立はソファに寝転がって考えていた。そして夕立が寝返りを打った時、その目にそれは入ってきた。夕立はそれをしばらく見ていたが、やがて何かを悟ったのか大声で叫んだ。
「あー!」
突然の大声に電と時雨はビクッとして、時雨が慌てた口調で夕立に声をかけた。
「ど、どうしたの夕立!?まさか、明日提出の宿題終わらせてないとか!?」
「はわわわ!それは大変なのです!」
「夕立、ちゃんと終わらせたっぽい!電ちゃんも失礼っぽい!…じゃなくて、あの袋!」
「「え?」」
夕立が床に落ちていたあるプラ袋を指さす、こげ茶色で店の名前が書かれている何の変哲もないプラ袋。しかし…
「ネリタ模型店のプラ袋?あ、この前パーツ買いに行った時の……あ!」
時雨も夕立の言う、このプラ袋の持つ意味をようやく理解した。
「時雨!こういう時はこれしかないっぽい!」
「お手柄だよ夕立!早速出発だ!」
「え!?え!?」
自身のガンプラをカバンに詰め部室を飛び出した時雨と夕立、電は2人の後を必死に追いかけ走った。
続く