艦これ×ガンダム ガンダムビルド艦隊これくしょん   作:黒瀬夜明 リベイク

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EP60 彼女たちの居場所

優勢に思えていた月華団の戦闘が、一瞬にして終わってしまった事に会場は大賑わいとなっていた。ところかしこから歓声が上がり続けていたが、電は暁たちの無事を見てホッとしていた。

「よ、良かったのです。暁ちゃんたちが勝てたのです」

「電ちゃんは相変わらずの姉妹思いっぽい!」

「えへへ…それ程でもないのです!」

しかしそこに時雨が口を挿んできた。

「そうなったら次は暁たちが相手なんだよ電?それをわかって言ってるのかい?」

「も、勿論なのです!暁ちゃんたちとは一度戦ってみたいって思ってましたから!」

「夕立もだよ!」

「それなら良いんだけど……あれ?」

時雨が何か違和感を感じた。

(バトル終了のアナウンスが流れていない?)

会場は依然物凄い熱気に包まれていたが、そのほとんどの者がそのことに気づいていなかった。しかし時雨と、電たちの座っている場所から遠く離れた場所でバトルを見ていた雷だけは違っていた。時雨が小さく、そうか!と言ったすぐ後に2人は揃えているかのように言った。

 

 

「「バトルはまだ、終わってない」」

 

 

「「え?」」

電と夕立が時雨の言葉に反応した時、地中からそれ(・・)は現れた。

 

時間は少し遡る。

「ううう……っ!」

深海のキャンピングカーのベットの上で1人の少女が悶えながら立ち上がった。少女の全身に包帯が巻かれていたが、少女は気にする素振りも見せず立ち上がってふらつく足取りでゆっくりと歩き出した。近くのソファでは緋色の髪の少女と白髪の少女が眠っていた。2人を起こさないようにと、少女はキャンピングカーの扉を開け外に出ていった。

(行かないと……私の……私にしか出来ない仕事が………)

「まだ……残ってるんだっ」

少女はゆっくりと全国大会の会場を目指し歩いていった。

 

※注意、ここから鉄血のオルフェンズ「#50 彼等の居場所」のワンシーンをアレンジ付きで再現します。キャラ崩壊等が含まれますのでご注意ください。

 

「………」

朦朧とする意識の中、三日月は目を覚ました。彼女の目の前は真っ暗だった。ほとんど何も見えないくらい真っ暗だった。

(暗い………これ、死んじゃったのかな?)

まるで深い海の底に沈んでいくかの様な感覚を三日月は感じていた。しかし―――

(でも、私はこの場所を知ってる………そうだ……これは、あの時の…)

朦朧とする意識の中、三日月の脳裏にあの時(・・・)の光景が過った。

 

戦時中のある日、鎮守府の裏手で座り込んでいた自分。そこに通りかかった1人の少女。少女の顔を見上げる自分。すると少女は笑って、自分が延ばした手を掴んでグッと引っ張り上げてくれた。

(私が、生まれ変われた時の…記憶……)

そしてその手はしっかりと握りしめられていた。

 

(今の私は瑞鳳に貰った……)

ゆっくりと顔をあげる三日月。

(なら………そうだ……)

グッと操縦桿を握りしめる。

(決まってる……)

そして三日月は目覚めた。

 

 

砂煙が舞う荒野にガガガガ、と何かが軋む音がこだまする。

「何の音だ?」

その音にいち早く気づいた響。響は落ち着いた様子で周囲を見渡す。音は自身の前方、砂煙の中から聞こえてきていた。

「まさか―――」

砂煙の中から、大型テイルブレードが現れるとうつ伏せから起き上がってくる何かが見えた。そして、淡い緑色の光が砂煙の中からヴェールフェニックスを見据えていた。

「ああああっ……」

そして、その場から少し離れたアカツキ・ハイペリオンマスターがALユニットを全発射した所でも、地中からなにか(・・・)が出て来た。それを見た暁は、思わず脅えた声を口にした。

「そんな……」

姿を現したのは、左腕と頭部左側の装甲をほとんど失ったルプスレイトと、右上半身のほとんどと左側のスタビライザユニット、そして頭部アンテナ失った大破寸前のセフティアリベイクフルシティだった。会場は今までの喧騒を打ち消され、誰もが完全に絶句していた。

「三日月も長月も……本物の悪魔なの!?」

「ビビったら駄目だ暁ちゃん!」

暁の耳に久条の言葉が届いた。すると、久条の操るイオグレイズはバトルアックスを背中にマウントしていたバトルブレードに持ち替え、セフティアリベイクフルシティに向かって行った。

「所詮死にぞこないだ!暁ちゃんは響ちゃんと合流してもう1機の方を!」

「わ、わかった!」

そう言って暁は、アカツキ・ハイペリオンマスターをヴェールフェニックスの元へ向かわせた。イオグレイズは尚もセフティアリベイクフルシティに向かっていく。

「引導を渡してやる!」

フラフラとよろめきながら立ち上がるセフティアリベイクフルシティ。すると長月の耳に、弱々しいながらもしっかりとした三日月の声が聞こえてきた。

「生きてますかぁ……?」

長月もまた、荒い息を吐きながら答える。

「あ、ああ。どうにかな……はぁはぁ……」

するとやがてイオグレイズの接近を伝える接近警報が鳴り始めた。長月は残った気力と体力を振り絞る。

「しょうがない………」

激しくなった接近警報の音が長月の耳に届く。

「負けを認めるまで…戦って………」

そして、長月は叫んだ。

「命令を……果たしてやろうじゃないかっ!」

イオグレイズのバトルブレードが振り上げられたのと同時に、セフティアリベイクフルシティは全力の右ストレートを放った。

「ぬぅああああ!!!」

大破寸前のルプスレイトもようやく立ち上がる。弱々しい声で三日月が口を開いた。

「そうですね……まだ、止まれない……」

そして三日月はルプスレイトに問いかけた。

「ねぇ…バルバトス。あなただって、止まりたくないですよね?」

するとルプスレイトはガクリと一瞬バランスを崩しながらも立ち上がり、そうだ。と三日月に答えるようにメインカメラを輝かせた。そしてその輝きはやがて、深紅へと変わり、メインカメラから激しい稲妻が走り始めた。そしてルプスレイトは狼の遠吠えの様な音を発した。それを聞いた三日月は右目から流れ落ちてきた血を舌で舐めとると、ニッと笑いルプスレイトに言った。

「じゃあ行こうかッ!!」

ルプスレイトが地面を1歩踏んだ次の瞬間、ルプスレイトは今までに誰も見たことのない様なスピードでヴェールフェニックスに迫った。

「なっ!?」

余りにも早すぎるルプスレイトのスピードに響が驚愕の声をあげた次の瞬間、ヴェールフェニックスの右腰のサイドアーマーをルプスレイトの右手が掠めた。

「くっ!」

ヴェールフェニックスはビームサーベルを薙ぎ払い、ルプスレイトを追い払ったがすぐそこに大型テイルブレードが上空から襲い掛かった。一直線にヴェールフェニックスへと向かう大型テイルブレード。ヴェールフェニックスがシールドを構えると大型テイルブレードはそのままシールド目掛けて直進し、表面から裏面まで貫いた。しかしそこで大型テイルブレードは止まり、しばらくするとシールドに風穴を開けて抜かれた。

「く、シールドが」

しかしその間に後方に回り込んでいたルプスレイトは背後からヴェールフェニックスを強襲し、その右手はヴェールフェニックスの左肩背面のウイングバインダーを破壊した。慌ててビームサーベルを後方へ向けて斬り払ったヴェールフェニックスだが、そこにルプスレイトの姿は無く空を斬る。

「くそ、早い!」

そこへ再び大型テイルブレードが向かって来た。背後から迫った大型テイルブレードに響が気付いた時には左肩前面のウイングバインダーが破壊されていた。

「わっ!」

次々にルプスレイトの攻撃を受け、損傷していくヴェールフェニックス。すると今度は上空からルプスレイトが迫ってきた。

「はあっ!」

「上っ!!」

ヴェールフェニックスはバックステップで何とか回避したが、反応が一瞬だけ遅れたためヴェールフェニックスの右側のアンテナが折られた。

「まずいな……」

響がそう言った時、前方から大型テイルブレードが再び迫った。響は直撃の瞬間に機体をしゃがませてシールドを掲げた。大型テイルブレードはシールドの表面を削りながら滑り、ヴェールフェニックスは何とかこれを受け流し、凌いだ。しかしルプスレイトはそのまま大型テイルブレードを追うようにヴェールフェニックスに向かって突撃してきた。咄嗟にビームサーベルを前方へ向けたヴェールフェニックス。

「っ!」

ビームサーベルの存在に気づくのが遅れた三日月は慌ててルプスレイトを左に逸らしたが、ギリギリの所でビームの刃がルプスレイトの右腰を掠めていった。

「うっ!」

「当たった!」

ここに至って、ヴェールフェニックスの攻撃が初めてルプスレイトを捉えたのだった。

 

「くぅぅっ!」

「ふんっ!」

イオグレイズがバトルブレードを斬り上げ、セフティアリベイクフルシティの左前腕の装甲を弾き飛ばす。

「ぐ、くぅぅ!」

「この死にぞこないめ!」

イオグレイズは斬り上げたバトルブレードを斬り降ろし、今度は左腕を弾いた。そして、地面に膝をついて倒れてしまうセフティアリベイクフルシティ。長月は荒い息をしながらも、何とかその場に踏みとどまっていた。そしてイオグレイズがバトルブレードを払い、久条が言った。

「この久条純一の裁きを受けろ!」

「っ!?その名前……」

その時、長月の脳裏に「久条純一」という昔聞いたことのある言葉が過った。長月にとっては忘れようもない言葉…いや、名前。セフティアリベイクフルシティのメインカメラがより一層強く光るが、イオグレイズはその脚で踏みつけてくる。

「グッ………ぬぅぅぅううううう―――」

踏みつけられた痛みを受けながら、長月は唸りだす。そして――――

 

 

 

久条政義(あの男)の息子かぁぁぁぁぁッッッー!!!

 

 

 

長月は自身の全てを込めて叫んだ。艦娘だった頃、長月を「使えないクズ」と言い続け、その息子にも彼女を弄ばせていた長月の提督「久条政義(くじょうまさよし)」。その男の息子が目の前にいる。長月が激怒するのに、それは十分な理由だった。セフティアリベイクフルシティは背後に転がっていたリベイクシザーシールドの左の持ち手を掴むと、目にも止まらない速さでそれをハサミ状に展開し、イオグレイズを挟み込んだ。右側のサブアームで右側の持ち手を握ったセフティアリベイクフルシティは、そのままリベイクシザーシールドを抑え込んでいった。

「なんだとっ!?うわあぁぁ!」

挟まれたまま地面に押さえつけられたイオグレイズは、成す術も無くリベイクシザーシールドに圧壊されていく。

「貴様がぁぁぁぁぁッッッー!!!!」

更に叫ぶ長月。久条のいる操縦スペースが次第にブラックアウトになっていく。

「あっあああ!そ、そんな俺は…こんなところで!!」

「潰れろぉぉぉぉぉぉぉッッッー!!!!」

リベイクシザーシールドがイオグレイズを真っ二つにしていく。久条の断末魔が操縦スペースにこだまし、長月は弱々しい声で今の気持ちを口にした。

「はぁ……勝ち続けてれば…良いことある物だなぁ…」

「あ、暁ちゃーん!」

「貴様にこんな形で、仕返しできるとは………」

しかし、長月の意識は段々と遠のいていった。

「ああ…あいつらに……いい土産話が………でき、た、な………」

長月は操縦スペースの中でバタリと倒れ、意識を手離した。

 

長月がイオグレイズを相打ちで倒した頃、キャンピングカーから抜け出してきた少女はゆっくりと階段を上っていた。ふらつく足をどうにか前へ伸ばし、少女は1段ずつ上っていく。やがて開ける視界。聞こえてくる歓声。少女は遂に観客席に辿り着いた。会場の中心を見下ろす少女の目に、ルプスレイトが単機でヴェールフェニックスに挑む姿が映った。

「み、ミカぁ…」

 

ルプスレイトがヴェールフェニックス目掛けて右手を伸ばす。ヴェールフェニックスの回避で左肩に命中した右手は、そのまま肩アーマーを丸ごと吹き飛ばした。そこに大型テイルブレードで攻撃を仕掛ける三日月だったが、大型テイルブレードはヴェールフェニックスの右腕でいなされ、シールドのバルカンで反撃をくらってしまった。三日月はヴェールフェニックスから距離を取ろうしていく。すると響が三日月に問いかけた。

「何故なんだい三日月!何故まだ戦おうとするんだ!もう勝敗が決まったような無意味な戦いに、どんな理由があるっていうんだ!」

すると三日月は弱々しく聞き返した。

「理由?なんですかそれ?……意味?………そうですねぇ……私には意味なんてありません………でも………」

するとそこに、別方向から暁の駆るアカツキ・ハイペリオンマスターが迫ってきた。暁は響に通信で呼びかけた。

「響っ!」

「っ!暁っ!」

「今助けるからね!」

アカツキ・ハイペリオンマスターがALユニットを展開しようとした。しかし――――

「駄目だ暁っ!今、三日月に近づいたら―――」

響が制止した。しかしそれは既に遅かった。目の前から高速で移動したルプスレイトは目にも止まらない速さでアカツキ・ハイペリオンマスターに接近、右腕を大きく振り払って胴体部を抉り。

「わっ!」

背後に回り込んで大型テイルブレードを左肩に打ち込んで踏み付け。

「きゃあっ!」

倒れたアカツキ・ハイペリオンマスターの顔面を掴んで岩壁へと放り投げる。

「いやぁぁー!響ぃー!!」

大型テイルブレードを追撃させてコックピット部分を串刺しにした。コックピットを貫いた大型テイルブレードが勢いよくルプスレイトのバックパックへと戻り、ガチィィィンという大きな音をたてて動きを止める。一瞬にしてアカツキ・ハイペリオンマスターを撃破したルプスレイトの手には、アカツキ・ハイペリオンマスターの黄金色の頭部が握られていた。それを見た響が呟く。

「三日月……君は………」

すると三日月は、穏やかな表情を浮かべながらゆっくりと喋り出した。

「けど……今は……」

三日月の脳裏に今日までの思い出が次々フラッシュバックしていく。

「私には……瑞鳳がくれた意味がある………」

艦娘時代に共に戦った思い出。人間に戻ってからの思い出。

「何にも持っていなかった……私のこの手の中に………こんなにも多くのものがあふれてる」

みんなとの思い出。仲間たちとの思い出。そして――――

 

 

瑞鳳との思い出

 

 

そして三日月がヴェールフェニックスを見つめて呟いた。

「そうだ……私たちもう…辿り着いてたんだ………」

胴体から爆発が起こり、更にふらつきながらもヴェールフェニックスを見つめるルプスレイト。

「何故なんだい三日月。何がそこまで君を突き動かすんだ!」

響の言葉など、もやは三日月の耳には届かずルプスレイトは大型テイルブレードを射出させ、ヴェールフェニックスに迫った。ヴェールフェニックスはビームサーベルを構えて受けの体勢に入っていた。しかし、三日月の意識は既に途切れかけていた。朦朧とする意識、定まらない視界、三日月がそれらを手離そうとした時、その声は轟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なに止まろうとしてんだミカァァァァァァァッッッッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客席に立っていた包帯だらけの少女。瑞鳳が思いの丈と持てる全ての力を込め叫んだ。

瑞鳳の魂の叫びは、喧騒に包まれていた会場を一瞬にして静寂へと変え、観客たちが一斉に瑞鳳の方を向いた。それは電たちも同じだった。

「あれは……瑞鳳さんなのです!?」

「あの姿…いったいどうしたんだ!?」

「でも、とってもヤバそうっぽい!」

そしてその声は、三日月の耳にもしっかりと届いていた。

「ずい、ほう?」

ゆっくりと顔を上げ、意識を取り戻していく三日月。

「み、三日月!団長だ!団長だよ!!」

慌てて皐月が観客席に立つ瑞鳳の姿を三日月の居る操縦スペースの正面に映した。目の前に映った瑞鳳の姿は、三日月を呼び戻すには十分だった。確かに聞こえた瑞鳳の声と姿が、三日月を虚ろの世界から蘇らせたのだ。ヴェールフェニックスへと向かって行くルプスレイトだったがしかし、瑞鳳の姿を目にした三日月はヴェールフェニックスまであと少しという位置でヴェールフェニックスの真横を通り抜けた。大型テイルブレードがヴェールフェニックスの真正面に砂煙を作り、響の視界を奪う。

「目隠し!?」

荒野を先程とほぼ同じ速度で駆けるルプスレイト。

「そうだ……私はまだ止まれない。瑞鳳と一緒に、ここじゃない(・・・・・・)その場所を見たい!」

そして三日月はルプスレイトに再び問いかけた。

「あなたはどうなのっ!バルバトス!!」

するとルプスレイトは、再び狼の遠吠えの様な音を発した。それを聞いて三日月は言った。

「わかったよ、バルバトス………なら……行こう――――」

 

 

私たち、みんなでッ!!

 

 

荒野を駆けたルプスレイトは、やがて荒野のど真ん中に落ちていた1本のメイスを拾った。それはバトル序盤、ルプスレイトがヴェールフェニックスに隙を作る為に投擲したメイスだった。荒野を走りながら、メイスを振り払うルプスレイト。

「見つけたよ三日月!」

そこに響のヴェールフェニックスが向かって来た。三日月はヴェールフェニックスに背後を取られながらも、ルプスレイトを走らせた。しかし、大破寸前のルプスレイトは徐々に距離を詰められていった。

「もう逃げても仕方ありませんね」

そう言って三日月はルプスレイトを反転させた。反転したルプスレイトに若干驚いた響だったが、ビームサーベルをしまうことなくそのまま距離を詰めていく。

「テイルブレード!」

ルプスレイトが大型テイルブレードを放ち、牽制をかけたがヴェールフェニックスはシールドバルカンで大型テイルブレードの動きを止めると右からの袈裟斬りで大型テイルブレードを両断した。

「これでもうテイルブレードは使えないよ!」

「だからどうしたというのですか!」

ビームサーベルを振り切ったヴェールフェニックスにルプスレイトがメイスを右上段から振り下ろす。メイスはヴェールフェニックスの左肩を根元から叩き壊し。

「くっ!まだだぁー!!」

ヴェールフェニックスはビームサーベルを握ったままの手でルプスレイトの顔面を殴りつける。

「グウッ!……この程度でぇー!!」

のけぞってしまったルプスレイトだったが、負けじとヴェールフェニックスを蹴り返す。

「わっ!……まだ…終わってない!」

更に負けじとヴェールフェニックスもルプスレイトを蹴る。

「ああっ!」

遂に弾き飛ばされてしまったルプスレイト。何とか地面に片膝をついて動きを止めたが、目の前には既にビームサーベルを高く掲げたヴェールフェニックスが迫っていた。

「これで終わりだよっ!三日月ぃー!!」

しかし三日月には、諦める気など毛頭なかった。

「私は止まれない!止まる訳には……いかないんだぁぁー!!」

三日月は、武装スロットの中から「ビームサーベルとSP」と表示されたスロットを選択した。するとメイスの先端部後方のロックが外れ、メイス後部からスラスターが噴射された。そしてメイスは一直線にヴェールフェニックスの胴体中央、コックピットを目指してルプスレイトのメイスを握った右腕と共に飛び出した。

「なっ!?」

突然のルプスレイトの行動に響が気付いた時には、既に遅かった。

 

 

 

 

ガキィィィィン―――――

 

 

 

 

胴体中央の装甲に直撃したメイスの先端からパイルバンカーが射出され、ヴェールフェニックスのコックピットを貫通したのだ。貫通したパイルバンカーはバックパックをも突き抜け、ヴェールフェニックスはそのまま倒れ込む様に機能を停止した。

「Battle Ended!」

「流石……ミカ…だ、ね………」

観客席でバトルを見届けた瑞鳳は、そのまま倒れて気を失った。

「ありがとう……バルバトス………ありがとうございます……ずい、ほぅ………」

三日月もまた、崩れるようにその場に倒れ伏し意識を手離した。

 

続く

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